個人事業主として独立するには?必要なものや起業までの手順をわかりやすく解説

独立 個人事業主 ガテン系の独立

独立して仕事を始める場合には、個人事業主と法人化の2つの選択肢があります。

個人事業主とは法人を設立せずに個人で事業を営む働き方のことを指します。

建設業の一人親方やフリーランス、飲食店経営者などが挙げられ、会社とは異なり事業の責任はすべて本人が負うものの経営判断や働き方の自由度が高いのが特徴です。

メリットとしては、まず開業手続きが簡単で費用がほとんどかからない点があります。

税務署へ「開業届」を提出するだけで始められ、法人設立のような登記費用も不要です。

また、経費を計上できる範囲が広く、青色申告を選択すれば最大65万円の特別控除を受けられるなど、節税面のメリットや利益がそのまま自分の収入になる点も魅力です。

日本政策金融公庫が行った開業後1年以内の企業を対象とした調査では、個人事業主として開業した方が60.3%と多いことがわかりました。(引用:日本政策金融機構 2024年度新規開業実態調査

開業の流れとしては事業内容の決定と準備→税務署へ開業届の提出→必要に応じて青色申告承認申請書の提出→銀行口座の開設や保険加入などの整備、という手順が一般的です。

ほかにも業種によっては許認可の取得が必要な場合もあります。

個人事業主は自由度が高い反面、自己管理と資金計画が重要なポイントとなります。

本記事では、個人事業主として独立するために必要なものや、起業する手順についてわかりやすく解説します。

個人事業主として独立するメリットやデメリットも紹介するので、独立を考えている方はぜひ参考にしてください。

 この記事の結論
  • 個人事業主として独立するには開業届を提出し、任意で青色確定申告承認申請書も提出する必要がある
  • 個人事業主とは、法人を設立せずに自分の名前で仕事をしている人を指す
  • 個人事業主は会社員と比べて、「働き方」「収入の仕組み」「社会保障や税金」「働き方の自由度やライフスタイル」といった様々な点で違う
  • 個人事業主として独立するメリットは、「手続きが簡単ですぐに始められる」「初期費用や運営コストが安い」「利益が全て自分の収入になる」「自由な働き方ができる」「経費が使える」という点である
  • 個人事業主のデメリットは「収入が不安定になりやすい」「社会的信用が低い」「全て自己責任」「社会保障の負担が大きい」という点である

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一人親方と個人事業主の違いは?労災保険や働き方の違いを解説
  • 株式会社だいち電気 代表 加藤大智

    「資格があれば食いっぱぐれる心配も少ない」

    職種

    電気工事士

    勤務地

    東京都小平市

    給与

    日給12,000円~

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    3~5年

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  • 株式会社田辺建設 代表 田邉哲也

    「まず現場で信頼を築くことが一番大事」

    職種

    外構工事の職人

    勤務地

    東京都青梅市

    給与

    月給32万~45.6万円

    独立までの目安年数

    10年〜15年

    独立を目指す若者へのメッセージ

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  • 大和装業株式会社 代表 儀保武馬

    「夢に向かって挑戦する人を応援するのは、私にとっても楽しい事」

    職種

    塗装職人

    勤務地

    東京都東大和市

    給与

    日給10,000円~18,000円

    独立までの目安年数

    5~7年

    独立を目指す若者へのメッセージ

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    1. 独立を目指す若者へのメッセージ
    2. 独立を目指す若者へのメッセージ
    3. 独立を目指す若者へのメッセージ
  1. 個人事業主として独立する手順
    1. 事業内容を決める
    2. 開業届を提出する
    3. 青色申告承認申請書を提出する(任意)
    4. 銀行口座やクレジットカードを用意する
  2. 個人事業主として独立する前に確認すべきこと
    1. 生活費と事業資金を分けて準備する
    2. 独立後の仕事の獲得先を確認する
    3. 必要な資格や許認可を確認する
    4. 税金・保険・年金の負担を確認する
    5. 会社員を辞める前に売上見込みを試算する
  3. 個人事業主としての独立で必要なもの
    1. 開業資金
    2. 事業用のクレジットカード
    3. 会計ソフト
    4. 名刺
    5. ホームページ・SNSアカウント
  4. 建設業で個人事業主として独立する場合に必要な準備
    1. 必要な資格や許認可を確認する
    2. 道具・車両・保険を準備する
    3. 元請けや取引先候補を作っておく
    4. 見積書・請求書・契約書を用意する
    5. 独立前に経験を積める会社を選ぶ
  5. 個人事業主として独立するメリット
    1. 手続きが簡単ですぐに始められる
    2. 初期費用や運営コストが安い
    3. 利益が全て自分の収入になる
    4. 自由な働き方ができる
    5. 経費が使える
  6. 個人事業主として独立するデメリット
    1. 収入が不安定になりやすい
    2. 社会的信用が低い
    3. 全て自己責任
    4. 社会保障の負担が大きい
  7. 個人事業主とは
    1. 個人事業主と法人の違い
    2. 個人事業主とフリーランスの違い
  8. 個人事業主が利用できる補助金・助成金
  9. 個人事業主として独立した場合の会社員との違い
    1. 働き方が違う
    2. 収入の仕組みが違う
    3. 社会保障や税金が違う
    4. 働き方の自由度やライフスタイルが違う
  10. 個人事業主として独立して失敗しやすいケース
    1. 仕事の獲得先がないまま独立してしまう
    2. 開業資金や生活費を十分に準備していない
    3. 税金や保険料を残さず使ってしまう
    4. 単価を安く設定しすぎて利益が残らない
    5. 契約書や請求書を整えずトラブルになる
    6. けがや病気で働けないリスクを考えていない
  11. 個人事業主として独立するか会社員を続けるかの判断軸
    1. すでに仕事の見込みがあるなら独立を検討しやすい
    2. 資金や人脈が不足しているなら会社員として準備する
    3. 建設業では独立支援のある企業で経験を積む選択肢もある
    4. 収入の安定性を重視するなら慎重に判断する
    5. 将来独立したいなら資格・技術・元請けとの関係を作る
  12. 独立・個人事業主に関するよくある質問
    1. 個人事業主として独立するには何が必要ですか?
    2. 個人事業主になるには開業届だけでよいですか?
    3. 個人事業主として独立する前にいくら貯金が必要ですか?
    4. 会社員を辞める前に準備すべきことは何ですか?
    5. 個人事業主と法人はどちらがよいですか?
    6. 個人事業主とフリーランスの違いは何ですか?
    7. 建設業で個人事業主として独立するには何が必要ですか?
    8. 個人事業主として独立すると税金や保険はどうなりますか?
    9. 個人事業主として独立して失敗しやすい理由は何ですか?
    10. いきなり独立するのが不安な場合はどうすればよいですか?
  13. 個人事業主として独立するメリットは大きい

個人事業主として独立する手順

個人事業主としての独立は、手順を正しく踏めば誰でも比較的スムーズに始められます。

STEP やること 確認すべきこと 注意点
STEP1:事業内容を決める どの仕事で独立するか決める 提供するサービス、対象顧客、対応エリア 事業内容が曖昧だと営業しにくい
STEP2:売上見込みと開業資金を確認する 収入目標と必要な初期費用を整理する 道具代、車両費、広告費、生活費の余裕 売上が安定するまでの資金を用意する
STEP3:必要資格・許認可を確認する 業種ごとに必要な資格や許可を調べる 建設業許可、各種技能講習、届出の有無 無資格・無許可でできない仕事に注意する
STEP4:仕事の獲得先を整理する 取引先や集客方法を考える 元請け、紹介、求人サイト、SNS、ホームページ 開業前に仕事の見込みを作っておく
STEP5:開業届を提出する 税務署へ個人事業の開業届を出す 提出期限、事業開始日、屋号の有無 出し忘れると手続きが遅れる
STEP6:青色申告承認申請書を提出する 青色申告を利用するための申請を行う 提出期限、帳簿管理、控除の条件 期限を過ぎるとその年に使えない場合がある
STEP7:事業用口座・クレジットカードを用意する 事業のお金と生活費を分ける 口座名義、入出金管理、カード利用目的 私用と事業用が混ざると経理が複雑になる
STEP8:会計ソフトや請求書管理を整える 売上、経費、請求書、領収書を管理する 会計ソフト、インボイス対応、保存方法 後回しにすると確定申告で困りやすい
STEP9:税金・保険・年金を確認する 所得税、住民税、消費税、国保、年金を確認する 納税時期、社会保険の切り替え、節税対策 手取りと売上を混同しない
STEP10:営業・集客を始める 仕事を取るために営業活動を行う 営業先、紹介ルート、実績の見せ方 継続的に集客しないと仕事が不安定になる

しかし、実際に安定して働くには、仕事を受ける先、資金繰り、税金、保険、請求書管理まで準備しなければいけません。

特に会社員から独立する場合は、退職前に売上見込みと生活費を確認しておきましょう。

事業内容を決める

個人事業主として独立するために最初にすべきことは、「何を事業として行うか」を決めることです。

事業内容を決める際には、自分のスキルや経験、資金などにあったものを選ぶようにしましょう。

確認項目 見るべき理由 確認方法
自分の経験・スキル すぐに提供できる仕事を明確にするため これまでの職歴、資格、得意な作業を書き出す
需要があるか 仕事を継続して獲得できるか判断するため 求人サイト、競合サイト、取引先の募集状況を調べる
単価の相場 売上見込みや利益を計算するため 同業者の料金表、見積もり例、案件単価を確認する
必要な資格・許認可 無資格・無許可でできない仕事を避けるため 行政サイト、業界団体、専門家に確認する
初期費用 開業時に必要な資金を把握するため 道具代、車両費、広告費、保険料を試算する
継続的な仕事の獲得先 売上を安定させるため 元請け、紹介先、求人サイト、SNS、営業先を整理する
競合の有無 差別化できるポイントを見つけるため 近隣の同業者や検索結果を確認する
将来性 長く続けられる事業か判断するため 市場の需要、地域の工事量、業界の動向を確認する
生活費をまかなえる売上見込み 独立後に生活が成り立つか確認するため 毎月の生活費、税金、保険料、経費を含めて計算する

事業内容は「やりたいこと」だけで決めず、継続して仕事を取れるかまで確認することが成功のポイントです。

とくに建設業や職人系で独立する場合、資格、道具、車両、元請けとの関係、協力会社の有無も重要です。

開業届を提出する

個人事業主として独立するためには、「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」を税務署に提出しなければなりません。

開業届の提出方法
手続対象者 新たに事業所得、不動産所得又は山林所得を生ずべき事業の開始等をした方
提出時期 事業の開始等の事実があった日から1ヶ月以内
作成・提出方法 ・e-Taxソフトで開業届を作成の上、e-Taxより提出
開業届を記入し、持参または送付により提出
添付書類 ・e-Tax利用時、添付書類は不要
・書面によりマイナンバーが記載した申請書で提出する際には、本人確認書類の提示や写しの添付が必要
提出先 納税地を所轄する税務署

引用:国税庁個人事業の開業届出・廃業届出等手続

開業届は、個人事業主として事業を始めたことを税務署に知らせる書類です。

提出自体は難しくありませんが、屋号、事業内容、開業日、納税地などを決めておく必要があります。

提出後は確定申告が必要になるため、売上や経費を記録する準備も同時に進めましょう。

開業届は、事業を開始した日から1ヶ月以内の提出が義務付けられていますが、期限が過ぎても罰則などはありません。

国税電子申告・納税システムe-Taxを利用すれば、オンラインで手軽に提出できるので利用してみてください。

e-tax

注意点

開業届を提出しただけで仕事が入るわけではありません。

独立前に、取引先候補、営業方法、必要な道具、資金繰りまで準備しておきましょう。

青色申告承認申請書を提出する(任意)

青色申告承認申請書とは、個人事業主が行う所得税の申告方法のひとつで、税制上のさまざまな優遇措置を受けられる制度です。

必ず選ばなければならない申告方法ではありませんが、次のようなメリットがあるのでおすすめです。

青色申告のメリット

  • 最大65万円の青色申告特別控除が受けられる
  • 損失が出た年の赤字を最長3年に渡り繰り越して、翌年以降の利益と相殺可能
  • 家族の給与を経費にできる
  • 30万円未満の資産を一括で経費にできる

青色申告を希望する場合、青色確定申告承認申請書を税務署に提出しなければなりません。

青色申告の申請方法
手続対象者 事業所得、不動産所得又は山林所得を生ずべき業務を行う方のうち、青色申告の承認を受けようとする方
提出時期 ・事業開始日から2ヶ月以内
・すでに開業していて次の年から青色申告をしたい場合は、その年の3月15日まで
作成・提出方法 e-Taxのマイページから申請をする
申請書を記入し、持参または送付にて提出
提出先 納税地を所轄する税務署

引用:国税庁所得税の青色申告承認申請手続

青色申告の申請は、開業届と一緒に手続きするとスムーズに行えます。

開業届と同様に、国税電子申告・納税システムe-Taxを利用すれば、オンラインで手軽に提出できます。

青色申告とよく比較されるものとして白色申告がありますが、違いについてまとめると以下の通りとなります。

項目 青色申告 白色申告
控除額 最大65万円・55万円・10万円の青色申告特別控除を受けられる 青色申告特別控除は受けられない
帳簿付け 複式簿記など、一定水準の帳簿付けが必要 青色申告より比較的簡易な帳簿付けで対応しやすい
赤字の繰越 条件を満たせば赤字を翌年以降に繰り越せる 原則として赤字の繰越はできない
家族への給与 青色事業専従者給与として経費にできる場合がある 専従者控除として一定額まで控除できる
向いている人 節税しながら本格的に事業を続けたい人 事業規模が小さく、まず簡単に申告したい人
注意点 事前に青色申告承認申請書の提出が必要 控除や節税面では青色申告より不利になりやすい

青色申告は節税面のメリットがありますが、帳簿付けや書類管理が必要になります。

独立後に売上や経費が増える場合は、会計ソフトを使って早めに管理体制を作ることをおすすめします。

銀行口座やクレジットカードを用意する

個人事業主として独立する際には、事業専用の銀行口座やクレジットカードを作成するのがおすすめです。

事業専用の銀行口座やクレジットカードを作成するメリット

  • 収支が明確にわかるので、確定申告がスムーズになる
  • 事業のお金の流れがわかりやすくなり、経営判断がしやすくなる
  • 取引先や金融機関からの信用されやすくなる

事業用のお金を管理するために準備するもの

口座やカードを分けておくと、確定申告や資金繰りの確認がしやすくなります。

関連記事:未経験でも応募できる独立支援制度のある求人とは?独立支援制度のある求人の多い業界を紹介

個人事業主として独立する前に確認すべきこと

個人事業主として独立する前の確認リスト

個人事業主として独立する前には、事業内容だけでなく、生活費、開業資金、仕事の獲得先、必要な資格や許認可、税金・保険・年金まで確認しておくことが大切です。

反対に勢いだけで独立すると、売上が安定する前に資金が不足したり、必要な手続きを後回しにしてしまうおそれがあります。

特に建設業や職人系で独立する場合は、仕事を紹介してくれる元請けや人脈、必要資格、道具・車両、保険まで確認しておきましょう。

生活費と事業資金を分けて準備する

独立前には、生活費と事業資金を分けて準備しておくようにしましょう。

生活費は家賃、食費、通信費、保険料、年金、税金などに使うお金です。

一方で、事業資金は道具代、車両費、広告費、会計ソフト代、仕入れ費用、外注費などに使うお金です。

項目 生活費 事業資金
使う目的 自分や家族の生活を維持するためのお金 事業を始めたり、続けたりするためのお金
主な使い道 家賃、食費、通信費、保険料、年金、税金など 道具代、車両費、広告費、会計ソフト代、仕入れ費用、外注費など
管理方法 個人用の口座で管理する 事業用の口座で管理する
確認すべきこと 毎月いくら必要か、何か月分を準備するか 開業時と毎月の事業経費がいくらかかるか
注意点 売上が不安定でも生活できる余裕を持つ 生活費と混ぜると経費管理や確定申告が複雑になる

開業直後は売上が安定しないこともあるため、数か月分の生活費と事業に必要な初期費用を分けて管理しておくと安心です。

独立後の仕事の獲得先を確認する

個人事業主として安定して働くには、独立後にどこから仕事を得るのかを事前に確認しておくことが重要です。

たとえば、元勤務先からの紹介、知人や取引先からの依頼、求人サイト、マッチングサービス、SNS、ホームページ、地域のつながりなど、仕事の獲得先は複数用意しておくのが理想です。

仕事の獲得先 メリット デメリット
元勤務先・前職のつながり 以前の会社、元上司、同僚からの紹介 信頼関係があり、仕事につながりやすい 関係性に依存しやすい
知人・紹介 友人、取引先、同業者からの紹介 初期費用をかけずに受注しやすい 紹介が止まると仕事が不安定になる
元請け・協力会社 建設会社、工務店、設備会社など 継続案件につながる可能性がある 単価や条件を相手に合わせる必要がある
求人サイト・職人向けサイト 業務委託、請負、協力業者募集など 案件を探しやすく、比較しやすい 条件や単価をよく確認する必要がある
マッチングサービス フリーランス向け、職人向けの案件サービス 新規案件を見つけやすい 手数料や競争の多さに注意が必要
SNS Instagram、X、Facebookなどで実績を発信 無料で実績や人柄を伝えやすい 継続的な発信が必要
ホームページ 自分のサービス内容や施工実績を掲載 信頼性を高めやすく、問い合わせ窓口になる 作成費用や運用の手間がかかる
チラシ・地域営業 近隣店舗、住宅、地域企業への案内 地域密着の仕事を獲得しやすい 反応が出るまで時間がかかる場合がある
既存顧客からのリピート 一度依頼を受けた顧客からの再依頼 安定した売上につながりやすい 最初の顧客獲得まで時間がかかる

一方、特定の取引先だけに依存すると、案件が途切れたときに売上が大きく下がるリスクがあるため注意が必要です。

必要な資格や許認可を確認する

事業内容によっては、資格や許認可が必要になるケースがあります。

とくに建設業、運送業、飲食業、古物商、士業関連の業務などは、無資格・無許可ではできない仕事があるため注意が必要です。

業種 必要になりやすい資格・許認可 あるといい資格・準備
建設業 建設業許可、各種技能講習、作業主任者資格など 建築施工管理技士、土木施工管理技士、電気工事士など
運送業 貨物自動車運送事業許可、運転免許など 運行管理者、整備管理者、大型免許、フォークリフトなど
飲食業 飲食店営業許可、食品衛生責任者など 防火管理者、調理師、HACCP対応の知識など
古物商 古物商許可 古物市場の知識、本人確認・帳簿管理の知識など
士業関連 弁護士、税理士、行政書士、社労士など各士業資格 実務経験、登録手続き、専門分野の知識など

個人事業主として独立する前に、自分が行う業務に必要な資格、届出、許可、登録の有無を確認しましょう。

もし分からない場合は、行政の窓口や専門家に相談しておくと安心です。

税金・保険・年金の負担を確認する

会社員から個人事業主になると、税金、保険、年金の負担の仕方が変わります。

所得税、住民税、消費税、個人事業税、国民健康保険、国民年金などを自分で管理しなければいけません。

また、会社員時代のように給与から自動で天引きされないため、納税資金を残しておくことも重要なポイントです。

売上をそのまま使わず、税金や保険料を支払う分を分けて管理するなどが望ましいでしょう。

会社員を辞める前に売上見込みを試算する

独立前には、会社員を辞める前に売上見込みを試算しておくことが大切です。

月にどのくらい売上が必要か、経費はいくらかかるか、税金や保険料を差し引いた後に生活費をまかなえるかを想定しましょう。

また、売上と手取りは同じではないため、想定より手元に残るお金が少なくなる場合があります。

項目 売上 手取り
意味 事業で得た収入の総額 実際に自分の生活費などに使えるお金
含まれるもの 商品代金、サービス料金、請負代金など 売上から経費・税金・保険料などを差し引いた金額
計算の考え方 受け取った金額の合計 売上 − 経費 − 税金 − 保険料など
注意点 売上が多くても利益が残るとは限らない 手取りを把握しないと生活費が不足しやすい
確認すべきこと 毎月いくら売上があるか 経費や税金を引いた後にいくら残るか

できれば、会社員のうちに副業や紹介案件などで受注の見込みを作っておくと、独立後の不安を減らしやすくなります。

関連記事:独立しやすい建設業とは?おすすめの職種や独立するために必要なことを徹底解説

個人事業主としての独立で必要なもの

個人事業主として独立するには、開業届を出すだけではなく、事業運営を支えるための準備が欠かせません。

お金の管理、信用の確保、集客の仕組み、経理体制など、整えておくべき項目は多岐にわたります。

必要なもの 用途 注意点
開業資金 道具代、広告費、車両費、生活費の準備に使う 売上が安定するまでの余裕資金を用意する
事業用口座 売上や経費の入出金を管理する 生活費用の口座と分ける
事業用クレジットカード 事業経費の支払いに使う 私用の支払いと混ぜない
会計ソフト 売上、経費、確定申告を管理する 開業直後から入力を習慣化する
請求書・見積書 取引先へ金額や作業内容を提示する 発行日、支払期限、消費税の記載に注意する
名刺 営業や紹介時に連絡先を伝える 屋号、氏名、連絡先、対応業務を記載する
ホームページ・SNS 集客や実績紹介に使う 継続的に更新する
仕事用の道具 作業やサービス提供に使う 初期費用とメンテナンス費を確認する
車両 現場移動や道具・資材運搬に使う 維持費、保険、駐車場代を確認する
保険 ケガ、事故、損害賠償に備える 業種に合った保険を選ぶ
資格・許認可 法律上必要な業務に対応する 事業内容に必要な資格や許可を確認する
取引先リスト 営業先や紹介先を整理する 1つの取引先に依存しすぎない

とくに建設業や職人系では、道具や車両、作業着、保険、資格、元請けとの関係が事業継続に直結します。

開業資金

開業資金は、開業準備と運転資金の両方を見据えて計画することが重要です。

日本政策金融機構の調べでは、開業資金500万円未満で事業を始めた方の割合は42.1%となっています。

また、開業費用の平均値と中央値ともに減少傾向です。

開業費用

引用:日本政策金融機構 2024年度新規開業実態調査

開業直後は売上が安定せず、資金繰りに余裕がない状況が続くことも珍しくありません。

特に、設備費や広告費、生活費までを含めたトータルでの資金計画を立てることで、経営リスクを減らせます。

また、融資を受ける場合は、必要総資金の3分の1程度を自己資金として持っておくことが求められますので、目安の一つとしましょう。

費用 内容 確認ポイント
道具・機材 作業に使う工具、機械、備品など 最低限必要なものからそろえる
車両 現場移動や資材運搬に使う車 購入費、リース料、燃料代、駐車場代を確認する
材料費 施工やサービス提供に必要な材料 仕入れ費用と在庫管理を確認する
作業着・安全用品 作業服、ヘルメット、安全靴、手袋など 安全基準に合うものを選ぶ
保険 労災、損害賠償、車両保険など 業種に合った補償内容を確認する
広告宣伝費 チラシ、Web広告、求人サイト掲載など 集客に使う予算を決める
ホームページ・名刺 事業内容や連絡先を伝えるために使う 屋号、対応業務、実績を分かりやすく載せる
会計ソフト 売上、経費、確定申告を管理する 青色申告やインボイス対応を確認する
生活費 売上が安定するまでの生活資金 数か月分を別で確保しておく
税金用の積立 所得税、住民税、消費税などに備える 売上から一定額を残しておく

特に独立直後は入金まで時間がかかる場合があるため、資金繰りに余裕を持たせておきましょう。

事業用のクレジットカード

開業初期から事業用のクレジットカードを用意しておくことで、経費管理と資金繰りが格段にスムーズになります。

事業専用カードを使えば、プライベートの出費と混ざる心配がなく管理が楽になります。

さらに、会計ソフトと連携すれば仕訳作業の手間を大幅に減らせます。

支払いを翌月以降に延ばせるため、資金に余裕を持たせやすい点もメリットです。

事業用カードを導入するメリット

  • 経費処理が簡単になり、帳簿管理の精度が上がる
  • 支払いサイクルを調整して資金繰りを安定化できる
  • カード利用履歴をもとに経費削減の分析ができる

ただし、独立直後は審査に通りにくい場合もあるため、会社員のうちに準備を検討するのも一つの方法です。

ただし、生活費用のカードと混ぜないようにすることが大事です。

会計ソフト

会計ソフトは、個人事業主が日々の収支を正確に管理し、確定申告をスムーズに行うための必須ツールです。

帳簿を手作業でつけるとミスや入力漏れが起きやすく、青色申告の控除を受ける際に支障をきたすことがあります。

クラウド型の会計ソフトを使えば、銀行口座やカードと自動連携して仕訳を自動化できます。

また、見積書や請求書の発行機能を備えたソフトなら、経理業務全体の効率化が可能です。

青色申告65万円控除に対応しているかを確認し、開業初期から導入しておくのがおすすめです。

会計ソフト選びのポイント
自動仕訳 銀行口座・クレカと連携し自動で仕訳可能か
青色申告対応 青色申告65万円控除に対応しているか
帳票作成 請求書・見積書・納品書を一元管理できるか

会計ソフトを使うと、売上や経費を記録しやすくなり、確定申告の負担を減らせます。

個人事業主は自分でお金の管理をする必要があるため、独立直後から帳簿付けの習慣を作ることが大切です。

名刺

名刺は、取引先や現場関係者に自分の連絡先を伝えるために役立ちます。

建設業や職人系では、元請け、協力会社、紹介先との関係づくりが仕事の獲得につながるケースも少なくありません。

屋号、対応できる仕事、連絡先を分かりやすく記載しましょう。

また、ロゴやQRコードを載せてSNSやサイトに誘導すれば、名刺が営業ツールとしても機能します。

オンライン印刷サービスを使えば、低コストで高品質な名刺を簡単に作成できます。

名刺に入れておきたい情報

  • 屋号・氏名・肩書き
  • 連絡先(電話番号・メール・ホームページURL)
  • サービス内容・キャッチコピー・SNSアカウント

ホームページ・SNSアカウント

現代において、ホームページやSNSは、個人事業主が信頼を得て顧客を獲得するための最重要ツールといえます。

特に開業初期は実績が少ないため、ネット上で事業の存在をアピールすることでチャンスを増やしていくことが大切です。

ホームページでは、サービス内容や料金、事業の理念を明示しておくと、問い合わせや受注の際に信頼を得やすくなります。

SNSでは日常的な活動や実績、顧客の声を発信することで、無料で継続的に集客が可能です。

ホームページとSNSを連携させ、名刺や広告からアクセスを誘導する導線を作りましょう。

Webで準備しておくもの
ホームページ サービス内容・料金・実績・問い合わせフォームを掲載
SNSアカウント X(旧Twitter)やInstagramで活動報告・実績紹介を発信
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施工事例、対応エリア、料金の目安、問い合わせ方法を整え、紹介や営業と組み合わせて使うことが重要です。

関連記事:中卒でも仕事で独立を目指すのは可能!中卒が独立するのにおすすめの仕事を紹介

建設業で個人事業主として独立する場合に必要な準備

準備項目 必要な理由 確認すべきこと
資格 対応できる作業範囲を広げるため 自分の工事に必要な資格や技能講習
許認可 無許可でできない工事を避けるため 建設業許可が必要かどうか
道具 現場作業を行うため 必要な工具、機材、安全用品
車両 現場移動や資材運搬に使うため 購入・リース費、燃料代、駐車場代
保険 事故や損害賠償に備えるため 賠償責任保険、車両保険、ケガへの備え
労災対策 自分や従業員のケガに備えるため 一人親方労災や特別加入の有無
見積書 金額や作業範囲を事前に明確にするため 工事内容、単価、追加費用、支払条件
請求書 作業後に代金を請求するため 請求日、支払期限、振込先、消費税の記載
元請け 継続的に仕事を受けるため 取引条件、単価、支払いサイト
協力会社 人手や専門作業を補うため 対応できる工事内容、信頼性、連絡体制
独立支援企業での経験 独立前に技術や仕事の流れを学ぶため 資格取得支援、現場経験、独立実績

建設業で個人事業主として独立する場合は、開業届を出すだけでなく、資格・許認可、道具、車両、保険、取引先、書類管理まで準備しておくことが大切です。

現場での技術があっても、仕事の獲得先や資金管理が不十分だと、独立後に売上が安定しにくくなります。

独立前から必要な準備を整理し、無理のない形で事業を始めましょう。

関連記事:独立が失敗しやすい仕事と失敗しにくい仕事の特徴!失敗しないための対策も紹介

必要な資格や許認可を確認する

建設業で独立する場合は、自分が請け負う工事に必要な資格や許認可を確認しましょう。

工事内容によっては、建設業許可、電気工事士、施工管理技士、作業主任者、車両系建設機械、玉掛け、小型移動式クレーンなどが必要なケースもあります。

資格・許可 主な違い 関われる仕事 取得・確認するメリット
建設業許可 一定規模以上の建設工事を請け負う際に必要になる許可 元請け・下請けとして建設工事を請け負う仕事 請け負える工事の幅が広がり、取引先からの信頼につながりやすい
電気工事士 電気工事を行うために必要な国家資格 配線工事、コンセント・照明・分電盤などの工事 電気工事を自分で担当でき、専門性を高めやすい
施工管理技士 工事全体の工程・安全・品質・原価などを管理する資格 建築・土木・電気・管工事などの施工管理 現場作業員から管理職や現場責任者を目指しやすい
作業主任者 危険を伴う作業で現場の安全管理を行う資格 足場、型枠、掘削、土止め、高所作業など 安全管理を任されやすく、職長候補として評価されやすい
車両系建設機械 ショベルカーやブルドーザーなどを操作する資格 掘削、整地、積込み、造成、解体など 重機作業に関われるため、仕事の幅が広がりやすい
玉掛け クレーンで荷物を吊る際にワイヤーを掛ける作業に必要 資材の吊り上げ、荷下ろし、荷上げ作業 クレーン作業の補助に関われ、現場で任される作業が増える
小型移動式クレーン つり上げ荷重5トン未満の移動式クレーンを操作する資格 資材や機材の吊り上げ・移動作業 玉掛けと合わせて取得すると、荷役作業に対応しやすくなる

すべての仕事に許可が必要とは限りませんが、請負金額や工事内容によって必要な手続きが変わるため、独立前に自分が対応する業務範囲と必要な資格を整理しておくことが重要です。

関連記事:建築士になるにはどの資格が必要?一級・二級・木造建築士の違いや受験資格・選び方を解説

道具・車両・保険を準備する

建設業で個人事業主として働くには、仕事に使う道具や車両の準備も必要です。

工具、作業着、安全靴、ヘルメット、保護具、車両、資材置き場など、業種によって必要なものは異なります。

また、現場でのケガや事故、第三者への損害に備えるため、保険の加入も検討しましょう。

ただし、道具や車両は初期費用が大きくなりやすいため、最初からすべてをそろえるのではなく、必要なものから優先して準備するのがおすすめです。

元請けや取引先候補を作っておく

独立後に安定して働くためには、開業前から仕事の獲得先を作っておくことが重要です。

仕事の獲得先の例

  • 元勤務先
  • 知人の職人
  • 元請け会社
  • 工務店
  • 建設会社
  • 協力会社募集サイトなど

特定の取引先だけに依存すると、案件が減ったときに売上が不安定になりやすいため注意が必要です。

独立前から実績や対応できる工事内容を伝えられるようにしておくと、営業しやすくなります。

見積書・請求書・契約書を用意する

個人事業主として仕事を受ける場合は、見積書、請求書、契約書などの書類も必要になります。

書類 使うタイミング 主な目的 注意点
見積書 仕事を受ける前 作業内容や金額を事前に提示する 作業範囲、単価、追加費用、期限を明記する
契約書 仕事を正式に始める前 取引条件や責任範囲を明確にする 金額、支払条件、納期、キャンセル時の扱いを確認する
請求書 作業完了後、または支払い時期 代金を請求する 請求日、支払期限、振込先、消費税を記載する

口約束だけで仕事を進めると、金額、支払日、作業範囲、追加工事の扱いでトラブルになるおそれがあるためです。

事前に見積内容や支払い条件を明確にし、作業後は請求書を発行して入金管理を行いましょう。

会計ソフトや請求書作成ツールを使うと、売上や経費の管理もしやすくなります。

独立前に経験を積める会社を選ぶ

将来的に独立を考えている場合は、会社員のうちに幅広い現場経験を積める環境を選ぶことも大切です。

現場作業だけでなく、段取り、見積もり、材料手配、職人との連携、元請け対応、安全管理などを学べる会社で経験を積むと、独立後に役立ちます。

さらに、独立支援や資格取得支援がある会社なら、必要な技術や資格を身につけながら準備を進めやすくなります。

項目 独立支援のある会社 資格取得支援のある会社
主な内容 将来独立するための経験や取引先づくりを支援する 業務に必要な資格や講習の取得を支援する
受けられる支援 現場経験、見積もり、顧客対応、協力会社制度など 受験費用補助、講習費補助、資格手当など
メリット 独立後の働き方をイメージしやすい 担当できる作業が増え、昇給や手当につながりやすい
向いている人 将来、一人親方や個人事業主を目指したい人 まずは現場でスキルアップしたい人
確認すべきこと 独立実績、協力会社への移行制度、仕事紹介の有無 対象資格、補助金額、資格手当、取得後の評価
注意点 独立後に必ず仕事がもらえるとは限らない 資格を取ってもすぐ収入が上がるとは限らない

独立前に必要な準備を整理し、仕事を継続して受けられる体制を整えておきましょう。

個人事業主として独立するメリット

個人事業主としての独立は、法人化や会社員と比べて、手続き・費用・働き方・収入などに大きな違いがあります。

メリット 具体的な内容 向いている人 注意点
手続きが簡単 開業届を提出すれば始めやすい まず小さく事業を始めたい人 税金や保険の手続きは自分で管理する
初期費用を抑えやすい 法人設立より費用をかけずに始めやすい 開業資金を抑えたい人 道具代や広告費などは別途必要
利益が収入に直結しやすい 売上から経費を引いた利益が自分の収入になる 自分の成果を収入に反映させたい人 売上と手取りを混同しない
働き方を自分で決めやすい 仕事量、働く時間、取引先を調整しやすい 自由度の高い働き方をしたい人 すべて自己管理が必要になる
経費を計上できる 事業に必要な道具代や広告費などを経費にできる 事業費用を適切に管理したい人 私用と事業用を分けて管理する
実力次第で収入を伸ばせる 単価アップや受注増で収入を増やせる 営業やスキルアップに前向きな人 収入が安定するまで時間がかかる場合がある
仕事を選びやすい 得意な案件や条件の合う仕事を選びやすい 自分の専門性を活かしたい人 案件を選びすぎると仕事量が減る可能性がある

個人事業主は、会社員よりも自由度が高い働き方ですが、売上がなければ収入も減るため、自由さと自己責任はセットで考える必要があります。

GATEN職の「独立支援企業」では、独立に成功した社長や企業の下でスキルを習得しながら独立を目指せます!

「独立したいけれど何をすればいいかわからない」「資金作りや人脈をつくりたい」といった方はぜひGATEN職をご活用ください!

手続きが簡単ですぐに始められる

個人事業主としての独立は、驚くほど簡単にできます。

個人事業主 法人
開始手続き 税務署に開業手続きを提出するだけ 定款の作成・認証、資本金の払い込み、法務局への登記申請など複数のステップ
必要書類 ・開業届
・青色申告承認申請書(任意)
・定款
・登記申請書
・資本金の払込証明書
・役員の就任承諾書 など

法人を設立するには、定款の作成や登記の手続きなど、複雑な手順が必要です。

個人事業主は、法人設立のような登記手続きが不要なため、比較的簡単に開業できます。

ただし、簡単に始められることと、安定して稼げることは別です。

開業届を出す前に、仕事の獲得先や資金繰りを確認しておきましょう。

初期費用や運営コストが安い

個人事業主として独立する際のコストは、法人に比べて圧倒的に安く抑えられます。

個人事業主として開業する場合、開業届を提出するだけなので、初期費用はかかりません。

一方、法人を設立する場合には、登録免除税や定款認証手数料などの費用が必要で、20万円前後もかかります。

さらに、法人を設立した場合には、赤字でも毎年7万円の法人住民税(均等割)がかかります。

スタート段階や売上が少ない場合、初期費用や運営コストが安いので、個人事業主として独立するのがおすすめです。

ただし、建設業や職人系で独立する場合は、道具、車両、保険、安全用品などの費用がかかることがあるため、業種ごとに必要な初期費用を見積もっておきましょう。

利益が全て自分の収入になる

個人事業主の場合、売上から経費を差し引いた分が全て自分の収入になります。

会社員の場合、どれだけ会社の売り上げに貢献しても、従業員の収入は毎月の給料やボーナスのみです。

個人事業主の場合、利益が全て自分の収入になるので次のようなメリットがあります。

利益が全て自分の収入になるメリット

  • 努力が収入に直結する
  • 自分の能力や市場の需要次第で、青天井に収入アップを目指せる
  • 仕事に対する責任感や主体性を持ちやすくなる
  • 仕事に対するモチベーションのアップや成長意欲の向上につながりやすい
個人事業主は成果がそのまま収入に反映されるため、やりがいや達成感を感じやすい働き方です

売上が増えれば収入を伸ばせる一方で、経費や税金を考えずに使ってしまうと資金繰りが苦しくなるため、売上と手取りを分けて考えることが重要です。

自由な働き方ができる

個人事業主の大きな魅力は、自分の裁量で自由に働き方を決められることです。

日本政策金融公庫の調べでは、事業を始めて良かったこととして、「自由に仕事ができた」と答えた起業家が全体の56.5%で最も多いことがわかりました。(引用:日本政策金融公庫 2024年度起業と起業意識に関する調査

事業を始めて良かったこと

個人事業主になれば、次のような自由な働き方も可能です。

個人事業主ができる自由な働き方

  • 働く時間を自分で決められる
  • 働く場所も自分で決められる
  • 休暇も自由に取れる
  • 自分の好きな仕事を選べる
  • 価格設定や取引条件も自由に決められる
  • 収入と労働のバランスを自由に調整できる

ライフスタイルや体調、家庭の事情などに合わせて、無理なく柔軟に働けるのが個人事業主の強みです。

ただし、取引先の都合や納期、現場のスケジュールに合わせる必要もあるため注意が必要です。

自由に働ける反面、スケジュール管理や仕事量の調整は自己責任になります。

経費が使える

個人事業主になると、経費を活用しながら、実質的な手取りを増やすことが可能です。

たとえば、道具、交通費、通信費、会計ソフト、広告費などが該当する場合があります。

ただし、私的な支出を経費にすることはできないため、事業に関係する支出かどうかを記録しておきましょう。

個人事業主が活用できる主な経費

  • 仕事で活用するパソコンなどの機器代
  • 事務所の電気代などの光熱費
  • 事業で使う通信費
  • 書籍やセミナー参加費などの自己投資のための費用
  • 打ち合わせ時の飲食費や交通費
  • 税理士などの専門家への相談料

会社員の場合、自分のスキルアップのための書籍の購入費や資格取得のためのセミナー参加費も、経費として計上することはできません。

関連記事:内装業で独立するには?年収や必要な資格・手続きをわかりやすく解説

個人事業主として独立するデメリット

個人事業主には多くのメリットがある一方で、デメリットも多数存在します。

デメリット 起こりやすい問題 対策
収入が不安定 案件が少ない月は売上が下がる 複数の取引先や集客ルートを持つ
社会的信用が低い ローンや賃貸審査で不利になる場合がある 確定申告書や取引実績を残しておく
全て自己責任 仕事のミスやトラブルを自分で対応する必要がある 契約書を用意し、責任範囲を明確にする
社会保障の負担が大きい 国民健康保険や国民年金を自分で支払う 毎月の固定費として事前に計算しておく
税金の管理が必要 納税資金を残さず使ってしまう 売上から税金用の資金を分けて管理する
営業しないと仕事が途切れる 受注が止まり、収入が不安定になる 紹介、SNS、ホームページ、営業先を増やす
病気やけがで収入が止まりやすい 働けない期間の売上がなくなる 保険加入や生活費の備えを用意する
事務作業が増える 請求書、経理、確定申告に時間がかかる 会計ソフトやテンプレートを活用する

しかし、個人事業主のデメリットは、準備と管理である程度軽減できます。

売上の一部を税金用に残す、複数の取引先を作る、保険に加入する、会計ソフトを使うなど、独立前から対策を考えておくと安心です。

独立に不安がある方や何から始めればいいかわからない方は、GATEN職の「独立支援企業」がおすすめです!

GATEN職では独立をサポートする企業も多数掲載しており、建築・土木・設備などさまざまな業種で未経験でもチャレンジできます。

収入が不安定になりやすい

個人事業主は「毎月安定した収入が保証されない」という不安定さを常に抱えています。

会社員であれば、毎月決まった給与が振り込まれ、生活設計がしやすいのが一般的です。

一方、個人事業主の場合は、仕事の受注状況や景気変動、取引先の都合によって収入が大きく変動することも少なくありません。

特に独立初期は顧客が少なく、月によってはほとんど収入が出ない場合もあります。

日本政策金融公庫の調べでは、開業時に苦労したこととして、「資金繰り、資金調達」と答えた方が約60%と最も多かったです。(引用:日本政策金融機構 2024年度新規開業実態調査

開業時に苦労したこと

特に次のような要因で、収入が不安定になる場合が多いです。

個人事業主で収入が不安定になる要因

  • 顧客の確保が難しい(特に独立初期)
  • 月ごとや季節によって受注数が変わる
  • 体調不良などによる稼働停止
  • 景気変動などによる、需要の縮小
  • リピーターや紹介が育たない

収入の浮き沈みに対応するには、あらかじめ収入の不安定さを前提にしたリスク管理が欠かせません。

収入の不安定さに対応するためのリスク管理

  • 生活費の半年分を貯蓄するなど、経済的な備えをする
  • 複数の収入源を持つ
  • スキルアップなどで専門性を磨き、市場価値を固める
  • 定期的に営業や集客をする習慣を作る
  • 自分の健康管理を徹底する

個人事業主は、仕事が多い月と少ない月で収入が変わりやすい傾向にあります。

特定の取引先に依存していると、案件が止まったときに収入が大きく下がる可能性があるため、独立前に複数の仕事の獲得先を作っておくことが大事です。

社会的信用が低い

個人事業主は、会社員や法人と比べて住宅ローン、賃貸契約、クレジットカード審査で不利になる場合があります。

個人事業主には、安定した収入や金属実績など、客観的な信用の裏付けが不足しているからです。

会社員であれば、給与明細や源泉徴収票により、収入の安定性は簡単に証明できます。

社会的信用が低いことによる影響

  • クレジットカードやローンの審査に通りにくい
  • 賃貸住宅の契約時に保証人や高額な保証金を求められる
  • 銀行融資を受けにくい
社会的信用が低いと、日常生活にも影響を及ぼします。

社会的信用を高めるためには、次のような対策が有効です。

社会的信用を高めるための対策

  • 売上や経費を正しく記録し、確定申告をきちんと行う
  • 所得の安定性を証明するため、過去の申告書や通帳記録を整えておく
  • 長期的な取引先を複数持ち、実績を積み重ねる
  • 法人化を検討する

独立前に必要な契約や借入がある場合は、タイミングを確認しておくと安心です。

全て自己責任

個人事業主は、仕事の獲得、納期管理、請求、税金、保険、トラブル対応まで自分で管理しなければいけません。

会社員時代には会社が対応してくれていたことも、独立後は自分で判断する必要があります。

不安があれば、税理士や行政書士、先輩事業など相談できる体制を作っておくと安心です。

個人事業主が背負う主な責任

  • 業務ミスによる損害賠償のリスク
  • 収入管理と納税責任
  • 健康・ケガ・病気への備え
  • 取引・集客・資金繰りなどの経営判断

社会保障の負担が大きい

会社員は会社が社会保険料の一部を負担しますが、個人事業主は国民健康保険や国民年金などを自分で支払う必要があります。

個人事業主が払わなければいけない社会保障

  • 国民健康保険
  • 国民年金
  • 介護保険

会社員であれば、健康保険や厚生年金などの社会保険料は、会社と労働者が折半して支払っています。

しかし、個人事業主になると、社会保険料の全てが自己負担になります。

さらに、会社員が加入できる雇用保険や労災保険には原則加入できないため、失業手当や労災補償などのセーフティーネットがない状態で働かなければなりません。

必要に応じて、民間保険や小規模企業共済なども検討しましょう。

個人事業主とは

個人事業主とは法人を設立せず、個人として独立して事業を営む事業者のことを指します。

会社組織ではなくあくまで個人名義で継続的に経済活動を行う点が特徴であり、明確な一律基準があるわけではありませんが「継続性・反復性」「営利性」「独立性」「対価性」の4つの観点から総合的に判断されるのが一般的です。

次に利益を得る目的(営利性)があるかどうかや独立性も重要で、会社から指揮命令を受けるのではなく自らの判断と責任で仕事を行っているかが問われます。

一定規模で独立・継続して活動している場合は、個人事業主として扱われ、会社員が副業を行っている場合でも規模や継続性によっては「事業」と判断されることがあります。

個人事業主の定義

  • 法人格を持たない個人であること
  • 営利目的の活動を継続的に行っていること
  • 税務署へ開業届の提出をしていること
  • 事業場の責任はすべて個人(事業主本人)に帰属していること
  • 原則として所得税、住民税、事業税、消費税を納めていること

また個人事業主の所得区分は主に「事業所得」や「不動産所得」などに分かれ、事業所得として認められれば、青色申告特別控除や損益通算などの税務上のメリットを受けられます。

一方で、法人と違い経営責任はすべて本人が負うため、反面、法的・税務的な理解を持って運営することが重要な立場といえます。

働き方 意味 主な特徴 向いている人
個人事業主 法人を作らず、個人で事業を行う働き方 開業手続きが比較的簡単で、税金や経理を自分で管理する 小さく独立を始めたい人
法人 株式会社や合同会社など会社を設立して事業を行う形 社会的信用を得やすく、事業拡大に向いている 従業員を雇う、事業を大きくしたい人
フリーランス 会社に雇われず、案件ごとに仕事を受ける働き方 働く場所や案件を選びやすい 自由度の高い働き方をしたい人
一人親方 建設業などで従業員を雇わず、一人で仕事を請け負う職人 現場作業を自分で行い、請負で働くことが多い 技術を活かして独立したい職人
会社員 会社に雇用されて給与を受け取る働き方 収入や社会保険が安定しやすい 安定した環境で働きたい人

たとえば、建設業では、一人親方として個人で仕事を請け負う人も個人事業主に含まれます。

以下ではよく混同されがちな個人事業主と法人とフリーランスと比較しながら詳しく解説していきます。

個人事業主と独立・フリーランスとの違い

個人事業主と法人の違い

個人事業主は、法人を設立せずに自分の名前で仕事をしている人を指し、開業届を税務署に提出すればすぐにスタートできます。

一方、法人は「株式会社」や「合同会社」といった形で登記を行い、会社として活動します。

個人事業主と法人では、設立手続きや税金、信用面などで大きな違いがあります。

比較項目 個人事業主 法人
開業手続き 開業届を提出すれば始めやすい 会社設立登記などの手続きが必要
初期費用 比較的少ない費用で始めやすい 登記費用や専門家費用がかかりやすい
税金 所得に応じて所得税がかかる 法人税などがかかる
社会保険 国民健康保険・国民年金に加入することが多い 役員や従業員は社会保険加入が必要になる
信用力 法人より信用面で不利になる場合がある 取引先や金融機関から信用を得やすい
経理の負担 法人より比較的シンプル 会計処理や決算が複雑になりやすい
責任範囲 事業上の責任を個人で負う 会社として責任を負うが、代表者責任が生じる場合もある
向いている規模 小さく始めたい事業や一人で行う仕事 売上拡大、従業員雇用、事業拡大を目指す場合
法人化を検討するタイミング 売上や利益が増えたときに検討する 節税、信用力向上、採用、融資を考える段階で選択肢になる

個人事業主は手軽に始めやすい一方で、事業規模が大きくなると法人化を検討した方がよい場合があります。

規模が小さいビジネスや副業であれば、まずは個人事業主からスタートするのが一般的です。

また課税所得が同じでも適用される税率や制度の違いによって納税額が変わるといった面もあります。

一般的に事業所得が800万円を超えるあたりが法人化を検討する目安とされ、それ以下であれば個人事業主のほうが税負担が軽くなるメリットがあります。

法人は経費計上の範囲が広く、赤字の繰越期間が長いなど税制上のメリットがありますが、設立登記や社会保険加入、会社法に基づく運営など事務負担が増えます。

たとえば開業直後で売上規模が小さい段階や事務体制が整っていない場合はまず個人事業主として負担を抑えつつ始めることがおすすめです。

売上、利益、従業員の有無、取引先からの信用、社会保険などを踏まえて判断しましょう。

個人事業主とフリーランスの違い

個人事業主とフリーランスは、同じように使われがちですが、意味や使い方に明確な違いがあります。

比較項目 個人事業主 フリーランス
定義 税務署に開業届を出して事業を営む人 企業に属さず、仕事を案件ごとに受ける働き方
法的な定義 あり。所得税法などで事業を行う個人として扱われる 明確な法的定義はない
具体例 開業届を出して活動するWebデザイナーやWebライターなど 会社に属さず、個人で案件を受けるWebデザイナーやWebライターなど

個人事業主は法律上の区分であるのに対して、フリーランスは働き方のスタイルを表す言葉です。

つまり、「個人事業主=フリーランス」ではなく「フリーランスの多くが個人事業主でもある」という関係です。

たとえば、Webライターで活動している人が「フリーランスです」と名乗っていても、開業届を出していなければ税務上は個人事業主とは認められません。

フリーランスとして活動している方が、開業届を出して個人事業主になると、次のようなメリットがあります。

フリーランスが個人事業主になるメリット

  • 青色申告により、税制優遇を受けられる
  • 信用面で有利になる
  • 助成金や補助金の申請ができる

「フリーランスとして活動しているけど、開業届を出していない」という方は、一度個人事業主としての登録を検討してみてください。

建築・土木・設備など建設業での独立や開業に興味がある方は「GATEN職」がおすすめです!

GATEN職では未経験歓迎求人や独立支援企業も多数掲載しており、独立に成功した社長の体験談などもチェックできます。

個人事業主が利用できる補助金・助成金

個人事業主であっても利用できる補助金や助成金は多くあります。

給付金や補助金は募集期間などが決まっていることが多いため注意が必要です。

ここでは、個人事業主が利用できる補助金・助成金には以下のものが挙げられます。

個人事業主が利用できる補助金・助成金

  • 小規模事業者持続化補助金
  • ものづくり補助金
  • IT導入補助金

「小規模事業者持続化補助金」は商工会・商工会議所の支援を受けながら、販路開拓や業務効率化に取り組む小規模事業者を対象とした補助金です。

チラシ作成、ホームページ制作、広告出稿、店舗改装などが対象となり、補助率は原則3分の2、補助上限は枠により異なり個人事業主でも申請可能です。

「ものづくり補助金」は新製品・新サービスの開発や生産性向上に向けた設備投資を支援する制度です。

機械設備の導入やITシステム構築などが対象となり、一般的な「製品・サービス高付加価値化枠」では、従業員規模に応じて750万円~2,500万円が基本上限額となります。

要件はやや高度ですが、技術革新や事業拡大を目指す個人事業主にもチャンスがあります。

「IT導入補助金」は業務効率化や売上向上を目的に会計ソフト、予約システム、ECサイト構築などのITツール導入費用を支援する制度です。

補助率は1/2~3/4程度で、比較的申請しやすいのが特徴であり、デジタル化を進めたい個人事業主に適しています。

ほかにも国や公的機関などによって一定の事業や活動を促進するために支給される助成金もあり、要件を満たせば受給できる可能性が高く費用負担を抑える方法として有効です。

確認項目 見るべき理由
対象者 自分の業種、事業規模、開業時期が条件に合うか確認するため
対象経費 道具代、広告費、設備費などが補助対象になるか確認するため
申請期限 期限を過ぎると申請できないため
必要書類 事業計画書、見積書、本人確認書類などを準備するため
採択率 申請すれば必ず受け取れる制度ではないため
入金タイミング 後払いの場合、先に自己資金が必要になるため
自己負担額 補助金だけでは全額まかなえない場合があるため
実績報告の有無 採択後に支出証明や報告が必要になる場合があるため
税理士や支援機関への相談 申請条件や書類作成でミスを減らすため

補助金や助成金は、資金調達の選択肢になりますが、入金まで時間がかかる場合があるため注意が必要です。

独立直後の資金繰りに使う場合は、自己資金や融資も含めて計画しましょう。

個人事業主として独立した場合の会社員との違い

個人事業主と会社員では、働き方やライフスタイルが大きく変わります。

比較項目 会社員 個人事業主 判断ポイント
収入 毎月の給与が比較的安定しやすい 売上や案件数によって変動しやすい 安定性を重視するか、収入アップを狙うか
働き方 勤務時間や仕事内容が会社に決められやすい 働く時間や仕事を自分で決めやすい 自由度と自己管理のどちらを重視するか
税金 給与から天引きされることが多い 自分で確定申告や納税を行う 税金管理を自分でできるか
社会保険 健康保険・厚生年金に加入しやすい 国民健康保険・国民年金を自分で支払う 保険料や年金の負担を把握する
営業 会社が仕事を用意する 自分で仕事を獲得する必要がある 営業や集客ができるか
信用 収入証明や審査で安定性を見られやすい 収入が不安定だと審査で不利になる場合がある ローンや賃貸契約の予定を確認する
休業時の保障 有給休暇や傷病手当などを受けられる場合がある 働けないと収入が止まりやすい 病気やケガへの備えを用意する
事務作業 経理や請求業務は少ない 請求書、帳簿、確定申告などが必要 事務作業に対応できるか
収入上限 昇給や役職で上がるが上限が見えやすい 単価や受注量次第で収入を伸ばせる リスクを取って収入を伸ばしたいか
責任範囲 会社のルールや体制の中で働く 仕事のミスや契約トラブルも自分で対応する 責任を負える範囲を確認する

個人事業主は自由度が高い一方で、収入や社会保障の安定性は会社員より弱くなりやすい傾向にあります。

収入を伸ばしたい人や自分で仕事を選びたい人には向いていますが、安定性を重視する人は会社員を続けながら準備するのもひとつです。

関連記事:サラリーマン・会社員に向いてない男性の特徴!おすすめの職業も紹介

働き方が違う

個人事業主と会社員とでは、仕事に対する裁量や責任が大きく違います。

比較項目 個人事業主 会社員
仕事の裁量 全て自分の判断で決める 指示や承認が必要な場合が多い
責任の範囲 全責任を自分で負う 基本的に会社が責任を負う
トラブル対応 全て自分で行う 上司や法務部門など会社が対応するのが一般的

個人事業主は、働く時間や案件を自分で調整しやすい働き方です。

ただし、取引先や現場のスケジュールに合わせる必要があるため、完全に自由に働けるわけではありません。

また、責任に関しても、会社員は基本的に会社が責任を負いますが、個人事業主は仕事の全ての責任を自分で負わなくてはなりません。

つまり、個人事業主は自由と責任の両方を背負う働き方が求められます。

収入の仕組みが違う

個人事業主と会社員では、収入の安定性が正反対の立場にあります。

比較項目 個人事業主 会社員
収入の取得方法 事業で得た売上から経費を引いた事業所得 月給や賞与など、会社の給与制度に基づく給与所得
収入の安定性 不安定(月ごとに変動あり) 安定(月ごとの固定収入)
売上がない場合の収入 売上がなければ収入はゼロになる 基本的に勤務すれば給与が発生する
収入アップの方法 単価アップや営業強化、事業拡大など、自分の努力で上げる 昇給や昇進など、会社の評価制度によって上がる

会社員は給与として収入を受け取りますが、個人事業主は売上から経費や税金を差し引いた利益が収入になります。

売上が多くても、経費や未入金、税金を考慮しないと手元に残るお金が少なくなる場合があります。

また、個人事業主の場合は、働いた分だけ収入は増える反面、仕事がなければ収入は入りません。

個人事業主は、大きく稼げる可能性もありますが、収入がゼロになるリスクも背負うことになります。

社会保障や税金が違う

個人事業主と会社員では、加入できる社会保障制度や、税金の扱いに大きく違いがあります。

比較項目 個人事業主 会社員
健康保険 国民健康保険(全額自己負担) 社会保険(本人と会社で折半)
年金制度 国民年金(全額自己負担) 厚生年金(本人と会社で折半)
雇用保険 原則加入不可 加入(失業時の失業手当あり)
労災保険 原則対象外 加入(業務災害・通勤災害に対応)
税金の納税方法 自分で確定申告をして納税 会社が源泉徴収し、年末調整で完了
経費の扱い 必要経費を計上できる 経費計上不可

会社員は会社が加入する厚生年金や健康保険に自動的に加入し、保険料も半分を会社が負担してくれます。

一方、個人事業主は社会保障の全てを自分で加入・管理し、保険料も全額を自分で負担しなくてはなりません。

また、税金に関しても、会社員は源泉徴収により毎月の給与から自動で引かれますが、個人事業主は自分で申告・納税する必要があります。

ただし、個人事業主は経費の計上ができるので、税制面では会社員よりも節税の幅が広いというメリットがあります。

個人事業主として独立を考えるなら、税金や保険に関する基礎知識を身につけるようにしましょう。

会社員時代のように給与から自動で天引きされないため、税金用のお金を残しておくことが大切です。

働き方の自由度やライフスタイルが違う

会社員の場合は働く時間・休日・働く場所・仕事内容の全てを会社に従わなくてはなりませんが、個人事業主は全て自分で自由に決められます。

当然、会社員の場合はライフスタイルとの両立にも制限がありますが、個人事業主は柔軟に両立しやすいというメリットがあります。

個人事業主であれば、人間関係もある程度は自分で選択できるので、ストレスのない職場で働けるのも大きな魅力です。

比較項目 個人事業主 会社員
働く時間 自分で自由に決められる 会社が決めた就業時間に従う
休日 自分で自由に決められる 就業規則に従う
働く場所 自分で自由に決められる 会社の指定の場所で勤務
仕事内容 自分のスキルや興味に合わせて、受注する仕事を自由に選べる 企業から与えられた業務を遂行する
ライフスタイルとの両立 趣味や家庭、育児などと柔軟に両立しやすい 勤務体系に制限されることが多い
人間関係 自分で選択可能 同僚や上司、部下など人間関係が固定されやすい
個人事業主が自由度を活かすには、スケジュール管理、収入管理、取引先との関係づくりが必要です。

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個人事業主として独立して失敗しやすいケース

個人事業主として独立すると、働き方の自由度が高くなる一方で、仕事の獲得、資金管理、税金、保険、契約管理などを自分で行わなければいけません。

技術や経験があっても、準備不足のまま独立すると、売上が安定しなかったり、手元にお金が残らないなどのリスクがあります。

独立前に失敗しやすいケースを確認し、事前に対策しておきましょう。

失敗ケース 起こる問題 対策
仕事がない 売上が立たず、生活費や事業費をまかなえない 独立前に取引先や紹介先を作っておく
資金が足りない 道具代、広告費、生活費の支払いに困る 開業資金と数か月分の生活費を準備する
税金を払えない 納税時期に資金不足になる 売上から税金用の資金を分けておく
単価が低すぎる 忙しくても利益が残らない 経費や作業時間を含めて単価を設定する
入金が遅れる 資金繰りが悪化する 支払期限を決め、請求書で明確にする
契約トラブルが起きる 作業範囲や支払条件で揉める 見積書や契約書で条件を残す
けがで働けない 収入が止まり、生活が不安定になる 保険加入や生活費の備えを用意する
事務作業が追いつかない 請求漏れや確定申告のミスが起こる 会計ソフトやテンプレートを活用する
集客できない 新規案件が増えず、仕事が途切れやすい SNS、ホームページ、紹介、営業を組み合わせる

仕事の獲得先がないまま独立してしまう

個人事業主として失敗しやすいケースの一つが、仕事の獲得先がないまま独立してしまうことです。

開業しても、すぐに案件が入るとは限りません。

元勤務先、知人、取引先、求人サイト、SNS、ホームページなど、複数の仕事獲得ルートを用意しておくことが大切です。

一方、特定の取引先だけに頼ると、案件が途切れたときに売上が大きく下がる可能性があります。

項目 内容
主なリスク 独立しても案件が入らず、売上が立たない
起こりやすい問題 生活費や事業資金が不足し、独立後すぐに資金繰りが苦しくなる
原因 元請け、紹介先、営業先、集客ルートを作らないまま開業してしまう
独立前の対処法 元勤務先、知人、取引先、協力会社などに仕事の見込みを確認しておく
独立後の対処法 SNS、ホームページ、求人サイト、マッチングサービス、地域営業を組み合わせる
確認すべきこと 月に必要な売上、案件単価、継続案件の有無、支払いサイト
注意点 1社だけに依存すると、案件が止まったときに収入が大きく下がる

開業資金や生活費を十分に準備していない

独立後は、売上が安定するまで時間がかかることがあります。

そのため、開業資金や生活費を十分に準備していないと、道具代、車両費、広告費、家賃、食費、保険料などの支払いに困りやすくなります。

開業前には、事業に必要な初期費用だけでなく、数か月分の生活費も別で確保しておきましょう。

売上が入るまでの期間を想定して資金計画を立てることが重要です。

税金や保険料を残さず使ってしまう

個人事業主は、所得税、住民税、消費税、国民健康保険、国民年金などを自分で管理しなければいけません。

売上をすべて自由に使えるお金だと考えてしまうと、納税時期に資金が足りなくなるリスクがあります。

売上と手取りは別物だと理解し、毎月の売上から税金や保険料に使う分をあらかじめ分けておきましょう。

単価を安く設定しすぎて利益が残らない

独立直後は仕事を取りたい気持ちから、単価を安く設定しすぎることがあります。

しかし、材料費、移動費、道具代、外注費、税金、保険料などを差し引くと、思ったより利益が残らないおそれがあります。

単価を決めるときは、作業時間や経費を含めて計算し、生活費をまかなえる利益が残るか確認しましょう。

安さだけで受注すると、忙しいのに手元にお金が残らない状態になりやすいです。

独立直後の単価設定にありがちな失敗例

関連記事:建設業の独立開業でよくある失敗例は?原因・対策、失敗しない独立手順も解説

契約書や請求書を整えずトラブルになる

個人事業主は、取引条件を自分で管理しなければいけません。

契約書や見積書、請求書を整えないまま仕事を進めると、作業範囲、追加費用、支払期限、キャンセル時の扱いなどでトラブルになる可能性があります。

口約束だけで進めず、見積書や契約書で条件を明確にし、作業後は請求書を発行して入金管理を行いましょう。

書類を残すことで、取引先との認識違いを防ぎやすくなります。

けがや病気で働けないリスクを考えていない

個人事業主は、けがや病気で働けなくなると収入が止まりやすい働き方です。

会社員のように有給休暇や傷病手当を受けられるとは限らないため、万が一に備えた準備が必要です。

生活費の予備資金、医療保険、所得補償保険、労災の特別加入などを検討しておくと安心です。

特に建設業や現場仕事で独立する場合は、事故やケガへの備えを早めに確認しておきましょう。

個人事業主として独立する前には、仕事の獲得先、資金計画、税金管理、単価設定、契約書類、けがや病気への備えを確認することが大切です。

個人事業主として独立するか会社員を続けるかの判断軸

個人事業主として独立するか、会社員を続けるかは、収入の見込み、資金、人脈、スキル、営業力、リスクへの備えによって判断することがポイントです。

独立すると働き方の自由度は高くなる反面、仕事の獲得、税金、保険、事務作業、トラブル対応まで自分で行わなければいけません。

勢いだけで独立するのではなく、準備が整っているかを確認してから判断しましょう。

状況 おすすめの選択肢 理由
仕事の獲得先がある 独立を検討しやすい 独立後の売上を見込みやすい
生活費と開業資金がある 独立を検討しやすい 売上が安定するまでの資金に余裕がある
必要資格や道具がある 独立を検討しやすい すぐに対応できる仕事がある
まだ経験が浅い 会社員として経験を積む 技術や現場対応力を高める必要がある
取引先がない 会社員を続けながら準備する 独立後に仕事が途切れるリスクが高い
税金や保険が不安 会社員を続けながら知識をつける 独立後は税金や保険を自分で管理する必要がある
将来独立したいが準備不足 独立支援や資格取得支援のある会社で働く 準備しながら技術や人脈を作りやすい
独立後の仕事紹介を受けたい 独立支援企業や協力会社制度を確認する 独立後の案件獲得につながる可能性がある

関連記事:30代での独立がおすすめの理由!成功させるポイントやおすすめの仕事も紹介

すでに仕事の見込みがあるなら独立を検討しやすい

独立後に受注できる仕事の見込みがある場合は、個人事業主として独立を検討しやすくなります。

たとえば、以下のルートなどで継続的に仕事を受けられる可能性があるなら、独立後の売上をある程度見込みやすいです。

独立後に受注できるルート

  • 元勤務先
  • 取引先
  • 知人
  • 元請け
  • 紹介先など

ただし、1社だけに依存すると案件が止まったときに収入が大きく下がるため、複数の獲得先を用意しておくことが重要です。

資金や人脈が不足しているなら会社員として準備する

開業資金や生活費、人脈が十分でない場合は、すぐに独立せず会社員として準備を進める選択肢もあります。

なぜなら独立後は、売上が安定するまで時間がかかることがあるためです。

会社員として働きながら、資格取得、貯金、取引先候補づくり、営業方法の確認、会計や税金の知識を身につけておくと、独立後の失敗リスクを下げやすくなります。

建設業では独立支援のある企業で経験を積む選択肢もある

建設業で将来独立したい場合は、独立支援のある企業で経験を積む方法もあります。

現場作業だけでなく、見積もり、材料手配、元請け対応、職人との連携、安全管理、請求書作成などを学べる会社で働くと、独立後に必要な力を身につけやすいです。

資格取得支援や一人親方への移行制度がある会社なら、準備をしながら独立を目指しやすくなります。

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収入の安定性を重視するなら慎重に判断する

収入の安定性を重視する場合は、独立を慎重に判断する必要があります。

会社員は毎月の給与や社会保険が比較的安定しやすい一方、個人事業主は売上や案件数によって収入が変動します。

会社員と個人事業主のメリット・デメリット

また、病気やけがで働けない場合、収入が止まりやすい点にも注意が必要です。

独立前には、生活費の予備資金、保険、複数の取引先、税金用の積立を準備しておきましょう。

将来独立したいなら資格・技術・元請けとの関係を作る

将来的に独立を目指すなら、会社員のうちから資格・技術・人脈を積み上げることが大切です。

たとえば、建設業であれば、必要な技能講習や施工管理系資格を取得し、現場経験を増やすことで信頼を得やすくなります。

また、元請けや協力会社との関係を作っておくと、独立後の仕事獲得につながる可能性があります。

個人事業主として独立するか会社員を続けるかは自由度だけでなく、収入の安定性、資金、人脈、資格、営業力を含めて判断することが大事です。

準備が足りない場合は、会社員として経験を積みながら、独立に向けた土台を作るのが無難です。

独立・個人事業主に関するよくある質問

ここでは、独立・個人事業主に関するよくある質問についてまとめています。

個人事業主として独立するには何が必要ですか?

個人事業主として独立するには、開業届を出すだけでなく、仕事を継続して受けられる見込み、開業資金、生活費、税金・保険の準備が必要です。

事業用口座、会計ソフト、請求書・見積書の準備もしておくと、独立後のお金の管理がしやすくなります。

特に建設業や職人系で独立する場合は、道具、車両、必要資格、保険、元請けとの関係づくりも重要です。

個人事業主になるには開業届だけでよいですか?

開業届は事業を始めるための手続きですが、それだけで仕事や収入が得られるわけではありません。

独立前には、売上の見込み、仕事の獲得先、生活費、税金、保険、会計管理まで準備しておく必要があります。

青色申告を利用したい場合は、青色申告承認申請の確認も必要です。

個人事業主として独立する前にいくら貯金が必要ですか?

目安としては、生活費の3〜6ヶ月分に加えて、開業資金を用意しておくと安心です。

独立直後は収入が安定しないこともあります。

また、売上があっても、材料費、移動費、道具代、外注費、税金、保険料を差し引くと、手元に残るお金が少なくなる場合があります。

売上ではなく、実際の利益で生活できるかを確認しましょう。

会社員を辞める前に準備すべきことは何ですか?

会社員を辞める前には、独立後の仕事の見込み、売上の目安、生活費、税金、保険、年金、会計管理を確認しておきましょう。

勢いだけで退職すると、仕事がない期間に貯金が減ったり、安い単価で受注せざるを得なくなるためです。

退職前に取引先候補を作る、資格を取る、会計ソフトや事業用口座を準備するなど、できることから進めておくことが大切です。

個人事業主と法人はどちらがよいですか?

最初から法人化が必ずよいとは限らず、小さく始めるならまず個人事業主として独立し、売上や利益が安定してから法人化を検討する方法がおすすめです。

法人は信用面で有利になる場合がありますが、設立費用や会計処理、社会保険の負担も増えます。

売上規模、利益、取引先の条件、税金の負担を見ながら判断しましょう。

個人事業主とフリーランスの違いは何ですか?

個人事業主は、税務上の区分であり、開業届を出して、個人で事業を行う人を指します。

一方、フリーランスは働き方を表す言葉です。会社に雇用されず、案件ごとに仕事を受ける働き方を指すことが多く、個人事業主として働くフリーランスもいます。

また、建設業では「一人親方」という言い方もあります。

一人親方は、労働者を雇わず、自分で現場仕事を請け負う働き方を指します。

建設業で個人事業主として独立するには何が必要ですか?

建設業で独立する場合は、一般的な開業準備に加えて、道具、車両、資格、保険、元請けとの関係が必要です。

さらに職種によっては、電気工事士、施工管理技士、技能士などの資格が求められることがあります。

また、工事内容や請負金額によっては建設業許可が必要になる場合もあります。

さらに、けがや事故に備えて、労災保険の特別加入や賠償責任保険も確認しておきましょう。

個人事業主として独立すると税金や保険はどうなりますか?

個人事業主になると、税金や保険の手続きを自分で行わなければいけません。

会社員のように、会社が源泉徴収や社会保険の手続きをしてくれるわけではないため注意が必要です。

所得税は確定申告で納め、住民税や国民健康保険、国民年金の負担も自分で管理します。

売上が入った時点で全て使わず、税金や保険料の支払い分を分けておくことが大切です。

個人事業主として独立して失敗しやすい理由は何ですか?

失敗しやすい理由は、仕事がないことだけではありません。

「単価を安くしすぎる」「経費を見落とす」「税金を残していない」「けがや病気で収入が止まる」なども大きな原因として挙げられます。

特に建設業では、材料費、移動費、道具代、外注費がかかるため、売上があっても利益が少ない場合があります。

独立は自由度が高い一方で、仕事、収入、責任、トラブル対応を自分で背負う働き方ということを把握しておく必要があります。

いきなり独立するのが不安な場合はどうすればよいですか?

いきなり独立するのが不安な場合は、独立支援のある企業で経験を積む方法があります。

独立支援制度のある企業で働きながら、資格取得や人脈づくりを進めることで、独立後のリスクを抑えやすくなります。

求人を探す際は、独立支援制度、資格取得支援、将来的な一人親方へのサポートがあるかを確認しましょう。

個人事業主として独立するメリットは大きい

個人事業主としての独立は、手続きが簡単で始めやすく、自由な働き方ができるなどメリットが大きいです。

しかし、仕事に関しては全てが自己責任になり、収入も不安定になりやすいので、事前の準備や個人事業主として独立する覚悟が必要となります。

確認項目 見るべきポイント 次にやること
事業内容 何を誰に提供するか明確か サービス内容を整理する
開業資金 初期費用がどれくらい必要か 必要額を試算する
生活費 収入が不安定でも生活できるか 数ヶ月分を確保する
仕事の獲得先 独立後に依頼が見込めるか 取引先候補をリスト化する
必要資格・許認可 事業に必要な資格や届出があるか 自治体や専門家に確認する
開業届 提出時期や提出先を把握しているか 税務署へ提出準備をする
青色申告 節税や控除を活用できるか 青色申告承認申請を確認する
税金 所得税・住民税・消費税などを理解しているか 税金用の資金を分ける
保険 健康保険・年金・万一の備えがあるか 加入制度を確認する
会計管理 売上・経費を管理できるか 会計ソフトを準備する
集客方法 どうやって顧客を増やすか SNS・紹介・営業方法を決める
独立支援企業の活用 いきなり独立せず経験を積めるか 支援制度や求人を比較する

個人事業主として独立するには、開業届を出すだけでなく、独立後に継続して働ける準備が必要です。

建設業や職人系で独立を目指す場合は、技術や資格だけでなく、仕事を紹介してくれる元請けや人脈も重要になります。

いきなり独立するのが不安な人は、独立支援のある企業で経験を積みながら準備する方法も検討しましょう。

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