美容師はおしゃれなイメージもあり、若い人から憧れられる職業の一つです。
しかし、実力主義な世界であるため、仕事そのものは決して楽ではありません。
そのため、美容師を辞めてしまう人や、転職をしようか悩んでいる人も多くいます。
私も元々美容師として5年ほど働いていたのですが、今は転職して未経験からIT業界に転職しました。
美容専門学校時代の友人も、私の知る限りほとんど美容師をやっていないので、とても過酷な環境だったのだなと改めて感じます。
今回は、元美容師の私が感じた転職を考える主な理由や、転職を成功させるポイントを解説しますので、ぜひご覧ください。
少しでも参考になれば幸いです。
美容師から転職してしまう理由
美容師は他の職種と比較すると転職率は高く、それだけ悩んでいる方が多い業界です。
就職して1年で約50%、3年で約80%が離職するというデータが出ており、多くの美容師が辞めたいと悩みながら働いているのです。
美容師は本当に人の入れ替わりが激しい業界で、私が働いていたお店でも、入社して1年たたずに退職してしまう方がほとんどでした。
今回は元美容師の私が感じる美容師を退職してしまう理由を解説していきます。
美容師を辞める理由①給与が低い
美容師の給料が低いのは世間でも知っている方は多いですよね?
実は、国家資格が必要な職業の中で美容師は一番平均給与が少ないのです。
アシスタントであれば基本給18万円前後、手取り13~14万というのが珍しくないです。
そこからカットの練習で使うマネキンを購入したり、お客様のカットで使うハサミを購入したりと、とても出費が多いので生活が苦しい美容師アシスタントは多いです。
今となっては良い思い出ですが、私もアシスタント時代はとても生活が苦しかったです。
「早くスタイリストになって給料をあげるぞ」と意気込んでいたので、モチベーションを維持しつつ頑張れましたが、モチベーションが維持できず辞めてしまう同期が多かったです。
スタイリストになれば給与アップは望めますが、それまでにはとてもつらい下積みが必要なので、到達できる人はほんの一握りです。
私の周りでも中々スタイリストデビューできずに、心が折れて辞めてしまう方はとても多かったです。
美容師を辞める理由②拘束時間が長い
美容師は他業界と比べて拘束時間が長いのが特徴です。
営業時間だけで見るなら、10:00~19:00、12:00~21:00など、他の業界とあまり変わらないのですが、拘束時間はそれだけではないのです。
アシスタント期間は開店前、閉店後にカラー、パーマ、カットの練習があり、毎日早朝から深夜まで練習をします。
スタイリストは練習をしているアシスタントの教育をする必要があるので、どうしても拘束時間が長くなりやすい業界です。
もちろん練習時間は給与に含まれないので、アシスタント時代は時給に換算すると最低賃金を下回ってしまう事があります。
将来のためと割り切ってつらいアシスタント時代は乗り切る必要があります。
美容師を辞める理由③休みが少ない
美容室は一般的に月曜日もしくは火曜日を定休日にしているサロンが多いです。
実は美容師は週1日しか休んでいない方がとても多い業界となっています。
週2日休めればいい方ですが、スタイリストになると売り上げに応じての歩合になるため、休むと給料が減ってしまうので、お店の定休日以外は毎日出勤される方がとても多いです。
また、美容師はサービス業のため、基本的に土日は休むことができません。
周りの友人たちに土日休みが多いので、中々予定が合わなくなってしまい、それがつらくなって美容師を辞めてしまう方もいます。
長期休みなども美容師は取りづらく、旅行などもなかなかいけないので、プライベートを充実させたい方は美容師をしているとつらいと感じやすいです。
美容師を辞める理由④人間関係が合わない
美容師は人間関係に悩んでいる方がとても多い業界です。
体育会系の会社も多く、会社の先輩との関係で上手くいかず、転職する方が多いです。
人間関係はお店によってまちまちなので、今の会社が合わないのなら他のサロンに転職することも視野に入れましょう。
美容師を辞める理由⑤体力的に限界
美容師は労働時間が長く、かつ立ちっぱなしの仕事なので、体力的にとてもきついです。
土日に関しては、お昼休憩もまともに取れないほど忙しいお店も多いです。
また、中腰や前かがみになる動作が多いので、腰痛になる方も多くいます。
アシスタント時代はシャンプーをたくさんするので、それが原因で手荒れをしてしまい、やむを得ず退職してしまう方もいます。
シャンプー剤やカラー剤などの影響で、肌が弱い方はどうしても手荒れをしてしまうのです。
ハンドクリームなどで保湿すれば多少は改善できますが、完全に治すことはできないので手荒れがしやすい方はとてもつらい思いをすることになります。
私も美容師1年目の時は、手荒れがひどすぎて肘くらいまで荒れてしまっていましたね。(笑)
ですが、スタイリストになるとシャンプーをする機会は減るので、手荒れをしなくなる方が多いです。
全く手荒れしない方もいますが、手荒れで悩んでいる方は徹底的に保湿をすることを心がけましょう!
美容師を辞める理由⑥スタイリストデビューがなかなかできない
アシスタントからスタイリストになるまでの平均期間は3年ほどと言われています。
スタイリストになるまでには、お店によってカリキュラムがあり、すべてに合格しないとスタイリストになることができません。
カリキュラムもお店によって全然違い、基準が高すぎて中々スタイリストに慣れないと悩んでいる方は多いです。
「いつスタイリストになれるのかな」と不安に思いながら毎日夜遅くまで練習をするのはとてもつらいです。
なかなかデビューできずにモチベーションが低下してしまい、そのまま退職してしまう方が多くいます。
私もスタイリストになるまではとてもつらく、何度か辞めたいと思ったこともありました。
「スタイリストになるまでは絶対に続ける」と強い意志を持っていたので続ける事ができましたが、周りの友人を見ているとほとんどがアシスタント時代に心が折れて退職していましたね。
美容師を辞めたいと感じたときの対処法
ここからは私が実践していた、辞めたいと感じたときに試したことをご紹介します。
具体的には以下の事を試していました。
POINT
- 辞めたい理由と解決方法を考える
- 解決方法を試してみる
- 周りの人に相談する
- 美容師の楽しさや嬉しかったことを思い出す
- 他のサロンや異業種の働き方を検討してみる
上記を踏まえて転職するか続けるかを決めてください。
「もう少しだけ頑張ってみよう」と前向きに思えるのならいいのですが、解決策がみつからない、もしくは「絶対に退職する」と意思が固い場合は転職を視野に入れましょう。
辞めたい理由が人間関係や給与、休日など勤務先のサロンが原因の理由であれば、別のサロンに転職することで改善される可能性はとても高いです。
美容師の仕事自体が嫌になってしまった、というケースであれば異業種への転職も検討する必要があります。
別のサロンに転職
現在のサロンで人間関係が上手くいっていない、労働条件が良くない場合は他のサロンに転職することで上手くいく可能性があります。
今のサロンで正当な評価をもらえない、キャリアアップが見込めないという方も、転職し新しいサロンで一から挑戦してみてはいかがでしょうか。
キャリアアップできれば現状の給与に不満ある方も、解消される可能性があります。
美容師の仕事は好きだが、給与、人間関係などに悩みがある方は、ストレスフリーで働けるサロンを探して転職してみてはいかがでしょうか。
異業種への転職
美容師という職業自体が嫌いになってしまった方もいると思います。
そういった方は、異業種へ転職する方法もあります!
美容師から異業種への転職は十分に可能です。
美容師のコミュニケーションスキル、営業力、つらい労働を耐えてきた精神力は異業種でも活かすことができます。
私も美容師から異業種であるIT業界に転職しましたが、転職活動の際にも美容師の過酷な労働環境を耐え抜いてきた経験は評価していただけました。
「美容師以外の職業は無理」と諦めてしまうのではなく、転職活動をしてみてください!
きっと転職活動は上手くいきます。
美容師からのおすすめの転職先
ここからは美容師からのおすすめの転職先をご紹介していきます。
どの仕事も美容師の経験が活かせる仕事ばかりなので、ぜひご覧ください。
少しでも興味が湧いたら実際の求人を見て色々調べてみてください!
美容ディーラー
美容ディーラーは元美容師がとても活躍しやすい職業です。
美容師として勤務していた際に身につけた薬剤知識があるので、商品を提案した時に説得力に繋がります。
また、元美容師という肩書があるとサロンオーナーとの距離も縮めやすいです。
共通点があると人は仲良くなりやすい特性があるので、きっと良好な関係を築くことができるでしょう。
そして、美容知識が豊富だとスムーズに仕事ができ、売り上げにもつながりやすいのです。
営業の成績が良ければ給与も上がりやすいので、美容師時代に低賃金で悩んでいた方も、頑張り次第で高給取りになれる可能性があります!
美容師としての経歴がかなり活かせるので、美容ディーラーはとてもおススメの職業です。
⇒美容師からの転職でディーラーになれる?仕事内容や転職時の注意ポイントを徹底解説
営業職
営業職は美容師時代のコミュニケーションスキルが活かせる仕事です。
実際、美容師から営業職に転職する人はかなり多いです。
営業職は人手不足の会社が多いですし、特に資格もいらないので未経験からでも転職しやすい業種です。
感じの良い接客や営業ができる元美容師なら営業の成果も出しやすいのではないでしょうか。
ぜひ挑戦してみてください。
ITエンジニア
意外かもしれませんが、ITエンジニアもおすすめの転職先です。
私は美容師からITエンジニアに転職をしました!
トレンドの変化の速いIT業界において、美容師はトレンドを把握する能力が高いので向いていると言えます。
パソコンに苦手意識がないのならとてもおススメの職種です。
エンジニア業界も人手不足という事もあり、未経験からでも採用してくれる企業もあるので、応募を検討してみてください。
今は無料で独学ができる環境が整っているので、まずは向き不向きを知るためにも学習してみてはいかがでしょうか?
美容師を円満に退職する方法
美容師は人手不足で困っているサロンが多いので、退職の際にトラブルが起こることが良くあります。
引き留めにあう、退職の意思を伝えた途端そっけない態度をとられ、会社に居づらくなる方もいます。
100%円満に退職することは難しいですが、誠実な対応を心がけることで美容室や担当の顧客とも良質な関係を築ける場合があるのです。
ここからは私も実践した円満に退職できるポイントを紹介しますので、ご覧ください
退職の意思はなるべく早く伝える
退職を決めたなら、実際に退職する3~6か月前には報告するのが望ましいです。
2週間前に申し出れば法律的には問題ないですが、美容師はお客様の来店頻度が1~3カ月前後の方が多いので、早めに退職の申し出をしないと引継ぎができないのです。
病気や家庭の事情など急に退職しなければいけないケースならば、速やかにオーナーに相談し、今後について話し合う必要があります。
言いづらいのはわかりますが、退職の意思が固まったのならば、一日でも早く報告するようにしましょう。
退職理由はポジティブな理由を伝える
退職理由にネガティブな事を言ってしまうと、その時点で円満退職はできなくなってしまいます。
サロンのオーナーの気持ちを考えても、雇っているスタッフから不満を言われてしまうと、嫌な気持ちになりますよね。
退職後も良質な関係でいるためにもポジティブな退職理由と感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。
引継ぎをしっかりする
引継ぎをすることは美容師にとってとても重要な事です!
指名客の引継ぎは担当者であるあなたしかできないので必ず行うようにしましょう。
お客様の好みや薬剤の浸透しやすさ、アレルギー事情などは細かく引継ぎを行うようにしてください。
引継ぎが十分でないと、引き継いだスタイリストが施術を失敗してしまう事もあります。
美容室の信用にかかわる事なので、しっかり引継ぎをし、誠実な対応を心がけましょう。
面接で転職理由を話すときのポイント
面接の際「転職理由」は必ず聞かれる項目です。
転職理由の話し方一つで、採用担当者に与える印象が大きく変わり、面接の合否に大きく影響します。
なかなか転職活動で上手くいかないという方は、転職理由の話し方があまり良くない可能性もあります。
なので、これから説明する以下のポイントで準備してみましょう。
具体的な転職理由で説明する
できるだけ具体的に転職理由を説明するようにしてください。
「キャリアアップがしたい」「やりたい事ができなかった」などの理由では具体的にどんな風にキャリアアップがしたいのか、自分のやりたい事は何なのかを理解することができません。
抽象的な説明では面接官も理解できないので、具体的に伝えるようにしましょう。
具体的に伝えると面接官の方も理解できますし、マッチする人材なのかを判断しやすくなります。
嘘はつかない
転職理由を言うときには、嘘はつかないようにしましょう。
「給料が安すぎて」「人間関係が上手くいかなくて」など、何でも正直に話せばよいわけではありませんが、正直に話そうとする姿勢が大事です。
自分の言葉で正直に話すことで、誠実でよい印象を持たれることがあります。
変に嘘をついたりせず、自分の言葉で話すように心がけましょう!
職場の悪口は絶対に言わない
余程の理由がない限り、職場や社員の悪口は言わないようにしましょう。
悪口を言う姿が好印象に映ることは絶対にありませんし、面接は悪口を言う場ではないのです。
面接の場で悪口を言ってしまうと、「社会人としてのマナーがない人なのかな」と思われてしまい。評価がかなり下がってしまうので気をつけましょう。
待遇面の話はなるべくしない
転職理由として「給与が低い」「有給が取れない」「残業代がない」などは言うべきではありません。
仕事内容ややりがいよりも待遇面を気にする人と思われてしまうので、評価が下がってしまう可能性があります。
「会社に入って〇〇がやりたいです」など、やりたい事を伝えると好印象を与えられるでしょう。
自信をもって話す
転職理由をネガティブに捉えてしまい、暗く話してしまう人が多いです。
自信がなさそうに映ってしまい、「転職に前向きじゃないのかな」「嘘をついているのかな」など、面接官に思われてしまう事があります。
次のキャリアを歩むために退職をして転職活動をしているのだから、大きな声で堂々と喋るべきです。
話す内容は同じでも、声が大きいだけで自信があるように見えて説得力が増します。
普段よりも少しだけ大きな声を出すことを意識して面接に臨んでみてください!
美容師からの転職理由別回答例
回答例①人間関係が上手くいかなかった
「前職では、スタッフ同士の会話も少なく、良い関係を築けるように積極的に交流をするように努めてまいりましたが、改善されませんでした。
そんな時、御社の求人を拝見した際に、スタッフ間の仲が良いと記載があり、とても魅力的に感じました。
私もスムーズな人間関係のなかでスキルを更に向上させ御社の売り上げアップに貢献したいです。
回答例②給与が少ない
「前職では結果を出しても評価される仕組みがありませんでした。
そこで御社の求人を拝見した際に「歩合制」の面にとても惹かれました。
未経験ではありますが、御社の業績に大きく貢献できる人材になりたいと思います。」
回答例③残業が多かった
「前職では、残業や休日出勤がとても多い会社でした。
上司に改善案などは出していましたが、保守的な会社の方針などもあり、改善されることはありませんでした。
御社の求人票を拝見した際に、「風通しの良い環境」と記載があり、とても魅力的に感じました。
御社に入社できた際には主体的に意見を出していき、会社の業績に大きく貢献できる人材になりたいです。」
まとめ
いかがでしょうか。
今回の記事では、美容師の転職理由と転職活動のポイントをご紹介しました。
美容師から転職する方はとても多いので、今の職場に不満がある方は不安に思わずに転職活動をしてみてください。
本記事で皆さんの転職活動のお役に少しでも立てれば幸いです。