建設業では、20代の入職者が年々減少し、若者離れが深刻な経営課題となっています。
若者離れを放置すれば、技能継承の断絶や受注機会の損失、さらには残業規制違反リスクまで波及しかねません。そのため、採用強化と職場環境の改善を一体で進めることが、今の建設業界に求められています。
本記事では、建設業における若者離れの現状・原因・リスクを整理し、採用と定着の両面から実践できる8つの対策を解説します。採用活動の改善を検討している担当者は参考にしてください。
建設業で若者離れが深刻化している現状

建設業の若者離れは、深刻化しています。ここでは、国土交通省のデータをもとに、若手就業者の減少と高齢化の進行状況を解説します。
29歳以下の就業者が12.0%まで減少している
国土交通省の調査によると、令和3年時点で、建設業に従事する29歳以下の就業者は全体の12.0%と、約1割にとどまっています。1990年代には20%前後を占めていたため、約30年間で若手人材が半数以下になっています。

また、全産業平均では、令和3年時点で29歳以下が16.6%を占めていることからも、建設業の若手比率は低い水準であることがわかるでしょう。
さらに、若者の母数自体が少ないという構造的な問題も抱えているため、求人を出すだけでの若者離れ解消は困難です。
55歳以上が全体の35.5%を占め高齢化が加速している
若手就業者が減少する一方で、令和3年時点で、55歳以上の就業者は全体の35.5%を占めるまで増加しています。建設業就業者の3人に1人以上が55歳以上であるため、今後10〜15年で大量のベテラン技能者が一斉に引退してしまいます。
技能者の高齢化が進むと、退職とともに現場経験にもとづく技能や知識が失われてしまうでしょう。若手への技能継承が追いつかなければ、施工品質の維持は難しくなります。
建設業の若者離れを放置すると生じる4つのリスク

若者離れが続くと、企業経営にさまざまなリスクをもたらします。建設業の若者離れを放置すると生じる主なリスクは、以下の4つです。
建設業の若者離れを放置するリスク
- 技能継承が滞り施工品質と競争力が低下する
- 人手不足で受注案件を消化できなくなる
- 残業規制への対応が遅れ法令違反につながる
- 人手不足倒産や事業継続困難に陥る恐れがある
それぞれのリスクを把握し、早期に対策を取ることが重要です。
技能継承が滞り施工品質と競争力が低下する
建設現場の技能は、OJT(実務を通じた教育)を通じて先輩から後輩へ受け継がれます。若手入職者が減ると、技能を受け取る側が不在になり、継承のサイクルが止まります。
特に深刻なのが、図面からの読み取りや現場での安全管理・品質判断といった、マニュアル化が難しい暗黙知の喪失です。ベテランが退職するたびに、その知識と経験も失われていきます。
施工品質が低下すればクライアントからの信頼を失い、受注機会の減少を経て、企業の競争力そのものが中長期的に低下してしまいます。
人手不足で受注案件を消化できなくなる
現場を回せる人員が不足すると、受注した案件を工期内に完工できないリスクが高まります。人手不足を理由に、採算の合う工事を断らざるを得ない状況に追い込まれる企業も少なくありません。
また、採用できても人材が定着しなければ、常に人手不足の状態が続くのは避けられません。慢性的な人手不足のなかで受注を断り続ければ、取引先との関係が希薄になり、将来の受注にも影響を及ぼします。こうした状態が続けば、受注機会を逃し続け、事業規模の縮小は避けられなくなります。
人手不足を解消するには、採用だけでなく定着率の改善も欠かせません。建設業の離職率の実態や定着率を高める方法は、以下の記事で詳しく解説しているため参考にしてみてください。
>建設業の離職率の現状|離職が起きる原因と定着率を上げる対策
残業規制への対応が遅れ法令違反につながる
2024年4月から、建設業にも時間外労働の上限規制が適用されています。法律で定められた上限は、以下のとおりです。
法律で定められた時間外労働の上限
- 時間外労働は年間720時間以内
- 時間外労働と休日労働を合わせて月100時間未満
- 時間外労働と休日労働を合わせて2〜6か月の平均で月80時間まで
- 1ヶ月45時間を超える時間外労働は年6回まで
人員が不足した状態でこの規制に対応しようとすると、工期遅延か法令違反を起こす可能性があるでしょう。違反が発覚した場合は、労働基準監督署による是正指導・勧告、悪質なケースでは送検・企業名公表の対象になります。
若者離れによる人手不足は、長時間労働を慢性化させ、こうした法令違反のリスクを高める要因にもなる点に注意が必要です。
引用:厚生労働省|建設業にも時間外労働の上限規制が適用されています
人手不足倒産や事業継続困難に陥る恐れがある
帝国データバンクの調査によると、2025年度に発生した人手不足倒産は441件と、過去最多水準に達しています。特に建設業は人手不足倒産が112件と全体の25.4%を占めており、人手不足の影響を強く感じている業種のひとつです。
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このように、人手不足が続けば受注があっても施工できず、売上が立たないまま固定費だけがかかり続け、結果的に倒産につながりかねません。
引用:帝国データバンク|人手不足倒産の動向調査(2025年度)
建設業の人手不足倒産に関するより詳しい解説を知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
>建設業の人手不足倒産が2025年上半期で過去最多!要因と対策を紹介
建設業の若者離れが進む6つの原因

若者が建設業を敬遠したり、早期に離職したりする背景には複数の原因が重なっています。建設業の若者離れが進む主な原因は、以下の6つです。
建設業の若者離れが進む主な原因
- 「3K」のイメージが根強い
- 一部に残る体育会系の文化やパワハラが参入障壁になっている
- 建設業の魅力や将来性が若者に伝わっていない
- 給与が労働量や責任に見合わないと感じられやすい
- 長時間労働や休日の少なさが敬遠される
- 入職しても早期離職が多く人材が定着しない
採用・定着の対策を立てる前に、原因を正確に把握することが大切です。
>建設業はきつい・やばいといわれる理由は?建設業界の将来性も解説
「3K」のイメージが根強い
建設業は「きつい・汚い・危険」の3Kというイメージが根強く、このイメージが若者の応募をためらわせています。3Kの印象は就職口コミサイトやSNSにも広がり、求職の段階で建設業を選択肢から外す若者が少なくありません。
しかし、実際には、ICT施工、測量ドローン、施工管理アプリ、重機の高性能化などにより、現場作業や事務作業の負担は以前よりも軽減されています。それでもこれまでのイメージが残っているため、実態とのギャップが応募者を遠ざける一因になっています。
一部に残る体育会系の文化やパワハラが参入障壁になっている
縦社会の意識が根強く残る職場があることも、若者が建設業を避ける要因です。「背中を見て覚えろ」といった体育会系の文化は、ハラスメントに敏感な現代の若者には受け入れられにくくなっています。
こうした職場では、若手が理不尽な叱責を受け続けて早期退職するケースも少なくありません。採用できても定着しないという問題の背景には、職場文化そのものにあると考えられます。
建設業の魅力や将来性が若者に伝わっていない
建設業には、インフラを支える社会的意義や手がけた構造物が形に残る達成感、技能次第で高収入を狙えるキャリアなど、多くの魅力があります。しかし、その魅力が若者に十分伝わっていません。
就職活動中の若者は、企業のホームページやSNSから情報を集めます。現場の雰囲気や先輩社員の声が発信されていなければ、そもそも関心を持つきっかけが生まれず、応募候補にすら入らないでしょう。
給与が労働量や責任に見合わないと感じられやすい
建設業の賃金水準は全産業平均を下回ることが多く、特に若手や技能職では「仕事のきつさに給与が見合わない」と感じる人が目立ちます。
かつては他業種より高めの賃金が建設業の魅力でしたが、近年は最低賃金の上昇で物流・小売・飲食業との差が縮まっています。きつい労働環境に伴う給与の優位性が薄れたことが、若者がより条件のよい他業種へ流れやすくなっている要因のひとつです。
長時間労働や休日の少なさが敬遠される
ワーク・ライフ・バランスを重視する若者にとって、週休1日や長時間残業が常態化した環境は大きな障壁です。建設業は土曜出勤が多く、年間休日が他業種より少ない傾向があります。
2024年の残業規制適用で法令上の上限は定められたものの、現場の実態が追いついていない企業も少なくありません。休日が少なく拘束時間が長い働き方は、プライベートの時間を確保したい若者から敬遠される要因となるでしょう。
入職しても早期離職が多く人材が定着しない
建設業の高卒新規入職者は、令和2年時点で、3年以内離職率が42.5%にのぼり、採用できても長く働いてもらえない傾向が続いています。離職率が高いままでは、毎年採用しても人員は補強できません。
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早期離職の主な要因は、入職前後のギャップや先輩からのフォロー不足、評価制度の不透明さなどが挙げられます。若者が入ってこないだけでなく、入っても辞めていくことが若者離れをさらに深刻にしているといえます。
建設業が若者を採用・定着させるための8つの対策

建設業における若者離れの解決には、採用の入り口を広げるだけでなく、入職後の定着環境を整えることが不可欠です。若者を採用・定着させるためにできる主な対策は、以下の8つです。
若者を採用・定着させるためにできる主な対策
- 「新3K(給与・休暇・希望)」を採用発信の軸にする
- 納得感のある指導と対話で心理的安全性を高める
- SNSや動画で職場のリアルな雰囲気を発信する
- 評価制度とキャリアパスを整備して将来像を示す
- 未経験者・女性も応募しやすい条件を整える
- 週休2日制の導入と残業削減で働き方改革を進める
- ICT・DXで現場業務の負担を軽減する
- 建設業に特化した求人サイトで採用精度を高める
なかでも採用コストの削減につながるのが、業界特化型の求人サイトの活用です。建設業に特化したGATEN職に求人を掲載すれば、総合型サイトに比べて掲載費用を抑えやすく、建設業を志望する求職者に直接リーチできるため、無駄な広告費をかけずに採用精度を高められます。
なお、建設業の採用におすすめの手法は以下の記事でも解説していますので、参考にしてみてください。
>建設業の採用が難しい理由とは?おすすめの採用手法8つも紹介
「新3K(給与・休暇・希望)」を採用発信の軸にする
国土交通省は、従来の3K(きつい・汚い・危険)に代わるイメージとして「新3K(給与・休暇・希望)」を掲げ、業界のイメージ刷新を進めています。この新3Kは、自社の採用発信の軸としてそのまま活用可能です。
たとえば「給与・休日・将来のキャリア」の3点を意識すれば、求人票や採用ページに載せる情報を、若者が知りたい内容に整理できます。同じ労働条件でも、給与体系や休日数、資格取得後のキャリアの道筋を具体的に示すことで、若者が受け取る印象は変わるでしょう。
採用ページの文言を見直すだけなら、大きなコストをかけずにすぐにでも着手可能です。
引用:国土交通省|新3Kを実現するための直轄工事における取組
納得感のある指導と対話で心理的安全性を高める
若手の早期離職には、職場での孤立感や理不尽な指導が深く関わっています。だからこそ、安心して働ける環境を整えることが、定着率を高める近道になります。
そのために有効なのが、指導の質を見直す取り組みです。「なぜそうするのか」を言葉で説明しながら育てる指導は、若手の納得感を生み、頭ごなしの叱責による離職を防ぎます。あわせて、以下を導入することも、職場で安心して発言や行動ができる「心理的安全性」の向上に効果的です。
「心理的安全性」向上のための取り組み
- 1on1ミーティングの定期実施
- 管理職へのコーチング研修
- ハラスメント相談窓口の設置
こうした積み重ねによって若手が意見を言いやすくなり、成長を実感しやすい職場へと変わっていくはずです。
SNSや動画で職場のリアルな雰囲気を発信する
3Kのイメージや職場の雰囲気は、求人票の文字情報での払拭は難しいため、現場の日常や社員の声をSNS・動画で発信し、リアルな雰囲気を発信する方法が有効です。実際の働く様子が伝われば、入職前後のギャップが減り、ミスマッチによる早期離職を防ぎやすくなります。
特に20代へのアプローチでは、Instagramなどの短い動画が向いています。先輩社員が仕事内容や1日の流れをカジュアルに語るような内容は親近感を生みやすく、応募のきっかけになりやすいでしょう。
採用担当者だけに任せず、現場の若手社員自身が発信者になる仕組みをつくれば、無理なく継続的に情報を発信し続けられます。
評価制度とキャリアパスを整備して将来像を示す
若者が会社を選ぶとき、「ここでどこまで成長できるか」は判断軸のひとつです。キャリアの道筋が見えない職場は、応募の段階で候補に入りにくく、入社したとしても将来への不安から早期離職を招いてしまいます。
そこで、入職後2〜3年で身につく技能や資格、主任・職長といった役職に就く条件をあらかじめ示しておくと、若者は将来像を描きやすくなります。また、受験費用の補助や試験休暇などの資格取得支援も、成長意欲の高い若者へのアピールに効果的です。
未経験者・女性も応募しやすい条件を整える
若者の母数が限られるなかで採用を増やすには、応募できる人の幅を広げることが有効です。経験・性別・学歴の条件を緩め、「未経験歓迎」「女性活躍中」と明示するだけでも、求人に集まる母集団は広がります。
ただし、入口を広げるだけでは定着にはつながりません。未経験者には、技能習得の初期を支える教育プログラムが必要です。また、女性に対しても、更衣室やトイレの整備など、受け入れる側の環境づくりが欠かせません。
週休2日制の導入と残業削減で働き方改革を進める
長時間労働や休日の少なさが若者に敬遠される以上、働き方そのものの改善が欠かせません。建設業の週休2日導入率は他業種に比べてまだ低く、いち早く実現できれば採用面での強みになるでしょう。
残業削減や週休2日を実現するには、現場任せにせず会社全体で取り組む姿勢が問われます。残業を減らせるかどうかは、工程管理の見直しや下請け業者への工期・単価の適正な配分が必要です。
なお、働き方改革は採用担当者だけで完結する取り組みではないため、経営層も巻き込み、全社で進めましょう。
ICT・DXで現場業務の負担を軽減する
肉体的・精神的な負担の大きさは、若者が建設業を避ける一因です。和らげる手段として、ICT・DXの活用があります。
たとえば、測量ドローンやBIM/CIM、施工管理アプリといったツールを取り入れれば、現場作業や事務作業の負担を抑えられます。デジタルに慣れた世代の若者にとっては、最新の技術を使える環境そのものも魅力的に映るでしょう。
導入のハードルが気になる場合は、国土交通省が推進する「i-Construction」(ICT活用で建設現場の生産性向上を図る取り組み)の支援を活用できます。補助金や助成金を使いながらDX化を進めることで、現場の効率化と働きやすい環境づくりを両立できます。
引用:国土交通省|「i-Construction 2.0」を策定しました
建設業に特化した求人サイトで採用精度を高める
採用の成果を高めるには、求人を掲載する媒体の選定も重要です。総合型の求人サイトは応募者の母数こそ多いものの、建設業を志望する人に絞って届けるのは簡単ではありません。求人が他業種の募集に埋もれ、ミスマッチな応募の対応に時間を取られることもあるでしょう。
そこで有効なのが、建設業に特化した求人サイトの活用です。最初から建設業で働きたい人にリーチしやすいため、応募者の業界理解や就業意欲が高く、採用後の定着にもつながるでしょう。
さらに、スカウト機能を備えたサイトであれば、登録者のプロフィールを見て自社に合う人材へ直接アプローチできます。応募を待つだけの採用から、必要な人材へ働きかける採用も実現できます。
業界特化型求人サイトの活用がおすすめの理由について、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
>建設業の人手不足の現状と対策|業界特化求人サイトの活用がおすすめ
建設業の人材採用を強化するならGATEN職

建設業の若者離れは、若者の母数の減少に加え、3Kのイメージや労働環境、定着率の低さなど複数の課題が重なって進んでいます。解決には、採用の入口を広げる取り組みと、入職後の定着を支える環境づくりを両輪で進めることが欠かせません。
そのうえで採用活動を強化したいなら、業界に特化した求人サービスの活用が有効です。
GATEN職は、建設業界に特化した求人サイトのなかでも7,000社以上に利用され、月間約114万人以上の求職者が訪れるサービスです。
掲載費用は一般的な求人サイトの約12分の1に抑えられるうえ、継続して利用する企業が多いという特徴もあります。また、スカウト機能を使えば、自社に合う求職者へ直接アプローチでき、応募を待つだけの採用から積極的な採用へ切り替えられます。
採用力の強化を検討している企業担当者様は、GATEN職の活用を検討してみてください。

