医療現場で働きたい看護師には病院の選択肢が何種類もあります。
代表的なものとして知られているのが総合病院・個人病院・クリニックです。
この他に専門病院などもありますが、それぞれの違いについて把握し、職場を選ぶ際の基準にしましょう。
それぞれの病院の違い
どの病院が自分に合っているのかを判断する上で、それぞれの病院の違いを理解することは欠かせません。
病院としての特徴とメリット、デメリットを一通り把握しておくことが大切です。
総合病院
総合病院は以前は内科、外科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科などの主要な診療科が一通り揃っていて、病床数が100以上ある病院として定められていました。
現在では厳密な定義はなくなりましたが、このように規模が大きくて診療科数も病床数も多い病院を一般的に指すようになっています。
総合病院で働くメリット
看護師が総合病院で働くメリットは、スキルアップが行いやすいことや福利厚生が充実していることです。
規模が大きいため、どの看護師も一定以上のレベルに達せるような教育制度が整っていて、未経験の人でも一年や二年の間で一人前に働けるようになります。
ジョブローテーションなども用意されていて、複数の診療科での経験も積みやすいのが一般的です。
高度な医療を行っている病院が多いことから、最先端の医療について学ぶ機会も与えられます。
また、スキルアップのための研修制度も整っていて、院外で研修を受けたり、キャリアアップのために資格の取得を支援してもらえたりするなどの福利厚生があるのも特色です。
育児支援体制にも力を入れている現場が多く、院内託児所を24時間利用できるようにしている場合もあります。
成長していきたい看護師にとって支援を受けやすい環境が整備されているのがメリットです。
総合病院で働くデメリット
総合病院で働くデメリットは、時間的な拘束が大きくなりやすいことです。
病棟管理や外来対応などの基本的な仕事も多くなりがちですが、それに加えてカンファランスや勉強会への参加が義務付けられている現場が多くなっています。
勉強会のために自分がプレゼンテーション資料を用意する場合もあり、時間的な負担が大きくなることは否めません。
また、24時間体制での勤務が必要なので早番や遅番、夜勤などがある現場がほとんどです。
急性期病院では急変の患者への対応もあるため、不規則な生活を送らざるを得ないケースが多くなっています。
個人病院
個人病院は経営者が医療法人などではなく、個人によって経営されている病院です。
定義上20床以上の病床を持っているため、クリニックではありません。
院長が専門としている専門病院である場合が大半を占めているのも特徴です。
個人病院で働くメリット
個人病院で働くメリットは、勤務条件の融通をきかせやすいことです。
院長が主に勤務条件を決める権限を持っていて、現場の規模が小さいので院長とも話しやすく、自分の都合に合わせて柔軟な待遇を取ってもらいやすくなっています。
現場のスタッフの数も少ないので仲の良い関係を作りやすく、互いのことをよく理解した上で仕事に従事できるのもメリットです。
教育についてもカリキュラムが決めてある場合は少なく、個々の状況に合わせて柔軟に指導してもらえるようになっている傾向があります。
個人病院で働くデメリット
個人病院で働くデメリットは、院長を代表とする職場のコミュニティーの中にうまく入り込めなかったときに居場所を失いやすいことです。
また、個人病院は総合病院以上に人材不足の現場も多く、臨時に休みが欲しいという場合に対応してもらったり、育休を十分に取得したりするのが難しい場合もあります。
育児支援などが整っていない現場が多い点もデメリットです。
クリニック
クリニックは主に個人によって経営されている特定の診療科の医療現場です。
病床数が20床未満と定義されていて、全く病床を持っていないクリニックも多くなっています。
クリニックで働くメリット
クリニックは勤務時間を安定させやすく、休憩時間が長めなのがメリットです。
ほとんどの場合は病床がないので夜勤をする必要はなく、診療時間として定められている時間とその前後に少し働けば十分な現場が大半を占めています。
午前と午後の診療の間は二時間から三時間程度は空いている場合が多いため、一度帰宅して家事をして戻ってくることも可能です。
残業もほとんどない現場が多くなっています。
クリニックで働くデメリット
クリニックでは働いている看護師が少ない現場が多く、個々の責任が重くなりやすいのがデメリットです。
また、病院に比べると待合室にいる患者の対応をする時間が長くなりやすいため、接客の業務が増えがちなのが看護の仕事に特化したい人にとってはデメリットになります。
また、スキルアップをしたいという人はクリニックでは難しいのが一般的です。
自分が働く職場はしっかり選びましょう
このように医療現場の種類によって環境にも大きな違いがあります。
看護師として働く上では自分に適性があり、家庭の都合にも合っている職場を選ぶのが重要です。
働きづらいと思ったときには転職することもできるので、ライフステージに合わせて適切な職場を選ぶことも考えておきましょう。