労働政策研究・研修機構が発表したデータによると、正社員になろうと行動を起こしたフリーターのうち、実に67.3%が就職に成功しています。
したがって、フリーターの方でも正社員や転職に成功する事例はたくさんあるということです。
特に建設業、介護、警備、運輸などは慢性的な人材不足が続いており、フリーターからの就職実績が多い分野です。
また、企業側も「即戦力」より「学ぶ姿勢」「コミュニケーション力」を重視する傾向が強まっており、年代に関係なくキャリアを積める環境が整っています。
本記事では、フリーターから目指しやすい職業と必要なスキル、選び方のポイントをデータとともに解説します。
- フリーターにおすすめの職業
- フリーターからなれる職業の特徴
自分に合った働き方やキャリアパスを見つけたい方は、ぜひ参考にしてください。
フリーターからなれる職業おすすめ○選
ここでは、フリーターからでも比較的採用されやすいおすすめの職業について、年収・未経験からの就職難易度・正社員へのなりやすさ・必須の資格・あると有利な資格・特におすすめな人の特徴についてくわしく紹介します。
フリーターからなれる職業のポイント
- 年収
- 未経験からの就職難易度
- 正社員へのなりやすさ
- 必須の資格
- あると有利な資格
- 特におすすめな人の特徴
| 建設作業員 | 介護職 | 警備スタッフ | 配送ドライバー | 製造業 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 年収 | 300~450万円程度 | 290〜380万円 | 260〜350万円 | 300〜450万円 | 280〜400万円 |
| 未経験からの就職難易度 | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | ○ |
| 正社員へのなりやすさ | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ◎ |
| 必須の資格 | とくになし | とくになし | とくになし | 普通自動車免許 | とくになし |
| あると有利な資格 | 玉掛け/フォークリフト/技能講習 各種 | 初任者研修/実務者研修 | 交通誘導警備2級/施設警備2級 | 中型免許 | フォークリフト免許 |
| 特におすすめな人の特徴 |
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建設作業員(職人見習い・施工スタッフ)
ヒューマンリソシアが発表する建設HRレポート一覧によると、ハローワークにおける建築・土木・測量技術者(常用・除くパート)の有効求人倍率は6.26倍(前年同月比0)となっており、常に人手不足が続いている業界として挙げられています。

建設作業員の仕事は現場で技能を磨けば資格取得により給与が上がり、長期的に安定したキャリア形成ができるのが最大のメリットであり、フリーターでも採用されやすい特徴があります。
仕事内容は資材運搬、簡単な施工補助、清掃などから始まり、徐々に専門技能を習得することで仕事の幅が広がります。
おもに体を動かすことが得意な人や体力に自信のある方、手に職をつけたい方にお勧めの仕事です。
| 特徴 | |
|---|---|
| 年収 | 300~450万円程度 |
| 未経験からの就職難易度 | ◎ |
| 正社員へのなりやすさ | ◎ |
| 必須の資格 | なし |
| あると有利な資格 | 玉掛け/フォークリフト/技能講習 各種 |
| 特におすすめな人の特徴 |
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建築関係の転職には、建設業界に特化した専門の求人サイトでは随時多くの求人情報が掲載されており、自分に合った働き方やキャリアパスを見つけたい方はチェックしておくといいでしょう。
関連記事:施工管理の仕事内容とは?年収、向いている人の特徴をわかりやすく解説
介護職(介護スタッフ・ヘルパー)
介護職は、厚生労働省「介護人材確保の現状について」(2024年)で 有効求人倍率 3.97倍 とされ、全産業平均(1.16倍)を大きく上回っています。

参照:厚生労働省「介護人材確保の現状について」(2024年)
そのため 未経験者でも採用されやすい最有力の職種 です。
資格がなくても働ける職場が多く、就職後に「介護職員初任者研修」「実務者研修」を取得すると、昇給・役職・転職幅が広がるキャリアパスが確立されています。
また、厚労省「介護労働実態調査」では、直前の仕事を現在の職種別にみると、介護職員、訪問介護員は「介護・福祉・医療関係以外の仕事」の割合が最も高い(それぞれ48.2%、47.1%)であることからフリーターでも職歴を気にせずチャレンジできます。
仕事内容は、生活介助、見守り、レクリエーション、リハビリ補助、記録作成など多岐にわたり、人と関わるコミュニケーション能力が活かせます。
高齢化の進行により、今後も安定した需要が続くため、長期的な雇用の安定と社会貢献性を両立できる職種 といえます。
| 特徴 | |
|---|---|
| 年収 | 290〜380万円 |
| 未経験からの就職難易度 | ◎ |
| 正社員へのなりやすさ | ◎ |
| 必須の資格 | とくになし |
| あると有利な資格 | 初任者研修/実務者研修 |
| 特におすすめな人の特徴 |
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警備スタッフ(施設警備・交通誘導)
警備を含む保安職業従事者の有効求人倍率は6.66倍と大きく上回る慢性的な人材不足の分野です。
そのため 未経験者でも採用されやすく、フリーターから正社員を目指しやすい業界 といえます。
また、警備業法により 新任研修20時間以上 が義務化されているため、入職時点で専門知識がなくても、必要な基礎を体系的に学べる点も安心材料です。
仕事内容は、商業施設での巡回警備、イベント会場の警備、工事現場での交通誘導など幅広く、需要が景気に左右されにくいのが特徴です。
体力を使う現場もありますが、「交通誘導警備2級」「施設警備2級」などの国家資格を取得すれば、資格手当がつき 給与アップや現場選択の幅が拡大 します。
警備スタッフは未経験から専門性を高められるため、長期的なキャリア形成にも適しています。
| 特徴 | |
|---|---|
| 年収 | 警備スタッフ(施設警備・交通誘導) |
| 未経験からの就職難易度 | ◎ |
| 正社員へのなりやすさ | ○ |
| 必須の資格 | とくになし |
| あると有利な資格 | 交通誘導警備2級/施設警備2級 |
| 特におすすめな人の特徴 |
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警備員のおすすめポイント!
- 夜勤があるため収入アップを目指せる
- 有効求人倍率が高いので採用されやすい
配送ドライバー(軽貨物・ルート配送)
コロナウイルス感染拡大後のEC市場の拡大により、宅配貨物量は10年で 1.4倍 に増加しており、物流職の需要が高まっています。

仕事内容はルート配送、企業配達、個人宅配送などさまざまあり、自分に合ったものを探せば理想的な働き方ができるでしょう。
配送ドライバーは会社にもよりますが、基本的には単独で淡々と作業する時間が多いため、接客が苦手なフリーターの方でも働きやすい職種です。
平均年収は350〜600万円で、歩合制の企業では高収入も可能です。
さらに普通自動車免許があれば年齢問わず始められ、中型免許などを取得することでより高収入を目指せます。
配送ドライバーのおすすめポイント!
- 普通自動車免許があれば挑戦できる
- ネットショッピングの普及で需要が高い
- 転職難易度は低〜中程度
| 特徴 | |
|---|---|
| 年収 | 300〜450万円 |
| 未経験からの就職難易度 | ○ |
| 正社員へのなりやすさ | ○ |
| 必須の資格 | 普通自動車免許 |
| あると有利な資格 | 中型免許 |
| 特におすすめな人の特徴 |
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製造業(工場作業員・ラインスタッフ)
製造業は 40〜59歳の就業比率が全産業中でも高い分野 とされ、中高年の採用が活発な業界です。
製造業では、2024年版 ものづくり白書によると、65歳以上の就業者が全体の8.3%を占めており、人手不足がつづいています。

特に自動車・食品・電子部品などの工場では人手不足が続き、厚生労働省「一般職業紹介状況」でも製造分野の求人倍率は 1.90〜2.50倍 と安定して高い水準にあります。
そのため 未経験からでも採用されやすい職種 としてフリーターに人気です。
仕事内容は、製品の組立、検査、梱包、ライン作業、機械オペレーターなどが中心で、明確な手順書(マニュアル)に基づいて作業するため習得しやすく、コミュニケーションより作業に集中したい人にも適しています。
さらに、多くの工場では 正社員登用制度 が導入されていることが多く、いずれはフリーターから正社員として働きたい人にもおすすめです。
また長期雇用と安定収入を実現しやすく、キャリアの再構築がしやすい職種といえます。
| 特徴 | |
|---|---|
| 年収 | 280〜400万円 |
| 未経験からの就職難易度 | ○ |
| 正社員へのなりやすさ | ◎ |
| 必須の資格 | とくになし |
| あると有利な資格 | フォークリフト免許 |
| 特におすすめな人の特徴 |
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フリーターからなれる職業の特徴
フリーターからなれる職業には人手不足であったり、未経験でも入社しやすいといった特徴があります。
ここでは、フリーターからなれる職業の共通点について紹介します。
未経験歓迎・研修制度が整っている仕事が多い
フリーターから就職しやすい仕事の特徴の1つは、未経験でも就職できる研修制度が整っている点です。
特にサービス・介護・建設・製造業では研修必須のため教育体制が手厚い傾向があります。
研修制度・教育体制が整っている業界・職種
- サービス
- 介護
- 建設
- 製造業
さらに「職場定着支援調査」では、研修が充実した企業は離職率が低下することが示され、未経験者の職場定着に直結します。
研修制度が充実している業界では、入社後に資格取得支援が設けられているケースが多く、キャリアアップしやすい点が魅力的なポイントです。
経験がなくても挑戦でき、習熟によって昇給が見込めるため、フリーターからの正社員転換に最も適した職種群といえます。
人手不足業界が多く、有効求人倍率が高い
フリーターから就職しやすい理由として、人手不足の業界が多いことが挙げられます。
厚生労働省「一般職業紹介状況」(2024)によれば、主要な職種の有効求人倍率は以下のように高い水準です。
人手不足の業界とそれぞれの有効求人倍率
- 建設技能工:4.64倍
- 介護職:3.74倍
- 警備員:3.25倍
- ドライバー:2.52倍(全産業平均は 1.32倍)
いずれも未経験採用が多く、年齢幅も広いため、フリーターでも応募しやすい職種です。
特に建設業は技能習得による昇給幅が大きく、厚労省の調査でも「技能向上による年収増加幅が最大」とされています。
人手不足=採用意欲が非常に高いため、書類選考の通過率も高く、就職しやすい環境が整っています。
需要が高い業界であれば選択肢も広く、自分に合った職場を見つけられる可能性も高いです。
正社員登用制度が充実している仕事が多い
フリーター向けの職種には、正社員登用制度が整備されているという大きな特徴があります。
厚生労働省「非正規雇用労働者の現状及び対策について」では、アルバイトからの正社員登用率は業界平均で 約26%。

さらに物流・警備・建設業でも登用制度を設ける企業が多く、学歴・経験を問わずキャリア形成が可能です。
長期雇用が前提となるため待遇も安定し、社会保険やボーナスのある企業へ移行できる点はフリーターにとって大きなメリットといえるでしょう。
未経験から正社員への道が明確に設計されていることが、これらの仕事が選ばれやすい理由といえます。
フリーターからなれる仕事の探し方
先にも述べたように、フリーターの方は未経験でも採用されやすい仕事を見つけることが大事です。
自力でも探すことはできますが、以下の方法であればより効率的に自分に合ったフリーターからなれる仕事の探し方についていくつかご紹介します。
ハローワーク
ハローワークは厚生労働省が運営する公的就職支援機関で、全国の求人を無料で検索できる点が特徴です。
企業が直接求人を掲載するため、経験不問・未経験歓迎の比率が高い のがメリットです。
厚生労働省のデータによると、公共職業訓練(離職者訓練)の受講者数は約10.4万人、合計就職率は(施設内訓練)84.2%といった結果が出ています。
また、ハローワークでは求人検索だけでなく職業相談、応募書類の添削、職業訓練(公共職業訓練・求職者支援訓練)、地元企業の求人情報収集などの支援を受けられ、スキル不足の解消にも役立ちます。
ただしハローワークは職種や業界が限定的である点もあるため、希望職種が明確にある方の場合は合わないことがあります。
ハローワークのメリット
- 無料で利用できる
- 豊富な求人情報にアクセスできる
- サポートを受けられる
転職サイト
マイナビが実施した調査によると、転職サイトが最も利用されており、転職サイトは仕事探しにおける主流手段となっています。

求人サイトは検索性が高く、希望条件(未経験可・正社員登用あり・在宅勤務など)を絞り込めるため効率的に転職・就職活動を進められるメリットがあります。
また応募から面接設定までオンラインで完結するため、時間が限られるフリーターに適した探し方といえます。
なかには、選考対策や書類選考の添削などをしてくれるサービスもあるため、職歴に自信がないフリーターの方にはおすすめです。
しかし求人サイトによっては「自分に合う仕事を紹介してくれない」「連絡がなかなか返ってこない」といったケースもあるため注意が必要です。
数社程度の求人サイト・アプリを併用しておくとより効率的に仕事が見つけやすくなります。
転職サイトのメリット
- さまざまな業界・職種を見つけられる
- 「未経験可」「フリーター歓迎」の仕事が見つけやすい
- 選考サポートを受けられることがある
また、建築関係の転職に興味がある方は建築に特化した転職サイトなど業界に精通した転職サイトを利用するのがおすすめです。
人材派遣・紹介会社
人材派遣会社や人材紹介会社は、職歴が短いフリーターでも登録しやすく、担当者がスキル・適性を踏まえて求人を提案するため、採用率が向上しやすい のが特徴です。

厚労省「労働市場における雇用仲介の現状について」では、民間紹介による就職率はハローワーク経由の就職件数が下がる一方で増加傾向にあることがわかります。
また、人材派遣会社や人材紹介会社は一般公開されていない非公開求人比率が高いため、他では見つからなかった仕事が見つかる可能性が高いです。
ほかにも人材派遣会社や人材紹介会社によっては面接日程の調整や条件交渉も代行されるため、就活に不慣れなフリーターでも進めやすい方法といえるでしょう。
しかし高いスキルを持つ人材を採用することを目的として、求人業務を委託しているケースが多いため、通常の採用よりも採用基準が高くなる可能性があるため注意が必要です。
人材派遣会社や人材紹介会社のメリット
-
- 公募していない求人情報が得られる
- 転職市場の状況を把握できる
- キャリアプランについてのアドバイスを受けられる
フリーターからなれる職業に関するよくある質問
最後に、ここでは、フリーターからなれる職業に関するよくある質問についてまとめました。
フリーターからすぐ正社員になれる仕事はある?
結論からいうと、フリーターでもすぐに正社員になりやすい仕事は存在します。
厚生労働省「一般職業紹介状況」(2024)によれば、主要な職種の有効求人倍率は以下のように高い水準です。
人手不足の業界とそれぞれの有効求人倍率
- 建設技能工:4.64倍
- 介護職:3.74倍
- 警備員:3.25倍
- ドライバー:2.52倍(全産業平均は 1.32倍)
特に建設・介護・警備・物流などは、応募から2〜4週間で正社員採用に至るケースが多いため、フリーターにとって最も正社員化しやすい分野と言えます。
またこれらの業界は慢性的な人手不足のため、経験よりも「働く意欲」や「継続性」が重視されるという特徴があります。
なりたい職業がないフリーターはどうすればいい?
なりたい職業が明確でなくても問題はありません。
重要なのは「何を軸に選ぶか」であり、職業選択には以下の3つの基準を参考にしてみるといいでしょう。
職業選択時にチェックするべきポイント
- 就職しやすさ(有効求人倍率・未経験採用率)
- 働きやすさ(勤務時間・体力負荷・人間関係)
- 将来性(AI代替リスク・需要の変化)
また大手の転職サイトやサービスでは職業適性テストや自己分析ツールなどを提供しているため、求人検索する前に受けておくことをおすすめします。
自己理解をすることで入社後のミスマッチや自分の向き不向きが明確になります。
なりたい職業がなくても、まずは興味の幅を広げる・得意なことを把握する・未経験可の仕事から試すことが重要です。
フリーターから正社員になるのは難しい?
「難しい」という声はありますが、フリーターから正社員になることは十分可能です。
厚生労働省「非正規雇用労働者の現状及び対策について」では、アルバイトからの正社員登用率は業界平均で 約26%。
さらに未経験採用が多い建設・介護・警備などは非常に高い求人倍率で、就職のハードルは低めです。
採用で重視されるのは、職歴よりも 「勤務態度」「継続力」「コミュニケーション」 と企業側も回答しています(経産省「若手人材採用調査」)。

参照:表4 採用区分、若年正社員の採用選考の有無及び採用選考にあたり重視した点別事業所割合
つまり、フリーターから正社員になる難易度は業界により大きく異なり、人手不足業界であれば難易度は高くありません。
正しい選び方をすれば誰にでもチャンスがあります。
フリーターからなれる職業で正社員を目指そう
今回はフリーターから目指しやすい職業と必要なスキル、選び方のポイントをデータとともに解説してきました。
特に建設業、介護、警備、運輸などは慢性的な人材不足が続いており、フリーターからの就職実績が多い分野なのでねらい目です。
またフリーターからなれる職業には未経験でもOKといった仕事を選ぶと採用されやすくなります。
転職サイトやハローワーク、人材派遣・紹介会社を使えば効率的に進めることができます。
自分に合った働き方やキャリアパスを見つけたい方は、ぜひ今回の記事を参考にしてください。
