ここ最近、働き方改革にますます注目が集まり、「残業するな」と指示されることが増えてきたと感じる人も多いのではないでしょうか。
残業せず、仕事は定時内に終わらせて帰るように圧力をかけられることを、最近は「時短ハラスメント」、略して「ジタハラ」と呼ばれています。
ちょっと前までは、サービス残業や過度な残業に悩む人が多かった一方で、ここ最近では、新しいジタハラの問題に悩んでいる人は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、時短ハラスメントとは一体何なのか、具体的な事例や対処法について解説します。
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「残業するな」と言われる「時短ハラスメント」とは?
まだまだ聞き慣れない人が多いと思いますが、「時短ハラスメント」とは一体どういった状況のことをいうのか、なぜ時短ハラスメントが生まれたのか、その背景からみていきます。
時短ハラスメントとは?
時短ハラスメントとは、「業務時間を短くすること」を強要されるハラスメントです。
近年、残業が社会的に問題視されており、現場の管理職は残業を減らすことに躍起になっています。
長時間労働が問題になっていて、過労死するケースが増えている日本において、各会社は残業を減らすことに力を入れているのです。
そこで、働き方改革として残業をとにかく減らすことが至上命題とされており、「残業するな」という指示があちこちで出はじめるようになったのです。
そして、この「残業するな」という指示がハラスメントではないのかと問題視する動きが、最近になって出てきているのです。
その結果、時短ハラスメントという言葉が生まれて、問題が認識されるようになりました。
どうして時短ハラスメントが起きたのか?
「残業するな」という指示は、一見するともっともらしいと思われます。
しかし、残業が生まれる構造的な問題を解決しないまま、単に残業を禁止するだけでは何の解決にもなっていません。
実際に「残業するな」という指示を迷惑だと思っている人はたくさんいるのです。
その日の仕事が終わっていないのに、残業できず早く帰宅することを要求されます。
この社員は帰宅したとしても、プライベートの時間を満喫するのではなく、自宅で残った仕事に取り組むことになります。
これでは、会社にいる時間が短くなっただけであり、自宅で残業している状態といえるでしょう。
このように実態をよくみてみると、残業を廃止しただけでは、根本的な問題の解決にはなっていないのです。
働く時間が短くなったとしても、それぞれの社員が担当する業務量が以前と変わらないのであれば、社外で仕事を終わらせる必要があります。
これでは、実質的な労働時間は変わっておらず、心身への負担は大きいままとなります。
しかも、このようなケースでは当然残業代は支払われないため、サービス残業しているのと変わりません。
これならば、まだ残業代がもらえる分、普通に残業しているほうがよかったと思う人が出てくるのは当然のことでしょう。
ある調査によれば、こうした時短ハラスメントに悩まされている人は4割もいるようです。
今後も会社が残業を減らすために、短絡的な指示を出すことに迷惑する社員はたくさん出てくるでしょう。
時短ハラスメントの実態
知らない人が多いと思いますが、時短ハラスメントは思った以上に深刻な問題につながります。
ここでは、実際に時短ハラスメントによって発生したトラブルの事例をご紹介します。
オフィスで強制消灯が実施される
社員の残業時間を削減するために、オフィスで強制消灯を行う会社があります。
決まった時間になるとオフィスが消灯されるため、強制的にオフィスで仕事をすることができなくなります。
そのため、社員は残った仕事をこなすために、自宅やファミリーレストラン、ネットカフェなどを利用して残業せざるを得ない状況を余儀なくされます。
たとえば、残業のためにファミレスなどを利用したとしても、その費用を会社が支払うことはありません。
会社にとっては、残業代を削減できて嬉しいかもしれませんが、社員にとっては仕事の負担が増えるだけでなく、会社で残業していたとき以上に自己負担の経費や出費がかかるため、とても苦しい状況に陥ってしまうのです。
仕事の品質が落ちてしまう
残業ができないけれども、仕事の量が変わらないことがよくあります。
残業禁止の時短ハラスメントを強制されても、今まで通りのスケジュールで業務を進めることが求められるのです。
その結果、納期に間に合わせるために、仕事の質を落とさざるを得ないという事態にも陥ってしまうのです。
労働時間が短くなったのに業務量が変わらないなら、仕事を早くこなすには、品質が下がってしまうことがあるのです。
これによって、仕事の品質が低下して、社員や管理職はそのことを指摘されてしまいます。
それでやる気を保つことができず、会社を辞めてしまう人が増えるような事態にまで発展するのです。
自動車販売会社の店長が自殺する
時短ハラスメントが引き起こした悲惨なケースもあります。
ある自動車販売会社の店長が、従業員に残業させないように社長から指示されたため、従業員の分まで店長自身が仕事を抱えるようになりました。
その結果、時間外での労働がどんどん積み重なり、最終的にうつ状態になってしまったのです。
店長は会社を懲戒解雇されてしまい、労働審判を起こしていましたが、その途中で自殺してしまいました。
これによって、時短ハラスメントの実態がようやく公に知られるようになったのです。
経営陣としては、できる限り残業時間を短縮したいと考えていて、そのために厳しい削減目標を立てていました。
かなり無理な削減目標を達成することが店長に求められ、大きなプレッシャーとなったのです。
残業時間を減らすための具体的な対策などは、すべて現場に丸投げされていたため、店長は一人でとても苦しんでいたことが伺えます。
このように、残業時間を無くせば働き方改革が実現できるという単純な話ではないのです。
時短ハラスメントを解決するには?
これから時短ハラスメントの問題はますます増えていくことが予想されます。
先ほどご紹介したような悲惨な事態を繰り返さないためにも、時短ハラスメントの問題をどのように解決していけばいいか、対処法をご紹介します。
業務量を調整する
時短ハラスメントを防ぐには、それぞれの社員に対して、適切な業務量を割り振ることが大切です。
各社員の仕事量を1日の就業時間内に終わるだけに調整することで、社員善意Nが残業せずに業務をこなせるようになります。
これを実現するためには、管理者が社員のスキルを考慮しながら業務量を正確に把握することが大切です。
現場でよく起こるのが、仕事ができる社員に業務が集中し、社員ごとに任せられる業務量に大きな差がうまれることです。
社員の業務量に偏りが生じている場合は、管理者に業務量の見直しと調整が求められます。
クライアントに交渉する
業務量が増える原因の一つに、クライアントが無理な納期を設定し、残業しないと間に合わないような業務量になってしまうケースです。
この場合は、クライアントと上手く交渉することが求められます。
しかし、現場レベルではクライアントに逆らうことができず、無理な納期を受け入れてしまいがちです。
そこで、もっと上の立場の人間がクライアントに掛け合う必要があります。
短納期を要求してくるクライアントと交渉して、可能な範囲で納期を延ばしてもらいます。
要求に応じてもらえない場合には、社員を守るためにも、今後のクライアントとの関係を考え直す必要も生じるでしょう。
業務の効率化を図る
残業が発生しているのは、業務の効率性の悪さが原因になっていることが多いです。
そこで、業務の効率化を図るために、ITツールなどを積極的に活用することをおすすめします。
たとえば、未だに手書きで資料などを作成しているならば、それらをすべて電子化するべきです。
昔ながらの非生産的な業務のやり方が残っていると、いつまで経っても業務の効率化が実現できません。
機械に任せられる単純作業などは、できる限り自動化して、時間短縮を図りましょう。
業務効率化のためのITツールについては、有料のものもおおいですが、国から補助金がもらえることがあります。
業務効率化ができることによって、長期的にみると人件費の削減などプラスの効果が大きいので、ツールの初期投資は前向きに検討することをおすすめします。
管理職のマネジメントスキルを高める
残業時間を削減するには、管理職の能力がとても重要です。
マネジメントスキルがきちんと備わっていなければ、部下の業務管理を適切に行うことができません。
そこで、マネジメントスキルを高めるための研修を実施するなど対策を取ることが大切です。
管理職の意識改革を図ることによって、業務の効率化を図ることができれば、問題なく時短に取り組むことができます。
相談窓口に相談する
もし、現在、時短ハラスメントに悩んでいる人がいるならば、相談窓口などを頼りましょう。
最近は、企業がさまざまなハラスメントへの対策として、相談窓口を作っていることが多いです。
相談窓口を利用することで、時短ハラスメントの実態を報告できて、改善へのサポートを受けることができます。
また、労働基準監督署などでも、時短ハラスメントの解決に向けて取り組んでくれる可能性が高いです。
なぜなら時短ハラスメントは、結果的にサービス残業を社員に強いることになっているからです。
見かけの残業時間を是正できていたとしても、実質的には何の問題解決にもなっていないのであれば、労働基準監督署も動いてくれるでしょう。
残業代を請求する
実は、オフィスで残業していたわけではなかったとしても、残業代を請求することができます。
労働基準法は、労働したという事実に対して適用されるものです。
仕事をしている場所には左右されません。
たとえば、時短ハラスメントでサービス残業を強いられているならば、その分の残業代を請求する権利があります。
ただし、そのためには、仕事を持ち帰って残業していたことを証明する必要があります。
もし社外で仕事をした場合は、いつどこで何時から何時まで仕事をしていたかを、正確に記録しておきましょう。
会社が応じてくれない場合には、弁護士を頼って請求することもできます。
仕事をしていたことを示す証拠は、仕事関係のメールや電話の記録、作成した資料なども証拠品として有効になることがあるので、仕事した時間帯と仕事内容と合わせて、メモなどに残しておくとよいでしょう。
転職する
従業員として時短ハラスメントの被害にあっているのであれば、最終的には転職したほうがよいでしょう。
時短ハラスメントが起こるような職場というのは、いわゆるブラック企業的な体質の強い企業が多いからです。
問題を根本的に解決する気がまったくなく、見かけ上残業時間を減らすことができれば労働基準監督署に目をつけられないと考えているため、本質的な時短ハラスメントの解決を期待するのは難しいでしょう。
根本的な課題を解決するには、トップが問題を認識して適切な指示を出すしかないからです。
上層部の考え方がかわるのを待つぐらいなら、ブラック企業的な体質の企業からは早く逃げ出したほうが賢明です。
職場環境の改善に期待できない場合は、思い切って転職することをおすすめします。
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時短ハラスメントには早めの対処を
今回は、近年問題視されている時短ハラスメントについてご紹介しました。
働き方改革がさかんに取り上げられるようになった今では、ますます時短ハラスメントが増えることが予想されます。
自分の職場で時短ハラスメントが起きている場合は、わずかな時間でも効率化・時短できることがないか、業務の進め方を見直してみましょう。
そもそもの担当業務の量が多く、現実的に定時で退社するのが難しい場合は、上司に相談して業務量の調整を多なってもらってください。
上司に相談しても、問題解決にむけた協力する姿勢が見られない場合、社外でのサービス残業を黙認しているような場合は、思い切って転職をするのも解決方法の一つです。
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