いま保育園などで働いている保育士さんのなかには、幼稚園教諭の免許状を取るように求められている方もいらっしゃることと思います。
現在、政府では「幼保一元化」を進めていて、認定こども園の「先生」となるためには原則として、
- 幼稚園教諭の免許状
- 保育士の資格
を持っていることが必要とされています。
このような状況で、「今後は保育士の資格だけでは仕事ができなくなってしまうのでは?」と不安になっている方も多いことでしょう。
しかし、今なら保育士さんであれば、比較的簡単に幼稚園教諭の免許状を取得できる方法があります。
取得を期にいっそのこと、保育士から幼稚園教諭へ転職するという道も考えられるかもしれません。
この記事では、保育士から幼稚園教諭へ最短で転職する方法を解説します。
おすすめの転職サイトもご紹介しますので、気になる方はぜひ参考にしてみてください。
保育士が簡単に幼稚園教諭の免許状を取得できる方法
幼稚園教諭の免許状を取得する方法は、大きく分けて3つあります。
1つずつ見ていきましょう。
大学や短大を卒業する
ひとつめは、「幼稚園教諭養成課程がある大学や短大、専門学校、通信制大学を卒業すること」です。
この方法では、認定試験を受ける必要はなく卒業するだけで免許状がもらえる、というメリットがあります。
しかし、デメリットとしては何年もの時間と多額の費用が必要になります。
しっかり勉強して何十単位も取得しなければなりません。
時間の確保という面からみると、現在保育士として働いている方が今から幼稚園教諭の免許状を取得する方法としては、かなり高いハードルがあるといえます。
幼稚園教員資格認定試験を受けて合格する
ふたつめの方法は、保育士としての実務経験が3年以上あることを前提として、都道府県の幼稚園教員資格認定試験に合格することです。
この試験に合格すれば、大学や短大に通うよりは時間や費用の負担が相当軽く済みます。
ただし、この幼稚園教員資格認定試験の難易度は、かなり高いと言われています。
幼稚園教諭養成課程がある大学や短大、専門学校、通信制大学を卒業した人と同程度の知識や能力が要求されるのですから、それも無理はありませんね。
そのためこの方法も、これから幼稚園教諭の免許状を取得したい保育士さんにとっては実現性は低めと言わざるを得ません。
しかし、3年以上の実務経験がある保育士さんには、この後紹介する第3の道があるのです。
おすすめ・幼保特例制度で楽に免許状を取得できる
第3の道は、「幼保特例制度」を利用して幼稚園教諭の免許状を取得する方法です。
幼保特例制度とは、幼稚園教諭の免許状または保育士の資格のどちらかを持っている人がもう一方の資格または免許状を取りやすくなる制度のことです。
政府が幼保一元化を推し進めて、認定こども園が創設されたことに伴って、このような特例が設けられました。
この特例を利用すれば、上記の2つの方法よりも格段に楽に幼稚園教諭の免許状を取得することができます。
特例制度の利用方法
この特例制度を利用するには、まずは「幼保特例講座を開講している大学に申し込む」必要があります。
大学に入るからといっても、受験勉強をして大学受験をしなければならないわけではありません。
入学検定はありますが、それほど心配はいりません。
通信制の大学も利用できます。
あとは、申し込んだ大学でわずか8単位を取得すれば、お住まいの教育委員会に申請して幼稚園教諭の免許状をもらうことができます。
取得期間としては申し込んでから、半年~1年程度で免許状を取得することが十分可能です。
特例講座を開講している大学の一覧は、文部科学省のホームページをご覧ください。
※参考:文部科学省 特例対象講座・科目の開設(予定)大学(令和元年9月現在)
特例制度を利用できる条件
この特例制度を利用するためには、以下の2つの条件があります。
- 保育士の資格を持っていること
- 保育士としての実務経験が「3年かつ4,320時間以上」あること
現在、保育士として働いていなくても、この2つの条件を満たしていれば特例を利用することができます。
また②の条件の「3年かつ4,320時間」の実務経験は、1つの職場で連続して働いていなくても構いません。
たとえ職場を転々としていても、今までに保育士として働いた「通算」が3年かつ4,320時間以上であれば大丈夫です。
特例制度の利用はタイムリミットがあるので急いだ方が良い
この特例は、いつまでも続くわけではありません。
2025年3月31日をもって、この特例制度は終了する予定です。
それまでに「3年かつ4,320時間以上の実務経験」を積み、「大学で8単位を取得」しなければ、この特例は使えなくなります。
その後は、幼稚園教諭養成課程がある大学や短大、専門学校、通信制大学などに一から入学するか、難しい幼稚園教員資格認定試験に合格しなければなりません。
特例制度が延長される可能性もなくはありませんが、幼稚園教諭の免許状取得を考えている保育士さんは、できるだけ早めに特例を利用して勉強を始めた方が良いでしょう。
メリットの多い幼稚園教諭への転職も考える価値あり
どうせ幼稚園教諭の免許状を取得するなら、いっそのこと幼稚園教諭への転職を考えてみても良いでしょう。
幼稚園教諭の仕事には、保育士にはない以下のようなメリットがあります。
高収入が期待できる
収入面では、若干ですが幼稚園教諭のほうが保育士よりも高くなります。
キャリアアップして園長にまで出世すれば、そうでない人に比べて収入にかなりの開きも出てきます。
体力的に楽
保育園では、シフトにもよりますが、毎日長時間にわたって子どもの相手をする必要があります。
一方、幼稚園の場合は「子どもの保育時間は原則4時間」と決まっているため、体力的に楽になるのも大きなメリットです。
精神的にも楽
保育園では0歳児を預かるところもあります。
赤ちゃんや乳幼児を預かるのは気を遣いますし、泣き止まない赤ちゃんを抱っこしてあやすのも精神的疲労度は大きいものです。
利用者の都合によって、夜遅くまでお迎えを待つことも多々あり、残業につながることも。
それに対して、幼稚園では対象が3歳児以上なので、赤ちゃんや乳幼児を相手にすることはありません。
登園・退園時刻も決まっているので規則正しく仕事ができ、精神的にもとても楽に仕事ができるでしょう。
土日・祝日に休める
保育園では施設にもよりますが、土日や祝日にも子どもを預かるところが多くあります。
シフトによって休みを確保できるとはいっても、土日や祝日に休めないのは辛いという方も多いでしょう。
それに対して、幼稚園は土日・祝日は休みです。
行事や研修などが入ることもありますが、基本的に土日・祝日が休みなのは嬉しいですね。
保護者に気を使わなくて済む
保育園では、子どもの受け渡しのときに必ず保護者と顔を合わせなければなりません。
なかにはクレーマーのような保護者もいて、神経をすり減らすこともあるでしょう。
それに対して幼稚園では、保護者に顔を合わせる機会が保育園よりは少ないため、そのぶん気を遣わなくて済みます。
幼稚園教諭への転職におすすめのサイト3選
幼稚園教諭への転職を考えるなら、幼稚園教諭の求人が充実している転職サイトを利用するのがおすすめです。
希望の勤務条件やエリアなどを指定して検索すればたくさんの求人がヒットするので、自分に合った職場を見つけやすくなります。
ここでは、特におすすめの求人サイトを3つご紹介します。
どのサイトも無料で登録できるので、ぜひ参考にしてみてください。
保育士バンク
幼稚園教諭の求人は保育士系の転職サイトで探すことになりますが、そのなかでも「幼稚園教諭の求人数が最大級」なのが保育士バンクです。
転職を成功させるためには、まずは数多くの求人情報を集めて、自分の希望に合った職場を探すことが大切です。
まずは保育士バンクに登録して、できる限りたくさんの求人を見てみることをおすすめします。
マイナビ保育士
求人業界の最大手で、一般的にも有名な『マイナビ』が運営する保育士転職サイトです。
このマイナビ保育士もスケールが大きいので、幼稚園教諭の求人数を数多く保有しています。
もうひとつ、マイナビ保育士の強みとして、転職コンサルタントによるサポートが行き届いていることが挙げられます。
地域ごとの事情に精通したコンサルタントが、こちらの希望を丁寧にヒアリングして転職をサポートしてくれます。
1人で幼稚園教諭への転職活動を行うのが不安な方には、心強い味方になってくれることでしょう。
保育ひろばエージェント
保育ひろばエージェントは、幼稚園教諭の求人数としては保育士バンクやマイナビ保育士ほどではありませんが、他にはない強みを持った転職サイトです。
その最大の強みは、検索メニューが細かく充実していること。
希望条件にこだわりがある方には、検索に時間をかけること無く効率的に希望にあった求人を見つけることができるので、特におすすめのサイトです。
まとめ
保育士から幼稚園教諭へ最短で転職する方法や、おすすめの転職サイトについて解説してきました。
最後にポイントをまとめておきます。
- これからは保育士も幼稚園教諭の免許状を取得することが求められる
- 保育士としての実務経験が3年以上あれば特例を利用できる
- 特例が利用できるのは2025年3月31日までなので急いだほうが良い
- どうせ幼稚園教諭の免許状を取得するなら幼稚園教諭へ転職するのもおすすめ
- 幼稚園教諭へ転職するなら専用の転職サイトを活用すべき
政府の「幼保一元化」の政策によって、保育士さんの立場は揺れ動いています。
安心して働けないという方もいらっしゃるかもしれませんが、今なら比較的簡単に幼稚園教諭の免許状が取得できる特例制度を利用することができます。
どうせなら免許状を取得して、保育士から幼稚園教諭へ、より良い条件が望める転職を考えてみてはいかがでしょうか。