溶接工として独立するには?年収や必要な資格・手続きをわかりやすく解説

ガテン系の独立

溶接工として独立を検討している人の中には「本当に成功できるのか」「収入は上がるのか」「資格は必要なのか」と不安を感じる人もいるでしょう。

溶接工は、専門的な知識が必要な職種ですが、現場経験を積み、必要な資格を取得すれば、一人親方として高単価の仕事を受けることが可能です。

国土交通省が発表した「一人親方問題の背景」によると、建設業界で一人親方の人は全体の15.6%で、約6人に1人は独立して事業を行っています。

溶接工は技術力が評価されやすい職種であり、独立によって年収が大きく伸びる可能性があります。

この記事では、溶接工として独立するための方法や手続き、年収の目安、必要な資格まで解説します。

独立に関する不安を解消し、自分の力でキャリアを築く際の参考にしてください。

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溶接工とは

溶接工とは、金属同士を高温で溶かして接合し、強固な構造物を作る専門技術職のことです。

鉄骨や配管、機械部品などを図面に基づいて加工・溶接し、製品を完成させていきます。

作業する場所は、建設現場、造船所、プラント、製造工場など幅広い現場で活躍します。

勤務先は、造船、自動車、車両、重電機メーカーなどの製造業、ビルディングや橋のような鉄骨構造物を建設する建設業などが一般的

溶接工には、精密な技術と集中力が求められ、資格や経験によって扱える作業範囲も広がります。

金属加工や製造の基盤を支える仕事であり、建築・インフラ・機械製造など、社会のあらゆる分野で欠かせない職種です。

独立した溶接工の仕事内容

独立した溶接工は、企業に所属せず一人親方や個人事業主として活動します。

主な仕事場は、建設現場・鉄骨工場・造船所・プラント・自動車修理工場など会社員時代とは異なり、仕事場が広範囲となります。

仕事内容は、金属の切断・溶接・仕上げを行い、建物の骨組みや配管、タンク、機械部品などを製作・補修すること

会社員の場合は溶接に関する作業だけで仕事は完結しますが、独立後は現場作業だけでなく、営業・見積もり・契約・材料の仕入れ・事務処理などもすべて自分でこなさなければなりません。

また、仕事を安定して得るために取引先との信頼関係を築く営業力を身につけることも重要です。

溶接工が「しんどい」といわれる理由

溶接工が「しんどい」と言われる理由は、体力面・精神面・環境面の負担が大きいためです。

まず、体力的には重い鉄材の運搬や長時間の立ち仕事が多く、夏場は溶接時の熱気で40度を超える現場もあります。

国土交通省と厚生労働省が公表している「建設業における安全衛生をめぐる現状について」によると、全職種の中で建設業界の熱中症発生率はトップで、万全な熱中症対策がかかせません。

さらに、火花・煙・騒音といった厳しい作業環境で集中力を切らさずに作業する必要があり、精神的な緊張も続きます。

一方で、溶接技術は建設・製造・インフラ整備など多くの業界で欠かせない技術であり、AIや機械では代替が難しい専門職です。

資格と経験を積めば独立や高収入も目指せるため、厳しさの中にも将来性と安定性のある仕事といえます。

溶接工の年収は約452.5万円

溶接工の年収は約452.5万円と、全職種の平均年収478万円より低い傾向にあります。

溶接工の平均年収と給料
溶接工の平均年収 約452万5,000円
溶接工の平均給料 約25万4,000円

参照元:溶接工-職業詳細|職業情報提供サイト(job tag)

新卒や未経験者では年収300万円台から始まりますが、熟練者や特殊溶接(TIG・アーク・半自動など)の技術を持つ人は年収は高くなります。

熟練者や特殊溶接技術者が増える40〜44歳の平均年収は531.3万円と、全職種の40〜44歳の平均給与516万円よりも高くなるのが特徴です。

一方で、独立して一人親方や事業主になると、年収は700万円〜1,000万円超を狙える可能性があります。

全権総連東京都連が実施した賃金調査報告書によると、土木に従事する一人親方の日給は20,652円であり、月22日勤務した場合約45万円の収入が見込めます。

参照元:職種別の1日あたり賃金

企業に所属する場合と違い、元請けや直接契約による高単価案件を受注できるためです。

特に、プラント・造船・鉄骨など高難度の現場では高単価での契約が多く、高い技能を持つ職人ほど高収入が狙えます。

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溶接工として独立する方法・手続き

溶接工として独立には「個人事業主として開業する」か「会社を設立する」の2つの方法があります。

一般的に初期費用が少なく始められる個人事業主として独立し、事業が軌道に乗った段階で法人化を検討する流れです。

しかし、建設業界では、信頼や人脈を重視する傾向があるため、会社設立を選択する人が個人事業主よりも多い傾向にあります。

どちらの場合も、事業内容に応じて建設業許可や必要な資格(アーク溶接技能者など)を取得しておくと、信頼性が高まり仕事の受注が有利になります。

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個人事業主になる

溶接工として独立する際の一般的な方法が「個人事業主」として開業する形です。

個人事業主は、税務署へ「開業届」を提出するだけで始められるため、初期費用や手続きの負担が少なく、比較的簡単に独立できます。

自分のペースで仕事を受けられるため、フリーランスのように柔軟な働き方が可能

また、個人事業主は会計処理や税務を自分で管理する必要がありますが、青色申告を活用すれば節税効果も期待できます。

まずは自分の技術で稼ぎたい人や、少ない資金で早く独立したい人に向いている独立方法です。

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会社を設立する

「会社設立」は、事業規模を拡大し、取引先や公共工事など大きな案件を請け負いたい人に適した方法です。

法人にすることで社会的信用が高まり、銀行融資や元請け契約を受けられるようになる

また、経費計上の範囲が広くなり、役員報酬や社用車、作業服などを経費にできる点もメリットです。

一方で、設立費用(合同会社で約6万円〜、株式会社で約15万円〜)や、事務・会計の手間が増えるため、一定の経営知識が必要です。

従業員を雇って仕事を拡大したい人や、安定した取引先を増やしたい人に向いています

溶接工として独立する手続き

溶接工として独立するには、まず「個人事業主」として開業するか「会社を設立」するかを決め、それぞれに応じた手続きを行います。

個人事業主の流れ
  1. 事業内容や屋号(任意)を決める
  2. 税務署に書類を提出する
  3. 建設業許可や職種に応じた資格を取得する
  4. 経費・売上を帳簿に記録し、確定申告を行う

個人事業主の場合は、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出することで開業できます。

あわせて「青色申告承認申請書」を出しておくと、経費計上や節税の面で有利になります。

会社設立の流れ
  1. 株式会社か合同会社を選択する
  2. 会社のルールをまとめた定款を作成し、公証役場で認証する
  3. 法務局に会社設立登記を行い、法人番号が付与される
  4. 税務署や年金事務所に法人設立届や社会保険関係書類を提出する

会社を設立する場合は、まず定款の作成・認証、登記申請、法人印の届出などの手続きが必要で、法務局で登記を完了させることで正式に法人として認められます。

溶接工の独立に必要な資格

溶接工として独立する際、法律上必須の資格はありません。

しかし、仕事の幅を広げたり、取引先からの信頼を得るためには資格が非常に有利です。

中でも「溶接監理技術者」「アーク溶接技能者」などの資格は、溶接工の知識がある証明となります。

以下では、各試験内容や難易度、合格率などを紹介します。

溶接管理技術者

溶接監理技術者は、鋼構造物などの溶接・接合工事において、「設計・施工計画・管理・品質検査」まで含めた溶接業務全体を統括できる技術者であることを証明する資格です。

資格保有者は、溶接作業だけでなく設計・工程管理・品質保証までを総合的に理解しており、独立後も顧客や元請会社に「安全で高品質な施工ができる」と信頼されるため、継続的な受注や高単価案件の契約につながります。

受験条件 試験内容
特別級 実務経験:1級合格後3年以上 ・学科試験:国際規格(ISO 3834など)に準じた溶接品質管理
・実技試験
1級 実務経験:2級合格後3年以上 ・学科試験:溶接材料・施工法・品質管理・安全衛生・溶接構造設計・非破壊検査・品質保証
・実技試験
2級 実務経験:7年以上 ・学科試験:溶接材料・施工法・品質管理・安全衛生
・実技試験

特別級、1級の合格率は20〜30%、2級の合格率は50〜60%と級によって合格率に幅があります。

2級は、現場経験を活かせば合格可能なレベルですが、1級や特級は現場監督・技術責任者クラスの知識、工場や現場全体を統括できるレベルの知識が必要です。

アーク溶接作業者

アーク溶接作業者は、アーク溶接等の業務をするために必要な「アーク溶接特別教育」を修了した人のことです。

国家試験のような合否判定がある資格ではなく、講習を修了すれば取得できます。

受験条件 費用 試験内容
満18歳以上 10,000〜25,000円程度 ・学科(11時間):アーク溶接等に関する知識・アーク溶接装置に関する知識・アーク溶接等の作業方法に関する知識など
・実技(10時間):アーク溶接装置の取り扱い及びアーク溶接等の作業の方法

講習は安全衛生法に基づくため、未受講でアーク溶接作業を行うと法令違反になります。

実務経験がない場合でも、現場で溶接を担当する前に必ず受講しておく必要があります。

溶接工として独立するメリット

溶接工として独立するメリットは、技術力に応じて高収入を狙えることです。

独立すると、自分の技術や努力が直接報酬に反映され、請け負う仕事の規模や単価を自由に選べます。

マイナビが実施した「フリーランスの意識・就業実態調査」でも、「私生活との両立」「仕事内容」に満足している人の割合が高く、会社員時代にはない働き方に満足している人が多いのがわかります。

さらに、勤務時間や休日を自分で調整できるため、働き方の自由度が高い点も魅力です。

独立には会社員時代にはない営業や経営管理などの負担もありますが、経験や資格を活かして顧客から信頼を得られれば、安定した仕事と高い収入の両立が可能です。

収入がアップする

溶接工として独立するメリットは、収入アップが期待できることです。

全権総連東京都が公表している賃金調査報告書によると、一人親方の年収は900万円に達する場合もあり、溶接工の平均年収452万円を大幅に上回ります。

会社員時代は給与が固定されており、どれだけ多くの仕事をこなしても収入に上限があります。

しかし、独立すれば請け負う仕事の量や単価を自分で決められるため、実力次第で年収1,000万円を超えることも可能です。

特に高度な技術と正確さが求められ、わずかなミスが大事故や数千万円規模の損失につながる建設・造船・プラントといった分野では、熟練溶接工への需要が高く、技術力がそのまま収入に直結します。

もちろん、営業力や経営感覚も求められますが、努力が成果に反映されやすく、働いた分だけ報われる点が独立の大きな魅力です。

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仕事内容を選択できる

独立した溶接工は、自分の得意分野や働き方を自由に選べる点が魅力です。

起業家が起業をする動機にも「自由に仕事がしたかった」が挙げられています。

会社員時代は配属先や現場内容を選択できませんが、独立すれば得意な分野(配管溶接・鉄骨溶接・ステンレス加工など)や、興味のある業界(建築、造船、製造など)に特化して働くことができます。

また、仕事量やスケジュールも自分で調整できるため、繁忙期を避けて休みを取ったり、単価の高い仕事に絞って受注したりすることも可能です。

自由度の高い働き方ができることは、独立ならではの大きなメリットといえるでしょう。

人間関係のストレスが少ない

溶接工が独立するメリットには、人間関係のストレスが大幅に減る点も挙げられています。

会社員時代は上司や同僚との関係、現場ごとの人間関係に悩まされることも少なくありません。

国土交通省が公表しているデータでは、若手が建設業界に入職しない理由に職業イメージの悪さが挙げられており、上下関係や人間関係が原因で入職しない人が一定数いることがわかります。

参照元:若手の建設技能労働者が入職しない原因

しかし、独立後は基本的に一人で作業することが多く、現場の人間関係に縛られにくくなります。

また、取引先や顧客も自分で選べるため、信頼できる相手と長期的な関係を築くことができます。

ストレスが少ないことで仕事の質も向上し、結果として信頼や報酬にもつながる点が、独立溶接工の大きな強みです。

溶接工として独立するならGATEN職の利用がおすすめ

溶接工としての独立は、専門的な知識と技術を活かして収入アップが目指せる選択肢の1つです。

溶接は建設・製造・プラントなど多くの業界で必要とされるため、需要が安定しており、経験を積めば自分の力で仕事を得られます。

ただし、独立して成功するためには「アーク溶接技能者」や「溶接管理技術者」といった資格取得に加えて、高度な技術力と現場経験が必要です。

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GATEN職の詳細
運営会社 株式会社アール・エム
対応地域 全国
求人数 7,301件(2025年10時点)
業種 建設業界中心
未経験
雇用形態 正社員、契約社員、アルバイト、業務委託
特徴 会員登録なしで求人に応募可能
住所 〒541-0052
大阪府大阪市中央区安土町2-3-13 大阪国際ビルディング5F
厚生労働省事業者届出番号 51-募-000945

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