ビルメン(ビルメンテナンス)とは、ビル・商業施設・病院・学校・ホテル・工場などの建物全般を対象に、設備や施設の維持管理をする仕事です。
国内のビルメンテナンス市場は拡大傾向にあります。
矢野経済研究所が実施した「ビル管理市場に関する調査」によると、ビルメンの市場規模は2023年度の元請金額ベースでは約 4兆8,297億円と、前年度比105.2%で伸長しています。
一方、人手不足は深刻な問題です。ビルメン業界の悩みとして、89.7%の経営者が「従業員が集まりにくい」と答えるなど、需要も大変高い仕事となります。
(引用:公益社団法人全国ビルメンテナンス協会 ビルメンテナンス情報年鑑2023)
市場が拡大しており、今後も需要が見込まれる職種ですが「ビルメンはやめとけ」といった声をよく聞くのも事実です。
本記事では、「ビルメンはやめとけ」と言われる理由を徹底解説します。
ビルメンとして働くメリットについても紹介するので、ビルメンの仕事に興味がある方はぜひ参考にしてください。
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ビルメンはやめとけと言われる理由
ビルメンは、安定していて初心者でも始めやすい仕事に見えますが、一部ではやめとけといわれる場合もあります。
ビルメンはやめとけといわれるのには、次のような理由があります。
ビルメンやめとけと言われる理由
ビルメンやめとけと言われる理由について詳しく解説していきます。
年収・給与が低い
ビルメンは他の職種と比較して、年収・給与が低い傾向にあります。
厚生労働省が運営する職業提供サイトjob tagによると、ビルメンの平均年収は458万円と報告されています。(引用:厚生労働省 職業情報提供サイトjob tag)
日本全体の平均年収が460万円であるため、日本の平均年収より若干低い結果となりました。(引用:国税庁 令和5年分民間給与実態統計調査)
ビルメンは、月収20万円以下の人も多い一方で、他の職種と比較して高年収の方も少ないのが特徴です。
また、経験年数が増えても収入は上がりづらく、経験年数0年と経験年数15年以上では約7万円しか平均月収に差がありませんでした。
ただし、次のような条件を満たせば、ビルメンとして多少の年収アップが期待できます。
ビルメンで年収アップが期待できる条件
- 電気工事士やボイラー技士などの国家資格を取得する
- 大手の不動産会社や設備管理会社に所属している
- 現場リーダーや責任者などの役職に就く
しかし、ビルメンは他職種と比較して、年収が低く、上がりにくいのも事実といえるでしょう。
夜勤や休日出勤がある
ビルメンは、夜勤や休日出勤も多い仕事です。
設備トラブル発生時は即時対応が必要なため、定時外や休日に呼び出される頻度が高く、所定外労働が積み上がります。
中でもビルや商業施設は、利用者がいない深夜や休日にしか点検・修理ができないことが多く、どうしても変則的な勤務形態になりがちです。
とくに下記のような現場で働くビルメンは、夜間勤務の割合が高くなります。
夜間勤務の割合が高い現場
- ショッピングモールや大型スーパーなどの商業施設
- 病院や介護施設など24時間稼働している施設
- オフィスビルで、テナントの都合に合わせる必要がある場所
夜勤は体への負担も大きく、生活リズムが乱れる原因になるでしょう。
休日出勤も当番制で回されるケースが多く、家族や友人と予定を合わせにくくなるというデメリットもあります。
また、人手不足による業務集中により、清掃・設備管理・警備など複数業務を少人数で担うため、一部スタッフに残業が集中しやすい構造です。
残業時間が多い
ビルメンの仕事は、働く場所によっては残業が多く発生します。
MHLW「職業情報提供サイト」によれば、交替制で日々1時間程度の残業・早出が常態化し、月20時間前後の時間外が生じるケースが多いとされています。
厚生労働省「毎月勤労統計調査」では事業所規模5人以上全産業平均の所定外労働時間は10.0時間/月にとどまるのに対し、ビルメンでは倍近い水準です。
たとえば、次のような職場では残業が比較的多い傾向にあります。
ビルメンで残業が多い職場の特徴
- 古い建物や設備が老朽化した現場
- ホテルや病院など、利用者が多い職場
- テナント対応が多い商業施設やオフィスビル
- 少人数で対応している職場
ビルメンの残業の原因のほとんどが、設備の故障や不具合などの緊急対応です。
設備が故障しやすい古い建物では、当然残業も多くなるでしょう。
加えて、ビル設備は早朝・深夜も稼働し、人員は交替制勤務で1日8時間を超えて早出や残業が発生します。
ビルメンは楽そうというイメージで働き出すと、残業が多く、想像以上に過酷な現実に直面する可能性があるので注意が必要です。
単調な仕事内容がきつい
ビルメンの仕事は単純作業の繰り返しで、精神的にきつくなる場合があるでしょう。
ビルメンの仕事が単調できついと感じるのには、次のような理由があります。
ビルメンの仕事が単調できついと感じる理由
- 点検ルートやスケジュールが完全に固定されている
- 設備トラブルがほとんどなく、対応の幅が狭い
- 会話が少なく、1人で作業する時間が長い
たとえば、毎日ほぼ同じルートで館内を巡回し、設備の点検・記録をするのが主な業務です。
空調・電気・給排水設備などのチェック項目も決まっており、毎日同じ作業が延々と続きます。
設備に異常がなければ点検は数分で終わり報告書の作成に移りますが、特に工夫が求められる場面も少なく、やりがいを感じにくいのが現状です。
一人で毎日同じ作業をするのが苦手な人には、ビルメンの単調さは大きなストレスになります。
逆に、ルーティン作業が得意な人や、1人の時間が好きな人には向いている仕事と言えるでしょう。
責任が重い
一見、楽そうに見えるビルメンの仕事ですが、責任が軽い仕事ではありません。
ビルメンの仕事をしていると、次のような場面で責任の重さを痛感します。
ビルメンの仕事の責任が重いと感じる場面
- 火災報知器や消火設備など、防災設備の管理
- 点検報告書への記載ミスによるトラブルのリスク
- 設備異常時の判断と対応を1人で求められる場合
たとえば、ビル内で火災や漏電、水漏れなどのトラブルが起きた場合、真っ先に対応を求められるのがビルメンです。
しかも、原因調査や初期対応の判断を一人で行うケースもあり、迅速かつ正確な対応が求められます。
さらに、ミスが重大事故につながる可能性があるため、日頃の点検にも気を抜くことはできません。
電気設備の点検ミスで火災が発生した場合、使用停止や損害賠償問題に発展する可能性もあります。
つまり、何かあったときの責任が重すぎるというのが、ビルメンの大きな特徴です。
責任に対して報酬が見合っていないと感じる人が多いのも、ビルメンはやめとけと言われる背景の一つでしょう。
ビルメンはやめとけは本当?経験者の体験談
ビルメンは、やめとけという意見も耳にする仕事です。
「ビルメンはやめとけ」は本当なのか、3つのポイントに絞って、リアルな体験談をもとに実情を深掘りしていきます。
ビルメンはやめとけは本当?経験者の体験談
ビルメンのリアルを知りたい人はぜひ参考にしてください。
ビルメンの仕事内容に関する体験談
ビルメンの仕事内容に関して、次のような体験談がありました。

30代男性|正社員
現場によって違いはありますが、毎日の巡回・応急処置と対応・業者連絡・検針・書類作成など、毎日仕事に変わり映えがないので飽きます。
変わり映えがなく、マンネリ感もあるので、やりがいは感じられません。
(引用:yahoo!しごとカタログ)

40代男性|正社員
設備保守管理として従事していますが、日々の日常点検を通して様々な発見があり経験を積めます。
また実務経験を積むことで受験できる資格も多いので、自身の向上が期待できます。
業務内容は点検や故障原因の調査、資料作成といった業務が多いと思われがちです。
しかし、一定の知識や経験を積むと、テナントやオーナーへの説明や提案が求められることが増え、単なる作業者ではなく管理者としての仕事が増えてきます。
(引用:エンゲージ)
ビルメンの仕事には「単調で飽きやすい」と感じる人もいれば、「日々の点検を通して成長できる」と前向きに捉える人もいます。
また、ビルメンの業務は一見するとルーティンワークに見えますが、突発的な故障対応や緊急トラブルの処理もあるため、常に緊張感を持って取り組む必要があります。
現場によって業務の内容ややりがいは大きく異なり、資格取得や管理業務に関わるチャンスもあるため、自分の働き方次第で評価も変わってくる仕事だといえるでしょう。
ビルメンの働き方に関する体験談
ビルメンの働き方に関して、次のような体験談がありました。

男性|正社員
ビルメンテナンスという仕事上、勤務時間や休日が不規則になりがちです。
しかし休日や深夜に出勤した場合、振替休日や深夜残業代をもらえます。
会社としてもワークライフバランスを整えることに積極的で、有給が取得しづらいことはありません。
(引用:エンゲージ)

男性|正社員
勤務時間が3交代でシフト制と不規則な勤務体系です。
若いうちは体も丈夫なので続けられますが、将来のことを考えるときついと感じています。
シフト制なので、休みは希望通り取れます。
(引用:エンゲージ)
ビルメンはシフト制の場合も多く、どうしても勤務が不規則になりがちです。
しかし、休日や深夜に出勤した分は、振替休日や手当がもらえるケースも多くあります。
また、ワークライフバランスを重視する会社も多く、有給が取得しやすいなど、労働環境は改善傾向にあります。
しかし、シフト制による不規則な勤務体系により、「将来的に仕事を続けられるか不安」という声もありました。
ビルメンの年収・給与に関する体験談
ビルメンの年収・給与に関して、次のような体験談がありました。

30代男性|正社員
月収やボーナスは低いと感じています。
独身なら良いですが、家庭を持つと今の年収では心許ないです。
周りの方の中には、配偶者に言われて、転職する人も多くいました。
(引用:yahoo!しごとカタログ)

30代男性|正社員
業界全般に言えると思いますが、給与はやや低めです。
ただし、資格を取得すれば資格手当が支給されるため、給与の上乗せは期待できます。
資格手当は比較的高額なケースも多いので、資格をとるというモチベーションにもつながっています。
(引用:キャリコネ)
「給料が安い」という声は多く聞かれました。
将来的に家庭を養ったりする時への不安を持っている人は多くいます。
しかし、資格を取得すれば、資格手当によって収入の上乗せが可能です。
実際に第二種電気工事士やボイラー技師などの資格を取得すれば、月に数千円〜1万円以上の手当が支給されるケースもあります。
無資格からのスタート時には収入が低いと感じるかもしれませんが、努力して資格を取得すれば、収入を伸ばせる余地があるのがビルメンの魅力と言えるでしょう。
ビルメンはやめとけとは言い切れない!ビルメンのメリット
ビルメンの仕事はきついという声もよく聞かれますが、実は魅力もたくさんあります。
特に注目したいビルメンのメリットとして、次の4つがあります。
ビルメンのメリット
ビルメンの仕事のメリットについて詳しく解説するので、職業選びの参考にしてください。
雇用の安定性が高い
ビルメンは景気の影響を受けにくく、長く働ける仕事です。
厚生労働省「一般職業紹介状況」によると、建設業界全体の有効求人倍率は令和7年4月時点で 3.4倍 と高水準で推移しており、修繕・設備管理を担うビルメンも1.1倍と求人が豊富にあるのが分かります。
求人が多数ある背景には、人口減少と建物の老朽化に伴う保守需要増があります。
オフィス・商業施設の稼働率低下に左右されにくく、景気変動の影響を受けにくい点も特徴です。
24時間・365日稼働する建物が増えたことで、夜間・早朝対応要員の求人も増加しています。シフト勤務により長期就労しやすいため、安定雇用が実現しやすい環境が整っています。
また、高齢化が進む中で若手人材が不足しているため、未経験でも採用されやすく、再就職しやすいのも特徴です。
特に、次のような環境では、安定して働ける傾向にあります。
ビルメンとして安定して働ける職場
- 病院や商業施設など、設備の常駐管理が必要な建物
- 公共施設や学校など、自治体と契約する現場
- 定期点検業務を多く抱える大手の管理会社
体力面で過度な負担が少ないため、50代・60代になっても働き続けられるケースが多く、定年後の再雇用としてもビルメンは人気です。
手に職をつけて、安定した働き方をしたいという人には、ビルメンは魅力的な仕事と言えるでしょう。
キャリアアップのチャンスがある
ビルメンテナンスは、地道に続けるほど資格・経験が年収に反映されやすい職種です。
無資格のビルメンの平均年収は約 283万円ですが、「ビルメンテナンス(施設管理)」従事者の全国平均年収は約 458万円までアップします。
資格手当や役職手当を含めると、資格取得で30万~50万円程度の上乗せが期待できます。
ビルメンの仕事で活かせる資格は、以下の通りです。
ビルメンの仕事を活かして取得できる資格
- 建築物環境衛生管理技術者(ビル管)
- 第二種電気工事士
- 危険物取扱者乙種第4類
- ボイラー技士
- 第三種電気主任技術者
年収アップに適した資格には、いわゆる「ビルメン三種の神器」が挙げられます。
ビルメンとして資格を取得すれば、次のようなメリットがあります。
ビルメンの資格取得のメリット
- 給与アップと昇進
- 資格手当や専門職手当の獲得
- 転職市場での価値向上
ビルメンを初めてすぐの年収や仕事内容に不満があっても、長期的な視点で見れば将来性のある仕事として十分に評価できます。
また、長期的にキャリアを形成すると、年収アップが見込める職種でもあります。
努力が実を結びやすい環境が整っているため、一生使えるスキルを身につけたいという人には、むしろおすすめできる仕事だといえるでしょう。
待機時間を有効活用できる
ビルメンは、手が空く待機時間が多い仕事のため、自分のための時間を作りやすいです。
点検や巡回が終わると、次の作業まで待機時間になることが多く、トラブルがなければ落ち着いた時間が続きます。
待機時間を無駄にせず、うまく活用している人も多くいます。
待機時間を有効活用する例
- 資格試験の勉強
- 事務処理や業務効率の改善アイデアを練る
- 読書や自学習で自己投資にあてる
現場のルールや職場の雰囲気により差はありますが、何もしないで時間を潰すよりは、スキルアップにつながる行動をする人のほうが将来の伸びしろが大きいでしょう。
時間の使い方ひとつで、ただの待機時間が価値ある時間になる点は、他の職種にはないビルメンの強みと言えるます。
専門的なスキルを習得できる
ビルメンの仕事を通して習得できるスキルは意外に専門性が高く、転職や独立にも活かしやすいです。
ビルメンとして取得できる専門知識には、次のようなものがあります。
ビルメンとして取得できる専門知識
- 空調、電気、給排水設備などの構造と操作方法
- 消防設備や防災関連の実務知識
- 現場でのトラブル対応や点検報告書の作成スキル
さらに、ビルメンで取得できる専門的なスキルは、資格取得との相性もよく、現場経験があると難関資格の内容も理解しやすくなります。
ビルメンの専門的なスキルは、業界を問わず評価されやすく、次のようなキャリアの広がりも期待できるでしょう。
ビルメンの専門スキルを活かしたキャリアの広がり
- 他社へのステップアップ転職
- 工場やインフラ関連企業へのキャリアチェンジ
- 将来的な設備管理コンサルや独立開業
ビルメンは知識と経験が両方身につくので、将来を見越す上で非常に有利な仕事と言えるでしょう。
ビルメンやめとけの意見もあるがメリットもある
ビルメンはやめとけという意見もありますが、メリットも多い仕事です。
ビルメンはルーティンワークが多く給料も低い傾向にありますが、様々な資格や専門的なスキルが身につけられるなど、キャリアアップのチャンスのある仕事と言えるでしょう。
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