当メディアでは、「男女4800人にセクハラによる転職経験の有無を調査」を行いましたので、その結果を公開します。
調査の結果、748人がセクハラが原因で転職経験のあるということが分かりました。
今回はこのセクハラが原因で転職経験のある男女748人を対象に、アンケート調査を行いました。
■調査概要
- アンケート内容:セクハラによる転職経験の有無
- 調査期間:2020年9月27日~2020年9月30日
- 調査対象:全国にお住まいの20歳以上の男女
- 調査エリア:全国
■調査結果の概要
- 男女4802人のうち、セクハラによる転職経験がある人は748人であった
- セクハラによる転職経験のある男女比は、男性46%・女性54%という結果に
- 既婚率は未婚が47%・既婚が53%と、既婚によるセクハラの有無は因果関係がない
- セクハラの内容は言動だけでなく、親密な関係性の強要・在宅勤務中への押しかけや盗撮など職場外でも起こっていることが分かった
- 転職に至るまでの対処では、セクハラによる転職経験のある人の54%が『何も対処を行わなかった』
- 転職した結果76%が良かったという結果
セクハラが原因で転職活動を行ったことがありますか
今回当メディアでは、全国の男女4802人に対し、「セクハラが原因による転職の有無」を調査した結果、4802人中748人の方がセクハラが原因で転職活動をした経験があると回答しました。
職場でのセクハラが原因で転職をした経験はありますか?
セクハラが原因による転職活動の経験があると回答したもののうち、男性は46%、女性は54%という結果になりました。
少し前の風潮であると、「セクハラは女性が受けるもの」というイメージがとても強かったですが、性別関係なくセクハラは起こりうるということがわかる結果となりました。
未婚既婚率は?
当メディアでは、未婚・既婚によるセクハラの有無は存在するのかを調査するために、セクハラが原因による転職活動の経験があると回答した属性から未婚・既婚の調査を行いました。
調査の結果、未婚47%・既婚は53%とほぼ同じくらいという結果であることが分かりました。
セクハラは既婚の有無に関わらず起こりうるであり、男女間にも差がないことが分かりました。
つまり、男性であっても女性であっても、未婚や既婚の有無に関わらず被害にあっている可能性があるということが今回の調査により分かりました。
どのようなセクハラを受けたのか?
当メディアでは、セクハラが原因による転職の経験があると回答のなかで、どのようなセクハラがあったのかを調査いたしました。
また差支えのない範囲の上でお答えいただきました。
具体的なハラスメントの内容を公表しているため、読まれる前に注意をお願い致します。
記述式で自由に回答を頂いた結果、セクハラの内容は下記の5つのタイプに分けられることが分かりました。
- 言葉によるハラスメント
- 身体に触れる
- 性差別に関する言動
- プライバシーに関わる内容を執拗に聞く
- 親密な関係を迫る
各内容に対する回答をまとめましたので、紹介します。
言葉によるハラスメント
性的な話をする(男性・50歳〜59歳)
30超えた女は価値がないと言われた(女性・40歳〜49歳)
卑猥な言葉を言われる(男性・40歳〜49歳)
男だから泣かないって言われた(男性・40歳〜49歳)
子供をおろして仕事しろと言われた(女性・50歳〜59歳)
性的な話を振るハラスメントも多く見受けられました。
身体に触れる
お尻を触られた、手を触られた(女性・40歳〜49歳)
役員が飲み会で女子社員を膝の上に座らせた。(男性・50歳〜59歳)
身体をさわる(男性・40歳〜49歳)
体型のことを言われたり、体をやたら触ってきたりする。(女性・40歳〜49歳)
同性上司が、顔や尻を触ってきて気持ち悪く会社に相談したら私の気のせいで済まされた。(男性・40歳〜49歳)
身体に触れられるだけでなく、触らせる・触っているところを見てしまうといった回答も見受けられました。
異性間だけではなく同性間の間でも、そういった身体に触れるという回答も散見されました。
セクハラは性別関係なく受ける可能性があるということが分かる内容となりました。
性差別に関する言動
男性看護師だからという理由で処置を拒否される。(男性・40歳〜49歳)
女性だからどうせ辞めるだろうと、エンジニアの仕事をやらせてもらえなかった(女性・20歳〜29歳)
お酌係を任される(女性・20歳〜29歳)
女性差別的なことを言われる(女性・20歳〜29歳)
男性だから・女性だからとステレオタイプな価値観で行われる言動も見受けられました。
プライバシーに関わる内容を執拗に聞く
彼女との夜の営みに関する質問をしているのを聞いた(男性・40歳〜49歳)
男性上司に具合が悪いと言ったら「生理前だからかな?」と言われた。(女性・30歳〜39歳)
ハンカチを持っていただけで「妊娠してるの?」と男性上司から言われた。(女性・40歳〜49歳)
プライバシーに関わる内容を執拗に聞いたり、パートナーとの関係を執拗に詮索してくる、といった回答も見受けられました。
親密な関係を迫る
身体の関係を強要された(女性・40歳〜49歳)
毎日下ネタを聞かされ、寝よう寝ようといい続け、本気で断ったらパワハラされて辞めさせられた。(女性・50歳〜59歳)
お互い既婚者だが、交際を迫られ、断ったら、さまざまな嫌がらせ行為があった。(女性・50歳〜59歳)
セフレにならない?と聞かれた(女性・40歳〜49歳)
交際を迫られた・身体の関係を強要されたといった回答も見受けられました。
立場の強い相手からの親密な関係性の強要が多く、断ると仕事に大きな影響を及ぼすかもしれないといった断れないようにするやり方もありました。
警察
盗撮や性的暴行など中には警察や弁護士に依頼しなければならないような内容もありました。
その他
在宅ワーク中に家の近くまでこられて無理矢理お茶に行かされた(女性・30歳〜39歳)
面接相手が若い時は面接場所を飲食店で設定したり、その面接の場で「可愛い」と感想を口にしたりしていた。(女性・50歳〜59歳)
社内恋愛していて、彼氏と別れろと上司に言われた。(女性・20歳〜29歳)
人前で薄毛を指摘される。(男性・50歳〜59歳)
自宅まで押しかけられた。(女性・40歳〜49歳)
職場内だけでのハラスメントに限らず、家まで押しかけてくる・在宅勤務中に押しかける・身体に関わる内容を浴びせる・私的な関係に首を突っ込まれるなど、職場以外でのハラスメント内容も多く見受けられました。
転職に至るまでにどのような対処を行ったか
また当メディアでは、セクハラが原因による転職の経験があると回答のなかで、転職に至るまでにどのような対処を行ったのかを調査しました。
この設問では複数回答可としました。
調査の結果、『何も対処を行わなかった』が409票と最も多い結果となりました。
職場でのセクハラによる転職経験があると回答した人の54%が、何の対処も行わなかったという結果になります。
セクハラの経験がある半分以上の人が、何の対処も行わず転職をすることで解決に繋げていることが分かります。
アンケート結果は、次いで『上司・同僚に相談した』が205票を集め、『本人にやめて欲しいと伝えた』『社内の相談窓口を利用した』『その他』『社外の相談窓口を利用した』という結果となりましした。
その他と回答をした人の内容は、『警察に通報した』『弁護士に相談した』『退職代行を利用した』『親や家族に助けを求めた』『徹底して無視を続けた』などがあげられました。
転職時の企業選考では、どのような理由を答えたか
当メディアでは、セクハラが原因による転職の経験があると回答のなかで、その後の転職時の企業選考において前職の退職理由をどのように答えたのかについても調査を行いました。
自由記述式としたところ、回答は下記の3パターンに分けられることが分かりました。
- セクハラが原因であることをありのまま説明した
- 他の理由で転職ということにした
- 特に回答せずかわした・聞かれなかった
また回答比率は上記の3パターンがほぼ同数という結果になりました。
セクハラによる退職だとありのまま話した
セクハラが原因であることをありのまま話したという回答がありました。
自分に不都合が生じるわけでは無いため、正直に話したほうが変に勘繰られることも無く、安心という意見が見受けられました。
センシティブな内容にはなりますが、最近は理解のある企業も増えてきたため、正直に伝えやすくなってきたということが分かります。
他の理由で回答を行った
セクハラで退職してしまったことは伝えず、他の理由で転職活動を行っていると伝えたという回答も多く見受けられました。
具体的には、下記のような回答を行う人が多かったです。
- 一身上の都合
- ワークライフバランスのため
- キャリアアップをしたいと考え
- 親の介護で環境を変える必要があるため
セクハラだけが退職の理由ではないという回答も多く、セクハラの事実は伝えず、その他の理由を伝えることで転職活動を進めるということが分かります。
特に回答をせずかわした
特にセクハラが理由であることも伝えず、言わないでごまかした、あるいは聞かれなかったという回答も相当数ありました。
- 言わないでごまかした
- 特に伝えなかった
- 正直に全て話した
前職での退職理由には特に触れず、志望理由やこれまでの経歴でこと足りるため、わざわざ聞かなくても選考を進めることができると考えられます。
転職をしてよかったと思いますか?
当メディアでは、セクハラが原因による転職の経験がある回答をした人に『結果的に転職をしてよかったか』と調査しました。
調査の結果、転職をしてよかったとの回答が76%、思わなかったとの回答が24%という結果になりました。
転職をして環境をかえたことで76%のひとは満足しているということが分かります。
中には転職先でも同じようなハラスメントが横行していた・セクハラは無くなったものの、転職によりキャリアダウンなどが起こってしまった、などのが散見されます。
転職することで必ずしも解決できるという訳ではないことが分かりました。
セクハラが原因での転職は男女ともに起きている
今回は全国の男女4800人に対し、セクハラが原因で転職活動を行った経験の有無をアンケート調査を行いました。
調査結果を改めてまとめます。
■調査結果の概要
- 男女4802人のうち、セクハラによる転職経験がある人は748人であった
- セクハラによる転職経験のある男女比は、男性46%・女性54%という結果に
- 既婚率は未婚が47%・既婚が53%と、既婚によるセクハラの有無は因果関係がない
- セクハラの内容は言動だけでなく、親密な関係性の強要・在宅勤務中への押しかけや盗撮など職場外でも起こっていることが分かった
- 転職に至るまでの対処では、セクハラによる転職経験のある人の54%が『何も対処を行わなかった』という結果に
- 転職時にはセクハラが原因であることをありのまま話す・他の理由でかわす・何も聞かれなかったの3パターンに分けられた
セクハラが原因による転職経験の有無は、748人という結果になりました。
本調査では男女比や既婚率なども併せて調査を行いましたが、セクハラは男女ともに起こりうるものであること、また経験のある半分以上が、何の対処も行わず転職を行ったことが分かりました。
また今回のアンケート調査では、自分が直接的に受けているということだけでなく、セクハラを受けている現場を見ている、という回答も散見されました。
加害者から直接受けているわけでは無いものの、そのハラスメントが行われている現場を目撃すること自体がハラスメントであるという認識も強まってきていると言えます。
その場合は社内のしかるべき機関や組合へ相談、また行政へ相談を行うこと大切です。
各都道府県労働局雇用環境・均等部へ相談を行うことで、行政は会社に対し是正勧告を行うことができます。これだけでも非常に効果的です。