建設業は、需要が高い業界として知られています。
2024年度の建設投資は前年比2.7%増の73兆200億円となる見通しで、2014年度から右肩上がりです。
投資内訳は政府投資26兆2,100億円、民間投資46兆8,100億円と民間投資の比率が高くなっています。
建設業界の需要が高まっている背景には、東京オリンピック・パラリンピック関連工事に加え、リニア中央新幹線や2025年大阪・関西万博などが影響しています。
他にも古くなった道路や橋梁、上下水道などの補修・更新工事の増加や人手不足などが考えられます。
建設業の中でも建設工事で現場の指揮をする仕事である施工管理は、建設工事を予定通りに進める上で欠かせない存在です。
しかし、施工管理と聞いても、詳しい仕事内容がわからない方も多いでしょう。
本記事では、施工管理の仕事内容について詳しく解説します。
施工管理の年収や向いている人の特徴も紹介しているため、興味のある方はぜひ参考にしてください。
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施工管理とは
工事現場を円滑に動かすためには、様々な要素を適切に管理する施工管理の仕事は欠かせません。
厚生労働省が発表した一般職業紹介状況によると、令和7年3月時点での建設業界の有効求人倍率は、5.11倍と大変高いです。(引用:厚生労働省 一般職業紹介状況(令和7年3月分及び令和6年度分)について)
加えて、資格取得や経験を積むと年収がアップする職種でもあり、自身の頑張り次第で満足いく収入が得られます。
一方、人手不足も深刻な問題です。
施工管理技術者数は令和4年平均で約37万人と、20年前から横ばい推移する一方、建設業全体の就業者数は約479万人から22%減少し、担い手不足が深刻化しています。
国土交通省調査では、高齢化の進行と若手入職者の減少により、今後数年で施工管理分野の需給ギャップはさらに拡大すると予測されています。
対策として、施工管理技士補制度の創設や1級試験の実務経験要件緩和などが実施されています。
仕事内容や業務範囲、年収などを確認し、施工管理への転職も検討しましょう。
以下では、施工管理の仕事を3つのポイントに分けて詳しく解説します。
施工管理とは工事が計画通り進行するよう管理する仕事
施工管理は設計図や仕様書をもとに、工事を安全・品質・原価・工程・環境の5大管理で進行管理する仕事です。
建設現場には、大工さんや電気工事士など、さまざまな職人が出入りしますが、それぞれがバラバラに動いてしまっては工事がスムーズに進みません。
そこで施工管理者が登場して、工事全体が計画通りにスムーズに動くように、工期・安全・品質などを管理します。
国家資格「施工管理技士」は工事の内容や規模によっては、各工事現場に必ず1人以上は施工管理技能士を設置する必要があり、高度な専門性が求められます。
監理が不十分だと工期遅延や追加コスト、事故リスク増大で社会インフラや作業員の安全に影響するため、施工管理は不可欠な役割です。
施工管理と現場監督の違いは業務範囲の広さ
施工管理と似た仕事に、現場監督があります。
どちらも現場を管理する役割ですが、現場監督は現場で直接的に指揮する立場なのに対して、施工管理はより広い範囲で全体をマネジメントする仕事です。
施工管理と現場監督のそれぞれの特徴を以下にまとめました。
施工管理 | 現場監督 | |
---|---|---|
業務範囲 | 工事全体の計画・調整・管理 | 現場での作業監督、職人への直接指示 |
主な仕事場所 | 事務所+現場 | 現場 |
役割 | プロジェクト全体のマネジメント | 現場作業の実行指揮 |
事務作業 | 書類作成や発注、予算管理などデスクワークが多い | デスクワークは比較的少ない |
施工管理と現場監督は、どちらも工事に欠かせない存在であり、規模が大きい現場では両方の役割が明確に分けられる場合が多いです。
施工管理の平均年収は約600万円〜650万円
施工管理の平均年収は、約600万円〜650万円になります。
厚生労働省が運営する職業提供サイトjob tagによると、建築施工管理技術者の平均年収が641.6万円、土木施工管理技術者の平均年収が596.6万円でした。
職種 | 平均年収 |
---|---|
建築施工管理技術者 | 641.6万円 |
土木施工管理技術者 | 596.6万円 |
日本全体の平均年収が460万円であるため、施工管理者の平均年収は約130万円〜180万円高いです。
施工管理は、高度な知識や判断力が求められるため、平均年収も高い傾向にあると考えられます。
施工管理は大変な仕事ではありますが、しっかりとした収入が期待できる職種といえるでしょう。
施工管理の仕事内容
施工管理とは、工事現場の指揮官のような存在です。
工事をスムーズに進めるために、施工管理は複数の業務を同時にこなしています。
施工管理には主に4つの管理業務があります。
施工管理の4つの仕事内容について詳しく解説します。
工程管理
工程管理とは、決められたスケジュール通りに工事を終わらせるための仕事です。
建設工事には、仕事を仕上げるまでに数多くの工程があります。
それぞれの工程に関わる職人の人数や日数、作業順序が少しでもずれると、全体のスケジュールに大きな遅れがでてしまうでしょう。
決められたスケジュール通りに建設工事を終わらせるために、施工管理者は以下のような業務を実施します。
工程管理のための業務
- 工程表の作成:各作業を時系列で整理し、各作業の開始日や終了日を見える化する
- 進捗の管理・確認:工事が計画通りに進んでいるかを確認し、遅延時には人員を増やすなどの対応をする
- 他職種や業者との連携:各職種の作業がスムーズに進むように作業の順番などを調整する
- 遅延時の対応・工程修正:工事が遅れた際に夜間・休日作業を検討したり、工程表を修正したりする
- 会議・報告書の作成;進捗状況を報告するための資料の作成や、会議時の工程報告
建設工事が予定通りに終わるかは、施工管理者の手腕にかかっています。
施工管理者は、現場の時間管理者として働かなければなりません。
安全管理
建設工事で最も大切な安全管理も、施工管理の重要な仕事です。
工事現場は高所作業や重機の使用など、危険が多い場所になります。
建設工事で事故が起こらないように、施工管理者は以下のような業務を実施します。
安全管理のための業務
- 危険予知活動(KY)の実施:「どんな危険があるか」「どう対処すべきか」を作業員と確認する
- 作業手順書や安全書類の作成:各作業手順や注意点、安全対策を記した作業手順書や安全衛生管理書などを作成する
- 安全パトロールの実施:現場を定期的に巡回し、ヘルメットなどの使用状況や足場の安全性のチェックなどを実施
- 作業員への安全教育:初めて現場に入る作業員への安全講習などを実施
- 災害発生時の対応・報告:万が一事故などが起きた際には、現場の応急処置や関係機関への連絡をする
施工管理者は日頃から建設現場に危険がないかをチェックし、作業員の安全意識を高めるなど、事故ゼロに近づける努力をしなくてはいけません。
品質管理
品質管理とは、建設工事をしている建物などが図面通りに仕上がっているかを確認する作業です。
建物には、強度・断熱性・防水性・美観など、多くの品質基準があります。
品質基準をクリアするためにも、施工管理者は以下のような業務を実施します。
品質管理のための業務
- 設計図や仕様書の確認:設計図や仕様書を読み込み、求められている品質基準を理解する
- 品質管理計画書の作成:どの工程でどのような品質確認をするかを、事前に計画する
- 材料や資材の検査・確認:現場に納入された材料が、設計図通りの品質かを検査する
- 各工程での検査:各工程で設計通りに施工されているかをチェックする
- 完成後の検査:最終的な完成検査を実施し、品質基準を満たしているかを確認する
- 記録・報告書の作成:品質確認の証拠となる資料を写真や書類で残し、関係者や発注者に報告する
品質管理は、プロとしての責任感と細やかな観察力が問われる重要な仕事です。
原価管理
原価管理とは、工事にかかるお金をコントロールし、予算内で建設工事を完了させる業務です。
建設工事では、材料費や人件費、機械のレンタル費用など、多くのお金がかかります。
予算オーバーにならないように、施工管理者は以下のような原価管理業務を実施します。
原価管理のための業務
- 工事予算書の作成:受注金額に対して、材料費・労務費・外注費・経費などを細かく見積もって予算を組む
- 発注・契約管理:工事予算書に基づいて、資材や外注工事の発注計画を立案し、適切な価格・条件で契約を締結する
- 予算と実績の比較・収支管理:実際の支出(原価)を日々記録し、実際にかかった費用と予算を比較する
- コスト削減:品質を落とさずにコストを下げられるかを検討する
- 最終損益の集計と報告:工事が終わった時点で、実際にかかったコストを全て集計し、利益を算出、報告書を提出する
- 支払い・請求の管理:支払いスケジュールの管理や、クライアントへの請求書の送付・入金確認をする
施工管理の原価管理は、限られた資金の中で、高品質な工事をするために不可欠な業務です。
施工管理の仕事が向いている人の特徴
施工管理の仕事は、現場全体を見渡してスムーズに工事を進めることが求められます。
多くの職人や業者に関わる必要があるので、施工管理の仕事が向いている人には共通した特徴があります。
施工管理の仕事が向いている人の特徴
施工管理の仕事に向いている人の特徴を詳しく解説するので、仕事選びの参考にしてください。
コミュニケーション能力がある
施工管理の仕事には、高いコミュニケーション能力が求められます。
施工管理の仕事にコミュニケーション能力が求められる理由
- 多くの職人や関係者との連携が必要
- 指示ミスや伝達漏れが、事故やトラブルに直結する
- 問題解決に柔軟な対応が求められる
- クライアントの要望を正確に聞き取り、現場に反映させる必要がある
施工管理の仕事はモノづくりであると同時に、人づくり・関係づくりの仕事です。
図面通りに建物を完成させるためには、職人・関係者・クライアントとのやり取りを正確かつ円滑に進めるコミュニケーション能力が不可欠です。
技術だけでなく、「話す力」「聞く力」「伝える力」が、施工管理には強く求められます。
リーダーシップがある
施工管理には、チームをまとめるリーダーシップが非常に重視されます。
施工管理は、現場全体のスケジュールや品質、安全を自分が中心となって管理する役割です。
つまり、工事の手順や注意点などを判断して、指示を出す立場にあります。
ただし、ただ命令口調で指示するだけでは、現場はまとまりません。
施工管理には、次のようなリーダーシップが求められます。
施工管理に求められるリーダーシップ
- 現場の司令塔としての役割を果たす
- 職人や協力会社との協力関係が築ける
- 先を読んで、的確に段取りを組む力がある
- 冷静に対応して、現場を落ち着かせられる
- 相手の立場を理解しながら、柔軟に人を動かすコミュニケーションができる
施工管理には、信頼される人間力と対話力を持って、冷静に現場をまとめられるリーダーシップが欠かせません。
リーダーシップのある施工管理者は、良い現場を作り、良い建物を完成させる中心人物になれるでしょう。
スケジュール管理ができる
段取りよく、スケジュール通りに物事を進められる人は、施工管理に向いています。
建設現場では、1つの作業が遅れると作業全体がずれてしまうので、「どの作業を、誰が、いつまでにやるか」を常に考えてスケジュール管理する力が必要です。
施工管理のスケジュール管理には、次のようなポイントがあります。
施工管理のスケジュール管理のポイント
- 天候不良やトラブルを想定して、余裕を持ったスケジュールを立てる
- 工程ごとの作業時間を正確に把握する
- 進捗状況を可視化して、作業の遅れや変更に迅速に対応できるようにする
- 関係者と定期的に打ち合わせをして、工程の進捗状況や問題点、今後の予定を共有する
施工管理のスケジュール管理は、計画と調整が最重要の業務です。
施工管理者は、先を読みながら常に準備を進め、関係者と情報を共有し、スムーズに現場運営をリードする能力が求められます。
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施工管理は、計画通りに、安全に工事を進めるために欠かせない仕事です。
工事全体の計画・調整・管理をする仕事なので、施工管理は責任が重大で、建設業の知識だけではなく様々な能力が求められます。
しかし、チームを一つにまとめあげて、大きなものを作り上げる達成感は、施工管理の大きな魅力と言えるでしょう。
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