建築士になるには?必要な学歴・実務経験・資格取得の最短ルートを解説

建築士になるには ガテン系の転職

厚生労働省が発表する「職業別の有効求人倍率」によると、建築士の有効求人倍率は令和6年2月時点で5.98倍であり、資格を保有している人であると多くの求人の中から自分の働き方に合う企業へ就職・転職できる可能性が高い職種です。

また、近年都市部の大規模の開発や既存建物の解体・複合施設の建設などが盛んにおこなわれているため、建築士の需要は今後も高くなるでしょう。

一方、人手不足が深刻です。一級建築士の高齢化は顕著であり、50代や60代が多く、若い建築士が不足しているのが現場です。

一級建築士(所属建築士)の数・年齢構成

引用:国土交通省 建築行政に係る最近の動向

しかし、建築士になりたいと考える方の中には「建築士のなり方がわからない」と思う人も多いのではないでしょうか。

本記事では、建築士になる方法を解説します。建築士になるための最短ルートも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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一級建築士の転職は難しい?年齢別転職の難易度と未経験でもおすすめの転職先
  1. 建築士になるには
    1. 建築士試験の受験資格を獲得する
      1. 建築士試験の受験資格
    2. 設計事務所などで実務経験を積む
  2. 建築士になるまでの最短ルート
    1. 4年制大学の建築系学科を卒業して建築士になるには
    2. 短大(3年制)の建築系学科を卒業して建築士になるには
    3. 短大(2年制)・高専の建築系学科を卒業して建築士になるには
    4. 高校の建築系学科を卒業して建築士になるには
    5. 職業訓練校の建築系学科を卒業して建築士になるには
    6. 建築系の学校を卒業せずに建築士になるには
  3. 建築士の種類
    1. 一級建築士
    2. 二級建築士
    3. 木造建築士
  4. 建築士を目指せる学校
    1. 専門学校・高等専門学校
    2. 大学・短大
    3. 高校
    4. 職業訓練校
  5. 社会人が働きながら建築士になるには
    1. 夜間に開講している専門学校や夜間学校に通う
      1. 学費が厳しい場合は奨学金制度を活用
    2. 建設業界に転職して実務経験を積む
  6. 建築士に向いている人の特徴
    1. 何かを作ることが好きな人
    2. 継続力・責任感のある人
    3. 理系科目が得意な人
    4. 創造力や美的センスに自信がある人
  7. 建築士になるにはどんな能力が必要?
    1. クライアント目線で考案する力
    2. 提案力・プレゼン能力
    3. 空間を理解する・イメージできる能力
  8. 建築士の資格の難易度・合格率
    1. 一級建築士の合格率は約9%
    2. 二級建築士の合格率は約20%
    3. 木造建築士の合格率は約40%
  9. 建築士になるには一定の学歴か実務経験が必要

建築士になるには

建築士を目指すなら、「どんな手順で建築士になれるのか」を正しく理解しておくのが大切です。

建築士になるには、以下の2つのステップが必要となります。

建築士になるためのステップを詳しく解説します。

建築士試験の受験資格を獲得する

2020年の法改正により、建築士試験の受験時点での実務経験が不要となりました。

一級建築士・二級建築士・木造建築士試験の全てにおいて、大学や高等専門学校などで指定科目を修めて卒業すれば、建築士の試験を受けるのに実務経験は必要ありません。

また、二級建築士・木造建築士の受験では、7年以上の実務経験があれば受験資格が取得できます。

建築士試験の受験資格

一級建築士・二級建築士・木造建築士の受験資格は以下の通りです。

一級建築士 大学、高等専門学校(旧制大学を含む)において、指定科目を修めて卒業した者(専門職大学の前期課程を含む)

二級建築士

国土交通大臣が上記の者と同等以上の知識及び技能を有すると認める者

二級建築士・木造建築士 大学(短期大学を含む)、高等専門学校、高等学校において、指定科目を修めて卒業した者

建築実務の経験を7年以上有する者

その他都道府県知事が特に認める者

引用:公益財団法人建築技術教育普及センター 令和7年一級建築士試験受験要領 令和7年二級建築士試験・木造建築士試験受験要領

設計事務所などで実務経験を積む

建築士試験に合格するだけでは、建築士になれません。

建築士の免許取得しには、実務経験を積む必要があります。

建築士になるための実務経験に関するポイント

  • 2020年の法改正から一級建築士・二級建築士・木造建築士の受験時点での実務経験は不要
  • 試験合格後に建築士として免許登録する際に、所定の実務経験が必要

建築士の免許を取得するために必要な実務経験年数は、学歴によって異なります。

一級建築士 二級建築士・木造建築士
大学卒業(指定科目終了) 2年以上 実務経験不要
短期大学(3年制)卒業(指定科目終了) 3年以上 実務経験不要
短期大学(2年制)・高等専門学校卒業(指定科目終了) 4年以上 実務経験不要
高校卒業(指定科目終了) 2年以上
学歴なし 7年以上(受験資格として必要) 7年以上

一級建築士の受験資格として二級建築士・建築設備士の資格を選んだ場合、免許登録時にはそれぞれの職種での実務経験が4年以上が必要です。

建築士になるまでの最短ルート

建築士になるには、学歴や実務経験によってかかる年数や手順も大きく変わります。

最短で建築士になるまでの最短ルートを、以下の6つのパターンで分かりやすく解説していきます。

4年制大学の建築系学科を卒業して建築士になるには

4年制大学を卒業した場合、建築士になるための最短ルートは以下の通りです。

資格 最短ルート
一級建築士 卒業後すぐ試験受験→合格→2年以上の実務経験で免許登録
二級建築士・木造建築士 卒業後すぐ試験受験→合格→実務経験不要で免許登録

4年制大学を卒業した場合、一級建築士の免許は2年、二級建築士・木造建築士の免許は卒業後すぐに免許を取得できます。

短大(3年制)の建築系学科を卒業して建築士になるには

短大(3年制)を卒業した場合、建築士になるための最短ルートは以下の通りです。

資格 最短ルート
一級建築士 卒業後すぐ試験受験→合格→3年以上の実務経験で免許登録
二級建築士・木造建築士 卒業後すぐ試験受験→合格→実務経験不要で免許登録

短大(3年制)を卒業した場合、一級建築士の免許は3年、二級建築士・木造建築士の免許は卒業後すぐに免許を取得できます。

短大(2年制)・高専の建築系学科を卒業して建築士になるには

短大(2年制)・高専の建築系学科を卒業した場合、建築士になるための最短ルートは以下の通りです。

資格 最短ルート
一級建築士 卒業後すぐ試験受験→合格→4年以上の実務経験で免許登録
二級建築士・木造建築士 卒業後すぐ試験受験→合格→実務経験不要で免許登録

短大(2年制)を卒業した場合、一級建築士の免許は4年、二級建築士・木造建築士の免許は卒業後すぐに免許を取得できます。

高校の建築系学科を卒業して建築士になるには

高校の建築系学科を卒業した場合、建築士になるための最短ルートは以下の通りです。

資格 最短ルート
一級建築士 高校卒業→二級建築士の試験受験→合格→2年以上の実務経験で二級建築士の免許登録→一級建築士の試験受験→合格→4年以上の実務経験で一級建築士の免許登録
二級建築士・木造建築士 卒業後すぐ試験受験→合格→2年以上の実務経験で免許登録

高校の建築系学科を卒業した場合、一級建築士の免許は6年、二級建築士・木造建築士の免許は2年で取得できます。

職業訓練校の建築系学科を卒業して建築士になるには

職業訓練校を経て二級建築士・木造建築士を目指す場合、受験と免許登録に必要な実務経験年数は、最終学歴や取得単位数によって異なります。

高校を卒業した後に職業訓練学校に入校した場合、建築士になるための最短ルートは以下の通りです。

資格 最短ルート
一級建築士 職業訓練学校卒業→二級建築士の試験受験→合格→1年以上の実務経験で二級建築士の免許登録→一級建築士の試験受験→合格→4年以上の実務経験で一級建築士の免許登録
二級建築士・木造建築士 卒業後すぐ試験受験→合格→1年以上の実務経験で免許登録

高校卒業後に職業訓練学校を卒業した場合、最短で一級建築士の免許は5年、二級建築士・木造建築士の免許は1年で取得できます。

中学を卒業した後に職業訓練学校に入校した場合、建築士になるための最短ルートは以下の通りです。

資格 最短ルート
一級建築士 職業訓練学校卒業→二級建築士の試験受験→合格→2年以上の実務経験で二級建築士の免許登録→一級建築士の試験受験→合格→4年以上の実務経験で一級建築士の免許登録
二級建築士・木造建築士 卒業後すぐ試験受験→合格→2年以上の実務経験で免許登録

中学校卒業後に職業訓練学校を卒業した場合、最短で一級建築士の免許は6年、二級建築士・木造建築士の免許は2年で取得できます。

最終学歴以外にも、職業訓練校での取得単位によっても、建築士になれるまでの期間は違ってくるので注意してください。

建築系の学校を卒業せずに建築士になるには

建築系の学校を卒業していない場合、建築士になるための最短ルートは以下の通りです。

資格 最短ルート
一級建築士 7年以上の実務経験→二級建築士の試験受験→合格・免許登録→一級建築士の試験受験→合格→4年以上の実務経験で一級建築士の免許登録
二級建築士・木造建築士 7年以上の実務経験→二級建築士の試験受験→合格・免許取得

建築系の学校を卒業していない場合、一級建築士の免許は11年、二級建築士・木造建築士の免許は7年で取得できます。

建築士の種類

建築士には大きく分けて3つの種類があり、それぞれの資格で、できる仕事の範囲に違いがあります。

令和6年度4月1日時点の1級建築士の登録人数は381,303名、2級建築士の登録人数は793,212名、木造建築士は19,005名です。

出典:建築士登録状況|国土交通省

以下の3つの資格について、それぞれの特徴や違いを詳しく解説していきます。

一級建築士

一級建築士は建築士の中でも最も高度な資格であり、設計・工事監理ができる建築物の規模に制限がありません。

どんな建物でも設計できるため、責任とやりがいが大きく、多くの建築士が最終的に目指す資格です。

一級建築士の手がけられる建物は、例えば以下のようなものがあります。

一級建築士の手がける建物の例

  • 高層ビル
  • 大規模な商業施設
  • 学校や病院などの公共施設
  • 数千人を収容するアリーナやスタジアム

一級建築士を取得すると、独立開業や大手設計事務所への転職・昇進など、キャリアの選択肢が大きく広がります。

つまり、一級建築士は建築のプロフェッショナルとしての証であり、最も自由度の高い建築活動ができる資格です。

二級建築士

建築業界で最も多くの人が取得している資格が二級建築士です。

国土交通省によると、令和6年4月1日時点での一級建築士の登録者数が381,303 人であるのに対して、二級建築士の登録者数は793,212人でした。(引用:国土交通省 建築士登録状況

二級建築士が携われる建築物には、主に以下のようなものがあります。

二級建築士が携われる主な建築物

  • 一戸建て住宅
  • 小規模な集合住宅
  • 店舗や事務所
  • 木造以外でも、規模が小さい建物

二級建築士が携われる建物は、主に戸建住宅や小規模な建物(木造500㎡以下、鉄筋コンクリート造300㎡以下など)に限定されます。

木造建築士

木造建築士は「木造建築物」に特化した建築士で、小規模な木造住宅をメインに扱う仕事に向いています。

木造建築士が携われる建物には、以下のような条件があります。

木造建築士が携われる建物の条件

  • 木造建造物
  • 平家2階建まで
  • 延べ面積が300㎡以下

木造建築士は、二級建築士や一級建築士と比べて扱える建物の範囲が狭いのが特徴です。

建築士を目指せる学校

建築士になるには、まず建築に関する知識と技術を学べる学校で学習するのが一番の近道です。

令和6年度年1級建築士試験「設計製図の試験」の合格者を参考にすると、大学で学習する人が多い傾向にあります。

以下で、建築士になるための学校を解説します。

専門学校・高等専門学校

専門学校や高等専門学校(高専)は、建築士を目指すための実践的なスキルと知識を短期間で効率よく学べる選択肢の一つです。

専門学校は主に2年制や3年制の課程で、建築士受験に必要な学科知識や設計製図の技術、構造・法規などを学べます。

高等専門学校は中学卒業後に入学し、5年間の一貫教育で工業系の専門知識を身につけられる学校です。

専門学校や高等専門学校を卒業した場合、一級建築士・二級建築士・木造建築士の受験資格が得られます。

ただし、一級建築士の免許取得には以下のように年数に違いがあります。

学歴 一級建築士の免許取得にかかる実務経験年数
高等専門学校 4年以上
専門学校(3年制) 3年以上
専門学校(2年制) 4年以上

二級建築士・木造建築士の免許取得に、実務経験の規定はありません。

専門学校や高等専門学校は「早く現場で活躍したい」「勉強と実務を並行してスキルアップしたい」という人には、非常に現実的な選択肢といえるでしょう。

大学・短大

一級建築士を目指すなら、大学・短大への進学が最もスムーズなルートです。

建築学科や建築工学科など、建築に関する学部に進学すれば、学問としての理論をしっかり学びながら、設計や構造計算の高度な知識も身につけられます。

大学・短大を卒業した場合、一級建築士・二級建築士・木造建築士の受験資格が得られます。

学歴 一級建築士の免許取得にかかる実務経験年数
大学 2年以上
短大(3年制) 3年以上
短大(2年制) 4年以上

二級建築士・木造建築士の免許取得に、実務経験の規定はありません。

大学や短大は、じっくりと学び、理論と実践をバランスよく習得したい人には特におすすめです。

高校

高校から建築士を目指すことは可能ですが、最短ルートではありません。

しかし、工業高校の建築科などに進学すれば、建築の基礎を高校時代から学べ、将来的に建築士を目指す上で有利になります。

高校卒業した場合、二級建築士・木造建築士の受験資格や免許取得するために、2年以上の実務経験が必要です。

一級建築士の受験資格を取得するには、二級建築士として4年の実務経験を積む必要があります。

職業訓練校

職業訓練校も建築士を目指すうえで有効なルートの一つで、特に高校卒業後や転職希望者にとって、実践的な技術と知識を短期間で習得できる点が魅力です。

職業訓練校を経て二級建築士・木造建築士を目指す場合、受験と免許登録に必要な実務経験年数は、最終学歴や取得単位数によって異なります。

高校を卒業した後に職業訓練学校に入校した場合、必要な実務経験年数は以下の通りです。

単位数 受験資格取得 免許登録
30単位 終了後0年 終了後1年
20単位 終了後0年 終了後2年

引用:公益財団法人建築技術教育普及センター 二級建築士・木造建築士の受験・免許登録時の必要単位数(学校種類別)

最終学歴が中卒の方が職業訓練学校に入校した場合、必要な実務経験年数は以下の通りです。

単位数 受験資格取得 免許登録
20単位 終了後0年 終了後2年
15単位 終了後1年 終了後3年
10単位 終了後2年 終了後4年

引用:公益財団法人建築技術教育普及センター 二級建築士・木造建築士の受験・免許登録時の必要単位数(学校種類別)

職業訓練校は「社会人になってから建築士を目指したい方」「働きながら技術を取得したい方」におすすめです。

社会人が働きながら建築士になるには

社会人として働きながら建築士を目指すのは、決して簡単な道ではありません。

しかし、しっかりと計画を立てれば、建築士になることは可能です。

社会人が働きながら建築士になるための2つの方法を紹介します。

夜間に開講している専門学校や夜間学校に通う

働きながら建築士を目指す人の多くは、夜間の専門学校や夜間部の大学・短大に通っています。

建築士になるためには、学歴と実務経験の両方が必要です。

受験資格を得るための所定の学歴は、夜間に学校に通えば取得できます。

社会人が建築士になる上で、夜間学校のメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット 日中は仕事が続けられる

学費が安い

社会人向けのカリキュラムが整っている

デメリット 勤務後に通う体力や気力が必要

試験に向けた自主学習の時間確保の工夫がいる

多くの学校では社会人に配慮した時間割やサポート体制が整っているため、しっかりと情報収集をしたうえで自分に合った学校を選ぶことが重要です。

学費が厳しい場合は奨学金制度を活用

学費負担が重く感じる時に頼れるのが、奨学金制度です。

奨学金には、大きく分けて以下の2種類があります。

奨学金の種類

  • 給付型奨学金:返済不要、家計状況などにより支給される
  • 貸与型奨学金:卒業後に返済が必要だが、低利または無利子で借りられる

多くの専門学校や大学では、独自の奨学金制度を用意しています。

たとえば「社会人入学者対象の給付制度」や「成績優秀者向けの学費減免」など、活用できる制度は多いです。

加えて、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金も夜間部の学生が対象です。

年収制限や学力基準をクリアすれば、かなりの支援が受けられる可能性があります。

資金面の不安を減らせば、学業に集中しやすくなります。

無理のない計画を立てるためにも、奨学金の活用は積極的に検討しましょう。

建設業界に転職して実務経験を積む

建築士になるために必要な条件である実務経験は、建設業界に転職することで確保できます。

建築士の受験資格の取得や免許登録には、学歴に応じて決められた年数の実務経験が必要です。

たとえば、大学や短大などを卒業して指定科目を修めていなくても、7年の実務経験があれば、二級建築士の受験資格が得られます。

実務経験は、建築設計事務所や建設会社での「建築設計・監理」など、建築工事の施工や設計に直接関わる技術的な仕事に就くことでカウントされます。

具体的には、建築士としての実務経験が積める職種は以下の通りです。

建築士としての実務経験が積める主な職種

  • 建築設計事務所のアシスタント
  • 工務店の施工管理補助
  • ハウスメーカーの設計部門

未経験からでも受け入れてくれる企業も多く、特に人手不足が深刻な中小企業では、熱意のある社会人を歓迎する傾向があります。

転職は大きな決断ですが、実務経験を積みながら知識を深めることで、試験合格の可能性は格段に高くなるでしょう。

建築士に向いている人の特徴

建築士は建物の設計や安全性の確保などを担う専門職であるため、知識だけでなく、さまざまな適性も求められます。

建築士に向いている人の特徴について、4点紹介します。

それぞれの特徴が、どのように建築士という仕事に活かされるのかを詳しく見ていきましょう。

何かを作ることが好きな人

ものづくりが好きな人は、建築士にとても向いています。

建築士の仕事は、建物という大きなものをゼロから生み出す仕事です。

図面を描き、構造を考え、実際に形になるまでを見届ける工程には、ものづくりの楽しさが詰まっています。

たとえば、以下のような趣味がある人は、建築士に向いている可能性があります。

建築士に向いている可能性がある趣味

  • レゴやプラモデル制作
  • DIY
  • イラスト・絵を描くこと
  • マインクラフトなどのゲーム

建築士の実際の仕事では、クライアントの希望を聞きながら設計案を練ることも多いため、「相手の要望を叶えるのに喜びを感じられる人」にとっては、やりがいのある職業です。

作ることが好きなだけでなく、誰かのために作ることが好きな人にも、建築士はぴったりと言えるでしょう。

継続力・責任感のある人

建築士という職業には粘り強い継続力や、責任感が強く求められます。

建築士としての継続力や責任感が求められる理由

  • 建物は長期間使われ、多くの人の命や安全に関わる
  • 設計から完成まで年単位の時間を要す
  • 法令遵守や倫理観が強く求められる

特に一級建築士ともなると、大規模施設や高層ビルなどを設計するケースも増えてきます。

建物の規模が大きくなればなるほど、求められる継続力や責任感も高くなるでしょう。

「地道な努力を続けられる人」「自分の仕事に責任を持つ覚悟がある人」は、建築士として長く活躍できる可能性が高いです。

理系科目が得意な人

建築士を目指すうえで理系の知識、特に数学や物理の得意さは大きな武器になります。

建物の設計には、構造計算や力のバランス、安全性のチェックなど、数学や物理の知識を使って行う作業が多いです。

具体的には、以下のような作業で理系の知識を使用します。

建物の設計で理系の知識を使う場面

  • 建物にかかる荷重(重さ)の計算
  • 地震や風に対する耐震性・耐風性の設計
  • 材料の強度や変形の構造力学的な理解

建築士試験においても、構造や環境工学に関する理系問題は避けて通れません。数学的な思考が得意であることは、試験合格にも大きく関わってきます。

もちろん、理数系が苦手でも建築士の試験に合格はできますが、学習がつらく感じてしまう可能性があるでしょう。

逆に、「数式が得意」「図やグラフを読むのが好き」という人にとっては、建築士は非常に向いている仕事と言えます。

創造力や美的センスに自信がある人

デザインや色使いに興味があり、自分の感性を活かしたい人にとって、建築士は最適な職業の一つです。

建築士には、機能性だけでなく美しさも求められます。

建物はただ安全であればいいのではなく、周囲の景観との調和や、住む人が快適に感じる空間づくりも重要です。

たとえば、以下のような場面で想像力や美的センスが生かされます。

建築士で想像力や美的センスが生かされる主な場面

  • 住宅や店舗などの外観のデザイン
  • 内装(インテリア)の設計
  • 限られた空間の工夫
  • コンセプトに合ったデザインの提案

クライアントの希望に応じて、唯一無二のデザインを提案する場面では、自由な発想と柔軟な思考力が求められます。

「美的センスが豊かな人」「アイデアを形にしたいという創造力のある人」にとっては、建築士という仕事は自己表現の場となるはずです。

建築士になるにはどんな能力が必要?

建築士に求められる能力は、設計図を描く技術だけではありません。

建物を利用する人々のことを深く考え、要望を形にするための人間的な力も必要です。

建築士として活躍するために特に重要な3つの能力を詳しく解説します。

建築士に必要な能力を身につけることで、信頼される建築士へと成長できるでしょう。

クライアント目線で考案する力

建築士には、相手の立場に立って考えられる力が欠かせません。

建築物は建築士の作品であると同時に、クライアントの夢や希望を形にしたものだからです。

実際の現場では、クライアントの希望をうまく引き出しながら、「どんな使い方を想定しているか」「将来的な変化に対応できるか」といった視点で設計を考える必要があるでしょう。

例えば、家族構成が変わることを見越して、後から部屋を仕切れる間取りにするなど、相手の生活スタイルに寄り添った設計が求められます。

クライアント目線で考える力を高めるには、以下のような工夫が有効です。

クライアント目線で考える力を高めるための工夫

  • 初回ヒアリングでは使い方や好み、予算の優先度を明確にする
  • 実際に自分がクライアントになる体験をしてみる
  • 建築以外のサービス業(接客、販売など)から学ぶ視点を取り入れる

クライアント目線に立つことは、設計のスタート地点として最も大切なスキルといえるでしょう。

提案力・プレゼン能力

建築士にとって「提案力」や「プレゼン能力」は設計スキルと同じくらい重要です。

いくら素晴らしいアイデアを思いついても、それを相手にうまく伝えられなければ、理解も信頼も得られません。

プレゼンでは、単に図面を見せるだけでは不十分です。

「なぜこの形にしたのか」「この素材を選んだ理由」など、設計の意図をわかりやすく説明する力が必要になります。

さらに、相手が建築の専門家ではない場合も多いため、難しい言葉を避け、写真などのビジュアル的な資料を使って伝える工夫も求められます。

提案力やプレゼン力を高めるポイントは以下の通りです。

建築士が提案力やプレゼン力を高めるポイント

  • スライドや模型、イラストなど視覚的な資料を用意する
  • 話す内容は「結論→理由→具体例」の順にまとめる
  • クライアントの表情を見ながら、難しい点は都度説明を入れる

相手の感情や不安に寄り添いながら提案できる建築士は、信頼される存在として重宝されます。

空間を理解する・イメージできる能力

空間を頭の中で立体的にイメージできる力が、建築士には必須になります。

設計図は平面情報であっても、実際に完成する建物は三次元の空間だからです。

空間を理解する・イメージできる能力とは、たとえば図面を見ただけで「天井の高さがこのくらいだと、開放感はどうか」「家具を置いたときの動線はスムーズか」といった点をリアルに想像できる力です。

空間を理解する・イメージできる能力があると、施工後に「思ったより狭かった」「光が入りにくい」といったミスを防げます。

空間を理解する・イメージできる能力の鍛え方は、以下の通りです。

空間を理解する・イメージできる能力の鍛え方

  • 模型や3Dソフトを使って設計を立体的に検証する
  • 実際の建物を訪れて「なぜ心地よいか」「どこが狭いか」を体感する
  • 建築写真を見て、図面との関係性を読み取るトレーニングを行う

建築士は、完成前の空間を頭の中で歩けるようになることが理想です。

空間を理解する・イメージできる能力を養うと、より快適で魅力的な空間を設計できるようになります。

建築士の資格の難易度・合格率

建築士の試験は「学科試験」と「設計製図試験」の2段階に分かれています。

一級建築士・二級建築士・木造建築士のいずれの試験においても、学科試験に合格しないと、設計製図試験は受けられません。

建築士の資格の難易度や合格率を解説します。

一級建築士の合格率は約9%

一級建築士の試験は非常に難関で、合格率は約9%とかなり低めです。

一級建築士は、建物の規模や構造に関係なく、すべての建築物の設計・工事監理を行えるため、建築士の中でも最高ランクに位置付けられています。

令和6年度の一級建築士の学科試験と設計製図試験、総合の合格率は以下の通りです。

試験科目 合格率
学科試験 23.3%
設計製図試験 26.6%
総合 8.8%(学科の試験から受験した者と、設計製図の試験から受験した者の合計から製図試験に合格した者の割合)

引用:公益財団法人建築技術教育普及センター 令和6年一級建築士試験「設計製図の試験」の合格者を決定

二級建築士の合格率は約20%

二級建築士も決して簡単な試験ではなく、合格率は約20%にとどまっています。

一級よりはややハードルが低いとはいえ、相応の準備が必要です。

令和6年度の二級建築士の学科試験と設計製図試験、総合の合格率は以下の通りです。

試験科目 合格率
学科試験 39.1%
設計製図試験 47.0%
総合 21.8%(学科の試験から受験した者と、設計製図の試験から受験した者の合計から製図試験に合格した者の割合)

引用:公益財団法人建築技術教育普及センター 二級建築士の試験結果

木造建築士の合格率は約40%

木造建築士は、3つの建築士資格の中で最も取得しやすいといわれており、合格率は約40%と比較的高めです。

令和6年度の木造建築士の学科試験と設計製図試験、総合の合格率は以下の通りです。

試験科目 合格率
学科試験 57.3%
設計製図試験 70.8%
総合 39.9%(学科の試験から受験した者と、設計製図の試験から受験した者の合計から製図試験に合格した者の割合)

引用:公益財団法人建築技術教育普及センター 木造建築士の試験結果

建築士になるには一定の学歴か実務経験が必要

本記事では、建築士になるための方法や、最短ルートについて解説してきました。

建築士は建設業界でも年収の高い職種ですが、資格を取得するには一定の学歴や実務経験が必要となります。

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