防水工は、建物を雨や湿気から守る重要な仕事であり、リフォーム需要の高まりとともに将来的な需要が拡大している職種です。
国土交通省が発表した「建築物リフォーム・リニューアル調査報告」によると、令和6年度の建築物リフォーム・リニューアル工事受注高の合計は、13兆8,303億円で、対前年度比4.2%増加しています。
また、令和7年4月の全職種の有効求人倍率が1.26倍に対して、防水工事業を含む建築・土木の求人倍率は約5.12倍と高く、今後も需要が見込まれる職種です。
参照元:一般職業紹介状況(令和7年4月分)について|厚生労働省
こうした背景から、防水工として独立を検討する人もいます。
本記事では、防水工の平均年収や必要な資格、開業手続きの流れまでをわかりやすく解説します。
独立は難しそうに感じるかもしれませんが、正しい準備と知識があれば十分に実現可能です。
防水工として独立を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
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防水工とは
防水工とは、建物を雨や湿気から守るために防水処理を行う専門職です。
防水工事業は、根本的な機能である漏水のない建築物という品質保証の重要な役割を担っている専門工事業として位置づけられています。
仕事内容は、ゼネコン等から防水工事を受注し、適切な防水工法に基づいて屋上、地下室、水回りの床、外壁などに防水施工をする仕事です。引用:防水工事業|厚生労働省
主な仕事内容は、屋上・ベランダ・外壁・浴室などに防水材を塗布したり、シートを貼ったりして、水が建物内部に浸入するのを防ぐ施工を施します。
工法にはウレタン防水、シート防水、アスファルト防水などがあり、現場の構造や気候条件によって最適な方法を選択します。
防水工は建築の最終工程を担うため精密な作業と高い技術力が求められ、ミスがあると雨漏りなどの重大なトラブルにつながるため、重要で専門性の高い職種です。
以下では、独立後の防水工の仕事内容や、しんどいといわれる理由を解説します。
独立した防水工の仕事内容
独立した防水工の仕事は、建物を雨や湿気から守るために、防水層を施工・補修する専門業務が中心です。
主に屋上やベランダ、外壁、浴室などで防水工事を行います。
- 古い防水層の撤去
- 下地処理
- ウレタン塗膜・シート・FRPなどの防水材を使った施工
- 仕上げ塗装
独立後は作業を一貫して担当する必要があり、下地処理や防水層の形成は品質を左右する重要な工程のため、高度な技術と集中力が必要です。
一方、独立後は会社員時代と異なり、自ら営業を行い、仕事を確保しなければなりません。
現場作業に加え、見積もり作成・材料の仕入れ・営業活動も自分で行います。
資金繰りや経費管理、資格取得による信頼獲得など、経営面の能力も成功の鍵を握ります。
現場の安全管理や品質確認なども含め、職人であり、経営者でもある働き方が求められるのが特徴です。
防水工が「しんどい」といわれる理由
防水工の仕事が「しんどい」と言われる理由には、以下の点が挙げられます。
- 体力的負担が大きい
- 働く環境の厳しさ
- 精神的なプレッシャーが大きい
防水工事は屋外作業が中心のため、真夏の猛暑や冬の寒さに直接さらされるうえ、雨天時は作業が中止されやすく、スケジュールが不安定です。
さらに、重い資材を運搬したり、長時間中腰姿勢で作業することから、腰や膝への負担が大きい職種でもあります。
国土交通省の調査によると、若手の建設技能労働者が入職しない原因として、長時間労働・賃金の不安定さ・人間関係の厳しさが挙げられるなど、しんどいイメージが浸透しています。

参照元:建設技能労働者を取り巻く状況
防水工は建物を守る重要な技術職としての誇りを持ちつつも、きつい・汚い・危険などしんどいイメージを持たれる職種です。
防水工の年収は約453.4万円
防水工の年収は約453.4万円で「令和6年分 民間給与実態調査」で提示されている全職種の平均年収478万円を下回る水準です。
一方、年収は経験年数や年齢に応じて上昇する傾向があり、努力次第で高収入が得られる職種ともいえます。
| 防水工の年収推移 | |
|---|---|
| 20〜24歳 | 322.4万円 |
| 25〜29歳 | 386.1万円 |
| 30〜34歳 | 438万円 |
| 35〜39歳 | 470.5万円 |
| 40〜44歳 | 498.1万円 |
| 45〜49歳 | 531.9万円 |
| 50〜54歳 | 522.7万円 |
| 55〜59歳 | 588.3万円 |
| 60〜64歳 | 463.4万円 |
| 65〜69歳 | 427万円 |
| 70歳〜 | 354.5万円 |
年齢別では、経験年数が15年以上となる45〜49歳の年収が531.9万円と平均年収よりも大幅に増加しているのがわかります。
防水工は、スキルや経験を重ねることで高収入が得られる職種であり、学歴や年齢関係なく、実力次第で結果がでるのが特徴です。
以下では、独立した防水工の年収を詳しく解説します。
防水工の年収
独立した人の平均年収は473万円!個人事業主の業種別平均年収や独立して儲かる職種も紹介
独立した防水工の年収
独立した建設業界の年収は、一般的に612万円程度が目安とされています。
ただし、これは平均値であり、実際には技術力・経営力・受注状況によって大きく差が生じます。
防水工として独立すると、会社員時代のような固定給ではなく、請負制となるため、自ら営業して案件を獲得するほど収入は上がります。
とくに元請けとして直接依頼を受ける場合は、下請けよりも利益率が高く、年収1,000万円以上を狙うことも可能です。
一方で、仕事が途切れると収入が不安定になるリスクもあります。
高収入を得るには、防水施工技能士1級などの資格取得により信頼性を高め、顧客や元請けとの人脈を築くことが重要です。
一人親方の防水工の年収
一人親方として働く場合の平均年収は、約591万円で推移しています。
一方、防水工の一人親方の日給は建設業界の中でも高く、24,727円程度です。
24,727×22日間の労働で543,994円となり、単純計算で月給約50万円程度を稼げます。
高単価の現場を継続的に受注できる人は、年収1,000万円超も夢ではありません。
一人親方は会社に属さないため、材料費や車両費、保険料などの経費を自分で負担しますが、その分、仕事量や単価を自分で調整できる自由度があります。
安定して収入を得るには、資格取得や元請け企業との信頼関係構築、経営者としての手腕が求められます。
建設業で独立して一人親方になるには?手続き・費用・資格について分かりやすく解説
防水工として独立する方法・手続き
防水工として独立する方法は、主に個人事業主として開業するか、会社を設立するかの2通りです。
中小企業庁の分析によると、建設業者は個人事業主よりも法人のほうが多く、比較的組織的な経営をしているのがわかります。

参照元:小規模事業者の類型化
個人事業主として独立する場合は、税務署に「開業届」と「青色申告承認申請書」を提出すればすぐに開業できます。
初期費用が少なく、比較的手軽に始められるのが特徴です。
一方、会社を設立する場合は、登記や定款作成などの手続きが必要ですが、社会的信用が高く、大型工事の受注にもつながります。
事前に資金計画や必要書類を整え、正確な手続きを行うことが独立成功の第一歩です。
防水工として独立する方法・手続き
個人事業主として独立する
防水工として独立する際に最も多い形が、個人事業主としての独立です。
社会的信用は法人より低いですが、税務署に「開業届」を提出すれば事業を始められ、設立費用もかかりません。
自由な働き方にくわえて、日給制や請負契約により、努力次第で収入を大きく伸ばせることも魅力です。
まずは個人事業主として経験を積み、安定した顧客基盤を築いた上で法人化を目指すのが長期的に事業を継続するためには適した方法といえます。
会社を設立する
防水工として事業が軌道に乗り、案件規模が大きくなった段階で検討されるのが会社設立です。
法人化すると社会的信用が向上し、大手企業や公共工事の元請け案件を受けやすくなるメリットがあります。
また、自身の給料や生命保険の一部、自宅を社宅扱いにした家賃の一部を経費計上できるため範囲が広くなり、所得が800万円を超えると法人税率の方が所得税より有利になるケースもあります。
防水工として独立するための手続き
防水工として独立する際には、事業開始前に行政手続きと資格確認を行う必要があります。
まず、個人事業主は税務署へ「開業届」と「青色申告承認申請書」を提出し、事業用口座を開設します。
法人化する場合は、法務局で登記を行い、会社設立届出書を提出します。
専任技術者として防水施工技能士1級などの資格が求められます。
また、2023年開始のインボイス制度に対応するため、課税事業者登録を行うか、免税事業者のままにするかを判断する必要があります。
これらを踏まえ、開業資金や保険加入、資格取得を計画的に進めることが、独立への第一歩です。
防水工の独立に必要な資格
防水工として独立するには、法律上必須の資格はありません。
ただし、安全面や顧客からの信頼を得るために、取得しておくと有利な資格があります。
代表的なのが、国家資格である「防水施工技能士」と「有機溶剤作業主任者」です。
資格を持つことで、豊富な知識や高い技術があることの証明となり、独立後の受注機会が増えるため、取得を強くおすすめします。
以下に各資格の特徴や難易度をまとめています。
土木業で独立するには?必要な資格や独立するメリット・デメリットを紹介
防水施工技能士
防水施工技能士は、防水工事に必要な知識と技術を国が認める国家資格です。
資格保有者は、防水材料の知識があることはもちろん、施工技術の実施や工程管理ができると認識されます。
取得すると、専門技術があることを証明できるため、顧客や元請けからの信頼が高まり、仕事の受注に有利です。
さらに、建設業許可の専任技術者要件を満たせるため、独立や事業拡大の際に有利となるでしょう。
| 級 | 受験条件 | 試験内容 |
|---|---|---|
| 1級 | 実務経験7年以上 | ・学科試験:防水材料の性質、施工方法、安全衛生、関係法規など ・実技試験:ウレタン・シーリングなど指定工法での施工作業 |
| 2級 | 実務経験2年以上 | ・学科試験:防水材料の性質、施工方法、安全衛生、関係法規など ・実技試験:ウレタン・シーリングなど指定工法での施工作業 |
合格率2級約50〜60%、1級約40〜50%とされており、1級は実務経験に加え、正確な仕上げ技術や現場判断力が求められるため、やや難易度は高めです。
有機溶剤作業主任者
有機溶剤作業主任者は、有機溶剤を扱う現場で安全管理を行うための国家資格です。
防水工事では、ウレタン塗膜防水やシンナー系溶剤などを使用することが多く、現場に必ず1人以上の有資格者を配置することが法律で義務づけられています。
(作業主任者)
第十四条 事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。
資格保有者は、労働者の健康被害や中毒事故を防ぐために必要な知識を持っていることの証明となります。
試験はなく、厚生労働省認可の講習(約2日間)を受けることで取得可能です。
受講資格に学歴・実務経験の制限はなく、誰でも取得できます。
独立後に幅広い現場で対応できるようになるためには、安全性・信頼性の両面から欠かせない資格です。
防水工として独立するメリット
防水工として独立すると、仕事や経営のすべてを自分で管理する必要があり、営業活動や資金繰りなど苦労する点もあります。
しかし、その分得られるメリットは大きいです。
株式会社マイナビが行った調査によると、フリーランスという働き方への満足度は59.6%と、半数以上の人が満足していると回答しています。
理由には「私生活との両立(65.7%)」「仕事内容(64.3%)」を上げる人が多く、働き方の自由度や仕事を選択できる点が評価されているのがわかります。
独立は、努力が収入や評価に直結するため、自分の腕一本で成功を掴みたい人には大きなやりがいがあります。
以下では、防水工として独立するメリットについて詳しく解説していきます。
防水工として独立するメリット
収入アップが見込める
防水工として独立する魅力は、会社員時代より高い収入を得られる可能性があることです。
独立した防水工の平均年収は約600万円程度とされ、全職種の平均478万円を上回ります。
さらに、営業力や技術力を磨き、元請けとして直接仕事を受けられるようになれば、年収1,000万円以上も現実的な目標となります。
また、経費管理を工夫することで手取り収入を増やすことも可能です。
努力や経営次第で収入が大きく変動するため、挑戦意欲の高い人にとっては、非常にやりがいのある働き方といえます。
仕事内容を選択できる
防水工として独立すると、働く時間や現場、取引先を自分で選べる自由が得られます。
会社員のように上司の指示に従う必要がなく、自分の技術や努力が直接評価され、報酬に反映されるのが特徴です。
自由な働き方は、技術力と責任感のある職人ほど成果が出やすく、自分の腕一本で道を切り拓く実感が得られる点が大きな魅力です。
人間関係のストレスがなくなる
防水工として独立すると、人間関係のストレスが大幅に減るという利点があります。
会社員時代のように上司や同僚との上下関係、職場内の人間関係に気を遣う必要がなく、自分のペースで仕事が進められます。
現場では必要最低限の打ち合わせを行うだけで、人付き合いよりも技術や仕事の成果が重視されます。
独立は人との衝突が苦手な職人気質の人にも向いている働き方といえます。
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防水工としての独立は、十分に実現可能です。
独立すれば、仕事量や働き方を自分で決められ、高収入を目指せます。
一方で、独立で成功させるためには高い技術力と正確な施工スキル、そして「防水施工技能士」や「有機溶剤作業主任者」といった資格の取得が欠かせません。
確かな技術と準備が整えば、安定した仕事と収入を得られる職業といえます。
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