派遣更新の時期。現在の職場に残るか、契約更新をせずに次の職場を探すか迷う人も多いはず。Aさん、Bさんもそれぞれ異なる理由から頭を悩ませていました。
派遣事務として勤務してまだ5か月程度。今回2度目の契約更新の判断に迫られていました。
だいたいの事務業務には慣れてきたものの、社内の人間関係にストレスを抱えています。契約更新を断ったら、その後どうなるのか。人間関係を理由に断ってしまっていいのか。漠然とした不安を持っています。
派遣社員として勤務をして約6年。
派遣先に紹介をされた今の職場での勤務はもうすぐ3年。仕事も人間関係も問題なく、今の環境で仕事を続けたいものの※『派遣3年ルール』のため、このまま続けられることが難しいと考えています。
年齢を考えると、同じ職場で腰をおちつかせられるよう転職をすべきか迷っています。
今回の記事では、二名の事例をもとに派遣契約更新について、様々な側面から考えてみたいと思います。
※『派遣3年ルール』参照:有期雇用派遣社員として同じ職場(部署)で働ける期間の最大が「3年間」となっていることです。
派遣契約を更新しない理由とは?
一般的に派遣契約を更新しない人はどんな理由からでしょうか。
また、正社員やパートとして直接雇用で働いている人は、勤務先の会社に伝えればいいですが、派遣社員の場合、派遣元、派遣先と2者存在します。どちらにどのように伝えるのがのぞましいのか。
ここで考えてみたいと思います。
気になる本音の理由とは?
派遣契約更新迷う理由として、Aさんのように人間関係を挙げる方は非常に多くいます。
マイナビニュースより2018年に行われた「派遣更新にまつわる意識調査」では、契約更新をしたくないと感じた理由について、以下の理由が多いと紹介されています。
トップ3の理由は、「派遣先の人間関係」(38.8%)、次いで「派遣先の業務量」(17.8%)、さらに「事前に聞いていた業務内容との相違」(11.8%)となっています。
実は筆者も、人材紹介ビジネスでキャリアカウンセラーをしていたのですが、多くの女性事務職の方の転職理由の多くは、「人間関係」でした。
営業事務や一般事務などの事務職は、社内の営業マンや他の方のサポート業務が多い仕事なので、社内の人との関わりは必須。社内の人間関係がよくなければ、ストレスを感じやすく他の職場を希望したくなりますね。
派遣の業務量に対する不満
また、2番の理由にあたる「派遣先の業務量」もよく聞きます。
そもそも一定の業務をこなしたくて派遣を選んだのに、業務量が多いのであれば、正社員との待遇の差が気になって割に合わないと感じてしまうでしょう。
派遣契約を更新しない理由の半数以上は上記ですが、冒頭のBさんのように将来的なキャリアを考えて悩む方もいます。
というのも、派遣で働く限り、更新の度にドキドキすることになるし、万が一リーマンショックのような不況に陥ると、仕事を失うリスクもある。
いい職場に巡り合ったとしても3年以上働くことが難しいのであれば、正社員として長期的に働きたい、と考える場合もあるでしょう。
本音の理由は共感できるものでしたか?では、契約更新をしない場合、本音の理由を伝えていいのかどうか。次から見ていきましょう。
就業先に伝える建て前の理由とは?
契約更新をするかどうかの判断時期は契約満了の約1か月前が通常です。そのため、本音の理由次第では職場で気まずい期間を過ごさなくてはなりません。
「立つ鳥跡を濁さず」がベターと言えるので、会社側の話をするのではなく、自分側のことで理由を伝えるといいです。
例えば、「結婚、出産、転居」などライフイベントに関わるもの。その他、「両親もしくは祖父母の介護」「両親の家業を手伝う」などが差し障りないでしょう。
この理由については、派遣会社の営業担当とすり合わせをしておくといいでしょう。
派遣会社に伝える理由は本音と建て前どちらが望ましい?
基本的には本音の理由を伝える方がベターです。
人間関係が理由で契約更新をしないことはよくあるので、派遣会社の営業からすると慣れっこです。
また、本当に会社側が問題である場合、派遣営業マンも「このポジション、契約続く人いないんだよな・・・」と内心で思っている、ということもあります。
派遣会社の営業マンは、スタッフの稼働率が予算に関わるので、営業マンによっては、スタッフさんの不満をなだめて、更新を続けさせようとするケースもあります。
本音の理由をぶつけて、営業マンが真摯な対応をしてくれるか、しっかり見極めましょう。
とはいえ、「人物に難あり」と誤解されてしまい、今後の仕事紹介に響くことは避けたいです。
ビジネスマンとして対応すべきところはして、(例えば、電話、メールなどの折り返しの早さ、遅刻・欠勤のなさなどポイントです。)不満に感じている点は極力絞ってお伝えするように意識しましょう。
派遣契約を更新しないことでどんなメリットデメリットがある?
派遣契約の更新をしないことによって、メリットデメリットどちらが大きいでしょうか?事前に考えておきましょう。
メリット
- 今の不満が解消される(?)
- 新しい職場で希望に合致したところに働ける可能性がある
デメリット
- すぐに次の仕事がみつからない可能性がある
- 更新しないことによる次の契約期間までの就業先との気まずさ
メリット部分については、次の職場次第のところがありますので、本当に叶うのか難しいところです。
一方、デメリットの一つ目は、給与が途切れるリスクがあるので大きいです。
ちなみに、派遣期間満了後、仕事がすぐに見つからなくても、1か月の待期期間としてみなされ、失業給付金がすぐに出ません。
このため、「多少の不満があっても、契約更新をし続ける」と判断せざるを得ない方もいることでしょう。
極力、そういった不安を解消するためには、派遣会社の営業マンに次の仕事紹介の可能性を早めに探っておくことが一つでしょう。
もしくは別の派遣会社にも相談してみましょう。
派遣更新を迷った時の対処法とは
上記のような金銭的な理由もあり、契約更新を断ることにも勇気がいります。
迷った際には専門分野の方に相談をしましょう。相談相手として大きく2パターン考えられます。
派遣会社の営業マンに相談
契約更新を断る理由が建前だと相談になりませんので、本音の理由をぶつけて一緒に解決してもらいましょう。
人間関係や業務量などに不満を抱えている場合、実際に本人でしかつらさやストレスはわかりにくいので、実際の事例をもとに伝えてみるのも手です。
その際、自分なりの努力や妥協もしていることを話しましょう。
例えば、下記の2パターンどちらがいいでしょうか?
- 「先輩社員のおばさんがヒステリックに怒鳴ったり、間違いを私のせいにしてくるんです。耐えられません。」
- 「最初にならった業務の指示に従って進め、業務途中でも問題ないか確認をして進めていったにもかかわらず、最終的にできた資料が違うと社内に響くような声で怒られました。また、「修正を今日中に!」と言われたため、その日20:00まで残業することになってしまいました。」
いかがでしょうか?
①だと感情的になってしまっており、第三者からすると就業先の先輩に問題があるのか本人に問題があるのかぼんやりしてしまいます。
②ですと、第三者が聞いても、先輩社員に非があるよう感じます。感情的ではなく客観的に伝わる具体例をそえるようにしましょう。
複数の派遣会社に登録・相談
「派遣会社の営業マンが真摯に対応してくれない。契約更新をさせようとしている。」とあなたが感じる場合は、別の派遣会社に相談してみましょう。
窓口の人と相性があわなかったら、いい仕事を紹介してくれる可能性は減ってしまいます。
わかりやすくイメージすると、友人に彼氏候補を紹介してもらおうと考えてみてください。
どんな友人に頼みますか?過去の失敗談も相談に乗ってくれて、自分の好みや合わないことを理解してくれる人が、いい人を紹介してくれそうですよね。
仕事も同じです。よきアドバイザーを見つけましょう。
更新しないと決めた後の流れ
派遣契約の更新を辞めることを決意した場合、誰にいつ伝えるかがポイントとなります。
まず、派遣会社の営業マンに伝えましょう。
派遣会社の営業マンから就業先にフォローをいれてくれます。
ちなみに、ここで就業先に伝える建て前の理由を一緒に練っておくと、後々スムーズです。
言うタイミングとしては、遅くとも契約終了の1ヶ月前までには伝えましょう。退職届は不要です。
もし、それ以前に決意が決まっているのであれば、派遣会社の営業マンが定期的にフォローの電話や挨拶をしてくれるタイミングでもいいです。
次の仕事探しに向けて意識すべきことは?
さて、現在の職場を変える決意をしたら、次の仕事探しです。
仕事を探す期間・方法
契約更新を断ってから契約更新満了の1か月間が勝負です。今の派遣営業の方から新しい仕事を紹介してもらいましょう。
ここで、派遣営業マンや紹介してもらえる求人数に不満がある場合、他の派遣会社に登録して情報収集をしましょう。
次の職場で同じ不満を感じないための有効な手段とは?
「求人の募集背景」を確認することが最良な手です。
募集背景の具体例としては、「組織の拡大によるもの」「正社員の出産による穴埋め」「契約終了の派遣社員の穴埋め」など。
もし契約終了の派遣社員の穴埋めであった場合、3年満期を迎えたのか確認してみましょう。3年経過しなかった場合、なぜ契約更新をしなかったのか聞いてみましょう。
社内事情を探れる可能性があります。
正社員・紹介予定派遣へのステプアップを希望する場合
冒頭のBさんのように同じ職場で長期勤務したいと考えた場合、3つの可能性があります。
無期雇用派遣社員への切り替え
正社員ではないものの今の職場で長期勤務したいと思った場合。
「派遣3年ルール」により、有期雇用のまま派遣就業ができないので、無期雇用派遣社員に切り替えてもらいます。派遣営業マンに可能かどうか確認しましょう。
紹介予定派遣求人に応募
一定の期間(3か月もしくは6か月)は派遣期間として勤務し、その後両者の合意によってその職場で正社員になれるものです。
中途の正社員の求人よりも紹介予定派遣の求人の方が大手の案件があったりします。派遣会社が求人をもっているので、派遣営業に相談してみましょう。
正社員求人に応募
こちらは一番ハードルが高くなります。
中途採用の人材紹介を行っている会社や、求人広告、ハローワークから情報収集をしましょう。
公開はしないものの実際は20代でないと厳しいので、もし迷っていたらすぐ探し始めましょう。
まとめ
いかがでしたか?冒頭のAさんは派遣会社の営業マンに本音で相談してみるとクリアになってくるでしょう。
一方Bさんの場合は、派遣会社の営業マンと話す以外にも求人サイトやハローワーク、正社員領域を扱う人材紹介などで情報収集をしてみるとより選択肢が見えてきます。
悩むだけでなく、第三者の意見や多様な情報から、次の一歩を見つけてください。前向きに仕事に携われることを願っています。