新社会人や転職を考えている人にとって、給与以外の待遇としてボーナスは大きな関心事の一つです。
日本の企業文化においてはボーナスは重要な経済的メリットの一つとして位置づけられています。
しかし、ボーナスの支給時期・計算方法・企業による差異や業界の特性など、実際には多くの変数が絡み合っています。
ここでは、ボーナスの実態に迫り一般的な支給時期や平均の金額、ボーナスの背景にある考え方や制度について解説します。
これから就職・転職を考えている人、あるいはすでに働いているがボーナスについての理解を深めたい人はぜひ情報を活用してください。
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ボーナスとは
ボーナスは多くの従業員が一年の努力を結実させる形で期待する特別な給与です。
日常の給与とは異なりボーナスは「賞与」や「特別手当」とも称され、労働者の貢献や会社の業績に基づく報酬として支払われます。
しかし、ボーナスの特徴は給与とは異なり、法的に支給が義務付けられていない点にあります。
会社がボーナスを支給するか支給のタイミングや金額をどのように定めるかは、主に経営の裁量に委ねられていることを意味します。
賞与の概念は労働者が特定の期間ごとに受け取る報酬として、健康保険法などの公的文書で言及されています。
会社の業績や従業員の評価に応じて年に1回から2回、夏と冬に支給されるのが一般的です。
賞与が従業員の労働意欲を高める大きな要因となっています。
ボーナスの一般的な算定基準
ボーナスの計算は企業ごとに多少の違いがありますが、一般的な基準は存在します。
ほとんどの企業で採用されるのは「基本給連動型賞与」という方式です。
基本給連動型賞与では「基準額 × ◯ヶ月」という計算式でボーナスが定義され、基準額は「基本給 + 一定の手当」となります。
具体的な計算式や基準は各企業の裁量に委ねられているため、業績や勤務評価により算定される評価係数が掛けられることも珍しくありません。
ボーナス〇ヶ月分、ってどういうこと?
ボーナスの金額表現において「〇ヶ月分」という言葉をよく耳にします。
〇ヶ月分という言葉は、基本給の何ヶ月分に相当するかを示すもので例えば「3ヶ月分」とは基本給の3倍の金額という意味になります。
このヶ月分の値は会社の業績や経済状況により変動します。
厳密には「3.5ヶ月分」のように端数が付くこともよくあります。
ボーナスの査定期間とは?
ボーナスの算定には従業員の勤務評価が考慮されることが一般的です。
勤務評価を基に算定される「評価係数」のために、ボーナスの算定には査定期間が設けられています。
査定期間はボーナスが支給されるタイミングや会社の業績査定サイクルによって異なります。
具体的な期間は企業ごとに異なりますが例として年2回のボーナス支給の場合、冬のボーナスは4~9月、夏のボーナスは10~3月といったような区切りで査定が行われることが多いです。
労働組合の有無でボーナス額は異なる?
労働組合が存在する企業では従業員の権益を保護するために組合が活動しています。
労働組合が賞与やボーナスの計算に影響を及ぼすことも少なくありません。
ボーナスの算定方法やその金額に関して、労働組合と経営層との間で協議や交渉が行われることが一般的です。
労働組合が存在しない企業と比べて組合が存在する企業の方が、従業員の権益をより確実に保護するための活動が行われていると言えます。
公務員のボーナスはどう決まる?
公務員の給与や賞与については、民間企業とは異なり法的な基準に基づいて算定されます。
公務員の賞与は法律や自治体の条例で定められており、計算方法や支給額は公開されています。
公務員の給与に関しては給与の適正性を確保するための独立した機関、人事院が存在します。
人事院が毎年公務員の給与水準やボーナスに関して勧告を行うことで、公務員の給与が社会的な平均水準を維持するように努められています。
ボーナスはいつ支給される?
ボーナスは多くの労働者にとって年間を通じてのハイライトとも言えます。
大多数の企業では年2回、夏と冬に支給されるのが一般的です。
特に民間企業の場合、夏のボーナスは6月末から7月初めにかけて冬のボーナスは12月中に受け取ることが多いです。
国家公務員の場合は賞与支給日が法律で固定されており、夏は6月30日、冬は12月10日と明確に決まっています。
地方公務員も多くは国家公務員の日程に準じて支給が行われるため、実質的には公務員全体でほぼ一斉に賞与が支払われる形となります。
ボーナスの支給時期は大枠で言えば定まっていますが、具体的な日にちは会社や組織によって異なるため正確な日程は各所属組織の情報を参照すると良いでしょう。
ボーナスの種類によっても支給タイミングは異なる
労働者が受け取るボーナスは種類や支給タイミングによって大きく変わり得ます。
主に「基本給連動型賞与」「業績連動型賞与」「決算賞与」の三つに分けられます。
基本給連動型は基本給に基づいて計算され、多くの企業で夏と冬の2回支給されるのが一般的です。
業績連動型は会社や部門、時には個人の業績に応じて変動する賞与で支給のピークは夏と冬です。
決算賞与は会社の業績に直結し、決算月を中心に支給されることが多いです。
ただし、決算賞与は最も不確実な賞与とも言え、業績不振時には支給がなされないことも考えられます。
ボーナスは必ず支給されるものではない
ボーナスは労働者にとって大きな収入の一部となることが多いですが、絶対に支給されるわけではありません。
会社の業績・方針・制度によってはボーナスそのものが存在しない場合もあります。
経済的な困難や特定の理由でボーナスをカットすることも考えられるのです。
勤め先のボーナス制度や詳細を理解するためには、就業規則や雇用契約を確認することが大切です。
就業規則や雇用契約により、収入計画や将来設計をより明確に立てる手助けとなるでしょう。
夏・冬のボーナスの支給日はいつ?
夏と冬のボーナス支給日は勤務先が民間企業か公務員かによって異なります。
多くの民間企業では夏のボーナスは6月下旬から7月上旬にかけて支給されるのが慣例です。
国家公務員は夏のボーナス支給日が法律で6月30日に固定されており、冬のボーナスは12月10日と定められています。
地方公務員の場合も多くが国家公務員の日付に準拠しています。
民間企業の支給日
民間企業におけるボーナス支給日は法的に固定されているわけではなく、多くが会社の内部規程や裁量に基づき定められています。
しかし、実際には夏季賞与は6月下旬から7月上旬、冬季賞与は12月中という時期に支給されるのが一般的です。
会社によってはボーナスの制度が設けられていない場合もあり、詳細は就業規則や労働契約に記載されています。
公務員の支給日
公務員のボーナス支給に関しては国や地方自治体の法律・条例に基づいて明確に定められています。
国家公務員は夏のボーナスが6月30日、冬のボーナスが12月10日と決定されており厳格に守られます。
地方公務員に関しても多くの自治体が国家公務員の支給日に倣っており、夏・冬ともに同じ時期に支給が行われることが一般的です。
ボーナス平均はどれくらい?
夏と冬のボーナスは多くの労働者にとって待ち遠しい時期です。
しかし、ボーナスの支給額は職種・企業・公私の違いにより大きく変動します。
2022年の統計を元に民間企業・公務員・20代のボーナス平均額を詳しく見ていきましょう。
民間企業の夏・冬のボーナス平均支給額
民間企業でのボーナス支給額は企業の規模・業績・業界によっても異なります。
2022年の夏季賞与の平均は832,340円、冬季は842,978円となっています。
平均支給額は大手企業を対象にした統計であり、中小企業を考慮すると夏季賞与の平均は389,338円と低くなる傾向にあります。
労働基準法や最低賃金法にボーナスに関する具体的な規定はなく、会社の裁量で変動します。
公務員の夏・冬のボーナス平均支給額
公務員の賞与は国や地方自治体の法律・条例に基づいて定められています。
2022年の国家公務員の夏季賞与は平均で584,880円、冬季賞与は652,100円でした。
公務員の賞与金額は500名以上規模の民間企業の平均673,602円と比較すると、相対的に安定していると言えるでしょう。
20代のボーナスの平均額
年齢層によってもボーナスの平均額は異なります。
20代の場合、職務経験が浅いため他の年代と比較すると平均的には低くなる傾向があります。
2022年の20代の夏のボーナス平均は約400,000円、冬のボーナスは約420,000円となっており、全体の平均と比較してやや低めであることが確認されます。
ただし、業界・企業規模・職種によって大きな変動がある点は注意が必要です。
ボーナスからも社会保険料や税金が差し引かれる
ボーナスが支給される時期は多くの人がその金額を心待ちにしています。
しかし、実際に手元に届く金額は会社からの支給額そのままではありません。
社会保険料や所得税などが差し引かれるため、実際に受け取れる金額は支給額よりも少なくなります。
具体的な差し引きの項目と計算方法を知っておくことで、実際の受取金額を正確に把握することができます。
健康保険料
健康保険は病気やケガの際に受ける医療費のサポートを目的とした制度です。
ボーナスからの差し引きも健康保険制度の一環として行われます。
健康保険料の計算にはボーナス支給額を基に、特定の率を適用します。
ただし、具体的な保険料率は所属する健康保険組合や勤務地域により異なるため、確認が必要です。
一般的な計算方法は「ボーナス支給額(1,000円未満切り捨て)×健康保険料率÷2」となります。
「÷2」は従業員と事業主がそれぞれ半分ずつ支払うことを示しています。
厚生年金保険料
厚生年金保険は老後の生活をサポートするための制度で、ボーナス支給額にも影響します。
計算方法はボーナスの総額(1,000円単位で切り捨てられる部分を除いて)に、固定の18.3%の保険料率を適用します。
結果得られる額の半分が従業員の支払い義務となる部分です。
「ボーナス支給額(1,000円未満切り捨て)×18.3%÷2」という方法で従業員が支払うべき厚生年金保険料が決まります。
雇用保険料
雇用保険は失業時の経済的サポートを目的としています。
ボーナスからも雇用保険料が差し引かれます。
計算方法としてはボーナス支給額全体に1.55%を適用することで、総雇用保険料が算出されます。
従業員が支払う分は0.6%、事業主が支払う分は0.95%です。
従って従業員の支払いは「ボーナス支給額×0.6%」として計算されます。
所得税
ボーナスの受取額から所得税が控除されることは多くの労働者が経験する現実です。
所得税の計算方法はボーナスが支給される直前の月の給与を基盤にしています。
ボーナスが支給される直前の月の給与から社会保険料を差し引いた額を用いて、所得税率が確定されます。
さらに扶養家族の人数に応じてこの税率が調整されるため、正確な税率を知るためには国税庁の指定する源泉徴収税額の表を参照する必要があります。
計算式は「(ボーナス支給額 – 社会保険料)× 適用される源泉徴税率」となります。
住民税はボーナスからは引かれない
給与やボーナスから控除される税金の中で住民税は特異な存在です。
毎月の給与からは確かに差し引かれるものの、ボーナスから住民税は控除されません。
住民税の算出は前年の所得を基に行われ、税額を12か月分に分けて毎月の給与から差し引かれる仕組みとなっています。
前年の所得に基づき計算された住民税は翌年の6月から翌々年の5月まで毎月の給与から控除されます。
ボーナスに関して言えば支給される際に住民税は差し引かれませんが、ボーナスの金額自体は次年度の住民税の計算に影響を与えることになります。
新入社員や契約社員、アルバイトでもボーナスはもらえる?
ボーナスは多くの労働者が期待する特別な給与の一部ですが、全ての職種や雇用形態で支給されるわけではありません。
新入社員・契約社員・アルバイトの場合、ボーナスの支給には企業ごとの方針や規定が大きく影響します。
ボーナスが支給されるかどうかは各企業の経営方針・業績・雇用契約の内容によって異なります。
給与や待遇を確認する際には、ボーナスの有無や計算方法もしっかりと確認することが重要です。
新入社員の場合
新入社員のボーナス支給は企業ごとに異なるものの、ボーナス制度を導入している会社では新卒社員も対象になることが一般的です。
しかし多くの場合、夏のボーナスは在籍期間が短いためフルのボーナス額よりも少なくなることが予想されます。
初回のボーナスは通常、寸志や入社祝いとして一定の額が支給されることが多いです。
中途採用者も入社からの在籍期間に応じてボーナスが調整されることがあります。
契約社員やアルバイト、パートの場合
ボーナス支給は正社員に限らず契約社員や非正規雇用のスタッフにも行われることがあります。
しかし、支給の可否や額は企業の経営方針・雇用形態・業績などにより大きく変わります。
法律でボーナス支給の義務が定められているわけではないので、採用時・入社後の雇用契約・就業規則などで詳しく確認することが重要です。
退職が決まっている場合、ボーナスは支給されない?
ボーナスの支給は多くの場合、在職中の従業員を対象としています。
退職後のボーナス支給は珍しいですが、退職を予定していてもボーナス支給日前に退職しない場合は支給されます。
しかし、企業によってはボーナスの一部または全額を支給しない方針を取っていることもあります。
ボーナスには未来への業績への貢献という期待が込められているため、退職が決まっている場合の支給額や取り扱いには注意が必要です。
コロナ禍の影響によるボーナス支給額の変動
コロナウイルスの影響で2021年のボーナス支給額は前年比で減少しています。
民間企業のボーナス平均は2020年夏に383,439円だったものが、2021年では380,268円に減少しています。
結果的にボーナスを支給する企業の割合も微減しています。
公務員のボーナスも2.8%の減少が見られました。
2021年のデータからコロナ禍が業界全般の賞与に影響を及ぼしていることが読み取れます。
初ボーナスはいつ支給されるのか、差し引かれる額も把握しておこう!
新たな職場での初ボーナスは新入社員にとって特別なものです。
しかし、ボーナスの実際の支給額・時期・差し引かれる額についての知識は持っているでしょうか。
ほとんどの企業は新入社員にもボーナスを支給しますが、勤務期間が短い初年度はフルタイムの正社員と比較してボーナス額が少なくなることが一般的です。
春の入社シーズン後すぐの夏は新卒者にとっては入社してから数ヶ月しか経過していないため、ボーナスが寸志として支給されることが多いのです。
さらに、公表されるボーナス額は手取り前の金額です。
実際に手に入れることができる金額は所得税や社会保険料などが差し引かれた後のものとなります。
初めてのボーナスで差し引かれる金額に驚く新入社員も少なくありません。
初ボーナスの支給時期・金額・控除の詳細を理解しておくことは、将来的な資金計画を立てる上で非常に重要です。
しっかりとボーナスに関する情報を掴み有意義な使い道を計画しましょう。