鉄筋工として独立するには?年収や必要な資格・手続きをわかりやすく解説

ガテン系の独立

鉄筋工は建設現場で欠かせない職種であり、専門技術を持つ職人の需要は高まっています。

厚生労働省のデータによると、鉄筋工の有効求人倍率は約9.79倍と全職種の求人倍率1.27倍より高水準です。

需要が高いことから、建設業界は一人親方の割合が15.6%と約6人に1人が独立しており、独立に前向きな人が多数いることがわかります。

とはいえ、「独立は自分にもできるのか」「失敗しない方法が知りたい」と不安に感じる人も多いでしょう。

この記事では、鉄筋工として独立を検討している方に向けて、独立後の年収・必要な資格・手続きを詳しく解説します。

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鉄筋工とは

鉄筋工とは、建物や橋、高速道路、トンネルなどの鉄筋コンクリート構造物を支える骨組み(鉄筋)を組み立てる職人のことです。

現場では鉄筋を切断したり、曲げ加工を行ったりしながら、正確な寸法で骨組みを作ります。
仕事は施工図・加工帳の作成、加工、組立に分かれる。作業手順は、まず、作業を行う構造物の図面を見て、使用する鉄筋のサイズや形状・本数を拾い出し、加工帳を作成する。次に、鉄筋業者の工場で加工帳にしたがって適切な寸法に切断、曲げ、加工された材料を現場で組み立てる。基礎、柱、壁、床、階段といった部分や位置ごとに、図面と配筋を基準どおりに取り付けていく。

引用:鉄筋工-職業詳細|職業情報提供サイト(job tag)

主な作業場所は建設現場や土木工事現場ですが、マンションや商業施設、道路、橋梁などを担当する場合もあります。

体力を使う屋外作業が多いものの、鉄筋工は構造物の安全を支える重要な役割を担っており、建設現場の「縁の下の力持ち」として高い専門性と需要を誇る職種です。

独立した鉄筋工の仕事内容

独立した鉄筋工の仕事内容は、建物や橋、トンネルなどの鉄筋コンクリート構造物の骨組みをつくる仕事に加え、現場全体を管理する役割も担う点が特徴です。

基本的な作業は、設計図に基づいて鉄筋を加工・搬入・組立・結束することで、寸法通りに組み上げていきます。

スキルの高い職人になると、複雑な鉄筋配置を正確に読み取り、図面作成や施工管理、品質確認まで一貫して行います。

独立後は現場作業だけでなく、見積もり作成・資材の発注・取引先との交渉・請求業務といった経営的な仕事も必要になる

また、工期や人員を自ら調整し、元請け会社や協力業者との信頼関係を築くことも重要です。

独立後は体力と技術、経営力のすべてが求められるため負担は大きいものの、自分の裁量で高収入を得られる職種といえます。

鉄筋工の年収は約506万円

鉄筋工の年収は約506万円と、全職種の平均年収478万円より高い水準です。

鉄筋工の平均年収と給料
鉄筋工の平均年収 約506万
鉄筋工の平均給料 約28万7,000円

鉄筋工の年収が高い傾向にあるのは、専門技術・体力・危険度の高さが求められる職種だからです。

鉄筋工は建物の骨組みをつくる基礎工事の要であり、1ミリのズレも許されないため、高い精度が求められます。

また、重い鉄筋を扱い、炎天下や寒冷地など過酷な環境での作業も多く、体力的な負担が大きい分、日当・月給が高く設定されています。

熟練した鉄筋工は施工スピードと品質を両立できるため、1日あたりの生産性が高く、現場からの信頼も厚いの特徴です。

全権総連東京都が提示する「賃金調査報告書」によると、鉄筋工が属する土木の一人親方の日給は20,652円と示されています。

週5日、月22日間勤務した場合で計算すると、約45万円となり、鉄筋工の平均年収28万円を大幅に超える収入が得られます。

また、指名で仕事を受けたり、職長・独立後に元請けとして仕事を請け負うことで、年収700万~1000万円に達するケースもあります。

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鉄筋工として独立する方法・手続き

鉄筋工として独立するには、主に「個人事業主になる」か「法人を設立する」2つの方法があります。

建設業界では、個人事業主としての独立よりも、会社設立での独立が多い傾向にあります。

個人事業主は、初期費用が少なく、一人親方として小規模な現場からスタートする人が多いのが特徴です。

一方で、会社を設立する場合は社会的信用が高まり、元請け契約や大規模案件の受注がしやすくなります。

どちらを選ぶ場合でも、事業計画の作成と資金準備が重要です。

以下では、鉄筋工の独立方法の特徴と独立に必要な手続きを紹介します。

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個人事業主になる

鉄筋工として独立する際、最も一般的なのが「個人事業主」として開業する方法です。

税務署に開業届を提出するだけで始められるため、初期費用や手続きの負担が抑えられる

仕事の受注は元請けや工務店、建設会社などから請け負う形が多く、自由に現場や取引先を選べます。

一方で、収入の波があるため、安定収入を得るには人脈づくりや営業力が必要です。

個人事業主は「自分の技術で勝負したい」「少人数で効率よく稼ぎたい」人に向いており、現場経験と信頼があれば開業から早期に軌道に乗せられるでしょう。

個人事業主とは?独立するメリット・デメリットを紹介

会社を設立する

鉄筋工としての事業を拡大したい場合は「会社を設立」して法人化する方法があります。

設立には登記や定款作成などの手続きが必要で、初期費用が10〜20万円程度かかる

しかし、法人になることで社会的信用が高まり、大型案件や公共工事の受注が向上するのがメリットです。

また、自身の給料や従業員の給料を経費として計上できるんど範囲が広がり、節税効果も高まります。

反面、経理や労務管理の負担が増えるため、事業運営に関する知識が必要です。

会社設立は「職人から経営者として成長したい」「事業を大きくしたい」人に向いています。

鉄筋工として独立するための手続き

鉄筋工が個人事業主として独立する場合の流れは以下の通りです。

個人事業主の場合
  1. 税務署に「個人事業の開業届」を提出する
  2. 必要に応じて「建設業許可(とび・土工工事業など)」の取得する
  3. 社会保険・労災保険(特別加入)へ加入する

まず、税務署に「個人事業の開業届」を提出し、事業を正式に開始します。

あわせて「青色申告承認申請書」を提出しておくと、最大65万円の控除を受けられるなど税制面で有利です。

手続き後は、工具や車両の準備、取引先との契約書作成、請求書フォーマットの整備などを行い、独立後スムーズに仕事を進められる体制を整えます。

法人として独立する場合は以下の流れで手続きを進めていきます。

会社を設立する場合
  1. 株式会社または合同会社を選択する
  2. 定款を作成・認証する
  3. 法務局で法人登記する

登録免許税や定款認証費用など、設立には最低でも約10〜20万円程度の初期費用が必要です。

登記完了後は、税務署・都道府県税事務所・市区町村への法人設立届出書の提出を行い、社会保険や労働保険にも加入します。

法人化すると取引先からの信頼度が高まり、大規模な現場や公共工事を受注しやすくなるため、事業拡大を目指す人に向いています。

鉄筋工の独立に必要な資格

鉄筋工として独立するために必須の資格はありません。

しかし、建設工事で500万円を超える請負を受ける場合は、建設業許可が必須です。

建設工事で500万円を超える請負を受けるための要件
  • 経営業務の管理責任者がいること
  • 専任技術者が営業所ごとにいること
  • 財産的基礎を満たしていること
  • 誠実性・欠格事由がないこと

また、取引先との信頼性向上や仕事の幅を広げるために、次の資格を取得しておくと非常に有利です。

鉄筋工の独立に必要な資格

鉄筋施工技能士

鉄筋施工技能士は、鉄筋工事に関する専門知識と技能を証明する国家資格です。

建物の強度や安全性に関わる重要な職種であるため、鉄筋工としての実務能力を客観的に示す手段として多くの職人が取得を目指します。

鉄筋施工技能士には1級・2級・3級があり、実技と学科の両方で技能を評価します。

資格を取得すると、現場責任者や専任技術者として認められ、建設業許可の申請にも活用できます。

受験条件 試験内容
1級 実務経験7年以上 ・学科試験:施工計画、鉄筋の加工・組立、材料・工具、安全衛生など
・実技試験:鉄筋施工図作成作業もしくは鉄筋組み立て作業
2級 実務経験2年以上もしくは3級合格者 ・学科試験:施工計画、鉄筋の加工・組立、材料・工具、安全衛生など
・実技試験:鉄筋施工図作成作業もしくは鉄筋組み立て作業
3級 実務経験不要 ・学科試験:施工計画、鉄筋の加工・組立、材料・工具、安全衛生など
・実技試験:鉄筋施工図作成作業もしくは鉄筋組み立て作業

試験の合格率はおおむね50~60%程度で、一定の経験があれば十分に合格が狙えます。

特に1級取得者は業界で高く評価され、独立や元請け工事の取得で大きな強みとなります。

登録鉄筋基幹技能者

登録鉄筋基幹技能者は、鉄筋工事の現場において単なる技能者ではなく、技術・施工管理・安全・品質・工程・原価など多面的な管理能力を持つ上級技能者を認定する制度です。

現場では、施工範囲・契約範囲の確認・調整、他職種や元請け等との調整・連絡などが求められます。

つまり、単に鉄筋を組むだけでなく、鉄筋工事を適正かつ効率的に遂行するための現場運営の能力を持った人が対象です。

鳶登録鉄筋基幹技能者の受験資格
  • 1級鉄筋施工技能士(組立て)の資格を保有している
  • 「職長教育」+「安全衛生責任者教育」、または「職長・安全衛生責任者教育」を修了している
  • 鉄筋工事に関して10年以上の実務経験がある
  • 職長教育修了後、3年以上の職長経験がある

資格の難易度は高めで、キャリア・資格・経験すべてが揃っていなければ受講すらできません。

「熟練・管理・指導」の三拍子を持つベテラン向け資格であり、現場で指揮を取る人が取得するものです。

取得できれば、業界内での信頼度・立場が大きく変わる強みとなります。

鉄筋工として独立するメリット

鉄筋工として独立する最大のメリットは、収入アップと自由な働き方が実現できる点です。

マイナビが実施した「フリーランスの意識・就業実態調査」によると、フリーランスの多くは「私生活との両立」「仕事内容」「仕事上の人間関係」の満足度が高く、約6割が働き方に満足していると回答しています。

会社員時代は日給や月給が決まっていますが、独立すれば仕事の単価を自分で設定でき、元請けから直接受注すれば利益を大きく伸ばせます。

経験と信頼を積めば年収800万円以上を目指すことも可能です。

また、仕事内容や現場を自分で選べるため、働く時間や地域の調整も自由になります。

以下では、鉄筋工として独立する3つのメリットを詳しく解説します。

高収入が目指せる

鉄筋工として独立すれば、自分で仕事を請け負うため、会社員時代よりも高収入を狙えるのがメリットです。

全建総連東京都連が実施した賃金報告書によると、建設業界の一人親方の年収は900万円程度になると示されています。

一般的な鉄筋工の平均年収は約506万円であり、独立後は年収700万円〜1000万円以上を目指せます。

元請けとして工事を直接受注できれば中間マージンが発生せず、利益をすべて自分で確保できるからです。

また、技術力や信頼を積み重ねるほどリピーターや紹介案件も増え、安定した収入源を築けるでしょう。

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仕事内容を選択できる

独立すると、自分の得意分野や希望条件に合わせて仕事を選べるようになります。

日本政策金融公庫が実施した起業と起業意識に関する調査によると、起業理由の上位には「自由に仕事がしたがった」が挙げられており、収入だけでなく、自由な働きからを求めて起業する人が多いことがわかります。

参照元:起業動機

たとえば住宅、商業施設、橋梁など、自分が専門性を発揮できる現場に集中することが可能です。

勤務時間や休日の調整も自由度が高く、家庭との両立や自分のペースに合わせた働き方も実現できます。

会社員時代のように上司や現場の指示に縛られず「どの仕事を・いくらで・どのように受けるか」を自分で決められるのが大きな特徴です。

人間関係のストレスが少ない

独立した鉄筋工は、自分で仕事を受け、自分の判断で進めるため、人間関係のストレスが少ないのが特徴です。

国土交通省の「建設技能労働者を取り巻く状況」によると、若手労働者が建設業界に入職しない理由に職業イメージの悪さが挙げられており、上下関係や人間関係に不安を抱えている人がいることがわかります。

独立すると、会社員時代のように上司や同僚との上下関係、無理なスケジュール調整などに悩まされることが減ります。

現場ごとに協力会社や元請けとの調整は必要ですが、信頼関係を築けばスムーズに進められます。

特に一人親方の場合は、作業の進行管理や報告も自分主導で行えるため、精神的負担が軽くなります。

人間関係のストレスが少ないことで、仕事に集中でき、技術を磨きやすい環境をつくれるのが独立の大きな利点です。

鉄筋工の独立に関するよくある質問

鉄筋工は、スキルと現場経験があれば独立が可能な職種です。

高度な技術や現場経験が長い熟練職人は、高収入が得られる可能性が高く、今後も需要がも見込まれています。

以下では、鉄筋工の独立に関するよくある質問をまとめて紹介します。

建設業の職人は独立すると儲かりますか?

建設業の職人は、独立すれば大きく稼げる可能性がある職種です。

民間給与実態統計調査」によると建設業界の平均年収が565万円なのに対し、独立した一人親方や事業主は年収700万〜1000万円以上の年収が得られる可能性があります。

元請けとして仕事を直接受けられれば、中間マージンがなくなり、利益をすべて自分で得られるのが強みです。

ただし、収入は案件数や営業力に左右されるため、安定には経営力や人脈も必要です。

技術に加えて経営の知識を身につければ、努力次第で収入を大きく伸ばせるのが建設独立の魅力です。

鉄筋工の将来性は?

鉄筋工の将来性は非常に高いといえます。

建設業界全体で深刻な人手不足が続いているためです。

厚生労働省の統計によると建設業界の高齢化は深刻で、55歳以上の割合が33.1%と高く、若手の参入が少ない現状では、熟練職人の需要が今後も続くと見込まれます。

また、老朽化したインフラの補修や再開発プロジェクトなど、鉄筋工事を必要とする現場は今後さらに増える見通しです。

技術力や資格を身につければ、現場での信頼も高まり、安定した仕事量と高収入の両立が可能な職種として将来性のある仕事といえます。

鉄筋工は何歳まで働ける?

鉄筋工として働ける年齢に明確な上限はありませんが、50代後半〜60代を目安に体力面での限界を感じる場面があります。

鉄筋工は高所作業や重量物の運搬など体力を要するため、若いころからの体づくりや安全管理が重要です。

ただし、長年の経験を積んだ職人は、現場監督や職長、教育係など管理職や指導者として活躍できる道もあります。

建設業界では人手不足が続いており、熟練職人の需要は高いため、健康を維持し、スキルを磨き続ければ60代以降も働き続けることが可能な職種です。

鉄筋工として独立するならGATEN職の利用がおすすめ

鉄筋工としての独立は十分に可能であり、努力次第で大幅な年収アップも期待できます。

元請けとして直接仕事を受注できるようになれば、利益率が高くなり、会社員時代よりも高収入を得られるケースもあるでしょう。

しかし、独立には高度な技術力と豊富な現場経験が欠かせません。

施工ミスは大きな損失につながるため、確かな知識と責任感が求められます。

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