転職活動を成功させるためには、スキルが必須です。
採用する企業目線で言えば、人材に対して「何ができるか」「自社に何をもたらしてくれるか」を基準に採用活動を行います。
転職で求められるスキルは、業種、職種によってかなり変わりますが、業種、職種で限定されない普遍的に人材価値を左右するスキルこそ「ポータブルスキル」です。
ポータブルスキルがないと転職活動はうまくいかない、ということではないですが、ポータブルスキルを身に着けていれば間違いなく転職活動を有利にすすめることができます。
ポータブルスキルとはどんなスキル?
ポータブルスキルとは、ポータブル=持ち運びできるスキルのことです。
もっとわかりやすく言うと、転職で別の業界の別の職種についたとしても役に立つスキルのこと。
転職や仕事で役に立つスキルにはいくつか種類があります。
持ち運びできず、特定の仕事でしか役に立たないスキル、特定の仕事やそれに近い仕事で役に立つスキル、どんな業界やどんな仕事でも役に立つスキルなどです。
ポータブルスキルはどの仕事にも持ち運びできる普遍的なスキルに当たりますが、ポータブルスキルと他のスキルの差はどこにあるのでしょうか?
ポータブルスキルの特徴1:会社のルールに関係なく役立つスキル
ポータブルスキルの特徴1つ目としてあげられるのが、いかなる業種のいかなる会社で働いたとしても通用するスキルだということ。
持ち運びできないスキルは、「特定の業界」「特定の職種」「特定の会社」でのみ役立つものです。
ポータブルスキルがあれば、いかなる会社でも活躍することができるので、転職活動でも役立つことがわかるはず。
それゆえ、ポータブルスキルがあれば、未経験業界への転職でも強みとなるのです。
というより、また後でも説明しますが未経験の転職にはこのポータブルスキルがないと成功しないほど。
転職で役立つ武器を一つでも多く持つという意味でも、ポータブルスキルを身に着けておきたいです。
ポータブルスキルの特徴2:相手を選ばないスキル
ポータブルスキルで上げられる代表的なスキルに「コミュニケーションスキル」があげられます。
優れたコミュニケーションスキルは、優れたポータブルスキルです。
どんな場所の、どんな人が相手でも円滑にコミュニケーションが取れれば、ビジネス面だけでなくあらゆるところで役立つスキルとなるはず。
あらゆる企業が現在、採用基準としてコミュニケーションスキルを挙げているのは、「新しい場所で適応できる人材」を求めているからです。
ポータブルスキルの特徴3:時代によって変化していけるスキル
あらゆるスキルは、時代によってニーズが変わっていきます。
ITエンジニアのスキルがわかりやすいですが、エンジニアのスキルは時代に合わせて細かくアップデートすることを求められます。
時代でアップデートできないスキルは過去のものとなる、会社からも社会からも置き去りにされてしまいます。
ですがポータブルスキルはその持ち運びの柔軟さゆえに、「時代に合わせた変容」が容易です。
まずは自分のポータブルスキルを考えてみる
さて、自分自身の持つポータブルスキルを考えてみて、そのポータブルスキルを転職に活かしていきましょう。
転職で大事なのは、口を酸っぱくして言っていることですが「スキルの棚卸し」です。
転職活動の核に据えるべきポータブルスキルについて、まずは自覚的になりましょう。
どんな時に成果を出すことができたか
ポータブルスキルについて考えるためには、自分の過去について考えるのが大切です。
過去どんな時に成果を出して、会社から褒められたか。
その成果を出すために用いたスキルこそ、ポータブルスキルです。
成果を出すために努力して手に入れたスキルも良いですが、「ふとした時自然とできたこと」を思い出すと、より良いポータブルスキルが思いつくはずです。
プロジェクトの中でどんな役割を果たしたか
プロジェクトは一人ですすめるものではありません。
過去自分が携わったプロジェクトを思い出して、そのプロジェクトの中でどんな役割を果たしたか思い出してみましょう。
部下の取りまとめを果たしたのか。
率先して難しい開発に着手したのか。
それによって自分のポータブルスキルは変わります。
プロジェクト内で「どんな対応が可能なスキルを持っているのか」を一度考えてみましょう。
どんな人と関わってきたか
過去自分が関わってきた人物について考えてみましょう。
自分の周りにいる人間というのは、不思議と「似た者同士」で集まるもの。
自分について知る時は、時として「周りの人」を考えてみるのも大切です。
どんな人と関わってきたか、どんな人とコミュニケーションする時手応えを感じたか。
社会人経験がある程度ある人なら、そうした「大人同士のコミュニケーション」が思い当たるはず。
トラブルをどのよふに対処してきたか
人はトラブルに巻き込まれた時、窮地に追い込まれた時にこそ人は真価を発揮するもの。
自分が追い込まれた時、どのように対処したか。
その対応したスキルこそポータブルスキルです。
人を上手に頼ったのか、自分だけの力でなんとか乗り越えたのか。
トラブルに追い込まれなかった人は居ないはずですから、ここを思い返すのも大切です。
ポータブルスキルチェックを受けてみる
ネット上には自分のポータブルスキルを診断するための「ポータブルスキルチェック」というツールがありました。
このツールを使って調べることで、自分が自覚していなかった部分のポータブルスキルが見つかるはず。
孫氏は戦争についての極意に「敵を知り己を知れば100戦危うからず」と言っています。
まず何より「自分を知る」ことが大切なのです。
ポータブルスキルが転職活動に役立つ理由
そもそも、転職だけでなくあらゆる場面でポータブルスキルが役立つのはどうしてなのでしょうか?
ポータブルスキルがこれほど重宝される理由についても、一度調べておきましょう。
どの企業で働いても重宝される人材になるから
繰り返しになりますが、ポータブルスキルはどの業界、どの会社で働いたとしても役に立つスキルです。
あなたの今の仕事が、これからも永遠に続けられる仕事なら良いですが、業界によっては異業界への転職を余儀なくされることもあるでしょう。
または、今の仕事とプラスして副業を始めることもあるかもしれません。
その時に、持ち運びが効かない、汎用性のないスキルしか持ってない人はその後の人生で二進も三進もいかなくなってしまいます。
ただでさえコロナウイルスの影響が世界中に広がっている現在。
先行きの不透明な時代において、どんな状況にも対応できるスキルとして、「ポータブルスキル」を持っておくことは必須なのです。
30代の転職はライバルより頭一つ出るためにポータブルスキルが必要
特にポータブルスキルを持っておくべきなのは「30代」だと私は思っています。
30代ともなると、誰しも同じタイミングで転職を考えるものです。
つまりそれだけ転職市場にはライバルが多くなるということ。
それだけ多くの30代転職希望者の中には、自分と同じ業界で働いていた、自分と同じくらいのスキルを持っている人がいるはず。
そんな多くの人が「横並び」になっている状況のなかで、自分が頭一つ出るために必要なのこそ「ポータブルスキル」です。
ある程度勉強すれば身につけられる特化型スキルとは違い、ポータブルスキルはすぐに身につけることが難しいです。
バカとブスこそポータブルスキルを身に着けろ
少し前の漫画に「ドラゴン桜」というものがありました。
その漫画では偏差値の低いヤンキーが東大を目指すために努力して勉強する、というストーリーが紡がれています。
漫画の中のセリフで「バカとブスこそ東大にいけ」ということを言ったものがあります。
これは、「バカだブスだと権力者からバカにされたくなければ東大にいけ」という意味でした。
このセリフを応用して私は「バカとブスこそポータブルスキルを身に着けろ」と言いたいです。
目立ったスキルがあまりなく、転職市場で埋もれてしまいかねない人にこそ、私は「ポータブルスキル」を身につけることを勧めたいです。
ポータブルスキルを身につける方法
さて、ここからは具体的に、ポータブルスキルを身につける方法について紹介していきたいと思います。
普通のスキルとも違い、一朝一夕で身につけるのが難しいポータブルスキルだからこそ、しっかり身につける方法を知っておきたいです。
インプット量を担保する
なんのスキルを身につける時でも同じことですが、「インプット」を怠るべきではありません。
過去や現在の識者たちが記してくれた知識の塊、それが本やネットの記事です。
あなたはそれを読むことで、識者が経験して得たものを、経験というフェーズなしで得ることができるのです。
スキルを身につける第一歩であるこの「インプット」。
いつのときも、常にインプットは欠かさないようにしていきたいです。
無知の知を知る
無知の知という言葉をご存知でしょうか。
無知の知とは、哲学者ソクラテスが提唱した「知らないことを自覚する」という意味の言葉です。
世の中の多くの人は、「自分は何も知らない」ということを知りません。
自分の狭い見識の中だけで生きるので、外の世界を見ようともしないのです。
無知の知を自覚することで、「自分は何も知らないのだ」ということに自覚的になるので、「新しい見識を得よう」という意識が芽生えてくるはずです。
まずは自分の持っているその傲慢な自信を自分でへし折ってください。
自分のポータブルスキルを活かして転職する方法
それでは今回の主題でもある、「自分のポータブルスキルを活かして転職する方法」を考えていきましょう。
「やりたいこと」より「できること」で転職する
ポータブルスキルについてここまで説明してきましたが、つまりポータブルスキルとはあなたが「できること」です。
人間的に、どこでも役に立つスキル、それがポータブルスキルです。
ポータブルスキルを起点に転職活動するなら、あなたは自然とできていることを元に転職活動を行うべきです。
特に30代の転職活動なら、未経験のスキルがまったくない業界への転職はリスクです。
自分自身のキャリア形成を考えても、これからあなたは「自分は何をできるか」を考えて転職活動の計画を組み立てていくべきです。
自分のポータブルスキルを面接でアピールする
スキルを面接でアピールするのは転職活動において当然のことです。
面接でアピールするべきなのは、業界別の特化型スキルだけではなく、今回紹介しているポータブルスキルも例外ではありません。
「10人規模のプロジェクトを取りまとめていた」
「営業の交渉で相場以上の高値で取引できた」
など、どの業界へ転職するときも企業側が「おっ」と思うアピールをすることで、あなたはポータブルスキルをアピールしながら転職できます。
前の章で洗い出した自分のポータブルスキルを、上手に面接で面接官にアピールしてください。
ポータブルスキルと職種をマッチングする
ポータブルスキルを活かして転職する際には、「何がしたいか」より「何ができるか」で転職するべきとはすでにお伝えしたとおりです。
自分のやりたいことより、ポータブルスキル目線で「得意なこと」を優先して転職することで、転職活動を良い結果に運ぶことができます。
例えばこれまでの仕事で「交渉力」というポータブルスキルがあると自覚しているなら、やはりコミュニケーション主体の仕事「営業職」に高い適正があるとみえます。
自分にどんなポータブルスキルがあるのかわかったなら、そこから自分の「次の仕事」を考えてみてください。
ポータブルスキルを活かした転職に役立つ転職サイト
ポータブルスキルを活かして転職するなら、適切な転職サイト、転職エージェントを活用するべきです。
転職エージェントには「キャリアコンサルタント」として、転職活動のアドバイスをくれる転職活動のプロがいます。
転職エージェントを頼ることで、あなた自身のポータブルスキルを見つける手助けから始めてくれることでしょう。
リクルートエージェント
ポータブルスキルを活かして転職するのに役立つ転職エージェントといえば、私は「リクルートエージェント」が思い浮かびます。
リクナビエージェントの何が強いかというと、「とにかく求人数が多い」ことに尽きます。
あなたのポータブルスキルがどんなものだったとしても、リクナビエージェントが対応している求人の中にはきっとあなたにぴったりの求人を見つけることができるはずです。
リクルートエージェントは過去の実績も十分ですから、ポータブルスキルについて考え始めたらまずは「リクナビエージェント」のサービスへ登録してみてください。
DODAエージェント
DODAエージェントもポータブルスキルを活かした転職に強いです。
何せDODAエージェントは転職エージェント業界第二位の規模を誇るエージェント。
DODAエージェントはキャリアコンサルタントの対応に高い評判があるので、「ポータブルスキルを見つける助け」としてもおすすめです。
ポータブルスキルで転職 まとめ
今回は、転職活動を円滑にすすめるためのスキル「ポータブルスキル」について説明しました。
どの業界でも、どの仕事でも持ち運びがきく、役立つスキルが「ポータブルスキル」です。
特定の仕事でしか役に立たないスキルとは違い、どんな場面でも役立つポータブルスキル。
特定ジャンルのスキルに自信のない方ならなおさら、ポータブルスキルを身につけること、転職活動で役立てることを考えていきましょう。