転職活動をする際は面接において、退職理由をどのように回答するかが重要になってきます。
回答の仕方によっては採用担当者に良い印象を持たれることもあれば、悪い印象を持たれることもあります。
そして、採用に繋げるためには、採用担当者に良い印象を与えられる退職理由を話すことが大切です。
そこで今回は、転職に成功するための退職理由を話す際のポイントや、採用担当者に好印象を与えられる退職理由の回答例等を紹介します。
みんなはどんな理由で退職・転職している?
退職・転職の理由としては、次のものが多くあります。
会社に理由があるケース
会社に理由があり辞めていくケースとして、職場での人間関係や給与への不満、残業が多い等が挙げられます。
特に人間関係に関する理由を挙げる方は多く、仕事へのやりがいを感じていたとしても、上司や先輩等とそりが合わなくなり辞めていきます。
他にも、休日が少ないことで身体的・精神的に負荷が掛かることで退職・転職を検討する方や、会社の安定性・将来性に関して不安を感じている方が辞めていくケースもあります。
これらはごく一部ですが、多くの場合ネガティブな内容が退職・転職理由となっています。
個人的な理由
退職・転職の理由には自身のキャリアアップのため、という方もいます。
今いる会社ではこれ以上キャリアアップを望めず、成長できるビジョンが見えない場合、他の会社で成長できるチャンスを自ら掴み取ろうと考える方が会社を辞めていきます。
さらに、現在続けている仕事以外に、他にやりたい仕事が見つかるケースも存在します。
現在の仕事へのやりがいや楽しさを見つけていても、これから長い間続けていくことを考えて、他のやりたいことを優先する方もいます。
採用担当者はどうして退職理由を聞くの?
採用担当者が応募者に対して退職理由を尋ねる理由の一つとして、自社に合った人材かどうかを確認するためというのが挙げられます。
退職理由の中でも、以前いた会社で休日出勤が多かった、給料が安かったというネガティブな理由で採用したとしても、また辞めてしまうリスクが高いと判断されることがあります。
そのため、面接ではリスクがあるかどうかを確認して、会社が求めている人材を採用できるように退職理由を尋ねます。
他にも、以下のようなことを確認する目的で、退職理由を尋ねています。
人間性と仕事観
上手く人とコミュニケーションが取れなかったり、仕事に対する責任から逃げてしまうかどうか等、人間性と仕事観が社会人として必要なレベルに達しているかを判断するために退職理由を尋ねます。
これらが必要なレベルに達していないと、仮に雇ったとしても自社で同じことを繰り返す恐れがあるので採用担当者は注意深く確認しています。
就業観
仕事への能力や知識が豊富な方でも、自分にふさわしい環境や職場が他にもあるはず、という就業観を持って何度も転職している場合、採用担当者はまたすぐに辞めてしまうリスクを考えます。
能力やスキルだけでなく、自社に合っているかどうかを確認する上で職業観は大切な要素になっています。
このような方の場合、しっかりとした自己分析を行い、自分の目標・目的を具体的に定めることが大切でしょう。
好印象を与える退職理由とは?
面接において好印象を与えるには、いくつかのポイントを押さえて退職理由を伝えることが大切です。
好印象を与える4つのポイント
採用担当者へ退職理由を応える際、好印象を与えるポイントとして、志望動機と連動している・前向きである・具体的である・誠実さが感じられるという4つの要素が挙げられます。
これらは応募者が会社に適した人材かどうかを判断するために必要な要素となっています。
退職理由の中には採用担当者にネガティブな印象を与えるものや、将来的なリスク(早期退職や他の社員と合わせられない等)を感じさせるもの等があります。
これらを採用担当者に感じさせず、逆に好印象を与えて効果的に採用へ繋げることが退職理由を答える際は大切です。”
志望動機と連動した退職理由
マイナスイメージの強い退職理由でも、志望動機と連動させることで説得力が増し、好印象へ変えることができます。
前職で嫌なことや合わなかったこと、実現できなかったこと等が退職理由となっている場合、志望先がこれらの理由を改善できる環境となっていれば志望動機と連動しやすくなります。
具体的な方法
例えば、前職の退職理由が新しい発想やチャレンジを受け入れてもらえない環境だった、という内容の場合は、志望動機の新しい発想・チャレンジを受け入れてもらえ、実現できる環境が揃っているという志望動機に連動させます。
仮に、退職理由を正直に話したとしても、このように志望動機と連動させていれば、将来性を見てもらえる可能性が出てきます。
転職では前職で満たされなかったことや、自分に合わなかったことが改善された環境を求めるため、自然と退職理由と志望動機は結びつくことが多くなります。
もし、連動していない場合は志望先の企業研究を行い、結びつくポイントを探してしっかりアピールしましょう。
注意点として、志望動機は企業毎に変わってきます。
そのため、志望動機を前提とした退職理由へ調整することが大切です。
退職理由を前提としてしまうと、志望先の企業に合わない恐れもあります。”
前向きな退職理由
退職理由を語る上で、給料が少なかった、社風と合わなかった等の理由をそのまま語ると、採用担当者へネガティブな印象を与えかねません。
これらを前向きな退職理由に置き換えることで採用担当者の印象が変わり、採用へ繋げることができます。
前向きに変える方法
マイナスな退職理由を、前向きに変えるには会社の不平不満を含めず、入社後に焦点を当てた理由を考えるようにします。
例えば、キャリアアップするため、夢を実現するため、といった前向きな内容を話すことで、採用担当者の受ける印象が良くなります。
採用担当者は転職者に後ろ向きな退職理由が少なからずあることを理解しています。
しかし、言葉に出してそのまま伝えたとしても、入社後に同じような気持ちを持つのではないかと採用担当者に思われてしまう可能性があります。
退職理由を前向きなものにするには、正直な退職理由に対して今後の目標を定めることです。
目標があれば、そこに到達するまでの過程を具体的に話すことができ、より前向きな内容を採用担当者に伝えることができます。
注意点として、前向きな内容にしようと退職理由に嘘の内容を盛り込んだり、ごまかすことは無いようにしましょう。
採用担当者は何人も応募者を見てきているため、嘘か本当かを見破ることができます。
これでは採用から遠ざかってしまうので、正直な内容を心がけることが大切です。”
具体的な退職理由
退職理由が曖昧な内容では、具体的に以前の会社では何が合わなかったのかが伝わりづらくなってしまいます。
すると、採用担当者は自社に合う人間かどうかを判断するのが難しくなります。
はっきりとした理由のないまま辞めた人という印象では採用に繋がらない可能性があるので注意が必要です。
そこで、退職理由をより具体的な内容にすることにより、応募者の気持ちや熱意も伝わりやすく採用担当者は採用すべきかどうか的確に判断することができます。
どんな内容が良いのか?
例えば、企業方針・ビジョンと合わない、キャリアアップをしたいといった退職理由では具体的にどんな企業方針・ビジョンと合わないのか、どんな風にキャリアアップしたいのかが伝わらず、採用担当者に評価されません。
そのため、以前いた会社の企業方針・ビジョンを説明した後、自身の考え方や働き方を伝えた上で、この二つの相違点に関する退職理由を説明します。
さらに、この会社でどのような経験を積み、どのようにキャリアアップしたいのか等の具体的な内容を盛り込みます。
このような内容であれば、採用担当者は入社後の働き方をイメージしやすい他、本人の意向も汲み取りやすくなります。
具体的に語るには、自分のこれまでを振り返ることも大切だと私は考えます。
自分の仕事への思いや目標、仕事へのやりがい等を改めて見つめ直すと、なぜ退職するに至ったのかを見つけることへ繋がります。
誠実さを感じさせる退職理由
採用担当者としては、応募者が入社した後に会社の戦力になるかどうかという点の他に、他の社員と上手くやっていけるかも確認します。
そのため、面接においては他の社員から信頼される誠実さの有無も重要なポイントになります。
退職理由をごまかしたり、嘘の内容を盛り込んでいることが伝わると悪い印象を持たれてしまいます。
もし、嘘をついて採用された場合、就職後にその嘘がバレると人格が疑われてしまう恐れがあります。
面接では全て正直に話す方が誠実さが伝わり、好印象へと繋がっていきます。
注意点は?
正直に話すことは大切ですが、給料が安かったから、上司が嫌いだった等、何でも正直に話せばいいという訳ではありません。
ある程度言い換えながらも正直に話そうとする姿勢が大切です。
あまり正直に話しすぎると、愚痴や言い訳に聞こえてくる恐れがあり、採用担当者から悪い印象を持たれかねません。
さらに、退職理由のサンプルは転職サイト等で世の中に沢山出回っています。
誠実さを持たせようとサンプルの内容をそのまま伝えても説得力が感じられず、誠実さが伝わりません。
内容は完璧でなかったとしても、自分の言葉で正直に話そうとする姿勢を見せるようにしましょう。
採用担当者は応募者が話す内容だけでなく、このような姿勢まで見ています。
悪い印象を与えてしまう退職理由とは?
以前いた会社の悪いところを伝えるのはNG
面接で退職理由を応える際に採用担当者へ悪い印象を与える内容として、職場の悪口や給与や待遇、パワハラ・セクハラ等があります。
このような以前いた会社の悪いところを説明したとしても、ネガティブな内容ばかりになってしまうので採用担当者に悪い印象を与えてしまいます。
さらに、答え方によっては、自身の評価を下げてしまう原因になるので気をつける必要があります。
他のNGなポイント
応募企業と重なる理由や、退職理由を自信なく応えることも採用担当者へ悪い印象を与えてしまいます。
退職理由が応募企業の理念やビジョン、働き方等と重なると、以前いた会社と同様の理由で早期に辞めてしまうのではないかと採用担当者は考えます。
さらに、自信なく答えていることで、本音を話していないと受け取られる可能性もあるので注意が必要です。
職場の悪口は絶対に避けよう!
“以前の会社で嫌なことがあったり、不満に思うことがあったとしても退職理由に会社の悪口は含めないようにしましょう。
印象が悪くなる理由
すでに退職した会社でも、深い理由がなければ会社や社員の悪口は口に出してはいけません。
悪口を言っている姿は採用担当者に好印象を与えないどころか、悪く見られてしまう可能性があります。
さらに、採用担当者からは、入社した後に会社の陰口や悪口を言う人と思われてしまいます。
このような人が会社に在籍していることで、会社の評判が下がったり、得意先やお客さんにも良い印象を持たれない恐れがあるため、採用担当者から良い評価をもらえなくなります。
もし、以前いた会社が客観的に見てもひどい状態であれば、面接である程度話しても問題ありませんが、それでも感情のままに全てを話すのは控えましょう。
できることなら、自分のポジティブな面を以前いた会社の環境では十分に発揮できなかった、というように言い換えて話すことが大切です。
こうすることで退職理由が悪口ではなくなり、応募する企業へのポジティブな志望動機に繋がります。
給与や待遇を退職の理由にしない!
給与や待遇に関しても、面接では退職理由にすべきではありません。
なぜ退職理由にしてはいけないのか
退職理由として給与が低かった、賞与がもらえなかった、家賃補助がなかったといった給与や福利厚生の面を伝えてしまうと、仕事へのやりがいを重視しない人だと思われてしまう可能性があります。
待遇のみで会社を選んだように思われると採用担当者から良い印象を持たれづらくなってしまいます。
さらに、退職理由がこれだけでは、他の会社でも良かったのではないかと考えられてしまう恐れがあります。
理由の一つであったとしても、口に出すのは控えるようにしましょう。
もし伝えなければならない場合は、自身の働きや実績に見合った給料がもらえていなかった、というように自分の成果やスキルを一緒にアピールすると悪い印象を与えずに退職理由を伝えることができます。
さらに、入社後に会社へどのように貢献できるのかもイメージしてもらうことができるため、より効果的に好印象を与えられます。
パワハラ・セクハラを退職の理由にしない!
パワハラ・セクハラを退職理由にしても、採用担当者には上手く伝わらない可能性があります。
何があったのかわからない
採用担当者からすると、実際にその場で何が起きたのかを確実に知ることができません。
そのため、採用担当者によっては本人にも非があったのかもしれない、と考える方もいます。
受け取り方は人それぞれなので、ネガティブな印象を持たれてしまうと、良い印象に繋がりづらくなってしまうことを忘れないようにしましょう。
退職理由を言い換える
このような場合は入社前に確認した職場環境が入社後に満たされていなかった、というような内容に言い換えてみましょう。
少しでもマイナスな印象を持たれないようにするためにも、退職理由を言い換えることは大切です。
さらに、応募企業の職場環境で残すことができる成果についても触れるとより好印象を持たれやすくなります。
自身のスキルもアピールしておきましょう。
応募企業と重なる理由にしない!
応募企業の状況と重なる退職理由は避けておきたい内容です。
何がダメなのか?
退職理由を答える際に、応募企業にも起こり得る内容を話してしまうと、採用担当者はなぜ応募してきたのか疑問に思ってしまいます。
例えば、日曜日でも営業している会社の面接で、以前の会社では日曜出勤が多かった、というような退職理由を話すと採用されることは難しくなります。
さらに、仕事の結果が自分の評価に反映されていない、評価基準が明確ではない、といった一般社員では把握しきれない内容を退職理由にすることも避けなければなりません。
もしかすると、応募先の企業でもこれらのような状態である可能性があります。
このような自体を避けるには、応募する企業のリサーチを徹底的に行うことが重要です。
応募企業の勤務形態や評価制度等、細かい情報まで把握しておくことで退職理由と応募企業が重なることを防ぐことができます。
さらに、企業の情報を沢山仕入れていれば、退職理由を前向きな内容へ変えるきっかけにもなります。
また、応募企業の情報を深く調べることにより、面接中にその調べた内容を織り交ぜることができるので、採用担当者へ応募企業で働きたい熱意や意欲を伝えることも可能です。
自信を持って答える!
退職理由を答える際はネガティブな印象を与えないか心配になり、自信なく答える方もいます。
しかし、退職理由は次への新たなステップとして考えてポジティブに自信を持って答えることが大切です。
自信を持つことによる効果
自信を持って退職理由を話すことにより、採用担当者から好印象を得られる効果に期待できます。
自信なく話してしまうと退職したことを後悔している、本当は別の会社を志望しているのではないか、というように採用担当者に思われてしまう可能性があります。
転職は新たなステップなので、大きな声で堂々と話すようにしましょう。
どんな内容の退職理由であっても、声の大きさや姿勢によって自信があるように見え、言葉に説得力を持たせることができます。
さらに、大きな声を出すことで、自分の考えや思いをはっきりと言う人、という印象を採用担当者へ与えることができるため、好印象へ繋がります。
また、ネガティブな内容でも明るい雰囲気を感じられるように、笑顔で話すこともおすすめします。
もし、どのくらいの声や姿勢を見せる必要があるかわからない方がいれば、自分が採用担当者の目線に立って客観的に自分のことを見てみましょう。
そうすることで、どの程度の声や姿勢が必要なのかを判断しやすくなります。
退職理由の回答例:キャリアアップが理由の場合
キャリアアップを理由とした回答例には以下のようなものがあります。
回答例
「以前の職場では5年間、営業を担当していました。営業の仕事をこなす中で、様々なお客様との出会いや生の声を聞かせていただいたことがあります。
そこで、お客様が抱えている課題やニーズを聞くシーンもいくつかありました。
しかし、営業だけではそれらを解決することができなかったため、営業の経験を活かしつつも商品開発の仕事に携わりたいと考え転職を決意しました。
退職理由を回答するときのポイント
キャリアアップを退職理由とするのであれば、より具体的な理由と希望する仕事内容を明確にする必要があります。
今回の解答例の場合は、お客様の課題やニーズを営業で解決できなかった、というところが理由となっています。
採用担当者にも共感してもらえるように具体的な内容を心がけて、なぜ転職する必要があるのかを伝えましょう。
ただし、あまり長くだらだらと話すと愚痴に聞こえてしまうため、簡潔で言いたいことが伝わる内容を心がけることも大切なポイントです。
そして、商品開発の仕事がしたい、といった具体的な仕事内容を提示することで、採用担当者は入社後の働き方をイメージできます。
ここから前職での経験をどのように活かせるのか、というアピールをすることで採用担当者へ働きたい気持ちが伝わりやすくなります。
退職理由の回答例:残業・休日出勤の多さが理由の場合
残業・休日出勤の多さを退職理由にした回答例は以下のようになります。
回答例
前職では一人あたりの業務量が多かったため身体的・精神的な負担が大きくなっていました。
さらに、毎週のように休日出勤も行っている状態でした。
そこで、上司に業務内容の改善や省力化の提案を何度も行いましたが受理されることはなく、勤務形態はそのまま継続していました。
そのため、より効率良く成果をあげられる環境で働き、将来的なことも考えてスキルアップも目的とした転職を考えています。
退職理由を回答するときのポイント
このケースではネガティブな印象を採用担当者へ与える、勤務形態について触れられています。
この内容のみで退職理由を話してしまうと、入社後にも同様の理由で早期退職される、という考えを採用担当者に持たれる可能性があります。
そこで、ネガティブな印象を払拭するために、入社後に成果を出したい気持ちや将来的な目的を添えることで、採用担当者へ好印象を与える効果に期待できます。
さらに、社員としての伸び代を話すことができるとより効果的に好印象を持たせられます。
ネガティブな退職理由でもポジティブに捉えられる内容を心がけて、効果的に好印象を与えられるようにしましょう。
前向きな意欲をみせよう!
面接で退職理由を答えるときは、どうしても以前働いていた会社の不満や愚痴を話してしまいがちですが、採用担当者にネガティブな印象を持たれないためには前向きな意見が重要です。
ネガティブな内容は入社後のイメージを悪くしてしまい、採用担当者としては入社を歓迎できなくなります。
そのため、以前の会社ではできなかったことや、次にチャレンジしたい仕事を具体的に伝えることが大切になってきます。
これらを伝えることで、応募者が自社にどのような貢献をしてくれるのかイメージしやすく、採用担当者にポジティブな印象を与えることができます。
もし、ネガティブな内容を話さなければならないシーンでは、最後に前向きな内容を加えて、好印象を残すようにしましょう。