人の役に立ちたいという思いから介護職を志す人も多いのではないでしょうか。
人と人が密に関わる仕事柄、介護施設にはそれぞれのカラーが出やすいと言えます。
今回はいざ働いてみたらブラックかも知れないけど中々自分で判断出来ない、転職を視野に入れた次のアクションに踏み出せないなどにならない為にブラック介護施設を見極めるポイントをご紹介します。
入職前に確認出来る項目も併せて記載しますので参考にしてみて下さい。
ブラックな介護施設は存在する!
介護士と聞いたとき多くの場合は「温かい人情」「優しい雰囲気の職場」と言ったイメージを思い浮かべるでしょう。
確かに人の日常生活を支える事が主な仕事内容なので心構えという意味ではイメージと合致する点もありますが、介護士はボランティアでは無く「仕事」です。
利益を出さなくては企業は立ち行かなくなってしまいます。
時には企業側の都合で介護士に負担がかかる事も珍しくありませんし、それが行き過ぎれば当然所謂ブラックな職場となってしまうでしょう。
事実、ブラックな職場が改善しないという介護士の悲鳴は厚生労働省や転職コンサルタントに多数寄せられています。
残業代を出してくれない
少子高齢化社会の影響で要介護者に対して介護士の数が慢性的に不足していると言われています。
人手が不足していれば職員一人当たりの仕事量は増加して負担が掛かるのは明白です。
そうなると時間外労働や休日出勤で対応せざるを得ない場合が多いですが、利益を重視する施設では残業代を出さずに職員に労働させる「サービス残業」が常態化している所もあります。
「昔からの習慣だから」「皆やっている事だから」などという理由で賃金を支払わずに労働させる事は違法です。
また、細かい部分で言えば「30分未満の残業切捨て」や「制服に着替えてからタイムカードを押させる」というのも違法に当たります。
後輩へのいじめ
求人広告ではどうしても判断しにくい部分がその職場における「人間関係」です。
わざわざ自分達の職場の印象を悪くする様な事を掲載する企業も少ないでしょう。
介護士は人と関わる職業の中でもとりわけ相手との距離感が近い仕事ですので、ふとした事でストレスを溜め込んでしまう人も少なくありません。
その捌け口がまだあまり仕事に慣れていない新人や立場の弱い後輩職員に向けれてしまうケースも多々あります。
仕事と先輩や上司からのいじめで板ばさみになってしまっては身体と心が壊れてしまうのも時間の問題と言えるでしょう。
ブラック介護施設を見極めるコツ
ブラックな介護施設の状態としてよく挙げられる残業代や人間関係に関する情報は、入職してみない事には分からない場合がほとんどと言えます。
もし今自分の職場でこうした状態が続いているのであれば何か手段を講じる必要があるでしょう。
「じゃあ実際に働いてみて辛い思いをしないとブラックかどうか判断出来ないの?」と思われるかも知れませんが、そんな事はありません。
次の項からは施設に勤める以前に確認出来るブラックな介護施設を見極めるポイントを見てみましょう。
いつも求人を出してないか
求人広告というものは通常、職場に人手が足りていないと出される事はありません。
「宣伝の為に掲載し続けている」なんて話をたまに聞きますが、求人広告に掲載し続ける事が効果的な宣伝になると言えるのでしょうか。
ブラックな労働環境が続いている職場は身体や心を壊してしまう、もしくはその危険を察知して早めに離職する人が多くなります。
その人が抜けた穴を随時補填する為に求人広告を載せ続けていると考えるのが自然です。
やたらと待遇の良い求人案内にも関わらず募集が終らずに長期間掲載されている場合などは特に要注意と言えるでしょう。
見学できる時間が短くないか
その介護施設がブラックであるかどうかは、一般利用者向けや入職希望者向けの見学も判断材料になります。
見学時間を長く設定して施設態勢の粗が目立ってしまっては困る為、ブラックな介護施設では見学時間を短くしている所が多いです。
目安として、見学一回あたりの所要時間が45分以内に制限されている施設は注意して見ると良いでしょう。
優良施設では職員からの説明や案内があり、1時間から長い所では3時間程かけて見学させてくれる事もあります。
また、見学時間を指定出来る場合は午前11時半頃に訪問する事がオススメです。
というのも、この時間に見学が開始されると施設利用者が食事をしている様子を見ることが出来るからです。
食事介助の丁寧さは介護の質が問われる重要なポイントなので、ここがしっかり行われているかどうかで施設の状況が大分見えてくると言えます。
スタッフ同士で挨拶しているか
働いているスタッフの人が利用者に対してどう接しているかも大切ですが、少しスタッフ同士の会話やすれ違い時の挨拶に耳を傾けてみましょう。
会話の内容からスタッフ間の仲の良し悪しや労働状況を推察する事が出来ます。
もし、横暴な態度や乱暴な口調で話している事があるのならば仕事からのストレスが多い、人間関係に問題がある危険性アリです。
特に挨拶は仕事上はもちろんの事、人間生活の基本でもありスタッフそれぞれの人柄を掴む手がかりにもなります。
見学中のスタッフの様子は中々掴む事の出来ない職場の人間関係を感じ取れる貴重な機会ですので、注意深く観察してみましょう。
入居者フロアの臭いはどうか
施設を見渡して一見綺麗に見えても油断は禁物、フロアの匂いにも気を配ってみて下さい。
生活居住区からアンモニア臭がする場合には利用者の排泄物が適切な処理をされていない可能性があります。
人手が不足している施設では処理を後回しにしていたり、中にはプライバシーを軽視して居室を開けっ放しにして排泄介助を行っているなんて事も考えられるのです。
排泄物に限らず入浴介助に手が回らず利用者の体臭がキツくなっている事もありますので、衛生管理に関する匂いは施設全体の状況を把握する一つの重要な手がかりと言えます。
入居者の口腔、体臭はどうか
匂いに関連してもう一点、施設利用者の口臭を少し気にしてみましょう。
あまり露骨に気にしすぎると失礼に当たりますので、相手に悟られない程ほどを心がけてくださいね。
現在、高齢者の健康管理や認知症の予防に於いて口腔ケアが重要視されている部分です。
食事後や朝晩のはみがきなどを怠ると食べカスなどが溜まってしまい、最悪の場合ふとした瞬間に肺へ入り込んで肺炎を引き起こしてしまいます。
肺炎は高齢者の死因で上位に入る危険事項ですので、優良な介護の現場では細心の注意が払われているハズです。
利用者の口臭が少しキツめだなと思ったら、その施設の様子を注意深く観察してみましょう。
理不尽なシフトが組まれていないか
見学時に事務所などスタッフ関係者が利用しているスペースを見る事が出来るのならば、さりげなくシフト表や出勤札をチェックしてみるのもオススメです。
行き届いた介護を目指すのであれば日勤ならばスタッフ1名に対して入居者5~6人、夜間であれば14人までが理想的と言えます。
慢性的な人手不足に陥っている施設では日勤スタッフ1名あたり入居者10人を担当させている事もあります。
見学に合わせてスタッフ配置を増やしている事も考えられるので、見学時に夜間は何人体制でシフトを組んでいるかを直接職員に尋ねる事が一番効果的です。
シフト表が見れるならば各職員がしっかりと休日を取れているかを確認するのも大切でしょう。
経営理念がぼんやりしていないか
「人を支えて助ける」という考えが本質である為、介護施設の中に深い考えのないぼんやりとした経営理念を掲げる企業が散見されます。
こうした企業では幹部クラスの職員が精神論者である事が珍しくなく、厳しい労働環境も「気合」や「根性」「利用者に対する思いやり」と言った言葉で片付けられてしまうケースが考えられるのです。
求人広告や公式のHPに掲載されている経営理念が胡散臭いと感じられる文面の場合は少し構えて見ましょう。
また、口コミサイトに関しても広告が絡んでくる場合があるので鵜呑みにする事は危険だという事も留意してください。
転職前にブラックさをしっかりチェック
介護士が直面するブラックな職場の特徴をご紹介しましたが、一つ覚えて欲しいのは「介護職=ブラック」ではないと言う事です。
頑張った分だけ評価してくれる、スタッフ間の仲も良く協力し合って利用者の生活を支えている優良介護施設も存在しています。
大切なのは、今自分が勤めている施設がブラックなのか、そして転職を考えるのならば新しい勤め先が優良な職場であるかどうかを見極める事です。
今一度チェック項目を見直して、悩みを抱えている方は今後の活動の参考にしてみて下さいね。