過去の転職回数が多い人はジョブホッパーと呼ばれ、一つの仕事が長く続かないのではないか、何か問題を抱えているのではないかと転職時に企業から敬遠されることがあります。
一般企業ではよく言われることですが、外資系企業へ転職する場合はどうなのでしょう?
ここでは、外資系企業への転職時に転職回数が多いことがどう関係してくるのか、転職回数が多くても外資系企業へ転職するためにはどうすれば良いのかについてお話ししたいと思います。
日本人と外国人の転職に対する意識の違い
一般的に日本では転職回数が多いと転職が不利になるケースがありますが、国が変わると転職回数に対する意識は変わるのでしょうか?
外資系企業の考え方は本社がある国の影響が大きくなります。そのため、その国の文化の違いによって転職回数に対する意識が日本企業と大きく変わってくるのです。
外資系企業の転職回数への意識を理解するためには、国ごとの転職への意識の違いを理解する必要がありそうです。
ここでは、日本と海外で転職に対する意識はどれくらい違うのかを見ていきたいと思います。
日本人の年代別転職回数は何回くらい?
日本には世界でも珍しい終身雇用制度というものがあります。最初に入った会社に定年まで働く人が多く、年功序列制度というものもあると思います。このような制度の下、日本では転職をせずに長く一つの会社で働くという考え方が根付いています。
それを裏付ける、日本人の転職回数のデータについて見てみましょう。次のデータは厚生労働省のがまとめた「平成26年版労働経済の分析」からの年代別離職回数割合のデータです。
このデータを見ると、男性は30代から50代半ばまでの年齢層で約50%が最初についた職業から離職することなく働き続けていることがわかります。
女性の場合、結婚・出産によるキャリアの中断があるため、最初についた職業から離職することなく働き続ける人は少数派で、約4割の人が2回以上転職しています。
日本では転職回数1回以下が多数派
そして、「転職回数0回」「転職回数1回(現在有業)」「転職回数1回(現在無業)」を合わせると、男性の場合は約60%~70%、女性は年齢によって異なりますが約40%~70%が転職しても一回までということも読み取ることができます。
このデータから、日本では転職したことが無い、またはしても1回までという人が多数派であるということがわかると思います。
世界でも珍しい終身雇用制度がある日本だからこそ、このような状況にあると考えられます。
日本人と外国人の勤続年数の違い
一方で、外国では転職回数への意識はどうなっているのでしょうか?
国が異なると転職回数への意識はかなり異なります。日本人と外国人の転職に対する意識の違いがよくわかるのが、次のデータです。
出典 データブック国際労働比較2016」第3-12表 従業員の勤続年数(2014年)
欧米諸国に比べ日本の労働者の転職回数は少ない
これらの国の中で、一つの職場で働いた年数が最も高い国が日本で平均12.1年となっています。
他にもイギリス、ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、ベルギー、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、オーストリアというヨーロッパ圏の国の勤続年数が、平均10年前後と勤続年数が日本に次いで長くなっています。
一方で、勤続年数が最も短いのがアメリカ、韓国です。ヨーロッパ圏では転職せずに一つの職場で働き続ける年数が比較的長いけれど、アメリカと韓国ではすぐに転職する傾向があることがわかります。
確かにアメリカは転職大国と言われており、もちろん終身雇用という概念もありません。転職サポートは非常に充実しており、多くの人がスキルアップやキャリアアップ、収入アップのために転職をします。そのため、アメリカの勤続年数の平均は半年を下回る結果になっているのです。
一方、ヨーロッパでは勤続年数が長く転職回数が少ない傾向があります。ヨーロッパには終身雇用という制度がありませんが、それぞれのプライベートを優先してしっかりと休暇を取るというライフワークバランスを重視する考え方が根強く個人の幸せが優先されます。
その結果、個人の幸せを守った働き方ができる企業が多く長く定着しやすいことから、ヨーロッパ圏では勤続年数が長いと考えられます。
アジアの中でも日本人の生涯転職回数は少ない
アジアはどうなっているかということですが、やはり日本の転職回数の少なさは目立っています。日本では転職回数が少なければ少ないほどキャリアを重ねているとみなされる傾向があり、転職回数が多いと管理職になりにくいと言われています。
一方、中国やタイでは転職を経験していない人よりも転職経験者の方が管理職になる人が多いと言う、逆の結果となっています。
また、上記のデータにもある通り韓国も転職回数が多くなっています。同じアジアでも、転職回数への意識が異なることがわかります。
これらのデータから、アメリカや韓国に本社を置く外資系企業では転職回数を重ねる人が多く、ヨーロッパ企業ではそうでもないと考えられます。外資系企業の本社がある国の転職への意識を理解しておくことで、外資系企業への転職活動の対策を立てることができるかもしれません。
企業は転職回数から何を気にする?
では、実際に企業は何回くらいから転職回数を気にするものなのでしょうか?
転職回数が多い転職者にとっては、とても気になることだと思います。企業が転職者の転職回数を気にし始めるのは何回目からなのか?ということを調べたデータが次のグラフです。
このデータを見ると、1回や2回の転職回数で気にする企業は非常に少ないですが、3回目を超えると一気に転職回数を気にする企業が増え始めるということがわかります。
一方で、転職回数が気にならないという企業も約15%存在するということも、着目すべきポイントです。
では、企業は転職回数が多いことに関して、何を気にするのかを見ていきましょう。
キャリアが一貫せずスキルが無いと思われる
転職回数が多いということから仕事内容を何度も変えているためにキャリアが一貫せず、スキルが無いと思われがちです。営業職に就いていた人が技術職に変わったり、業界を転職するたびに変えたりすると、どの仕事のスキルも中途半端なのではないかと考えられてしまいます。
関連性のない職業に何回も転職すると、どの職種や業種のスキルも育たず高いスキルを得ることはできません。
営業職として2年、販売職として1年、工場勤務が3年など、経験職種も業種もバラバラだった場合、どのスキルも十分ではないと思われてしまうのです。
同業種・同職種で転職を重ねてきたのであればある程度キャリアを積んできたとみなされることもありますが、なぜ何回も転職しどのようなキャリアを積み重ねてきたのかをアピールする必要があります。
キャリアが一貫したものではない転職を重ねてきた場合はスキルの積み重ねがありません。
未経験者として採用をするのであれば話は別ですが、即戦力を期待している企業からは敬遠されてしまうでしょう。
人柄や仕事に対する態度に問題があると思われる
スキルの問題ではなく、人柄や仕事に対する態度に何か問題があるのではないかと企業から敬遠されるケースもあります。一つの職業が長く続かない人の中には、次のような問題を抱えている人もいます。
- コミュニケーション能力が低く人間関係を構築できない
- 仕事に対するやる気がない
- 仕事能力が極端に低い
人とのコミュニケーションが取れない、人の意見を聞けない等という人は上手に人間関係を構築できず、職場で浮いた存在となりすぐに辞めてしまいがちです。仕事をさぼり勝ち、すぐに休みたがるなどという仕事に対するやる気がない人や、仕事能力が極端に低い人も一つの仕事が長く続かないでしょう。
転職回数が多い人はこのような問題を抱えているために仕事が続かず、何度も転職を繰り返しているのではないかと考えられてしまうのです。
外資系企業では転職回数が多くても不利とみなされないケースもある?
日本では転職回数が多いと不利になるケースがありますが、外資系企業の場合はどうなのでしょうか?
結論から言うと、外資系企業の場合転職回数の多さは不利にならないというケースもあります。どういったケースがあるか見ていきましょう。
キャリアが一貫していれば転職回数は気にされない
転職回数が多いとキャリアが一貫していないのではという疑念を企業に抱かせる可能性がありますが、キャリアが一貫していれば転職した回数はあまり気にされません。
成果主義、実力主義であることが多い外資系企業では、その傾向は強くなります。外資系企業には「転職回数が多い?実力があればノープロブレム」という考え方の企業も数多く存在します。実際、転職回数が多くいろいろな仕事を経験していても、キャリアが一貫していればスキルが蓄積されますから専門的能力が高い人はいくらでもいます。
例えば、ITエンジニアとして転職を繰り返すことで幅広い業務経験を積み専門知識をそれぞれの職場で吸収してきた、会計士として手掛けたい案件を求めて企業を移り業務経験を積んでいずれは独立を目指すなどという場合です。
転職者がキャリアアップやスキルアップを意識して転職を重ねている場合は、転職回数は関係なくそのスキルや専門知識を評価されて有利に転職できることもあります。
転職回数ではなくキャリアの一貫性が重要なのです。
コミュニケーション能力や適応力が高いことをアピールできる
転職を重ねている人はコミュニケーション能力が高いというケースもあります。
転職するたびに新しい人間関係を構築しなければなりませんが、その都度新しい職場に馴染み人と関係を作ってきたという実績があるからです。
特に、転職が当たり前のアメリカでは、転職回数が多いことで管理能力やコミュニケーション能力が高いとみなされるケースも多くなっています。
職場が変わることで人間関係が大きく変化する
実際、長く同じ職場で働き続けている人は、その職場の仕事のやり方と人間関係しか知らないこともあるでしょう。転職を一度もしなければ職場での人事異動や顧客や取引先の変化以外ではほとんど新しい人間関係に触れる機会がなく、その職場の仕事のやり方や考え方、規約を長く守っていれば良いでしょう。
もちろん、人事異動や転勤が多く職場の同僚や顧客、取引先の変動が激しいため、同じ会社にずっと勤務していても新しい人間関係を構築する機会が多い人もいるかもしれません。
しかし、会社が変わらなければ仕事のやり方や考え方が劇的に変化することはそう頻繁にはないでしょう。
転職をしたことが無くてもコミュニケーション能力が高い人はたくさんいますが、転職慣れしている人はさらにその上をいく高いコミュニケーション能力を持っているのです。転職を重ねればその都度新しい環境に馴染む必要があり、人間関係を構築していくための高いコミュニケーション能力がおのずと身に着きます。
初めて会う人と一緒に円満に仕事をしていくためには、仕事に必要なコミュニケーションをしっかり取りながら新しい仕事のやり方をいち早く吸収しなければならないからです。
自分自身のポジションを確立させる能力が培われる
そして、転職による困難は新たな人間関係の構築だけではなく、自分の立ち位置を確立していかなければならないという難しさもあります。
自分の仕事のやり方を上手く新しい職場に浸透させていき実績をアピールして自分の領域を確保しなければ、転職先で昇進や昇給をすることができません。
しかも、転職先は今まで所属していた職場とは異なり、転職者にとってアウェイの場です。新卒で入った職場なら上司や先輩から温かい目を持って育てられながら頭角を現していくでしょう。
しかし、転職先では周りが常に温かく迎えてくれるとは限らず、むしろ、転職先の社員から見れば外部から入ってくる転職者は自分たちを脅かす存在なのです。
そんな環境の中で、新しい人間関係の中で自分の居場所を見つけながら仕事の成果を出していく、しかも、それを何度か成功させているということは高いコミュニケーションスキルを持つということを示しているのです。
転職者が多く在籍している外資系企業では受け入れられやすい
外資系企業の本社がある国に転職を受け入れる風土があり転職者が多い国である場合、その外資系企業に転職する際には転職回数の多さが気にされないケースが多くなります。
例えば、前述した通りアメリカや韓国、中国などが、それに当てはまります。
これらの国では転職する人が非常に多く、アメリカでは生涯を通じて11もの職業を経験することが普通であるとも言われるほどです。
外資系企業の社風には本社がある国の国民性が反映されやすくなりますから、アメリカや韓国、中国などに本社がある場合、転職回数が多くても採用されやすい傾向があります。
社内に転職回数が多い社員が多数在籍していれば、その企業の採用担当者も転職回数が多いことをあまり気にしません。
転職によりスキルを得られたかどうかを見られる
気になるのは転職回数ではなく、キャリアの一貫性や持っているスキルや仕事の実績、コミュニケーション能力です。」
逆に、ドイツや北欧などのヨーロッパ圏では働きやすく居心地の良い職場で長く働くことが多く、転職することが比較的少なくなっています。
そのため、本社がヨーロッパ圏にある外資系企業に転職する場合は転職回数が多いことに関して企業が納得するような説明要素を用意する必要があるでしょう。
転職を重ねてチャレンジしているとみなされることもある
転職を重ねているということが採用選考時にマイナス要素になる企業もありますが、逆にプラス要素になる企業もあります。
それは、転職を重ねていることでこの人はチャレンジをしていると、仕事に対する前向きな姿勢が評価される場合です。
そして、そのような評価を下すのは実力主義、能力主義の外資系企業に多く見られ、日本企業にはそこまで多くはありません。
もちろん、そのような評価がされるのは、転職を重ねたことがチャレンジにつながっている場合のみです。
例えば、経営コンサルタントとしてコンサルティング会社に所属して多くの企業の経営改善を手掛けてきた人が、より大きな案件を扱えるような大手コンサルに転職を続けてきたというようなケースです。
より魅力的な仕事を求めて転職してきた、スキルを蓄えて転職するたびに年収をアップさせてきたなどという場合、チャレンジしてきたことが評価されるのです。
チャレンジする姿勢や結果を出せたかどうかが重要
転職するということは、今までに所属していた企業での実績や地位を一度すべて失うということです。
一度それらをリセットした状態で一から新しい会社で仕事をして実績を積むということは、転職せずに同じ会社で働き続けるよりも何倍もエネルギーが必要です。
実力主義で転職回数を気にしないことが多い外資系企業では、転職回数が多い人のことをキャリアアップするためにチャレンジを重ねてきた人材とプラス評価することが多いのです。
一方で、転職せずに一つの会社にしがみついて働いていて仕事の実績もスキルもないという人もいます。会社で実績を残さず勤務態度が良くなかったとしても正社員として働いていればよほどのことが無い限り解雇されることはありませんから、転職したことが無く実力もあまりないという人は大勢います。
その会社でしか通用しない仕事のやり方しか知らず実績はそこまで上げていない人が、転職したことが無いというだけでチャレンジを続けて転職している実力のある人に勝てるとは思えません。
このように、より高いところを目指して既存の権利を捨てて転職を重ね転職後も実績を残している場合は、転職回数が多いことなど全く気にされず逆にプラス要素になるケースもあります。
実力主義の外資系企業には転職回数が多い人が多く所属する企業も多く、たいていそのような企業ではチャレンジした結果の転職を高く評価します。
転職回数が多い人が外資系企業に転職するためのコツとは?
では、過去に転職した回数が多い人が外資系企業に転職する場合、どのようなことに注意すれば良いのでしょうか。
転職回数が多い人が外資系企業に有利に転職するためのコツについて、いくつかお話ししたいと思います。
キャリアアップのために転職を繰り返したことをアピール
今までお話ししてきた通り、転職回数が多くてもキャリアアップしてきたのであればそれがプラスに評価されます。ですから、転職を繰り返した目的がキャリアアップであったことをアピールすることができれば良いのです。
そのためには、過去の転職時に何を求めて転職してきたのかを、具体的にアピールする必要があります。
一回目の転職では自分が持っていないスキルを身に着けるためにその頃所属していた会社では得られないスキルを得るために転職をした、二回目の転職時には十分スキルが身に着いていたため自分がやりたい仕事ができる企業に転職をしたなど、転職時の目的を明らかにすると転職回数の多くても納得感があります。
転職回数が多い人は過去の転職時の目的を明確にアピールすることで、合理的な考え方の外資系企業に受け入れてもらえるでしょう。
一貫したキャリアをアピール
すでにお話ししたように、転職回数が多くても一貫したキャリアがあれば回数の多さは気にされなくなります。特に実力主義で合理的な考えを持つ外資系企業なら、一貫したキャリアとそこで得たスキルを強くアピールすることでむしろ有利に転職できる可能性が高まります。
同業界・同職種でキャリアを保って転職を繰り返したという場合はもちろん、一貫したキャリアをアピールすることができます。
前述したように、ITエンジニアとして業務経験を積みスキルを得るために同じ業界で転職を重ねてきたケースなどです。
そして、業界や職種が変わっていたとしても、転職者の中で一貫したキャリアがあればそれをアピールすることができるのです。
転職することで職種や業種が変わってもキャリアが一貫しているケースも、もちろんあります。
同じ業界でいろいろな職種を経験していることで、幅広い仕事の知識を持ちマネージャークラスとして活躍するケースです。
例えば、IT業界で転職を重ねる中で、システム開発をしたり営業担当をしたりITコンサルタントを経験したりすると、IT業界の中で幅広く活躍した経験をアピールすることができます。
同じ業種の中でも仕事内容の種類は幅広く、一つの職種しか知らない人よりも多くの職種に関わってきた方が視野が広くなり専門知識の幅も広がります。
管理職やマネージャー、経営層として活躍するためには、業界内の幅広い知識が必要とされますから、転職して多くの職種を経験した経験が生きてくることもあるでしょう。
一方、転職で業界を変えても職種を変えないことで、キャリアが一貫しているケースもあります。
例えば、会計士や税理士などの資格や専門知識を持っている人がメーカーや商社など様々な業界の企業に転職して会計士や税理士としての業務経験を積むケースです。
看護師資格を持っている人が病院だけではなく老人介護施設や保育施設で働いてきた場合は、業種を変えても看護師としてのキャリアは一貫しています。資格や専門知識を必要とする職種では、キャリアの一貫性をアピールしやすいと言えます。
このように、業種や職種に限らず転職が多くてもキャリアが一貫している場合、転職回数の多さはデメリットにはなりません。
転職したことで得た経験をアピールする
転職したこと自体をマイナス要素としてではなく、プラス要素とすることもできます。
すでにお話ししたとおり、転職を重ねてキャリアアップし多くのスキルや経験を得たこと以外だけでなく、次のようなこともアピールポイントにできるのです。
- 新しい環境に何度か適応した経験から得た高いコミュニケーション能力
- 失敗を恐れずにチャレンジできること
ただし、これらのアピールを効果的に行うためには、具体的なエピソードや実績によって説明する必要があります。
例えば、ある程度の地位や実績を得ていたがそれらをすべて捨てて転職しまた一から前職で築いた以上の地位や実績を手に入れたというアピールの中をするならば、具体的な実績やその地位に至るまでの苦労や必要なスキルをアピールします。
そうすることで、どんな時もチャレンジできる強い精神力と実力があることを効果的にアピールできます。
転職先のアウェイな環境の中に馴染み自分の実力を発揮したということや、失敗を恐れず強い実行力を持ってチャレンジができるということからは、会社組織に依存しない真の実力をアピールできるでしょう。
また、実行力のあるチームリーダーやマネジメントリーダーとしての実力をアピールすることにもつながります。転職を重ねたことをウィークポイントととらえるのではなく、アピールポイントとして活用することもできるのです。
転職者が多く在籍し実力や実績を重視する外資系企業の場合、このアピールはとても効果的です。
職務経歴書の書き方を工夫する
転職回数が多い人は職務経歴書のボリュームが大きくなりがちですから、書き方に注意が必要です。長々と過去の職歴を書いただけの読みづらい職務経歴書を出してしまうと、スキルや能力を重視する合理的な考え方を持つ外資系企業なら即不採用になってしまうことでしょう。
書き方を工夫して最もアピールしたい経歴を重点的に書くなどの工夫をすることで、読みやすくアピールポイントが伝わりやすい職務経歴書にすることができます。
一般的に、転職回数が多い人ほど職務経歴書に書くことが多くなりがちです。何度も転職して職歴が多いため書くことが増えるのは当然ですが、過去の職歴を単純に全て並べれば良いというものでもありません。
職務経歴書が長すぎると企業の採用担当は読むのをやめてしまうかもしれず、書類選考を通過する確率は下がります。そのため、読んでもらうために簡潔にわかりやすく書き、最もアピールしたいことに絞って書くことが必要です。
そのための工夫をご紹介します。
直近の職歴を一ページ目に書く
職歴を書くと言うと古い職歴から順番に書くと思われがちですが、それだと直近の職歴に関する内容が最後のページになってしまいます。企業が知りたい職歴はたいてい直近の職歴で、最近まで何の仕事をしておりどのような実績を残していたのかということです。
ですから、企業が最も知りたいことを最初のページに書くことで、無駄な情報を採用担当者に読ませる必要がなくなります。
また、情報が多いとアピールポイントが散漫になりますから、直近の職歴については厚く過去の職歴になるほど情報量を少なくするという工夫も必要です。
アピールポイントを絞って最も重要なポイントを1ページ目に書く
職務経歴書は1ページ目が最も重要です。
1ページ目に必要な情報が全て書いてある職務経歴書にすれば、採用担当者は読みやすくアピールポイントが頭に入りやすくなるためです。前述した通り、最も重要な直近の職歴が1ページ目になるように書けば良いですが、中には直近の職歴が最もアピールしたい職歴ではない場合もあります。
その場合は、順序良く職歴を並べなくても、最も重要な職歴を1ページ目に載せて後のページに職歴を簡単に書いても良いのです。順序はあまり重要なことではありません。
順序を気にして読みづらい職務経歴書になるよりは、読みやすさを重視するべきです。
何度も添削して無駄な情報を省き読みやすくする
職務経歴書を書く時に、一度書いた後誤記を直しただけでそのまま提出する人はあまりいないと思います。ほとんどの人が、何度か添削して読みやすい内容に整えて提出するでしょう。
特に、転職回数が多い人は職務経歴書に書くボリュームが多いため、何度も見直して無駄な情報をそぎ落としていく作業が重要になります。
その作業の中で、あまり重要ではないがとりあえず書いてみた部分や重複して書いてしまった部分などをどんどん省いていきます。構成を工夫したり表や箇条書きを使ったりことで、見え方がすっきりする場合もあります。
何度も添削して構成を組み替え無駄な情報を省いていくことで、最も重要な情報だけが残り読みやすくなります。
読みやすい職務経歴書を書くということは、読む相手のことを考えるということです。
どうすれば採用担当者が読みやすくなるか、どのような情報を採用担当者が知りたいのかを考えることが重要です。
そして、1ページに重要な情報を収めるためには高い書類作成能力が必要とされますが、それができるということは仕事ができるアピールにもなるのです。
大手外資系企業ではなく中小・ベンチャー外資系企業を狙う
外資系企業ならば転職回数は気にされることが少なく、むしろ実力を高めるために転職を重ねたことがプラスに評価されるということをお話ししました。
しかし、外資系企業にもいろいろあり、一概にそうとは言えません。特に大手の外資系企業ともなると、求職者に求められるレベルが高くなります。大手外資系企業に応募する人たちはレベルが高く、仕事のスキルや実績が同じようなレベルなら転職回数が少なく問題がなさそうな方が採用されるというケースもあるでしょう。
そこで、大手の外資系企業だけではなく、中小やベンチャーの外資系企業を狙うと言う手もあります。
外資系でも中小企業やベンチャー企業なら、大手外資系企業よりも転職しやすい所も多いのです。
その理由には、次のようなものがあります。
- 知名度が低く転職希望者が少ない
- 人手不足の中小企業が多い
- 大手企業ほど求められるレベルが高くない場合もある
- 中小やベンチャーなら大手ほど学歴が求められない
転職回数が多いことがネックで大手外資系企業への転職活動がうまくいかない場合は、中小企業やベンチャー企業に狙いを変えてみるのも一つの手かもしれません。
もちろん、中小企業やベンチャー企業だからと言って、簡単に転職できるというわけではありません。他社にはない独自の技術力や開発力を持つ中小企業やベンチャー企業もあり、求められる技能レベルが高くコアな専門知識が必要な場合もあります。
大手企業では社員数が多く仕事がきっちりと分担されるため狭い範囲の仕事ができれば良かったのに、社員数が少ない中小企業では幅広い範囲の仕事ができなければ仕事にならないということもあるかもしれません。その点は、その企業の特色や求められるスキルを正しく見極める必要があります。
高い語学力をアピールする
外資系企業へ転職する場合、語学力が無ければ仕事にならないこともあります。
もちろん、日本国内だけで仕事をすれば良い外資系企業もありますから一概には言えません。しかし、外資系企業側にしてみれば語学力がない人材よりは、語学力が豊富でコミュニケーション能力が高い人材の方が欲しいと考えるはずです。
転職回数が多いというウィークポイントがあったとしても、高い語学力があればそれを払拭することができます。
それほど語学力は重要なものです。特に、他国の語学力の習得が苦手と言われる日本人の中で高い語学力を持つことは、ライバルである他の日本人を引き離すことができる強力な武器になります。
ビジネスレベルの語学力を身につける
ただし、外資系企業に転職する際に語学力をアピールしたいならビジネスレベルの語学力が必要です。TOEICなら最低限のビジネス英語を持つことを示す700~795点台では、外資系企業を受ける際の履歴書に書いてもあまり意味がありません。
英語によるトラブルに関わる議論の理解や英語の文章からの情報収集ができることを示す800~895点台を最低でも取得しておく必要があるでしょう。
高い語学力の習得は難しいことですが、習得できれば外資系企業への転職のための強力な武器になることは間違いありません。
まとめ
いかがでしたか?かなり長文になってしまっため、最後まで読んでいただいたのであれば、お疲れになったのではないでしょうか?
外資系企業は日本企業よりも転職回数を気にすることが少なく、逆に転職回数が多いことで得られた経験をアピールすることで転職が有利に進むケースもあります。実力主義、能力主義で合理的な考え方を持つ外資系企業は、今までに培ってきたキャリアやスキルだけを重視し転職回数をあまり気にしません。
最も重要なことは、過去の転職経験の中で着実にキャリアを伸ばしてきたことやスキルアップをしてきたこと、転職したことで得られた経験や高いコミュニケーション能力、チャレンジ精神を確実にアピールすることです。
そのためには、過去のキャリアや実績を具体的にアピールし、転職回数が多いことで冗長になりがちな職務経歴書の書き方を工夫する、高い語学力をアピールするなどの対策が有効です。
転職回数が多いことをマイナスポイントとしてとらえるだけでなく、少し視点を変えて過去の転職から得られたことは無いかを考えてみましょう。
そして、転職を何回も行ってきた理由を明確にし、外資系企業の採用担当者が納得する形で伝える努力も必要です。
転職回数が多いからといって必ずしも転職が不利になるわけではありません。しっかりと対策を行うことで、外資系企業への転職の道が開けるでしょう。