建築士に必要な資格とは?必要なスキルや建築技師・建築施工管理技士との違いも解説!

建築士資格の種類と取り方まとめ! ガテン系の転職

建築士は、建物の設計と工事管理を担う責任のある職種です。

また、厚生労働省が発表した一般職業紹介状況によると、令和7年3月時点での建築士を含んだ建築・土木・測量技術者の有効求人倍率は5.82倍と、建築士は需要も大変高い職種になります。(引用:厚生労働省 一般職業紹介状況(令和7年3月分及び令和6年度分)について

しかし、「建築士の資格って何があるの?」「建築士の資格を取るのは難しそう」と考える方もいますよね。

本記事では、建築士資格の種類と取り方について詳しく解説します。

また、建築士資格の取得難易度や最短で資格を取得するルートも紹介するので、建築士に興味のある方はぜひ参考にしてください。

本記事の内容

  • 建築士資格の種類の紹介
  • 建築士資格の取り方や取得難易度の解説
  • 建築士資格を最短で取得するルートを紹介

建築士資格の種類

建築士の資格には3つの種類があり、それぞれの資格には設計できる建物の規模などに違いがあり、受験難易度にも大きな差があります。

建築士資格の種類

  • 一級建築士
  • 二級建築士
  • 木造建築士

それぞれの資格の特徴と受験難易度を詳しく解説します。

一級建築士

一級建築士の概要
特徴 建築士の中で最も上位に位置する国家資格
規模や構造、用途に関係なく、全ての建築物の設計・工事管理ができる
対応できる主な建物 超高層ビル
大型商業施設
マンション
病院や学校などの公共施設

一級建築士は、設計できる建物の範囲が非常に広く、建築士の中でも最も上位に位置する国家資格です。

超高層ビルや大型商業施設など、対応できる建築物の構造や用途に制限がないのが特徴です。

一級建築士の資格があれば、建築業界では非常に大きなアピールポイントになり、建築士としての転職や独立にも非常に有利に働くでしょう

ただし、一級建築士の責任も重く、建築に関する専門知識や実務経験が求められます。

一級建築士資格の難易度

一級建築士の国家試験は非常に難易度が高く、試験の合格率も非常に低いのが特徴です。

一級建築士の試験における、最近5年の合格率は以下の通りです。

学科試験の合格率 設計製図試験の合格率 総合の合格率(※)
令和6年 23.3% 26.6% 8.8%
令和5年 16.2% 33.2% 9.9%
令和4年 21.0% 33.0% 9.9%
令和3年 15.2% 35.9% 9.9%
令和2年 20.7% 34.4% 10.6%

(※)学科の試験から受験した者と、設計製図の試験から受験した者の合計から製図試験に合格した者の割合

引用: 国土交通省 一級建築士について

近年の総合合格率(学科+設計製図)は8〜10%程度で推移しており、一級建築士は受験者の約90%が不合格となる非常に難易度が高い試験です。

学科試験は非常に出題範囲が広く、設計製図試験も課題が毎年変わるので、一級建築士の試験で合格するには膨大な勉強が不可欠となります。

二級建築士

二級建築士の概要
特徴 中規模までの建物に対応できる国家資格
設計・工事管理できる建物には一部制限があるが、住宅や中小規模の建築物に広く対応できる
対応できる主な建物 一般的な戸建住宅
小規模な商店

二級建築士は、中小規模の建物に特化した建築士の国家資格です。

二級建築士は、住宅や小規模な店舗など、日常生活に密接した建物を設計・管理ができる資格で、戸建住宅の設計を目指す人にとって実用性の高い資格になります。

一級建築士に比べて、二級建築士の業務の範囲は制限されますが、設計できる建物の種類は多く、特に個人住宅の設計では主力として活躍できます。

また、一級建築士が381,303人、二級建築士が793,212人、木造建築士19,005 人と、二級建築士は登録している人が多いのも大きな特徴です。(引用:国土交通省 建築士登録状況

建築業界への入口としても二級建築士は人気があり、特に実務経験を積みながらステップアップを目指す若手建築士にとっては、キャリアの土台となる資格と言えるでしょう。

二級建築士資格の難易度

二級建築士の試験は一級建築士の試験よりはやさしいですが、難易度は決して低くはありません。

二級建築士の試験における、最近5年の合格率は以下の通りです。

学科試験の合格率 設計製図試験の合格率 総合の合格率(※)
令和6年 39.1% 47.0% 21.8%
令和5年 35.0% 49.9% 22.3%
令和4年 42.8% 52.5% 25.0%
令和3年 41.9% 48.6% 23.6%
令和2年 41.4% 53.1% 26.4%

(※)学科の試験から受験した者と、設計製図の試験から受験した者の合計から製図試験に合格した者の割合

引用:公益財団法人建築技術教育普及センター 二級建築士の試験結果

近年の総合合格率(学科+製図)はおおよそ22〜25%前後で推移しており、二級建築士の受験者の4人に1人程度しか合格できない試験です。

特に学科試験は、4科目のうち1科目でも基準点を下回ると不合格になるので、多くの勉強時間を必要とします。

木造建築士

木造建築士の概要
特徴 木造に限定した建築物の設計・工事管理ができる国家資格
設計できる建物には、構造・回数・延べ面積に厳しい制限がある
対応できる主な建物 木造平家住宅
小規模な木造2階建て住宅木造の物置・倉庫

木造建築士は木造の建物に特化した建築士の国家資格です。

木造建築士は、主に2階建て以下の木造住宅を対象に設計・工事監理ができ、日本の住宅事情に非常にマッチした資格になります。

木造建築士は、木の特性を活かした設計が求められ、温かみのある住まいづくりに興味がある人にとっては最適な資格と言えるでしょう。

木造建築士資格の難易度

一級建築士や二級建築士と比較すると、木造建築士の国家試験は難易度が低めです。

木造建築士の試験における、最近5年の合格率は以下の通りです。

学科試験の合格率 設計製図試験の合格率 総合の合格率(※)
令和6年 57.3% 70.8% 39.9%
令和5年 65.2% 70.4% 44.5%
令和4年 62.6% 59.0% 35.5%
令和3年 49.9% 67.7% 33.0%
令和2年 53.0% 72.1% 37.8%

(※)学科の試験から受験した者と、設計製図の試験から受験した者の合計から製図試験に合格した者の割合

引用:公益財団法人建築技術教育普及センター 木造建築士の試験結果

近年の総合合格率(学科+製図)はおおよそ35〜40%程度で推移しており、木造建築士の試験はおよそ3人に1人しか合格できない試験です。

木造建築に特化した専門的な知識や実務的なスキルが問われるため、木造建築の基礎から応用まで幅広く学ぶ必要があるでしょう。

一級建築士資格の取り方

一級建築士資格は、とても取得難易度の高い資格です。

一級建築士資格の取り方について、以下の3つのポイントについて詳しく解説します。

一級建築士資格の取り方

  • 一級建築士の受験資格
  • 一級建築士資格取得の最短ルート
  • 一級建築士資格の受験方法

一級建築士の受験資格

一級建築士の受験を受けるには、以下のような資格が必要です。

一級建築士の受験資格

  • 大学、短期大学、高等専門学校、専修学校等において指定科目を修めて卒業した者
  • 二級建築士・建築設備士
  • 国土交通大臣が上記の者と同等以上の知識及び技能を有すると認める者

2020年の法改正により、一級建築士試験の受験時点での実務経験が不要となりました。

しかし、試験合格後に一級建築士として免許登録する際に、所定の実務経験が必要となります。

学歴ごとの、一級建築士の免許登録に必要な実務経験は以下の通りです。

学歴 免許登録に必要な実務経験
大学卒業(指定科目終了) 2年以上
短期大学(3年制)卒業(指定科目終了) 3年以上
短期大学(2年制)・高等専門学校卒業(指定科目終了) 4年以上

一級建築士資格取得の最短ルート

一級建築士取得までの最短ルート

一級建築士の資格を最短で取得できるのは、大学卒業後に一級建築士の免許を登録するルートです。

具体的には、以下のようなルートであれば、一級建築士の資格を最短で取得できます。

一級建築士資格取得の最短ルート

  • 大学の建築学科に進学
  • 大学卒業後1年目か2年目に一級建築士の国家試験に合格
  • 実務経験2年を満たした時点で一級建築士の免許に登録

最終学歴が大学であれば、2年間で一級建築士として資格を取得できます。

つまり、22歳で大学を卒業した場合、社会人3年目の24歳頃には一級建築士の免許登録が可能です。

一級建築士資格の受験方法

一級建築士資格の具体的な受験方法は、以下の通りです。

一級建築士試験の受験概要(令和7年度の場合)
受験申込受付の時期 令和7年4月1日〜4月14日
受験手数料 17,000円(非課税)
(事務手数料として、クレジットカード決済は 281 円、コンビニエンスストア決済は 225 円必要)
受験日 学科試験:7月27日
設計製図試験:10月12日
受験場所 受験者の住所地の都道府県で受験
合格発表日 学科:9月3日
設計製図:12月24日

引用:公益財団法人建築技術教育普及センター 令和7年一級建築士試験受験要領

二級建築士資格の取り方

二級建築士資格は、一級建築士と比較して難易度は優しいですが、決して簡単な試験ではありません。

二級建築士資格の取り方について、以下の3つのポイントについて詳しく解説します。

二級建築士資格の取り方

  • 二級建築士の受験資格
  • 二級建築士資格取得の最短ルート
  • 二級建築士資格の受験方法

二級建築士の受験資格

二級建築士の受験資格は、以下の通りです。

二級建築士の受験資格

  • 大学、短期大学、高等専門学校、高等学校、専修学校、職業訓練校等において、指定科目を修めて卒業した者
  • 建築設備士
  • 建築実務の経験を7年以上有する者
  • その他都道府県知事が特に認める者

2020年の法改正により、学歴があれば実務経験がなくても、二級建築士の国家試験を受験可能となりました。

ただし、学歴が高卒の場合のみ、二級建築士の免許登録時に2年以上の実務経験が必要です。

二級建築士資格取得の最短ルート

二級建築士取得までの最短ルート

二級建築士は、大学・短大・高等専門学校などを卒業し、卒業後すぐに試験に合格して、免許登録するのが最短ルートです。

具体的には、以下のようなルートをたどれば、二級建築士の資格を最短で取得できます。

二級建築士資格取得の最短ルート

  • 建築系の短期大学、高等専門学校、大学などに進学
  • 卒業後すぐに二級建築士試験を合格
  • 合格後すぐに二級建築士の免許を登録

最終学歴が大学卒・短大卒・高等専門学校卒などであれば、卒業後すぐに二級建築士の資格を取得できます。

二級建築士資格の受験方法

二級建築士資格の具体的な受験方法は、以下の通りです。

二級建築士試験の受験概要(令和7年度の場合)
受験申込受付の時期 令和7年4月1日〜4月14日
受験手数料 18,500円(非課税)
(事務手続手数料として、クレジットカード決済は 306 円、コンビニエンスストア決済は 225 円必要)
受験日 学科試験:7月6日
設計製図試験:9月14日
受験場所 受験者の住所地の都道府県で受験
合格発表日 学科:8月25日
設計製図:12月2日

引用:公益財団法人建築技術教育普及センター 令和7年二級建築士試験・木造建築士試験受験要領

木造建築士資格の取り方

木造建築士資格は、主に木造の小規模な建物の設計や工事監理を担当する国家資格です。

木造建築士資格の取り方について、以下の3つのポイントについて詳しく解説します。

木造建築士資格の取り方

  • 木造建築士の受験資格
  • 木造建築士資格取得の最短ルート
  • 木造建築士資格の受験方法

木造建築士の受験資格

木造建築士の受験資格は、基本的には二級建築士の受験資格と同様です。

木造建築士の受験資格は、以下の通りです。

木造建築士の受験資格

  • 大学、短期大学、高等専門学校、高等学校、専修学校、職業訓練校等において、指定科目を修めて卒業した者
  • 建築設備士
  • 建築実務の経験を7年以上有する者
  • その他都道府県知事が特に認める者

2020年の法改正に伴い、木造建築士の受験資格において実務経験が不要となりました。

ただし、二級建築士と同様に、学歴が高卒の場合のみ、木造建築士の免許登録時に2年以上の実務経験が必要です。

木造建築士資格取得の最短ルート

木造建築士取得までの最短ルート

木造建築士は、大学・短大・高等専門学校などを卒業し、卒業後すぐに試験に合格して、免許登録するのが最短ルートです。

具体的には、以下のようなルートをたどれば、木造建築士の資格を最短で取得できます。

木造建築士資格取得の最短ルート

  • 建築系の短期大学、高等専門学校、大学などに進学
  • 卒業後すぐに木造建築士試験を合格
  • 合格後すぐに木造建築士の免許を登録

最終学歴が大学卒・短大卒・高等専門学校卒などであれば、卒業後すぐに木造建築士の資格を取得できます。

木造建築士資格の受験方法

木造建築士資格の具体的な受験方法は、以下の通りです。

木造建築士試験の受験概要(令和7年度の場合)
受験申込受付の時期 令和7年4月1日〜4月14日
受験手数料 18,500円(非課税)
(事務手続手数料として、クレジットカード決済は 306 円、コンビニエンスストア決済は 225 円必要)
受験日 学科試験:7月27日
設計製図試験:10月12日
受験場所 受験者の住所地の都道府県で受験
合格発表日 学科:8月25日
設計製図:12月2日

引用:公益財団法人建築技術教育普及センター 令和7年二級建築士試験・木造建築士試験受験要領

建築士資格の取得には学歴や実務経験が必要

建築士の資格には、一級建築士・二級建築士・木造建築士の3つがあり、それぞれの資格で設計できる建物の規模や受験難易度などに差があります。

どの建築士資格を取得する場合にも、学歴や実務経験が必要なので、計画的に準備する必要があります。

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