建設業の中でも、電気工事士は需要・将来性共に高い職種です。
令和7年3月時点での電気工事士を含む電気工事従事者の有効求人倍率は、3.43倍と高くなっています。(引用:厚生労働省 一般職業紹介状況(令和7年3月分及び令和6年度分)について)
しかし、「電気工事士の収入は高いの?」「年齢や資格で年収がどう変わるの?」と気になる方も多いでしょう。
本記事では、電気工事士の年収を、様々な視点から解説します。
電気工事士の年収事情を知って、職業選びの参考にしてください。
本記事の内容
- 電気工事士の年収について解説
- 電気工事士で年収をアップさせる方法を解説
電気工事士の平均年収は550万円
令和6年賃金構造基本統計調査によると、10人以上の規模の企業に勤める電気工事士の平均年収は547.6万円であることがわかりました。(引用:厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査)
また、厚生労働省が運営する職業情報提供サイトであるjob tagでは、正社員・契約社員・自営業者などを含んだ電気工事士の平均年収は550.9万円と紹介されています。(引用:厚生労働省 職業情報提供サイトjob tag)
電気工事士の年収の特徴を、以下のポイントに絞って解説していきます。
電気工事士の年収の特徴
- 電気工事士の平均年収は建築業の中でも高い
- 電気工事士の平均年収は日本の平均年収よりも高い
電気工事士の平均年収は建築業の中でも高い
電気工事士の平均年収は、建設業界の中でも高い水準に位置しています。
職種 | 平均年収 |
---|---|
建築士を含む建築設計技術者 | 632.8万円 |
電気工事士 | 550.9万円 |
配管工 | 512.5万円 |
測量士 | 489.1万円 |
塗装工 | 462万円 |
鳶工 | 460.1万円 |
解体工 | 460.1万円 |
大工 | 457.1万円 |
内装工 | 452.6万円 |
防水工 | 452.6万円 |
左官工 | 452.6万円 |
土木工 | 411.1万円 |
電気工事士は建築士に次いで高い年収となっており、建設業の中でも稼ぎやすい職種と言えるでしょう。
電気工事士の平均年収は日本の平均年収よりも高い
平均年収 | |
---|---|
日本全体 | 460万円 |
電気工事士 | 550.9万円 |
電気工事士の平均年収は、日本の平均年収を上回っています。
令和5年分民間給与実態統計調査によると、日本の平均年収は460万円でした。
日本の平均年収と比較して、電気工事士の平均年収は約90万円も高い水準にあります。
電気工事士の年収が高いのには、いくつかの理由が考えられます。
電気工事士は、手に職をつけて安定した収入を得たい人にとって、魅力的な職種と言えるでしょう。
条件別│電気工事士の年収
以下の8つの条件に分けて、電気工事士の年収の傾向を解説します。
条件別の電気工事士の年収
- 年代別
- 男女別
- 資格別
- 学歴別
- 雇用形態別
- 企業規模別
- 地域別
年代別│電気工事士の年収
電気工事士の年代別の平均年収は以下の通りです。
年代 | 平均年収 |
---|---|
19歳以下 | 284.9万円 |
20〜24歳 | 383万円 |
25〜29歳 | 467.4万円 |
30〜34歳 | 546.3万円 |
35〜39歳 | 577.1万円 |
40〜44歳 | 617.5万円 |
45〜49歳 | 660.1万円 |
50〜54歳 | 682.4万円 |
55〜59歳 | 644.6万円 |
60〜64歳 | 484.3万円 |
65〜69歳 | 407.4万円 |
70歳以上 | 387.6万円 |
job tagによると、電気工事士で最も年収が高い年代は50〜54歳で682.4万円でした。
一方、最も年収が低い年代は、19歳以下で284.9万円となりました。
19歳以下や20代前半の電気工事士は、まだ見習いの段階なので年収は低めです。
しかし、電気工事士は資格を取り、ある程度の経験を積むと、30代以降に年収が上がりやすくなります。
男女別│電気工事士の年収
電気工事士の男女別での年収は、以下の通りです。
性別 | 平均年収 |
---|---|
男性 | 550.4万円 |
女性 | 446.2万円 |
令和6年賃金構造基本統計調査によると、電気工事士の年収は男性で550.4万円、女性で446.2万円でした。
男性と女性の電気工事士の年収には、約100万円の差があります。
また、従業員数10人以上の企業に勤める男性の電気工事士が約21万6,000人であるのに対して、女性は約6,000人と非常に少ないです。
しかし、日本全体の女性の平均年収は316万円であり、電気工事士として働く女性の年収は、日本の女性の平均年収よりも高い傾向にあります。(国税庁 令和5年分民間給与実態統計調査)
資格別│電気工事士の年収
電気工事士の国家資格には、第一種電気工事士と第二種電気工事士があります。
それぞれの国家資格では年収に差があり、第一種電気工事士が年収500〜600万円、第二種電気工事士が年収400〜500万円が一般的です。
第一種電気工事士は第二種電気工事士と比較して、業務範囲が広く、責任や求められる技術も高いため、年収も高くなる傾向があります。
学歴別│電気工事士の年収
電気技工士を含む建設業での学歴別平均年収は、以下の通りです。
学歴 | 平均年収 |
---|---|
中卒 | 470.8万円 |
高卒 | 481万円 |
専門学校卒 | 487.5万円 |
高専・短大卒 | 545万円 |
大卒 | 557.1万円 |
大学院卒 | 735.1万円 |
令和6年賃金構造基本統計調査によると、電気工事士を含む建設業で最も年収が低い学歴は中卒で、470.8万円でした。
一方、最も年収が高い学歴は大学院卒で、735.1万円でした。
電気工事士に特化したデータではありませんが、同じような傾向が電気工事士にも見られると考えられます。
雇用形態別│電気工事士の年収
電気工事士の雇用形態別の平均年収は、以下の通りです。
雇用形態 | 年収 |
---|---|
一般労働者 | 547.6万円 |
短期労働者 | 338.5万円(※) |
臨時労働者 | 356.5万円(※) |
(※)1日8時間で20日/月働いたものとして算出
令和6年賃金構造基本統計調査によると、電気工事士の短期労働者の平均時給は1,692円、年間賞与は13.6万円でした。
一方、電気工事士の臨時労働者の平均時給は1,857円でした。
短期労働者や臨時労働者と比較して、電気工事士の一般労働者の平均年収は約200万円高くなっています。
経験年数別│電気工事士の年収
電気工事士の経験年数別の平均年収は、以下の通りです。
経験年数 | 平均年収 |
---|---|
0年 | 324.7万円 |
1〜4年 | 385.6万円 |
5〜9年 | 450万円 |
10〜14年 | 495.3万円 |
15年以上 | 593.5万円 |
電気工事士は、経験を積めば積むほど年収が高くなる傾向にあります。
また、経験年数が0〜4年の電気工事士は、第一種の資格を持っていない人が多いため、平均年収は400万円未満と低くなっていると考えられます。
企業規模別│電気工事士の年収
電気工事士の企業規模別の平均年収は、以下の通りです。
会社の規模(従業員数) | 平均年収 |
---|---|
10〜99人 | 522.7万円 |
100〜999人 | 534.7万円 |
1,000人以上 | 579.2万円 |
企業別に平均年収を比較すると、従業員数1,000人以上の企業の電気技工士の平均年収が最も高く、579.2万円でした。
小・中規模の企業と比較して、平均年収が約40〜50万円高く、なるべく大規模な企業に勤めた方が稼ぎやすいでしょう。
地域別│電気工事士の年収
都道府県ごとの電気工事士の平均年収は、以下の通りです。
平均年収 | 都道府県(平均年収) |
---|---|
700万円以上 | 和歌山県(739.7万円) |
700〜600万円 | 京都(657万円)、奈良(646.0万円)、山梨(644.7万円)、三重(631.5万円)、神奈川(624万円)、茨城(622.8万円)、岡山(618.8万円)、埼玉(614.6万円)、宮城(614.2万円)、東京(612万円)、大阪(603.9万円) |
600〜500万円 | 岐阜(591万円)、兵庫(591万円)、愛知(589.2万円)、徳島(578.5万円)、静岡(577.9万円)、静岡(577.9万円)、滋賀(567.9万円)、千葉(567.6万円)、大分(560.4万円)、佐賀(560.4万円)、広島(549.7万円)、香川(547.7万円)、石川(533.6万円)、長野(534.7万円)、栃木(523.1万円)、鹿児島(522万円)、山口(521.2万円)、福井(520.8万円) |
500〜400万円 | 高知(498.6万円)、群馬(496.6万円)、新潟(493.4万円)、福島(478.6万円)、長崎(478.5万円)、富山(475.1万円)、岩手(467.3万円)、北海道(461.5万円)、福岡(460.4万円)、鳥取(458.9万円)、島根(449.8万円)熊本(443.1万円)、宮崎(441.6万円)、愛媛(436.9万円)、青森(436.5万円)、秋田(406.3万円) |
400〜300万円 | 沖縄(388.5万円) |
電気工事士の平均年収が最も高い和歌山県と、最も低い沖縄県では、約350万円の差がありました。
地域により、電気技工士の年収は大きく違うと言えるでしょう。
電気工事士が年収アップするためのポイント
電気工事士として収入を増やすためには、戦略的にキャリアを積むのが重要です。
電気工事士として年収をアップさせるための4つの方法を詳しく解説します。
電気工事士として年収をアップするための4つのポイント
- 第一種電気工事士の資格を取得する
- 経験・キャリアを積む
- 大手企業に就職する
- 独立する
電気工事士として高年収を目指したい方は、ぜひ参考にしてください。
第一種電気工事士の資格を取得する
電気工事士として年収アップを目指す場合、まずは第一種電気工事士の資格取得を目指しましょう。
電気工事士には、第一種電気工事士と第二種電気工事士という国家資格があります。
第一種電気工事士 | 第二種電気工事士 | |
---|---|---|
特徴 | 500キロワット未満の大規模電気設備も取り扱える上位資格 | 600ボトル以下の電気工事をするための資格 |
主な工事対象 | 高圧・特別高圧の電路工事も可能 | 一般家庭や小規模事業所の屋内配線など |
受験・免状交付資格 | 受験資格に年齢・学歴・実務経験の制限がないが、免状交付に3年以上の実務経験が必要 | 受験資格に年齢・学歴・実務経験の制限がない |
免状の有効期限 | 5年ごとの定期講習の受講が義務付けられている | 有効期限はない |
第二種電気工事士と比較して、第一種電気工事士は取り扱える工事範囲が広く、仕事の幅が格段に広がります。
たとえば、第二種電気工事士では一般住宅の配線工事がメインになりますが、第一種電気工事士の資格を持っていれば、商業施設や高層ビルの電気設備の工事も担当できます。
第一種電気工事士はより大規模な工事を請け負えるので、1件あたりの報酬や基本給がより高額になるでしょう。
試験の難易度はやや高めですが、電気工事士として本気で収入を上げたいなら、第一種電気工事士の取得を早めに目指してください。
経験・キャリアを積む
電気工事士の年収は、経験・キャリアによって大きく異なるのが現実です。
未経験と経験年数15年以上では、平均年収に約250万円の開きがあります。
特に、次のような経験を持つ電気工事士は評価されやすく、年収も上がりやすくなるでしょう。
電気工事士として現場での経験を積めば、将来的に現場リーダーや施工管理職にステップアップする道も見えてきます。
キャリアアップによって役職手当や資格手当が付くことで、年収が50万〜100万円アップすることも珍しくありません。
一歩一歩着実に、電気工事士として経験やキャリアを積み重ね、着実に収入アップに繋げていきましょう。
大手企業に就職する
大手企業に転職すれば、電気工事士としてより高収入を目指せる可能性が広がります。
たとえば、従業員数10〜99人の企業と従業員数1,000人以上の企業では、以下のように月収・年間賞与共に異なります。
従業員数10〜99人の企業 | 従業員数1,000人以上の企業 | |
---|---|---|
月収 | 36.7万円 | 37.6万円 |
年間賞与 | 82.1万円 | 128.1万円 |
年収 | 522.7万円 | 579.2万円 |
大手企業に転職できれば、年収アップ以外にも以下のようなメリットがあります。
電気工事士として大手企業に転職するのは、もちろんハードルが高いです。
まずは実務経験を積んで、転職サイトや転職エージェントを利用して、大手企業に転職する準備をしましょう。
電気工事士として大手企業に転職したいのなら、GATTEN職がおすすめです。
建設業界に特化した求人サイトGATTEN職なら、大手のような電気工事士として高収入が狙える求人情報が探せます。
独立する
電気工事士として独立すれば、自分の努力次第で、年収を大きくアップできるでしょう。
実際に、独立した電気工事士の中には、年収1,000万円を超える人もいます。
電気工事士としての独立には、年収以外にも以下のようなメリットがあります。
電気工事士として独立して成功するためには、職人としてのスキルに加え、営業スキルや経営スキルなど多くの能力が求められます。
「自分の力で稼ぎたい」「自由な働き方をしたい」という方には、電気工事士として独立するのもおすすめです。
電気工事士の平均年収は資格や経験次第でアップできる
電気工事士の平均年収は550万円であり、日本全体や建設業界の中で比較しても、高い水準の年収が期待できます。
電気工事士として年収をアップさせるには、第一種電気工事士の資格の取得や地道に経験を積むのが大切です。
また、大企業であれば、電気工事士としてより高い収入を得られる可能性が高くなるので、年収アップのためには転職も有効な手段となります。
電気工事士として転職するなら、GATTEN職がおすすめです。
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