クロス職人として独立するには?年収や必要な資格・手続きをわかりやすく解説

ガテン系の独立

クロス職人として独立することは十分に可能で、実際に一人親方や個人事業主として活躍している人もいます。

国土交通省が実施した建設業界労働者を取り巻く状況の資料によると、就労形態は「常雇」は減少傾向である一方「一人親方」は増加しているとデータで示されています。

一方、独立により自分の技術を活かして働ける反面「本当に安定して稼げるのか」「資格や手続きが必要なのか」と不安を感じる人も少なくありません。

独立後の年収は必ずしも安定しているとは言い切れませんが、努力次第で会社員以上を目指すことも可能です。

本記事では、クロス職人が独立するために必要な資格や行政手続き、実際の収入目安を解説します。

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クロス職人とは

クロス職人とは、住宅やオフィス、店舗などの壁や天井に壁紙を貼る専門職です。

内装仕上げ工事の一種で、部屋の印象を大きく左右します。

主な仕事内容は、古い壁紙の剥がし作業、下地(石膏ボードなど)の補修、糊付け機を使った壁紙のカット・貼り付け、仕上げの確認や補修など

現場によっては天井の施工や防汚・防湿機能付きクロスの貼り替えなども行います。

仕上がりの美しさが求められるため、ミリ単位の正確さと集中力が必要です。

クロス職人は資格がなくても始められますが、国家資格の内装仕上げ施工技能士を取得すると、技術力の証明となり仕事の幅が広がります。

以下では、クロス職人の独立後の仕事内容や将来性を紹介します。

独立したクロス職人の仕事内容

独立したクロス職人の仕事内容は、壁紙の貼り替えや内装リフォームの施工だけでなく、現場管理から営業・経営まで幅広い業務を一人で担う点が特徴です。

具体的に以下の流れで作業が進められていきます。

独立したクロス職人の仕事の流れ

  1. 依頼を受けて現場を下見する
  2. 見積もりを作成する
  3. 作業開始

素材や糊の種類、湿度・温度による仕上がりの違いを理解する専門知識と技術力に加えて、進行役も担います。

また、独立後は会社のサポートがないため、仕事を得るための営業力や人脈づくりも重要です。

材料費や交通費を管理する経営感覚、経費の把握や確定申告などの事務作業もこなさなければなりません。

高い施工技術に加え、顧客対応力や経営スキルを磨くことが、安定した収入と信頼につながります。

クロス職人の将来性

クロス職人の将来性は高く、今後も安定した需要が見込まれています。

野村総合研究所の統計によると、新設住宅着工戸数は2016年度の約92万戸から2030年度には約53万戸に減少すると予測されていますが、その一方でリフォーム市場は拡大しています。

富士経済の「住宅リフォームと住生活関連サービスの市場を調査」によると、住宅リフォーム市場は2030年度に9兆3,250億円(2022年度比約30%増)に達すると見込まれており、クロスの貼り替え需要も比例して増加しています。

特に中古住宅のリノベーションや店舗改装、オフィスのデザイン更新など、クロス職人の活躍の場はさまざまです。

今後は、クロス貼りだけでなく床施工なども行う多能工化やデザイン・提案力の向上、DXによる効率化が求められます。

技術と経営力を磨くことで、クロス職人は今後も高い需要を維持できる職種です。

クロス職人の年収は約453.4万円

クロス職人は、内装工に分類される職種で年収は約453.4万円です。

国税庁が実施している「令和6年 民間給与実態統計調査」によると全職種の平均年収が478万円のため、年収は低い傾向にあります。

一方、勤続年数や年齢によって年収が大きく向上するのも特徴です。

参照元:内装工‐職業詳細|職業情報提供サイト(job tag)

内装工の経験年数別平均年収
0年 約360万6,000円
1〜4年 約402万3,000円
5〜9年 約424万9,000円
10〜14年 約491万4,000円
15年以上 約524万7,000円

年収を上げるためには、スキルや現場経験を積む必要があります。

見習いからスタートした段階の年収は約360万円と決して高くありませんが、経験を積んだ熟練の職人は勤続年数15年以上で約524万円の収入が得られます。

独立した場合は、会社間の手数料や仲介料がなくなり、すべて自分で作業を進められるため、さらに高収入が期待できます。

以下ではクロス職人が独立した際の年収の傾向について解説します。

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独立したクロス職人の年収

独立したクロス職人の年収は、スキル・受注量・取引先によって大きく異なります。

一般的に400万~600万円前後が平均的な水準とされ、安定して仕事を確保できる職人は年収700万円以上を得ることもあります。

独立のメリットは、会社員時代よりも単価が高く、仕事の選択やスケジュールを自由に決められる点

一方で、道具・車両・材料費・保険料などの経費が自己負担となるため、実際の手取りは売上よりも少なくなります。

特に独立直後は顧客獲得に苦労することが多く、安定収入を得るまでに時間がかかります。

安定した年収を維持するには、元請けや不動産管理会社との継続契約を結ぶ、技術の幅を広げて多能工として働く、SNSや口コミを活用した営業力を高めるなどの工夫が求められます。

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一人親方のクロス職人の年収

一人親方として働くクロス職人の平均年収は、約529万~600万円程度とされています。

全建設総連東京都連が提示した賃金調査報告書によると、一人親方の日当換算では22,000円前後が相場で、月20日稼働の場合、月収44万円・年収約530万円となります。

会社員との大きな違いは、仕事の単価と自由度が高い反面、収入が不安定で経費や税金の管理が必要な点です。

安定して高収入を維持するには、複数の取引先を確保し、工期管理と品質維持を徹底する経営的視点が欠かせません。

クロス職人として独立する方法・手続き

クロス職人として独立するには、個人事業主として開業する方法と、会社を設立して法人化する方法の2つがあります。

個人事業主の場合は、税務署に「開業届」と「青色申告承認申請書」を提出することで事業を始められます。

一方、法人化する場合は、定款作成・登記申請・法人設立届出など、より多くの行政手続きが必要です。

実際、起業の準備段階で「事業に必要な専門知識、経営に関する知識・ノウハウが不足していた」「資金調達方法の目処がつかなかった」と回答する人が多く、独立方法と手続きの流れの把握は欠かせません。

参照元:中小企業白書

独立を成功させるためには、手続き内容を正確に把握し、計画的に進めることが重要です。

以下では、クロス職人として独立する方法と手続きの流れを詳しく解説します。

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個人事業主として独立する

クロス職人が独立する方法のひとつに「個人事業主」としての独立があります。

個人事業主として開業する場合は、税務署に「開業届」と「青色申告承認申請書」を提出するだけで始められ、会社設立のような登記手続きや高額な資本金は不要です。

初期費用が抑えられるため、開業のハードルが低いのが特徴

働き方は自由度が高く、取引先や現場を自分で選択できます。

また、スケジュールを自分で管理できるため、仕事量を調整して収入をコントロールすることも可能です。

経験を積み実績を重ねることで、将来的に法人化へ発展させられます。

会社を設立する

クロス職人が独立する際の方法として、「会社を設立する」方法があります。

法人化には株式会社や合同会社の形態があり、法務局での登記や定款の作成などが必要ですが、社会的信用が高まるという大きなメリットがあります。

建設業界では法人の方が元請け企業やハウスメーカーからの信頼を得やすく、大規模案件の受注や取引拡大につながりやすい点が魅力

また、法人化すると経費として認められる範囲が広がり、節税効果が期待できます。

たとえば、自分の給与(役員報酬)を経費計上できるほか、生命保険料の一部や自宅を社宅扱いにした家賃の一部も経費として認められます。

所得が増えるほど個人より法人の方が税率が低くなるため、年収800万円を超える場合は法人化が有利です。

将来的に事業を拡大したい人にとって、会社設立は安定して経営を継続できる有効な手段といえます。

クロス職人として独立するために必要な手続き

クロス職人として独立するには、まず行政手続きとして「開業届」の提出が必要です。

同時に「青色申告承認申請書」を提出すれば、最大65万円の控除など税制上の優遇措置が受けられます。

法人として始める場合は、法務局で会社登記を行い、定款の作成や資本金の準備が必要です。

独立前には、クロス施工の技術や材料知識、見積もり作成、営業スキル、請負契約の仕組みなど、経営者としての知識も求められる

工務店やリフォーム会社で3年以上の実務経験を積むと、独立後の仕事獲得がスムーズです。

また、労災保険の「一人親方特別加入」や「建設キャリアアップシステム(CCUS)」への登録も推奨されています。

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クロス職人の独立に必要な資格

クロス職人として独立するために必須の資格はありませんが、信頼性や仕事の幅を広げるには資格取得が大きな強みとなります。

代表的な資格は「表装技能士」「内装仕上げ施工技能士」「建築施工管理技士」などです。

資格取得のメリットは「この人は専門知識を持っている」「信頼できる技術を持っている」という印象を先方に与えることです。

良い印象は、顧客や元請け企業との契約時に他社との差別化要因となり、仕事を有利に進める助けになります。

以下では、クロス職人の独立の際に有利となる資格の特徴や難易度を紹介します。

クロス職人の独立に必要な資格

表装技能士

表装技能士は、クロス貼りやカーペット施工など、内装仕上げに関する専門技術を証明する国家資格です。

等級は1級・2級があり、特に1級は熟練職人としての高い技能があることの証明となります。

取得すると「国家資格保有者による施工」として他社と差別化が可能で、公共工事や大規模リフォームなど高単価の案件を受注しやすくなる点が大きなメリットです。

受験条件 試験内容
1級 実務経験:7年以上 ・学科試験:表装一般・材料・意匠図案および色彩・建築概要・関係法規・安全衛生・表具工作法・壁装施工法など
・実技試験:壁装作業・表具作業(作業課題の仕上がり・時間・仕様誤りなど)
2級 実務経験:2年以上 ・学科試験:表装一般・材料・意匠図案および色彩・建築概要・関係法規・安全衛生・表具工作法・壁装施工法など
・実技試験:壁装作業・表具作業(作業課題の仕上がり・時間・仕様誤りなど)

試験は実技と学科に分かれ、施工技術や素材知識が求められるため、実務経験がないと合格は難しい試験です。

合格率はおおむね40〜50%程度で、難易度は中程度とされています。

試験の難易度にかかわらず、設定されている合格点で合否が決定するため、合格率にばらつきがあるのも特徴です。

内装仕上げ施工技能士

内装仕上げ施工技能士は、壁・天井のボード張り、床仕上げ、クロス貼りなど建物の内装仕上げ全般の技能を証明する国家資格です。

1級・2級・3級があり、特に1級は熟練職人としての技術力を示し、建設業許可の専任技術者にもなれます。

資格を持つことで、顧客や元請けからの信頼性が向上し、大規模案件や公共工事への参入が可能です。

受験条件 試験内容
1級 実務経験:7年以上 ・学科試験:内装仕上げの種類・建築構造・製図・関係法規など
・実技試験:作業課題(床仕上げ・ボード貼り・鋼製下地工事など)
2級 実務経験:2年以上 ・学科試験:内装仕上げの種類・建築構造・製図・関係法規など
・実技試験:作業課題(床仕上げ・ボード貼り・鋼製下地工事など)
3級 実務経験:不要 ・学科試験:内装仕上げの種類・建築構造・製図・関係法規など
・実技試験:作業課題(床仕上げ・ボード貼り・鋼製下地工事など)

試験は学科と実技で構成され、1級の合格率は約40%前後です。

実務経験が必要ですが、資格取得によって高単価案件の受注や独立開業時の信用力向上につながります。

建築施工管理技士

建築施工管理技士は、建設現場で工事の品質・工程・安全・原価管理を行う国家資格です。

1級と2級があり、1級保有者は大規模工事や公共工事で「主任技術者・監理技術者」として活躍できます。

資格を取得すると、建設業許可の専任技術者になれるほか、元請けや大手ゼネコンとの取引で信頼性が格段に上がります。

独立後も、施工管理を任せられる職人・経営者として高単価案件を受注しやすくなる点が大きなメリットです。

受験条件 試験内容
1級 実務経験
・大卒:3年以上
・高卒:10年以上
・学歴なし:15年以上
・学科試験:建築施工、法規、構造、施工管理、品質・安全・環境対策など
・実技試験:実務経験の記述や、工程管理、安全管理、コスト管理に関する記述式問題
2級 実務経験
・大卒:1年以上
・高卒:3年以上
・学歴なし:8年以上
・学科試験:建築施工、法規、構造、施工管理、品質・安全・環境対策など
・実技試験:実務経験の記述や、工程管理、安全管理、コスト管理に関する記述式問題

令和6年度より受験資格が変更されています。新受験資格では第一次検定は19歳以上であれば誰でも受験が可能です。令和10年度までは経過措置として旧受験資格で受験できます。
試験の難易度は高く、合格率は1級で約30%前後、2級で40〜50%程度です。

実務経験と知識の両方が求められるため、過去問対策や実技対策がかかせません。

クロス職人として独立するメリット

クロス職人として独立する最大の魅力は、自分の技術と努力次第で収入や働き方を自由に決められる点です。

「独立自営業者の就業実態と意識に関する調査」でも独立自営業者になった理由について「自分のペースで働く時間を決めることができると思ったから」との回答が35.9%で最も多く、次いで「収入を増やしたかったから」が続いています。

雇われの職人と違い、現場単価を自分で設定でき、元請けとして直接契約すれば中間マージンも発生しません。

スケジュール管理も自分次第で、家庭との両立や働く時間の調整がしやすくなります。

また、経験を積むほどリピーターや紹介が増え、技術と信頼で長く働ける安定性も魅力です。

以下では、クロス職人として独立するメリットを詳しく紹介します。

収入アップが期待できる

クロス職人として独立する最大のメリットは、自分の働き方次第で収入が大きく変わる点です。

会社員時代は日給や月給が固定され、どれだけ効率よく仕事をこなしても給与が大幅に上がることはほとんどありません。

独立すれば仕事の単価交渉や請け負う現場数を自分で調整でき、実力や努力に見合った報酬を得られる

特に、元請けとして直接仕事を受注すれば中間マージンが発生せず、1件あたりの利益が大きくなります。

経験を積んで信頼を得れば、1日あたりの単価が2万円から3万円以上になることもあり、平均年収よりも多い収入を得ることも十分可能です。

自分の技術で稼ぎたい人や営業力・行動力のある人、収入を自らの努力で伸ばしたい人に最適な働き方です。

仕事内容や働く時間を自分で選べる

独立すれば、どの現場を受けるか・どの時間帯に働くかを自分で決められる自由があります。

会社員時代のように上司や現場監督の指示に従う必要がなく、スケジュール管理を自分で行えるため、仕事と私生活のバランスを取りやすいのが特徴です。

子育てや介護と両立したい人は短時間の現場を選び、反対に稼ぎたい時期は複数の現場を掛け持ちすることも可能

また、得意な施工分野(住宅、オフィス、リフォームなど)に特化することで、自分の強みを活かせます。

技術と信頼で長く働ける

クロス職人は、手に職を持つ技術職であり、年齢を重ねても現場で活躍し続けられるのが魅力です。

建設業界全体では人手不足が深刻で、特に経験豊富な職人の需要は高まっています。

独立して技術力と信頼を積み上げれば、紹介やリピートで安定的に仕事を得られ、長期的に収入を維持できます。

さらに、若手を育てたり、チームを組んで請け負うことで事業を拡大する道もあります。

雇われの職人が年齢とともに現場を減らされるケースもある一方、独立職人は実績と信用がそのままキャリア資産になる

技術を磨き続け、誠実に顧客と向き合える人ほど、安定した仕事に恵まれやすく、一生ものの職業として長く働けます。

クロス職人として独立するならGATEN職の利用がおすすめ

クロス職人としての独立は十分に可能です。

加えて、表装技能士や内装仕上げ施工技能士などの資格を保有していると、技術力の証明となり顧客や元請けからの信頼を得やすくなります。

経験を積みながら営業力や経営知識も磨けば、安定した仕事を確保しやすく、自分の技術で収入や働き方を自由に選べる環境を構築できるでしょう。

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GATEN職の詳細
運営会社 株式会社アール・エム
対応地域 全国
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業種 建設業界中心
未経験
雇用形態 正社員、契約社員、アルバイト、業務委託
特徴 会員登録なしで求人に応募可能
住所 〒541-0052
大阪府大阪市中央区安土町2-3-13 大阪国際ビルディング5F
厚生労働省事業者届出番号 51-募-000945

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