当メディアでは、「生理休暇の実態に関する市場調査」を行いましたので、その結果を公開します。
今回は2400人の女性に対し、生理休暇の利用有無や生理休暇は労働基準法に定められていることへの認知などを実態についての調査を行いました。
生理休暇は労働基準法に定められているため、どの会社でも利用できる制度ですが、約6割の女性が「労基法に定められていることをしらなかった」という結果がわかりました。
また、ただ制度がないと認識していることで利用できないわけでは無く、多くの要因で辛くても休むことができない女性がいることが浮き彫りになる結果となりました。
それぞれの調査内容を詳しく解説していきます。
■調査概要
- アンケート内容:生理休暇に関する実態
- 調査期間:2021年5月13日~5月19日
- 調査対象:2400人の女性
- 調査エリア:全国
■「生理休暇の実態」に関する調査結果の概要
- 調査対象の84%は生理休暇を利用したことが無い
- 生理休暇を利用したことある人の8割が有給、2割は無給での利用
- 利用したことが無い人の半数は「そもそも制度がない」
- 女性の59%は「生理休暇が労働基準法に定められている」ことを知らなかった
- 就業先で生理休暇を利用できる女性は全体の27%
- 生理休暇を利用できないと回答の理由には6割が「生理休暇の制度がない」
Q1:社会人になってから「生理休暇」を利用した経験はありますか?
今回、全国の20歳~59歳の2400人の女性に対し、「社会人になってから生理休暇を利用した経験があるか」を調査したところ、あると回答したのは16%(382票)、ないと回答したのは84%(2018人)と、約8割以上の女性が生理休暇を利用したことが無いという結果になりました。
Q1-1:生理休暇を利用したことがあると回答した人の内訳
今回の調査ではさらに、「生理休暇を利用したことがある」と回答した382人に対して、「生理休暇は有給・無給のどちらであったか」を調査しました。
有給と回答をしたのは80%(304票)、無給と回答をしたのは20%(78票)という結果になりました。
生理休暇としての利用か年次休暇までは企業や本人による
しかしここで注意したいのは、有給休暇とは別に生理休暇に対して有給としているのか、生理休暇としては計上せずに、有給の取得理由が生理休暇であるかわからない点です。
労働基準法としては、生理休暇に対して有給・無給のいずれかにするまでの決まりはないため、人によっては「生理休暇で無給になるくらいであれば年次有給休暇を消化する」ケースもあります。
そのため、80%全ての女性の就業先が有給での生理休暇を行っているかまでは、判断ができない結果となりました。
Q1-2:生理休暇を利用した経験がないと回答した人の内訳
つぎに生理休暇を利用したことがない2018人の女性に対して、「ただ利用したことが無いだけ」なのか「そもそも会社に生理休暇の制度がない」のかを調査しました。
「ただ生理休暇を利用したことがない」と回答は51%(1022票)、「そもそも会社に生理休暇の制度がない」と回答したのは49%(996票)という結果になりました。
Q2:生理休暇が、労働基準法第68条に定められていることを知っていますか?
今回の生理休暇の実態の調査を行う前に、独自でヒアリングを行っていたところ、「会社に生理休暇の制度がない」という回答が多く見受けられました。
しかし生理休暇は、労働基準法 第68条に定められており、会社は社員が生理休暇を請求した場合は、就業をさせてはいけない決まりがあります。
それにも関わらず、前述の「生理休暇の有無」に関して「そもそも会社に制度がない」という回答が集まりました。
(生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置)
第六十八条 使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。引用:労働基準法
そこで今回の調査では「生理休暇が、労働基準法第68条に定められていることを知っていますか?」という調査を行いました。
2400人の女性に対し調査を行ったところ、「知っている」との回答は41%(996人)、「知らなかった」との回答は59%(1404人)と、女性の約6割は生理休暇が労働基準法によって定められていることを知らなかったという結果になりました。
今回、市場調査に加えて独自のヒアリングを進めていく中でも、「生理休暇は福利厚生が充実している企業の休暇制度の一環」というイメージを持つ人が多いことがわかります。
Q3:現在の就業先で生理休暇を利用することはできますか?
生理休暇が労働基準法に定められていることへの認知の質問の後に、就業先において利用することができるかの調査を行いました。
結果として、「生理休暇を利用できる」は27%(645票)、「利用できない」は31%(738票)、「わからない」は42%(1017票)ということがわかりました。
Q4:就業先の生理休暇は有給or無給のどちらですか?
さらにQ3の質問で「現在の就業先で整理休暇を利用できる」と回答した645人の女性に、「生理休暇は有給・無給のどちらでの取得となるか」を調査しました。
調査の結果、有給は68%(440票)、無給は32%(205票)という結果になりました。
整理休暇が取りやすい環境が整っている企業では、有給で利用できる制度が整っているといえるでしょう。
整理休暇の制度自体には、有給・無給の決まりが定められておらず、企業ごとに判断がされる仕組みとなっています。
そのため生理休暇の制度自体はあるが、無給での利用となるため、年次有給休暇を利用して休みを取る女性がいることがわかってきますね。
Q5:生理休暇を利用できない理由は?
つぎにQ3の質問で「現在の就業先で整理休暇を利用できない」と回答した738人の女性に対し、なぜ利用できないのかの調査を行いました。
選択項目を「生理休暇の制度がない」「利用しづらい雰囲気がある(嫌味を言われる・雰囲気)」「利用しようとしたが、上司や労務に断られた」「その他」とし、選択をして貰いました。
結果として、「生理休暇の制度がない」には475票、「利用しづらい雰囲気がある(嫌味を言われる・雰囲気)」には223票、「利用しようとしたが、上司や労務に断られた」「その他」が同率で20票という結果になりました。
そもそも企業として生理休暇を与えなくてはならないのにも関わらず、休暇制度自体がないとされている・もしくは本人が知らないケースが多い結果となりました。
また生理休暇自体はある・労基法として定められているのにも関わらず、利用しづらい雰囲気があると感じる女性も多いことがわかります。
他にも少数派にはなりますが「利用しようとしたが、上司や労務に断られた」というケースもあるようです。
「Q5:生理休暇を利用できない理由」に寄せられたコメント
生理休暇を利用できない理由に寄せられたコメントをご紹介していきます。
人手不足や無給による金銭的な理由も大きく関係している
会社に考えがない・制度が廃止されたなどのコメントの他に、人手不足や無給になるため、休むことができないというコメントも多く見受けられました。
自分が休んでしまうと仕事が回らない・休んでしまうと手取りが減ってしまうため、休むわけにはいかないなど、生理が重くて大変なケースでも、休む環境がない女性が多いことがわかります。
生理休暇の市場調査の総括
今回は生理休暇の実態について、2400人の女性に調査を行いました。
改めて調査概要を振り返っていきましょう。
■「生理休暇の実態」に関する調査結果の概要
- 調査対象の84%は生理休暇を利用したことが無い
- 生理休暇を利用したことある人の8割が有給、2割は無給での利用
- 利用したことが無い人の半数は「そもそも制度がない」
- 女性の59%は「生理休暇が労働基準法に定められている」ことを知らなかった
- 就業先で生理休暇を利用できる女性は全体の27%
- 生理休暇を利用できないと回答の理由には6割が「生理休暇の制度がない」
生理休暇は労働基準法に定められているのにも関わらず、「うちの会社では利用できない」という認識の女性が多いことがわかる結果となりました。
また利用できない女性は、会社の人員不足や無給になることで金銭的に難しいため、利用しない女性もいることがわかります。
生理は人によって重さも変わるため、 一律にルールを定めるのも難しい背景もあります。ただ、それぞれが働きやすい環境を作っていくためにも、本調査が役に立てれば幸いです。