独立行政法人の労働政策研究・研修機構が行なった調査によれば、非常勤医師が複数の勤務先を持つ理由の第1位が「収入を増やしたい」の48.1%という結果となっています。
つまり、非常勤医師の半数近い人が収入を上げるために、複数の勤務先で働いていることがわかります。
そんな中、
「非常勤医師の日給の相場ってどれくらいなの?」
「高い日給で働きたい」
このように、非常勤医師の日給について気になっている人も多いのではないでしょうか?
結論からいえば、非常勤医師の日給は8万円前後が相場です。
そして、非常勤医師の年収は常勤医師の年収よりも高いことが一般的です。
では具体的になぜ非常勤医師の給料が高いのでしょうか?
そこで今回は、非常勤医師の方が稼げる理由から、日給で支払われる診療科目、特に日給の仕事などを紹介していきます。
非常勤医師の方が日給は高い
実は、常勤医師の給与よりも非常勤医師の日給の方が高いことが一般的です。
非常勤医師・アルバイト医師の平均的な時給が1万円なので、1日働いて8万円、午前中もしくは午後のみであれば4万円程度の日給が相場です。
週に5日、1ヶ月に20日、年間280日働いたと考えると、非常勤医師の年収は2,000万円以上となります。
専門性の高い分野の医師や需要の高い医師はもっと高い日給で働くことが可能です。
一方で、常勤医師の平均年収が1,100万円前後なので、それと比べると非常勤医師の方が圧倒的に高給取りであることがわかります。
非常勤医師の方が稼げる理由
なぜ非常勤医師の方が稼げるのかというと、その理由は非常勤と常勤医師の業務内容の違いにあります。
常勤医師の給与は医療施設の立地や科目、医師の年齢などによって、医療施設が独自に定めることが一般的です。
しかし一方で、非常勤の場合は仕事内容に大きな差がないために、時給に差をつけることができないからです。
また、非常勤の時給を下げたところで、他の時給の高い医療施設に人材が流れていくだけなので、昔から非常勤の時給は下がることなく高止まりしている状態となっています。
そのため、非常勤医師の日給は約8万円が相場で、その金額も将来的に変動しづらいといえます。
日給で支払われる診療科目
診療科目によっては、時給換算ではなく日給で報酬が支払われることがあります。
日給で支払われる医師の仕事には主に以下の3種類があります。
- 健康診断
- 外来や当直
- 麻酔科医師
基本的に日給換算の仕事はスポット勤務であることが多いです。
非常勤のように働く日にちが定まっていないので、仕事というよりもお小遣い稼ぎに近いので、収入を安定させたいなら非常勤で特定の医療施設で働くことをオススメします。
以下では、それぞれの診療科目の詳細と日給の相場について解説していきます。
健康診断
健康診断は非常勤というよりも、むしろスポット勤務に近い仕事です。
企業や保健所などの公的機関によって定期的に行われ、1日の仕事終わり後に報酬を当日支給されることが多いです。
勤務時間は1日およそ4時間〜7時間程度で、日給は4万円〜8万円が相場で、時給換算すると1万円程度となっています。
また、人間ドックで内視鏡検査など高度な技術を有する仕事の場合は、さらに報酬が高くなる傾向にあります。
なお、交通費や各種手当はすべて報酬に含まれていることがほとんどです。
外来や当直
非常勤の外来は時給で支払われることが一般的ですが、連休を挟むなどして病院側の医師が少なくなった場合はスポット的に外来の募集が行われることがあります。
スポット勤務の場合は初診の患者を見たり、専門外来などを行い、8時間程度の業務をこなして相場は8万円程度です。
また、常勤医師の手が少なくなる夜間の当直の場合も同じように、夜から朝にかけておよそ8時間程度勤務します。
患者の急変や救急患者の対応がなければ就寝が可能です。
もし当直中に手術を行う必要が出てきたときは、手術手当が加算されて支払われることが一般的です。
なお、当直の相場は一夜でおよそ4万円となっています。
麻酔科医師
麻酔科医師の仕事は日給で支払われることが多くあります。
手術が重なるなどして麻酔科医師が足りない場合に、スポット勤務・単発アルバイトとして募集されます。
専門的な分野なのでキャリアやスキルを有していることが前提となっていますが、1回あたり5時間〜8時間の勤務で、日給5万円〜10万円の報酬が相場です。
日給の報酬額の高い業務内容
日給の報酬額の高い業務内容には以下があります。
- 在宅医療
- 外来
- 内視鏡検査
- 検診
- 病棟管理
特に最近では、在宅医療の需要が増加して報酬が高く人気です。
在宅医療は高齢者の利用が多いので、呼吸器科・消化器科・循環器科・内科などが活躍し、非常勤で稼ぎやすい業務内容となっています。
未経験者で日給8万円、経験者で日給12万円が相場です。
しかし、在宅医療は募集の数が少ないので、安定的に仕事をこなすのは難しいでしょう。
一方で、外来アルバイトは在宅医療ほど日給は高くないものの、求人が多い業務です。
不妊治療を行う産婦人科、簡単な縫合などを行う整形外科、麻酔科などは特に給与が高く、日給13万円を超える求人も存在します。
非常勤で高い日給を目指すなら、業務内容と診療科目を加味して自分に合った働き方を選ぶことが大切です。
首都圏周辺のエリアは報酬が高い傾向にある
基本的に首都圏周辺のエリアは医師不足によって報酬が高くなる傾向にあります。
たとえば関東でいえば、栃木県や群馬県、千葉県、埼玉県などの首都圏よりも少し離れたエリアでは、患者の数に対する医師の不足で東京23区よりも時給はやや高めです。
東京23区や横浜市の平均的時給は1万円前後ですが、首都圏周辺エリアの時給は1.5万円の求人が少なくありません。
なお、そのほか北陸エリアや東海エリアなどの地方では平均的時給は1万円前後となっています。
そのため、高時給の非常勤医師の求人を狙うなら首都圏周辺エリアがオススメです。
まとめ
非常勤医師の日給の相場は8万円前後です。
平均的な時給が1万円前後なので、1日働いて8万円、午前中もしくは午後のみ働いて4万円となっています。
非常勤医師は常勤医師よりも年収が高いことが特徴で、ある調査によれば、非常勤医師の半数の人が収入を上げることが目的で非常勤で働いていると答えています。
特に在宅医療や外来、内視鏡検査などは日給が高く、非常勤医師として高収入を目指すなら、これらの仕事に従事するといいでしょう。