仕事をしていれば誰しも辛い思いをする事はあります。
特に介護の仕事ではデリケートな問題に直面しやすく、時には自分の人生を鑑みて仕事を辞めるという選択が必要になるでしょう。
今回は介護士が仕事を辞めたいと思うポイントや、思い切って退職に踏み切るのに適したタイミングをご紹介します。
介護士を辞めたいタイミング
介護士という仕事は同僚や上司、サービス利用者とその家族など人と接する機会が非常に多く、加えて日常生活の介助という特殊な業務内容故に一般的な接客業とは少し様相が異なる場面も多々あります。
「こういう時に介護士を辞めたいと思ったけど、自分だけなのかな」という不安を抱える人も多いのではないでしょうか。
一人で悩みを抱え込んでしまわない為にも、一般的に介護士が仕事を辞めたいと思うタイミングを知っておきましょう。
介護士を辞めたいと感じるタイミングとしては、以下があります。
- 介護士を辞めたいタイミング職場の人間関係
- 介護施設の風土が合わない
- 自分のライフステージが変わった
- 体力が持たない
- 働く条件が悪い
- 単純に介護の仕事が合わない
ではそれぞれのタイミングについて、内容を詳しく解説します。
職場の人間関係
公益財団法人介護労働安定センターが平成28年に実施した介護労働実態調査というアンケートの「介護の仕事を辞めた理由」という質問に関して「職場の人間関係」と回答した人が23.9%で最も多い退職理由となりました。
出典 平成28年度「介護労働実態調査」-介護労働安定センター
人間関係の悩み自体はどんな仕事の職場でも起こりうる事ですが、介護士の職場は職員の年齢層が広い場合が多く様々な世代の価値観が混在します。
施設内勤務の場合は閉鎖的な労働環境になりがちで、ささいな衝突を大事に捉えすぎてしまうケースも珍しくありません。
こうした事からもチームで連携して業務にあたる事の多い介護士の職場では、意見の食い違いが大きな悩みのタネになりやすいと言えるのではないでしょうか。
また、施設内に限らず被介護者と上手くそりが合わなかったり、利用者の家族とトラブルになってしまう事で介護士を辞めたいと思ってしまう人も少なくありません。
介護施設の風土が合わない
職場環境の実態というものは、実際に自分が入職してみないと中々分からないものです。
自分が思い描いていた職場像と現実とのギャップが大きいと仕事に対するモチベーションは維持し辛くなってしまうでしょう。
特に介護職は「人を支える」という事にやりがいを感じている人が多く、会社側の都合や事務的な対応で仕事に対する熱意に水を差されたと思ってしまいそうな場面も多いです。
自分から動いて改善しようにも「うちの施設では昔からこうだから」「会社からの指示だから」という理由で取り合ってもらえない事も珍しくなく、そうした現状が嫌になって介護職を離れてしまう人が多いのでしょう。
自分のライフステージが変わった
男女共同参画社会という世間の流れから共働きの家庭も増え、家庭の生活スタイルはより一層多種多様のものとなって来ています。
プライベートの生活が変動した事で仕事のスケジュールとの折り合いが付かなくなってしまい、今後の人生を考えて一旦仕事を離れる人も多いです。
職場の仲間が協力してくれて問題なく仕事をこなせているとしても、かえって気を遣わせてしまって申し訳ないという気持ちから肩身が狭いと感じてしまうケースもあります。
介護職は神経も体力も消耗する仕事なので、プライベートとの両立に悩みを抱える職員が多いのもまた現状です。
体力が持たない
介護士は排せつ介助や入浴介助といた身体介護を行うため、身体面にも非常に負担がある仕事です。
そのため、年齢とともに体力が持たなくなり辞めようと考える方も多くいます。
また働く職場によっても異なりますが、介護士には夜勤がある場合が多く、生活スタイルも崩れやすいでしょう。
特に夜勤に慣れていない方だと体力面で厳しいと感じがちですね。
介護士は腰痛もちの方が多いことも源現状で、体力面からどうしても続けられない方も多いようです。
働く条件が悪い
介護士として働いていると、働く条件が悪いと感じ辞めたいと思う方も多いです。
働く条件として多く見受けられる内容は主に以下の通りです。
- 仕事内容に見合った給与ではない
- 残業や休日出勤が多い
介護士の仕事は、前述したとおり体力面の負担も大きいです。
また排せつ介助や入浴介助であれば精神的にも負担に感じる方はいるでしょう。
仕事内容も大変なのに加えて、残業や休日出勤もあると、ストレスも溜まりますよね。
労働量が多い反面給与は安いことで辞めたいと感じる方も多いです。
介護士の給与については改善も見られているので、今後より処遇が良くなると期待できるでしょう。
しかし仕事内容と給与は釣り合うのかを考えた際に、疑問を持つ方も多いようです。
単純に介護の仕事が合わない
介護士を辞めたいと感じる事として、単純に介護士としての仕事が合わない方もいます。
介護の仕事が合わないと感じる場面には主に以下があります。
- 介護士にやりがいを感じない
- 仕事内容が自分の性格と合っていない
介護士を始めてみると、実際想像と違ったと感じて辞めたくなる方もいますね。
介護士は意外と力仕事の部分が多いため、始めてみるとギャップを感じる場合も多いです。
また、働いている職場の環境や利用者との関わり方において、自分に合っていないと思うこともあるようです。
介護士は、同じスタッフや利用者、利用者の家族など関わる人がおおいため、コミュニケーションを取る機会も意外と多くあります。
介護士として想像していた働き方と異なり、自分のやりたい仕事ではない場合、辞めたいと考えがちですね。
介護士の辞め時
職場の人間関係、施設の運営方針、自己都合、介護士が仕事を辞めたいと思う理由は様々で致し方ない場合もあります。
無理に仕事を続けて心身を壊してしまっては今後の人生に良くない影響が出てしまう事も多いに予想出来るでしょう。
人手不足を心配して自分が抜けた後の事を憂慮する気持ちもあるでしょうが、現状を改善する為には退職という選択肢も視野に入れても良いのではないでしょうか。
適切な辞め時というのは中々追い詰められた状態で見極める事が難しいので、退職に踏み切る4つのタイミングをまとめてみます。
そこでこのトピックでは、介護士の退職に踏み切るタイミングについて、以下の7つをまとめます。
- 介護士の辞め時貯蓄が十分にある
- 現場の組織体制の変更
- 仕事にやりがいを全く感じない
- 仕事で健康を著しく損ねている
- 介護士として活かせるスキルを身につけた
- 介護業界に関する資格を取得した
- 転職先が決まった
貯蓄が十分にある
仕事を辞めるという事は当然安定した収入が無くなるという事、日常生活を送るのにも次の仕事を探すのもお金は必要になります。
辛い思いをしながら仕事をしている時、自分に十分な貯蓄があるならば思い切って退職を申請してみても良いでしょう。
具体的な目安として、3か月分の生活費が貯蓄として残っているならば金銭的な退職準備は整っていると言えます。
これは失業保険が適応されて給付されるのが退職の3ヶ月後になる為です。
生活費を確保しておけば当面は疲れた心身を落ちつけて転職の準備が出来ると言えるでしょう。
また、金銭的な退職タイミングとしてボーナスが給付された直後というのも挙げられます。
ボーナスは勤続に対する報酬なので後ろめたさを感じる事はありませんし、それが貰えるまで頑張ってみるのも良いでしょう。
仕事仲間に後ろ指を指される心配がある場合はボーナス給付の1ヶ月後に退職の申請を行うとあまりネガティブな印象を与えずに転職活動へ移行出来ます。
現場の組織体制の変更
人事異動などで組織体制の変更が行われた時も、退職を申し出る良いタイミングです。
人間関係が新しい環境に切り替わる際に引継ぎが行われる事が多く、このタイミングで退職を申請する事で自分が抜けた後の職場環境に影響を残しにくくなります。
会社側としてもいっぺんに人事管理が済む為人員配置を作りなおす二度手間も省けるので、ある意味でお互いにとって一番都合の良いタイミングです。
精神的な面でも、慣れ親しんだ環境が変わる事で自分も新しい道へ進む決心を付けやすいと言えるのではないでしょうか。
仕事にやりがいを全く感じない
自ら志願して入った介護職にも関わらず、毎日辛い思いをしながら仕事にやりがいを感じられずに「ただお金を稼ぐ為の手段」としてしか見られなくなってしまったら退職を考えましょう。
仕事は仕事として割り切って日々の業務をこなしていくのも一つの生き方ですし、そうした考え方も時には必要となるでしょう。
しかし、空しさを抱えたまま仕事を続ける事はあまり好ましい状況とは言えません。
そうした思いからサービス利用者との触れあいや職場仲間とのやりとりでほころび始め、いつか爆発してしまい思いがけない心の病気やトラブルになり兼ねません。
今の職場だけが介護士の仕事ではありませんので、思い切って一度状況をリセットしてみる選択肢を考えておく事も大切です。
仕事で健康を著しく損ねている
仕事で溜め込んだストレスや疲れが日常生活に支障を来たしているのであれば、早急な対応が必要と言えるでしょう。
休日も次の出勤が憂鬱で心が休まらない、家族や友人との会話に愚痴が増えた、食欲不振や睡眠障害など心あたりはありませんか?
普段の仕事柄他人に気を遣う事に慣れすぎて自分自身の事を見失いがちになってしまう事もあるでしょう。
心身の健康に支障が出ているのは外から見ると意外と顕著なもので、家族や友人にも心配をかける事になってしまいます。
自分一人でどうにも出来なさそうになる程に弱ってしまったならば、心の許せる人や転職アドバイザーに相談してまずは心の荷を少しでも軽くしてみましょう。
介護士として活かせるスキルを身につけた
介護士として、半年以上働き介護士の経験やスキルが身についた場合も退職を考えても良いでしょう。
次の職場でも活かせるスキルが身についていれば、転職の際も強みとしてアピールできます。
また、若手の人材は多くの会社で需要も高いため、一定の経験を積んだ方は次のステップを考えることもおすすめですね。
特に介護士は辞めたいけど介護業界では働き続けたい方には、介護士としての経験があると有利になります。
介護士と全く関係のない業界に転職したい場合も、社会人として身につけたスキルは役立てられます。
転職は年を重ねるほど難しくなる可能性も高いので、一定の経験を積んだ方は辞めどきと考えても良いでしょう。
介護業界に関する資格を取得した
介護士を辞めたいけど、介護に携わる仕事をしたい方は、介護業界で使える資格を取得することもおすすめです。
資格を取ることで、今後転職の際にも強みとなり、いつか介護士に戻りたいと考えたときも比較的戻りやすくなるでしょう。
介護士を辞める際は、現状に加えて将来を考えることも重要です。
介護士として働くことで、日々身につく経験や知識を資格取得にそのまま利用しましょう。
より自分の理想に合った職場に転職するためにも、資格を取っておくことで損はないですよ。
転職先が決まった
介護士を辞めたいけど辞めどきが分からない方、良いタイミングがない方もいると思います。
そんな方は、まず転職活動を始めて次の職場を確保することがおすすめです。
自分が辞めたいなと感じたら、まずは転職活動を始めましょう。
転職先が決まらずに退職すると、仕事がないことから焦りや不安を感じることも多いです。
自分の心や時間に余裕を持って自分に合った転職先を見つけるには、働きながら取り組むことが大切ですね。
特に同じ介護業界への転職であれば、求人も多く経験を活かして順調に進められるでしょう。
転職先が決まってから、今の職場に退職意思を伝える流れで進めると良いですよ。
働かない期間があると社会復帰までに時間がかかることも多いので、今後を考えてから辞めましょう。
介護士を辞めたいと感じたときにするべきこと
これまで介護士を辞めたいと感じる理由や、辞めどきについて紹介しました。
しかし何も考えずにその場の流れで退職を決断すると、後悔する可能性もあります。
介護士を辞めて後悔しないためにも、退職を考える際は以下のことに取り組んでみましょう。
- 退職前にすること介護士のやりがいやキャリアプランを考える
- なぜ辞めたいと思ったのか考えをまとめる
- 介護士を辞めたい原因が改善できないのか考える
- 介護士を始めたきっかけを思い出してみる
- 一度仕事を忘れてリフレッシュする
介護士のやりがいやキャリアプランを考える
介護士を辞めたいと感じたときは、まず介護士のやりがいやキャリアプランについて考えてみましょう。
具体的には介護士をしていて達成感や充実感はあるのか、介護士を続けたとして将来どのようにキャリア形成ができるか、です。
上記について考えてみることで、介護士が本当に自分に合っていないのか、辞めたいのか明確になります。
また、自分の理想とするキャリアプランに介護士はなくても問題ないか把握しておくと、転職への取り組み方も変わりますね。
どうしても介護士に対してやりがいを感じられない場合や、介護士として働くキャリアプランに疑問がある場合は退職を決断して良いでしょう。
なぜ辞めたいと思ったのか考えをまとめる
自分がなぜ介護士を辞めたいと感じたのか考えてみましょう。
辞めたい理由は職場に関するのか、介護士の仕事内容に関するのか、介護業界全体に関するのか、明確にすることで本当に辞めるべきなのかも把握できます。
介護士を辞めたいと考える原因は人それぞれで、原因によって本当に退職して後悔しないか転職先も異なりますね。
例えば職場が嫌なのであれば、なぜ嫌なのか自分が職場に求める条件が分かるので、転職にも役立つでしょう。
介護士が嫌でも介護業界は好きなのであれば、介護士としての経験やスキルを今後に繋げられます。
また、介護業界自体辞めたいと感じる方は、社会人として活かせるスキルを磨くと良いでしょう。
介護士を辞めたい理由が明確になれば、今後自分がどうすれば良いのかも確認できますよ。
介護士を辞めたい原因が改善できないのか考える
介護士を辞めたい原因において、改善できないものなのか一度考えてみましょう。
例えば介護士は辞めたくないけど、仕事内容がきついのであれば、一度先輩や上司に相談してみることもおすすめです。
技術的なスキルは経験を積むことで徐々に上達します。
介護士として働き始めた最初は、上手くいかないことも多く辞めたいと感じがちですが、焦らないことが大切です。
とにかくあらゆる経験を積むことで、効率的な仕事もできるようになりますよ。
自分の中で仕事に対する目標を決めることや、先輩から話を聞くことで、自分の考えも変わります。
介護士を辞めたい理由が改善できそうなものであれば、退職を決断する前に改善策を考えて取り組んでみましょう。
介護士を始めたきっかけを思い出してみる
介護士として働いている方には、介護士を始めるきっかけや介護士になりたい理由があったと思います。
介護士を辞める前に、なんで自分が介護士になったのか思い出してみましょう。
自分が仕事に求めていることが、介護士でしか実現できない場合、介護士を辞めると後悔する可能性が高いです。
介護士になりたい理由が明確になることで、自分の価値観や考え方を再確認できます。
仕事に対する考えが分かれば介護士を続けるか、退職するならばどのような職場に転職すれば良いか、具体的に理解できるでしょう。
また、介護士に対するモチベーションを上げられることもあります。
介護士を本当に退職して良いのか、介護士になったきっかけと照らし合わせることがおすすめですよ。
一度仕事を忘れてリフレッシュする
介護士を辞めたいと感じた場合は、精神的にきついと感じていることも多いです。
一度仕事を完全に忘れて、気分転換することも大切ですよ。
プライベートと仕事の切り替えをしっかりすることで、仕事に対するストレスも上手く発散できます。
仕事が上手くいっていない状況だと、どうしても常に仕事のことを考えてしまうため、辞めたいとも思うでしょう。
しかしリフレッシュしてみると、意外と介護士を辞めたいという気持ちが薄れることもあります。
自分の中で介護士に対するストレスや不安との上手な付き合い方を見つけられると、仕事に対してしっかり向き合えるでしょう。
介護士を続けるメリットもある!
上記では介護士を辞める前に考えることについて紹介しました。
考えてみると、自分が本当に介護士を辞めたいのか分からなくなった方もいるのではないでしょうか。
その場の思いつきで介護士を辞めて後悔しないために、介護士を続けるメリットを紹介します。
介護士を続けるメリットには主に以下の2つがあります。
- 介護士を続けるメリット需要が高い
- 待遇が改善傾向にある
介護士は給与が安いと考える方も多いですが、最近では待遇改善も見られていて給与も上がっています。
また、介護業界は人手不足で需要も高く、高齢化が進む日本において将来性もある仕事です。
そのため雇用も安定していて、今後更なる待遇改善も期待できるでしょう。
仕事において不安定さがないことは大きいメリットなので、退職前に確認することがおすすめです。
介護士の仕事が好きなら転職を検討しよう!
今の職場や働き方に不満はあるけど、介護士としては働き続けたい方は、他の職場への転職を検討してみましょう。
介護士として活躍できる職場は非常に幅広いです。
自分に合った職場が見つかれば、自分のしたい介護もできますよ。
例えば訪問介護であればスタッフとの付き合いも少なく、一人ひとりの利用者と向き合えます。
また、デイサービスであれば夜勤が少なくシフトも固定されがちなので、普通の社会人のような働き方が可能です。
夜勤専門の職場であれば給与アップも期待できるでしょう。
自分が職場に求める条件を明確にして理想の職場で働くことがおすすめですよ。
まとめ
介護士の仕事は求められるスキルの多さや複雑な人間関係からストレスを溜め込んでしまう事も多いでしょう。
人の入れ替わりが激しい職場では自分が抜けた後の人手不足や業務の引継ぎが気がかりで中々身動きが取れないという人も珍しくありません。
しかし、そうした人員管理や業務改善は本来事業所の管轄であり、介護士であるあなたが必要以上に憂慮する事はありません。
規則や法律に沿って退職を申請する事は働く人の当然の権利なのです。
歩んできた人生も価値観も人それぞれですから、退職したいという動機もまた十人十色でしょう。
一人で判断できない場合は転職アドバイザーという心強い味方もあなたを助けてくれます。
近年では介護職専門の転職アドバイザーも増えており、より的確なアドバイスやカウンセリングを受ける事が可能です。
限られた人生の中で後悔しない為にも、今一度自分自身が置かれた状況や気持ちを整理してみましょう。