職人が独立するには?一人親方になるための準備や独立資金を紹介

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「職人として独立したいけど、何から始めれば良いのかわからない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

たとえば、建設業界では労働者の15.6%になる、約51万人の方が一人親方として独立しています。

建設業における一人親方の推計人数と割合

引用:国土交通省 一人親方問題に関する検討会

職人として独立すれば、自由に働けるだけではなく、収入アップのチャンスも広がるでしょう。

しかし、職人として独立するためには、事前にしなくてはいけない準備や手続きが山ほどあるのも事実です。

本記事では、職人として独立するために必要な準備や手続きについて、わかりやすく解説していきます。

一人親方として独立したい職人の方はぜひ参考にしてください。

本記事の結論
  • 職人として独立するには、開業届の提出や労災保険への特別加入などの手続きが必要
  • 職人として独立を成功させるためには、独立資金の用意や屋号名の銀行口座の開設などの事前準備が必須

建設業で一人親方として独立する方法!独立に必要な公的手続きも解説

職人が独立するには一人親方なら開業届を出すだけ

「職人として独立する」というと、「煩雑な手続きが必要なのではないか」と身構えてしまうでしょう。

しかし一人親方として独立するなら、最低限やっておいたほうがよい手続きは、税務署に開業届を出すことだけです。

なお開業届の提出も、義務ではありません。

開業届について

  • 開業届の出し方
  • 開業届を出さなくても罰則はない

開業届の出し方

開業届

開業届の提出は、税務署への持参や郵送、e-Taxで可能です。

開業届のための書類は税務署の窓口や国税庁のホームページから入手できます。

開業届の提出方法
手続対象者 新たに事業所得や不動産所得、山林所得が生じる事業を開始した方
提出時期 事業を開始した日から1ヶ月以内
作成・提出方法 パソコンからe-Taxソフトで届出書を作成の上、e-Taxにより提出(書面で届出書を作成の上、持参または送付による提出も可能)
添付書類 e-Taxにより提出の場合、本人確認書類等の提出は不要
提出先 納税地を所轄する税務署長(税務署の所在地などは国税庁ホームページを参照)
受付時間 e-Taxの場合:e-Tax利用可能時間(e-Taxホームページを参照)

持参の場合:税務署の開庁時間(平日8時30分〜17時)

(詳しい開業届の提出方法は、国税庁のホームページを参照してください)

開業届は、一人親方になるための第一歩です。

少し面倒に感じるかもしれませんが、正しく手続きを行えば、申告や各種制度の利用がスムーズになります。

しっかりと準備した上で、開業届を提出し、安心して一人親方になりましょう。

開業届を出さなくても罰則はない

職人が独立するにあたって、開業届を提出しなくても、罰則はありません。

しかし開業届を提出しないと、税金や助成金などの面でデメリットが多いので、提出がおすすめです。

開業届を提出しないデメリット

  • 節税効果が高い青色申告を利用できない
  • 助成金などの審査が受けられない
  • 屋号名(店名)の口座を持てないため、怪しいと思われやすい
  • 公的機関からの書類が個人の名前で発行されるため、経費を削減できない

独立しやすい仕事ランキング!独立開業しやすい仕事の特徴も解説

職人が独立前にしておきたい準備

独立を考えている職人は、会社に在籍しているうちから、準備を進めておきたいところです。

職人が独立前にしておきたい準備

  • 独立資金を最低100万円用意する
  • クレジットカードを作る
  • 作業車を購入しておく

独立資金を最低100万円用意する

建設業の職人に必要な独立資金は、労働局承認の一人親方団体労災センターによると、一人親方なら最低でも100万円です。

開業に必要な手続きは「開業届を出すだけ」なので、ほぼ0円で済みますが、実際は3ヶ月分の運転資金として数百万円が必要になります。

なぜ3ヶ月かというと、建設業では仕事をしてから収入が得られるまでに、約3ヵ月のタイムラグがあるからです。

独立してすぐに収入が得られるとは考えずに、少なくとも3ヵ月分は生活・仕事ができる独立資金を確保しておくことが目安になります。

具体的には、初期費用や運転資金として、以下のような用途でお金が必要となります。

独立するのに必要な初期費用や運転資金

  • 事務所を借りる費用(自宅を事務所とする場合には不要)
  • 工具・機材の購入費
  • パソコンやプリンターなど、オフィス備品の購入費
  • 車両費用
  • 営業許可取得費(建設業許可申請など)
  • 保険加入費用(労災保険や任意保険など)
  • 材料費
  • 車両維持費(燃料代や保険など)
  • 通信費
  • 保険料(国民保険や年金など)
  • 人件費(外注する場合)
  • 生活費

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クレジットカードを作る

会社員として働いているうちに、クレジットカードを作っておきましょう。

クレジットカードがあると、経費を現金で賄えなくなったときに役立ちます。

しかしクレジットカードの発行には、審査があります。

独立して収入が不安定になると、クレジットカードの審査に落ちやすくなるので、独立前に作っておきましょう。

作業車を購入しておく

職人が独立前にしておきたい準備として、「作業車の購入」が挙げられます。

作業車のローンを組むためには、社会的信用が必要です。

独立後に作業車のローンを組もうとしても、通らないことがほとんどなので、あらかじめ買っておくことをおすすめします。

職人が独立時にやっておきたい手続き

独立のための資金や作業車が準備でき、いざ独立するとなったら、次の手続きをしておくといいでしょう。

職人が独立時にやっておきたい手続き

  • 屋号名の銀行口座を開設する
  • 青色申告の手続きをする
  • 国民年金・国民健康保険の手続きをする
  • 労災保険に特別加入する
  • 個人事業開始申告書を出す

これらの手続きは義務ではなく、基本的には任意ですが、節税や信用度アップなどのメリットがあります。

屋号名の銀行口座を開設する

独立後に、屋号名の銀行口座を開設しましょう。

屋号名で銀行口座を開設すると、以下のようなメリットがあります。

屋号名で銀行口座を開設するメリット

  • 取引先から信頼されやすくなる
  • プライベートと事業のお金を分けられ、確定申告などの税務処理がスムーズになる
  • 事業の実態を示す一つの材料となり、融資や補助金申請時に有利になる

屋号付きの銀行口座を作る方法は以下の通りです。

屋号付きの銀行口座を作る方法

  1. 屋号を決める
  2. 開業届を提出する(開業届の提出が必須!)
  3. 金融機関を選定し、銀行口座を申し込む(開業届の控えが必要)
屋号付きの銀行口座を開設するためには、開業届の提出が必須です。

事前に開業届を提出した上で、銀行口座申し込み時には本人確認書類や印鑑に加えて、開業届の控えを準備しましょう。

青色申告の手続きをする

節税対策になるので、青色申告承認申請を提出するのがおすすめです。

青色申告承認申請をするメリット

  • 最大65万円の控除(青色申告特別控除)が受けられる
  • 赤字を3年間繰り越せる
  • 家族に支払う給与を経費にでき、節税につなげられる
  • 金融機関や取引先の信用が上がる

青色申告承認申請は書類の税務署への提出や送付、e-Taxのいずれかの方法で対応可能です。

青色申告承認申請の提出方法
手続対象者 新たに事業所得や不動産所得、山林所得が生じる業務を行う方
提出時期 青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで(1月16日以後、新たに事業を開始する場合には、事業開始日から2ヶ月以内)
作成・提出方法 e-Taxソフト(WEB版)の「マイページ」から申請(書面で申請書を作成の上、持参又は送付による提出も可能)
提出先 納税地を所轄する税務署長(税務署の所在地などは国税庁ホームページを参照)
受付時間 e-Taxの場合:e-Tax利用可能時間(e-Taxホームページを参照)

持参の場合:税務署の開庁時間(平日8時30分〜17時)

(詳しい青色申告承認申請の提出方法は、国税庁のホームページを参照してください)

国民年金・国民健康保険の手続きをする

会社を辞めて独立したら、自分で「国民年金」と「国民健康保険」に切り替える必要があります。

国民年金 国民健康保険
手続き場所 住んでいる市町村の市役所や区役所
手続きのタイミング 前職の退職日の翌日から14日以内
申請に必要な書類 本人確認書類(運転免許書など)

マイナンバーカード、通知書

年金手帳

厚生年金資格喪失証明書(前の勤務先から発行)

本人確認書類(運転免許書など)

マイナンバーカード、通知書

健康保険資格喪失証明書(前の勤務先から発行)

国民年金や国民健康保険の手続きをするには、前の勤務先から発行される「厚生年金資格喪失証明書」や「健康保険資格喪失証明書」が必要となるので、忘れずに受け取ってください。

手続きを忘れてしまうと、年金が未加入状態になったり、無保険状態で医療費が全額自己負担となるので注意しましょう。

労災保険に特別加入する

一般的に労災保険は会社員でないと加入できませんが、一人親方の場合には特別加入という形で労災保険に入れます。

労災保険は本来、労働者が強制加入する保険ですが、一人親方は仕事中の事故が多いため、労災保険に特別加入できます

一人親方の場合には労災保険への加入は必須ではありませんが、特別加入するのが推奨されています。

一人親方が労災保険に入るメリット

  • 業務中や通勤中のケガや事故に備えられる
  • 万が一の際に、収入が途絶えるリスクが減る
  • 元請け企業からの信頼につながる
  • 現場によっては労災保険への加入が、仕事を受ける必須条件の場合がある

「自分はケガなんてしない」と思っていても、現場で何が起こるかはわかりません。

独立後に自分を守ってもらう後ろ盾にするためにも、労災保険には加入してください。

個人事業開始申告書を出す

個人事業通告書とは都道府県に対して提出する、都道府県に事業を開始したことを知らせる書類です。

開業を知らせる種類には開業届がありますが、個人事業開始申告書との違いは以下の通りです。

開業届 個人事業開始申告書
目的 所得税など国税のため 住民税や事業税など地方税のため
提出先 管轄する税務署 各都道府県の税事務所
提出期限 事業開始から1ヶ月以内 都道府県により異なり、提出が義務化されていない地域もある

 個人事業開始申告書は提出が義務化されていない地域もありますが、住民税や事業税の課税処理がスムーズになるので、提出するようにしましょう。

職人の独立に関するQ&A

独立に興味がある職人からは、「そもそも職人に独立はあり?」「職人に多い独立理由は?」などの疑問がよく挙がります。

職人の独立に関する質問

  • 職人に独立はあり?
  • 職人が独立する理由は?
  • 職人の独立でよくある失敗は?
  • 職人の独立を成功させるコツは?
  • 職人の独立におすすめの時期やタイミングは?

職人に独立はあり?

はい、職人に独立は「あり」です。

多くの職人が独立して、自分の事業を立ち上げています。

ただし独立すると、稼ぎやお客様からのクレームなどは、すべて自分の責任です。

社会保険や年金なども、自分ですべて負担する必要があります。

思い切りのよさだけではなく、高い志や、仕事に対する向上心が必要です。

なお独立だけではなく、転職で現在の悩みを解消する手段もあります

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職人が独立する理由は?

職人が独立する理由は様々ですが、主な理由としては以下のようなものが挙げられます。

職人が独立する理由

  • 自由な働き方ができる: 自分のペースで仕事がしたい、働く時間や場所を自由に選びたいという理由が多いです。
  • 稼ぎたい: 独立することで、会社員時代よりも高い収入を得られる可能性があります。
  • 自分の力を試したい: 自分のスキルや経験を活かして、どこまでできるか試したいという気持ちから独立する人もいます。
  • 人間関係のストレスを軽減したい: 会社組織の人間関係に悩んでいる人が、独立してストレスを軽減したいと考えることがあります。
  • 夢の実現: 自分が理想とする仕事を実現したい職人は、夢の実現のために独立することがあります。

たとえば、建設業で独立して一人親方になると、収入面で大きなメリットがあります。

厚生労働省の調査では、正社員として働いている建設業の人の平均月収は35万3,700円でした。

雇用形態・性・産業別賃金、対前年増減率及び雇用形態間賃金格差

引用:厚生労働省 賃金構成基本統計調査

全建総連東京都連の報告によると、一人親方の月収はどの職種でも、正社員として働いている人の月収を超えているのがわかります。

建設業の一人親方の職種別平均月収

引用:全建総連東京都連 2022年(R4年)賃金調査報告書 (1日あたりの賃金 × 20日で月収を計算)

職人が独立すれば、会社員時代より年収がアップできる可能性が高いです。

職人の独立でよくある失敗は?

職人の独立でよくある失敗のパターンは以下の通りです。

職人の独立でよくある失敗のパターン

  • 営業や集客を軽視する
  • 見積もりや請求、経理などの事務作業でつまずく
  • ケガや病気で収入がゼロになる
  • オーバーワークで心身を壊す
  • 適正な単価交渉ができずに、利益が出ない

職人で独立するメリットは多くありますが、必ずしも成功するわけではありません。

失敗するパターンを理解し、失敗を避けるようにしましょう。

職人の独立を成功させるコツは?

失敗を避け、職人としての独立を成功させるためには、以下のようなポイントを守ってください。

職人の独立を成功させるコツ

  • 技術だけではなく、人脈を大切にする
  • 収支管理や税務処理など、お金に関する知識を学ぶ
  • 営業活動に力を入れる
  • 契約内容は必ず書面に残すようにする
  • 労災保険に特別加入する

技術力に加えて経営視点を持ち、人とのつながりを大切にすれば、安定したスタートにつながるでしょう。

独立に不安はつきものですが、焦らずに準備を進めれば、職人としての独立を成功させられるでしょう。

職人の独立におすすめの時期やタイミングは?

職人の独立におすすめのタイミング

  • 一般的には7~10年前後の経験を積んだとき
  • 仕事が一通りできるようになったとき
  • 親方が年を重ねてきたとき
  • 今の会社に将来性を感じなくなったとき
  • 会社と考えが合わなくなったとき

日本建築塗装職人の会によると、塗装店の職人は、早い人で5年、一般的には7~10年前後の経験を積んだタイミングで独立しています。

塗装屋の独立タイミング

引用:日本建築塗装職人の会「塗装屋で独立するために

ただし、これは塗装屋の場合です。

たとえばユニットバス職人は、1年もあれば一人で作業ができるようになると言われています。

この場合は、もっと早い時期から独立できるでしょう。

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