建設業は、一般的にきついと言われることが多い仕事です。
引用:北陸建設界の担い手確保・育成推進協議会 建設業の仕事に関する若手技術者等の意識調査結果
北陸建設界の担い手確保・育成推進協議会の調べでは、建設業の若手の中で建設業を辞めたいと思ったことがある人は多く、約75%にものぼりました。
建設業の中でもきついと言われている職種の一つとして、施工管理があります。
施工管理は工事現場のまとめ役で、工事が予定通りに、安全に、正しく進められるように現場を管理する仕事です。
本記事では、施工管理がきついと言われる理由を詳しく解説します。
施工管理の仕事に向いていない人の特徴や、きついと感じた時の対処法も紹介するので、施工管理の仕事に興味のある方はぜひ参考にしてください。
- 施工管理の仕事がきついと言われる理由
- 施工管理に向いていない人の特徴
- 施工管理がきついと感じた時の対処法
施工管理がきついと言われる理由
施工管理は、一般的に「きつい」「大変」と言われがちな仕事です。
施工管理の仕事がきついと言われる理由には、働く環境や仕事内容、勤務体制など特有の課題があります。
施工管理がきついと言われるのには、次のような理由が考えられます。
施工管理がきついと言われる理由
- 時間外労働・残業が多い
- 勤務時間が不規則になりやすい
- 休日が少ない
- 人間関係に悩むことも多い
- 仕事内容の割に給料が見合わないと感じることがある
- 責任が大きい
- 多くの知識の習得が必要
- 教育制度が整っていない
- 体力面の負担が大きい
施工管理がきついと言われる理由について、詳しく解説していきます。
時間外労働・残業が多い
施工管理は、時間外労働や残業が多い仕事です。
株式会社クイックが運営するセカコンプラスの調べでは、施工管理の残業時間は38.5時間であることがわかりました。(引用:株式会社クイック 施工管理の残業実態アンケート|世間と比べてどれだけ過酷?)
会社員全体の所定外労働時間が10.1時間、建設業全体では14.2時間なので、施工管理の仕事の時間外労働の時間が多いのは明白です。(厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和7年3月分結果速報)
また、実際の施工管理の残業時間の割合は以下の通りです。
引用:株式会社クイック 施工管理の残業実態アンケート|世間と比べてどれだけ過酷?
施工管理士のうち、過労死ラインとされる月80時間以上残業している人は約10%もいます。
施工管理は現場の進行に合わせて管理や調整業務が必要なので、作業が予定通りに進んでいない場合には、進捗を取り戻すために長時間労働を求められることもあります。
また、現場作業が終わった後に事務所へ戻り、報告書や工程表の作成、関係者への連絡などをすることも少なくありません。
勤務時間が不規則になりやすい
施工管理は、決まった時間に出勤・退勤するという働き方が難しい仕事です。
施工管理は現場ごとの事情に応じて働き方が大きく変わるため、勤務時間や休日が安定しにくいのが特徴です。
生活リズムが乱れやすく、体力的にも精神的にも負担がかかりやすい仕事と言えるでしょう。
休日が少ない
施工管理は休日も少ない傾向にあります。
一般的には週休完全2日制の企業が多いですが、建設業界では週休2日でない場合が多いのが現状です。
引用:国土交通省 建設業を巡る現状と課題
また、セカコンプラスの調べでは、施工管理の月間平均休日数は6.2日であると報告しています。(引用:株式会社クイック 【2022年版】施工管理の休日数実態を徹底調査)
建設業界では、工期が厳しく設定される場合も多いです。
たとえば、天候により工事の中断や予期せぬトラブルが発生すると、遅れを取り戻すために休日返上で働く場合もあります。
特に繁忙期や納期前には、土日関係なく出勤するケースも珍しくありません。
施工管理で働いている人の中には、プライベートの予定が立てにくく、心身のリフレッシュが難しいと感じている方も多いのが現状です。
業務範囲が広い
施工管理は業務範囲が広く、負担が大きな仕事です。
施工管理は、工程管理・安全管理・品質管理・原価管理という4つの管理業務を担います。
どの管理業務も、専門的で手間のかかる業務ですが、現場では全てを施工管理が担わなければなりません。
業務範囲が広いので、「どれだけ仕事をしても終わらない」「常に何かに追われている」と感じる人も多く、心身ともに負担になります。
人間関係に悩むことも多い
施工管理は、多くの人とのコミュニケーションを取る必要があり、人間関係のストレスも多いです。
厚生労働省の調べでは、施工管理を含む現場監督のうち、28.9%の人が職場の人間関係にストレスや悩みを抱えていると答えたことがわかりました。
施工管理の仕事をしていると、以下のような人間関係の悩みが発生する可能性があるでしょう。
現場の空気が悪いと、全体の士気が下がり、仕事も円滑に進みません。
また、新人のうちは、ベテランの職人に軽く見られたり、厳しく当たられることが精神的な負担になる場合もあります。
施工管理は、人と仕事の板挟みになる場合が多く、人間関係のストレスがたまりやすい仕事です。
仕事内容の割に給料が見合わないと感じることがある
施工管理は、仕事内容や仕事時間の割に、報酬が釣り合わないと感じやすい仕事です。
施工管理の平均年収は次の通りです。
職種 | 平均年収 |
---|---|
建築施工管理技術者 | 641.6万円 |
土木施工管理技術者 | 596.6万円 |
厚生労働省が運営する職業提供サイトjob tagによると、建築施工管理技術者の平均年収が641.6万円、土木施工管理技術者の平均年収が596.6万円でした。
施工管理の平均年収は、建設業の中でも高い水準です。
しかし、次のような理由で、施工管理の仕事内容の割に給料が見合わないと感じる人も多くいます。
施工管理は20代後半から一気に年収が上がるので、仕事を初めて間もないうちは、年収が少ないと感じる人も多いです。
給料面での満足感を得るには、資格取得や現場経験を積んで昇進・昇給を狙うのが重要ですが、給料が上がるまでに辞めてしまう人も少なくありません。
責任が大きい
施工管理は、現場で多くの責任を持つ立場であり、重圧が非常に大きな仕事です。
建設工事の安全、品質、スケジュール、費用のすべてを管理し、万が一のトラブルが起きれば責任を問われるのは施工管理者になります。
たとえば、以下のようなケースで、施工管理としての責任の重さを痛感させられます。
自分の判断や行動ひとつで現場の成否が決まる場面が多く、精神的なプレッシャーは非常に大きい仕事と言えるでしょう。
多くの知識の習得が必要
施工管理には、多くの知識が必要で、働きながら勉強し続ける必要があります。
施工管理は、建物などを安全に、スケジュール通りに、予算内で完成させるためにあらゆる知識を使う必要があります。
具体的には、施工管理には以下のような分野の知識が必要です。
施工管理で身につけなくてはいけない知識や能力の多くが、座学だけでなく現場での経験を通して学ぶものがほとんどです。
特に若手のうちは、毎日の仕事をしながらたくさんの知識を身につけていく必要があります。
教育制度が整っていない
施工管理は覚えなくてはいけない知識やスキルがたくさんあるものの、丁寧な研修やマニュアルが存在しないケースも多いです。
大企業であれば、ある程度の研修制度や実地研修が整備されている場合も多くあります。
しかし、中小企業では教育体制が整っておらず、ほぼ現場任せになっている場合も珍しくありません。
教育制度が整っていない職場では、成長スピードが個人の努力に左右されがちです。
結果として、「何を学べば良いかわからない」「失敗するのが怖い」と感じてしまい、早期離職につながる場合もあります。
体力面の負担が大きい
施工管理は、デスクワークと現場作業を両方こなさなくてはならないので、体力的にもハードな仕事です。
特に次のような場面では、施工管理の仕事で体力的な大変さを強く感じることがあります。
ただのオフィスワークするのと違って現場作業もあるので、「休むタイミングがとりにくい」「常に体を動かしている」という点も大きな負担となります。
特に経験が浅いうちは無理をしてしまい、夏バテや軽い熱中症、慢性的な疲労を抱える人も少なくありません。
施工管理は健康管理も仕事の一部と言われるほど、自分の体調に気を配りながら働く必要があります。
施工管理に向いていない人の特徴
施工管理は、現場のまとめ役として多くの人と関わりながら、様々な業務を同時にこなす仕事です。
施工管理には様々な能力が求められるので、向いている人と向いていない人がはっきり分かれる職種です。
特に次のような人には、施工管理の仕事は向いていない可能性があります
施工管理の仕事が向いていない人の特徴
- コミュニケーションが苦手
- マルチタスクが苦手
施工管理に向いていない人の特徴を詳しく解説します。
コミュニケーションが苦手
人とのコミュニケーションが苦手な人は、施工管理の仕事で苦労する可能性が高いです。
現場では、職人・協力業者・発注者など、多くの立場の人と関わらなくてはいけません。
多くの人と関わりながら、要望を伝えたり、トラブルを解決したりと、常に誰かと話し合いながら仕事を進める必要があります。
様々な人と関わらなくてはいけないので、次のようなコミュニケーション能力が求められます。
コミュニケーションが苦手だと、現場の雰囲気が悪くなったり、作業がスムーズに進まなくなったりする原因になります。
人と関わるのが苦手という自覚がある人は、まずは基本的なコミュニケーションスキルを少しずつでも鍛えていくのが重要です。
マルチタスクが苦手
施工管理は、マルチタスクが苦手だと、パンクしやすい仕事です。
施工管理の仕事は、1つの業務に集中できる時間は短く、次から次へと新しいタスクが発生するのが当たり前です。
また、急なトラブルが起きることも多く、状況に応じた臨機応変な対応が求められます。
多くの仕事を同時にこなさなくてはいけないので、次のようなタイプの人は、施工管理の仕事に強いストレスを感じてしまうでしょう。
施工管理は、スピード感と柔軟さが非常に大切です。
マルチタスクに対応できる力は、施工管理で現場を円滑に回すための必須スキルと言えるでしょう。
施工管理がきつい場合の対処法
施工管理の仕事は、責任が重く業務量も多いので、きついと感じる場面も少なくありません。
施工管理の仕事がきついと感じたからといって、すぐに仕事を続けるのを諦める必要はありません。
施工管理の仕事がきついと感じた時にできる対処法を3つ紹介します。
施工管理がきつい場合の対処法
- 仕事の進め方で改善できることを探す
- ストレス解消法を考える
- 転職を検討する
それぞれの対処法を詳しく解説するので、施工管理の仕事がきついと感じる人は参考にしてください。
仕事の進め方で改善できることを探す
施工管理の仕事がきついと感じる原因は、仕事のやり方に問題がある場合も多いです。
たとえば、資料の作成や確認が後回しになっていたりすると、業務がどんどん積み重なり、結果的に自分を追い込んでしまいます。
まずは日々の業務を振り返り、「どこでムダが発生しているか」「どの作業を効率化できるか」を冷静に分析するのが大切です。
施工管理の仕事でできる改善点として、次のようなものが挙げられます。
施工管理の仕事は業務の範囲が広いので、1人で全部こなさなければと思い込んでしまうと、ますます負担が増えます。
小さな工夫の積み重ねが、大きなゆとりにつながっていくでしょう。
ストレス解消法を考える
仕事でストレスを感じた時に大切なのが、ため込まずにうまく発散することです。
施工管理は、現場のプレッシャーや人間関係のストレスが大きく、気づかないうちに心が疲れている場合もあります。
ストレスを溜め込んだ状態を放置してしまうと、集中力が落ちたり体調を崩したりして、さらに仕事がうまく回らなくなるでしょう。
まずは自分にあったストレス解消法を見つけるのが大切です。
ほんの10分でも気持ちが切り替わる時間を確保すれば、翌日のパフォーマンスは格段に上がります。
心身のバランスを保つことが、長く施工管理を続けるコツです。
転職を検討する
施工管理がきついと感じる原因の改善がどうしても難しい場合には、無理せずに転職も視野に入れましょう。
施工管理の仕事は、会社や現場によって働き方が大きく異なります。
たとえば、教育制度が整っている会社や、労働時間の管理がしっかりしている会社であれば、同じ施工管理でも負担はぐっと減る場合が多いです。
また、そもそも施工管理の職種自体が自分に合っていない可能性もあります。
施工管理の仕事が合っていないと感じたら、以下のような職種への転職がおすすめです。
施工管理の仕事をきついと感じて辞めるのは、決して悪いことではありません。
自分がより力を発揮できる環境に身を置くことのほうが、よほど前向きな選択です。
今の環境に限界を感じたら、一度立ち止まって他の道も模索してみてください。
施工管理がきついと感じたら!建設業界の転職はGATEN職にお任せ
施工管理がきついと感じたら、GATEN職で転職を検討してみてください。
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また、会員登録をしなくても、求人を確認したり応募したりできるので、転職しようか迷っている人にもおすすめです。
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施工管理がきついと感じたら環境を変えてみよう
施工管理は、年収が高くやりがいもある分、きついと感じやすい仕事です。
施工管理の仕事がきついと感じた際には、次のような対処法をとるのがおすすめです。
仕事をきついと感じるのは、恥ずかしいことではありません。
仕事がきついと感じた際に、ストレスをため込まないのが最も重要です。
施工管理の仕事できついと感じた場合、環境を変えるのも有効な選択肢でしょう。
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