ダクト工事とは?ダクトの種類や工事費用の相場を解説

ダクト工事 ガテン系の転職
ダクト工事とは?ダクトの種類や工事費用
  • ダクトとは空気やガスが通る配管のこと。空調ダクトや集塵ダクトなどの種類がある。
  • ダクト工事は、相談・見積もりからスタートし、取り付け・試運転を経て完了する。費用相場は3~300万円。複数社から相見積もりを取り、比較することが重要。

本記事では、ダクト工事の基本的な流れや、ダクトの種類、ダクト工事の費用相場について解説します。

ダクト工事は、まず建築物の設計図や建築現場を確認するところから始まります。

そこからCADを利用して図面を作製し、建物に合うダクトを完成させて取り付けるという流れです。

※参考:有限会社「宮本ダクト」

また、ダクト工事の費用は業者のサイトにはっきりと掲載されていないため、把握が難しいですが、相場は3~300万円だと言われています。

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ダクト工事とは?

ダクト工事がなければ、あらゆる快適な施設や設備は成り立ちません。

ダクトが設置されている場所は、建物の内部や天井裏、壁面なので、普段は意識しにくいですが、日本中の空調設備を支えるために不可欠です。

ダクトとは空気やガスが通る配管

ダクトとは

ダクトとは、空気やガスなどの「気体」を運ぶための管状設備のことです。

建物内の空気を循環させたり、外部と空気を入れ替えたりする役割を果たします。

ダクトとは排気や給気に使用する配管のことである。建築物内では主に空調、換気、排煙の目的で設けられ、エアダクト、風導管、通風管とも呼ばれる。

東建コーポレーション 建築用語辞書「ダクト」

ダクトの役割

  • 空調設備:冷暖房の風を室内へ届ける
  • 換気設備:汚れた空気を屋外に排出
  • 排煙設備:火災時に煙を外へ逃がす

ダクトはエアコンの風や、室内換気扇で吸い込まれた空気の通り道として欠かせない存在です。

商業施設や飲食店、病院、オフィスビルといった大きな建物だけではなく、一般的な住宅にもダクトは備わっています。

ダクト工事とはダクトを設置する工事

ダクト工事とは、建物の構造や用途に応じて、適切なダクトを設置する工事のことです。

ダクト工事の流れ

  1. お客様から依頼
  2. ダクトを設置する現場の調査・打ち合わせ
  3. 見積もり
  4. 打ち合わせの内容をもとに、図面を作成
  5. 設計通りにダクトを製作
  6. ダクトを取り付け
  7. 試運転・最終確認
  8. トラブル時のアフターフォロー

まず、お客様から依頼が来ると、現場の調査・打ち合わせ・見積もりが行われます。

複数社に見積もり依頼をして、納得のいく業者を選ぶことが重要です。

業者を選んだあとは、業者が依頼内容に合わせてダクトを製作・用意します。

空気圧を計算して設計を行い、1枚の鉄の板を切り、組み立て繋ぎ合わせながら
四方を囲まれた閉鎖的な建物の中に「空気の通り道」を作りだします。

引用:一般社団法人 全国ダクト工業団体連合会「ダクトのはたらき」

現場では、業者が必要な場所にダクトを通し、吹出口や吸込口などの空気の出入り口と接続していきます。

ダクト工事には、専門的な知識や高い施工技術が必要です。

工事の行程管理、品質管理、安全管理業務を行なう「管工事施工管理技士」や、配管工事の技能を認定する「配管技能士」などの国家資格もあります。

機器の性能を最大限に発揮させ、効率的な空気の流れを実現するためには、ダクトの材質・形状・距離・配置なども考慮して施工する必要があるのです。

主なダクト工事の目的 空調・換気・排気・排煙など、建物内外の空気を適切に循環・排出するため
設置される場所 天井裏・壁面・屋上・外壁など
ダクト工事に関する資格 管工事施工管理技士、配管技能士、建築設備士など
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ダクト工事の種類

ダクトには次の種類が存在します。ダクトの種類に応じて、工事の内容も異なります。

空調ダクト

空調ダクト種類解説

「空調ダクト」とは、室内の温度・湿度・空気の質をコントロールするための、「空気を運ぶ管」の総称です。

空調ダクトは、おもに次の4種類があります。

空調ダクトはおもに4種類

  • 外気ダクト(OA):屋外から新鮮な空気を直接取り入れる。虫・粉塵の除去フィルターが付いている
  • 給気ダクト(SA):空調機で処理済みの快適な空気を、室内に送る
  • 還気ダクト(RA):室内の空気を空調機に戻す
  • 排気ダクト(EA):汚れた空気を屋外へ排出する
名称 英語表記 空気の流れ
外気ダクト OA(Outdoor Air) 外 → 空調機
給気ダクト SA(Supply Air) 空調機 → 室内
還気ダクト RA(Return Air) 室内 → 空調機
排気ダクト EA(Exhaust Air) 室内 → 屋外

たとえば、エアコンや空調機で作られた冷気・暖気を室内に「送る」ための管も、室内の汚れた空気を空調機に「戻す」ための管も、まとめて「空調ダクト」と呼びます。

屋内の温度を一定に保ちつつ、空気を綺麗に保つためには、空調ダクトの存在が極めて重要です。

屋内の温度を一定に保ちながら、常に空気を入れかえます。ビル・商業施設・コンサートホールなどの利用者の多い施設には欠かせない設備です。

引用:一般社団法人 全国ダクト工業団体連合会「空調」

給気ダクト

空気の流れ 空調機 → 室内
役割 空調機で調整済みの快適な空気を、室内に送る

空調ダクトの一種である「給気ダクト(SA)」とは、空調機で調整済みの快適な空気を、室内に送るためのダクトです。

給気ダクトは、空調機から各室内の吹き出し口へつながっています。

排気・換気ダクト

排気ダクト(EA:Exhaust Air) 汚れた空気や臭気を屋外へ排出
換気ダクト 外気の取り込み・排気の両方を担う

「排気ダクト」は、室内の汚れた空気を屋外に排出するためのダクトです。

特に飲食店や工場、トイレ、喫煙所などではニオイや湿気がこもりやすいため、排気ダクトが重要となります。

また、ウイルス対策やカビの防止など、空気環境の衛生を守る目的でも使用されます。

建物の健康と利用者の快適さを守る要の設備です。

なお、排気ダクト(EA)と換気ダクトは似ていますが、厳密には役割が少し異なります。

「換気ダクト」は、「外気の取り込み」・「屋内の空気の排出」の両方を担う点が特徴です。

汚れた空気とフレッシュな空気を入れ替え、空間を衛生的に保ちます。湿気・粉塵・カビなどの原因となる汚れた空気とキレイな空気を入れ替えています。飲食店のトイレをはじめ、食品工場や精密機械工場、空港・病院のクリーンルームなど、様々な場所で重要な役割を果たしています。

引用:一般社団法人 全国ダクト工業団体連合会「換気」

一方で排気ダクトは、汚れた空気・臭気・湿気などを屋外へ「排出」するためだけのダクトです。

  • 排気ダクト(EA):汚れた空気を捨てる
  • 換気ダクト:汚れた空気を捨て、新鮮な空気を取り入れる

    なお、「換気ダクト」と混同しやすい「還気ダクト」もあります。

    「換気ダクト」も「還気ダクト」も、室内外の空気の流れに関わるダクトですが、その役割は異なります。

    • 換気ダクト:室内の空気を外部に排出し、外部の空気を室内に取り入れるダクト
    • 還気ダクト:室内の空気を空調機に「戻す」ためのダクト

    排煙ダクト

    排煙ダクトの用途 火災発生時に煙を排出する
    別名 SEA(Smoke Exhaust Air)ダクト

    排煙ダクト(SEA)は、火災発生時に、煙や有害ガスを屋外に排出するための緊急用ダクトです。

    火災時、最も危険と言われる煙を排出するため、ビルやマンションなどの施設に必ず設置されます。消防法や建築基準法によって換気や排煙、風量などの基準値が定められている中で、最も効率的に排気が行える導管配置技術が求められます。

    引用:一般社団法人 全国ダクト工業団体連合会「排気・排煙」

    タバコや焼き肉の煙を外に排出するダクトだと誤解されやすいですが、あくまで火災時専用のダクトを指します。通常時は使用されません。

    建築基準法は、一定の基準を満たす建物に、所定の排煙設備の設置を義務付けています。

    【排煙設備の設置条件】

    • 防煙区画の最大床面積が500㎡以下
    • 排煙口から防煙区画までの水平距離が30m以下
    • 防煙区画を仕切る垂れ壁は、天井から50cm以上突き出す
    • 防煙用の垂れ壁は不燃素材を使用する
    • 排煙口は、天井高さが3m未満は天井から80cm以内

    ※参考:昭和二十五年政令第三百三十八号「建築基準法施行令

    とくに高層ビルや大型商業施設では、避難経路の安全確保に直結するため、排煙ダクトの工事は法的にも非常に重要です。

    集塵ダクト

    集塵ダクトの用途 工場や作業場の粉塵や微粒子を排出・集塵
    集塵ダクトが必要な施設例 木工所・印刷工場・金属加工現場など

    集塵ダクトとは、粉塵や細かな粒子を含んだ空気を吸引して、集塵機へ送るためのダクトです。

    屋内で発生した有害物質を、そのまま外へ放出してしまうと、大気が汚染されます。

    また、排気口から有害物質が屋内に戻ってしまうリスクもあるでしょう。

    そこで、集塵機で埃やごみを吸引除去し、きれいな空気にしてから外へ排出します。

    人々の健康と安全を守るために、集塵ダクトの整備は欠かせません。

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    ダクト工事の費用相場【飲食店】

    飲食店におけるダクト工事の費用相場は、次の通りです。

    東京消防庁「飲食店におけるダクト火災抑制方策に関する検討結果」によると、火災件数は減少傾向にある中、逆に飲食店の火災件数は増加傾向にあります。

    七輪等を火気器具として用いる焼肉店舗等に設置される調理器具上方に付属する排気ダクトに係る火災は、近年増加しており、適切な工事が求められている状況です。

    ダクト工事の費用相場は3万円~300万円

    ダクト工事費用

    ダクト工事の費用は、3万円~300万円と幅が広いです。

    たとえば、厨房・店舗やビル・マンションでダクト工事を行う「有限会社広積」の公式サイトには、最安3万円からと記載されています。

    費用は現場によって変動するため、ダクト工事業者の公式サイトで正確な料金を知ることはできません。まずは相談・見積もりをする必要があります。

    なお、家のキッチンやトイレ、窓などに設置されている換気扇と繋がっている「家庭用ダクト」の修理であれば、数千円~数万円です。

    家庭用ダクト(換気扇)の種類 費用相場※
    壁付プロペラファン 約7千円~
    レンジフードや天井埋め込み型 約2万円以上

    ※参考:有限会社大本工業

    排気口の設置位置が高いほどダクト工事費用も高くなる

    ダクト工事の費用を大きく左右する要素のひとつが、排気口の設置位置の高さです。

    たとえばビルの1階にあるテナントでも、屋上までダクトを伸ばす必要があるケースでは、施工距離が長くなるため工賃・部材費がかさみます。

    また、高所作業車の使用や、近隣住民・テナントとの調整といった工程も加わるため、費用は大幅に上がることがあります。

    「建物が1階層上がるたびに、費用が約20万円上がる」と言われているほどです。

    費用が高くなる要因

    • 屋上や高所への排気口設置
    • ダクト配管距離が長い
    • 曲げ配管が多い(作業工程が複雑になる)

    ダクト工事の費用を抑えるためには、「ダクトを屋上まで上げる必要がない物件選び」がポイントです。

    具体的には、次の2点を満たす物件を選ぶと、ダクト工事の費用を抑えられます。

    • 排気をそのまま壁から出しても良い物件
    • 特殊な消臭装置を付ける必要がない物件
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      ダクト工事に関するよくある質問

      ダクト工事に関するよくある質問に回答します。

      ダクト工事とはどんな工事?

      ダクト工事とは、空気やガスの流れをコントロールする管(ダクト)を、建物内に設置する作業のことです。

      ダクトは飲食店やオフィスビル、工場、病院など、さまざまな施設で空調・換気・排気・排煙などの役割を担っています。

      とくに飲食店では、煙や油をしっかり排出する排気設備が、衛生面でも消防法上でも必須です。

      ダクト工事の主な役割

      • 空調・換気設備の配管設置
      • 煙や臭気の排出
      • 火災時の排煙設備の設置

      飲食店のダクト工事費用の相場は?

      飲食店のダクト工事費用は、公式サイトにはっきりと書かれていないことが多いですが、おおよそ30万円〜150万円前後です。

      店舗の規模やダクトの配管距離、設置箇所の高さなどによっても金額が異なります。

      とくに油煙が多い業態や、屋上排気が必要な構造では、高額になる傾向があります。

      詳細な費用は、相見積もりで確認するのが確実です。

      ダクト工事をする際は相見積もりを取ろう

      ダクト工事は建物の構造や業態によって大きく内容が異なり、費用も大きく変動します。

      そのため、1社だけでなく複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」を取ることが重要です。

      相見積もりをすることで、適正価格を把握し、過剰な請求や施工ミスを避けることができます。

      また、価格だけでなく対応の丁寧さやアフターサービス、施工実績も比較して選ぶようにしましょう。

      ダクト工事で後悔しないためのポイント

      • 最低でも2〜3社から相見積もりを取る
      • 業者の施工実績や口コミを確認する
      • 価格だけでなく提案内容・保証もチェック

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