「部下の育成がうまくいかない」、「どうしたら部下が自発的に仕事をしてくれるか」など、部下の育成は上司の重要な仕事の一つです。
部下の育成が思い通りにいっていない人は、まず部下とのコミュニケーションを見直したほうがいいかもしれません。
部下の育成において、一にも二にもコミュニケーションが重要で、コミュニケーション方法を改善するだけで、部下の指導にも劇的な効果が期待できるのです。
この記事では、部下を育成するときのコミュニケーションの重要性と、部下とのコミュニケーションのコツ、部下が成長する計画的な指導方法についてご紹介します。
部下の育成でコミュニケーションが重要な理由
スムーズに部下の育成を行うためには、上司と部下のコミュニケーションが大切です。
「仕事の関係だから、コミュニケーションなんて取らなくていい」と考えていると、部下からの信頼を得ることができず、「部下が指示に従わない」「いつまで経っても部下との関係性が築けない」ということになりかねません。
逆に、部下と良好なコミュニケーションが築けるだけで、部下の指導がスムーズに進み、効率よく育成を進めることができるのです。
まずは、部下の育成でコミュニケーションが重要な2つの理由からみていきましょう。
マネジメントしやすくなる
部下にとって上司との関係は、会社生活にとてもインパクトが強い要素です。
上司との関係がうまくいっていないと、なんとなく仕事にやる気が出なかったり、仕事にやりがいを感じられないもの。
逆に、上司が部下と日ごろからコミュニケーションを取り、仕事の進め方について意見を聞いたりほめたりするだけで、部下のモチベーションは一気に上がります。
モチベーションが上がると、業務への取り組み方が前のめりになり、吸収しようとする姿勢や学ぶ意欲が高まります。
その結果、上司の言葉が部下に届きやすくなり、上司側も部下をマネジメントしやすくなるのです。
モチベーションが上がれば、部下自身が自発的に考え、動くようになるので、部下の成長スピードも自ずと上がってきます。
部下からコミュニケーションが生まれる
日ごろからコミュニケーションが取れている上司と部下の間には、太い信頼関係が築けています。
信頼関係がある状態で一番いいことは、部下からも自発的なコミュニケーションが生まれること。
例えば、部下が仕事について新しいアイデアを思いついた時、または何か困ったことがあった時に、相手が話しやすい上司だったら、自分から提案したり相談するのに躊躇することがありません。
ところが、上司との関係がギクシャクしていると、アイデアの共有も悩み事の相談もなかなかできず、部下の成長の機会を逃してしまう結果になるのです。
まだ、会社の考え方に慣れきっていない新人だからこそ思いつくアイデアや意見は、古株の上司たちではなかなか考えつかないものが多く、そのような貴重な部下の意見をチームで共有しないのは勿体無いですよね。
部下自身が悩んだり困っている時、上司がアドバイスしてあげたり手を貸してあげることで、問題が早く解決できるかもしれません。
上司と部下の間のコミュニケーションを日頃からしっかり取ることは、部下にとってもチームにとってもプラスに働くのです。
慣れないうちは部下から上司に話しかけるのは難しいと思うので、上司から積極的にコミュニケーションを取るように心がけてあげましょう。
部下の育成に必要なコミュニケーションの5つのコツ
「部下とのコミュニケーション方法が分からない」、「部下とコミュニケーションを取っているつもりだけど、部下との関係が良くならない」という人は、ちょっとしたコツを意識するだけで、今の部下との関係を改善できるかもしれません。
ここからは、部下の育成に必要なコミュニケーションのコツを5つご紹介します。
いきなり全て実践するのが難しい場合は、できそうなものから1つずつ試してみてください。
部下の話を聞く
部下とコミュニケーションを取るといっても、それが上司から部下への一方通行では意味がありません。
普段の会話を思い返して、部下に自分の話ばかりしたり、「仕事はこうすべき」という仕事のアドバイスばかりをしていませんか?
会話が一方通行だと、どれだけ長い時間話し込んでいても、「コミュニケーションを取っている」とは言えません。
部下と良い関係を築くためには、自分が話すよりも部下の話をじっくり聞くように心がけましょう。
部下の話を聞くことで、部下の得意なこと、苦手なこと、どんな業務を任せたら高いパフォーマンスで仕事ができそうか、ということが分かるようになります。
部下の話を親身に聞くことで、部下自身も「この上司は信頼できる」、「この上司なら仕事の相談ができる」と思うようになり、その積み重ねによって、徐々に部下からも自発的なコミュニケーションが生まれるようになるのです。
部下の話を聞くときには、「興味深いね」、「その気持ちわかるよ」など「共感」を示すように意識してみましょう。
人は共感されると安心感を得ることができます。
無理に「コミュニケーションを取ろう」と意気込まなくても、時間を取って部下の話を聞いて、時に共感するだけで、部下にとっては大きな安心感につながり、信頼関係をよりスムーズに築けるようになるのです。
信頼を示す
上司が部下から信頼される必要があると同時に、部下にとっても「上司から信頼されている」と感じることはとても大切なことです。
「上司に信頼されていない」と感じると、それだけでやる気がなくなり、気分も落ち込みがちになります。
処理能力が高いくなんでも自分でやってしまう上司や、部下に仕事を任せられないと思っている上司は、なかなか部下に仕事を任しきれない傾向にあります。
そのような状態が続くと、部下は「上司が仕事を任せてくれないのは、自分が信頼されていないからだ」と感じてしまうのです。
どんな仕事を任せたらいいのかわからない場合は、日々の部下とのコミュニケーションから部下が得意なこと、任せられそうな業務を見つけてみてください。
誰にでも得手不得手があり、その人にあった業務は必ずあります。
最初は小さな仕事でも、仕事を任せることで、部下には責任感と「上司に仕事を任された」という自信がつき、仕事へのモチベーションもアップします。
また、一方的に仕事を振る以外にも、仕事内容について部下の意見を聞いたり、部下の意見を取り入れることも大切です。
意見が採用される・されないは別として、自分の意見を聞いてもらえたことで、仕事がどんどん「自分ごと化」していき、部下の成長をスピードアップさせていきます。
平等に接する
複数の人が集まると、相性が良い人、相性が悪い人が出てくるのは当然です。
しかし、組織においては、部下(上司)を選べない時が多いですよね。
「この部下と相性が悪いな」と思っても、仕事だからうまく関係性を保ちながら業務を進めなければなりません。
相性が悪い部下に対して、あからさまに態度を変えて接したり、他の部下と差別したりするのは、絶対に避けてください。
差別を受けた部下から「信頼できない」と思われるだけでなく、他の部下からも「あの上司は人によって態度を変える」と思われては、あなたのマネジメント力がどんどん下がってしまいます。
当然、部下とのコミュニケーションも滞り、部下の育成もうまくいきません。
苦手な部下であっても平等に、大人の対応で接するよう心がけましょう。
ほめる
部下の良いところや頑張っているところ、得意なことを見つけたら、積極的にほめるようにしましょう。
人はほめられると自己肯定感が高まり、活動がどんどん積極的になります。
反対に、叱られてばかりでは、仕事へのやる気がなくなり、ますますミスが増えて結果も出にくくなります。
ミスが多い部下に対しても、できるだけ良いところを見つけてほめてあげること、前までできなかったことができるようになった時は、その頑張りを労ってあげること、これを忘れずに行いましょう。
部下をほめる時は、「企画書の作成がうまいね」、「〇〇さんがいると、部署内が明るくなるよ」のように、具体的に伝えるのがポイントです。
部下が話しやすい雰囲気を作る
あなたが新入社員だったころを思い出してみてください。
「いつも不機嫌そうにしている上司」には、話しかけるのにとても勇気がいりましたよね。
業務でどうしても話さないといけない時以外は、なるべく声をかけないようにしようと思っていた人もいるかと思います。
ぶっきらぼうな態度や話しかけにくい雰囲気を出していると、部下が仕事の相談や報告をますますし辛くなってしまいます。
コミュニケーションを取るときだけでなく、普段の仕事をしているときにもできるだけ部下が話しかけやすい雰囲気を作ることを心がけましょう。
「部下が相談をしてこない」と悩んでいる場合は、相談しにくい雰囲気を作っているのかもしれません。
上司も人間なので、機嫌が悪い日や体調が優れない日もあると思いますが、感情的にならず、穏やかな雰囲気を作ることを少し意識してみてください。
部下の育成に必要な教育計画
上司と部下の間で良いコミュニケーションが取れている状態は、部下を育成するベースの環境が整った状態。
そこからあと一つ必要なことは、部下に合った目標を設定し、業務を割り振ることです。
最後に、部下の教育に効果的な育成計画についてみていきます。
部下の育成計画①目標設定
部下が成長するためには、部下の特徴・長所・短所に合った目標設定の設定が必要です。
目標を設定する時には、「得意な部分を活かす」と「苦手なことを克服する」この2つのバランスが取れているのが理想の状態です。
長所を活かし短所をサポートすることで、部下が自信をつけながら仕事を進められるようになるのです。
目標は、上司一人の独断で決めるのではなく、部下と共有しながら一緒に設定しましょう。
部下に「なぜ自分がこの目標に向かって進んでいくのか」を理解させることで、業務へのモチベーションが上がり、自発的な行動を促しすことができます。
部下の育成計画②目標に合った業務の割り振り
部下に合った目標を設定した後は、目標を達成できるような業務を実際に割り振りましょう。
この時、割り振った業務が部下のやりたい業務と一致すればするほど、より仕事へのモチベーションが上がり、成長を促すことができます。
反対に、あまりにもミスマッチな仕事を割り振ると、部下のやる気も下がっていき、せっかくの成長機会を逃しかねません。
やりたい内容でない業務であっても、今後役に立つことや、やる必要がある業務の場合は、「なぜこの仕事をやってほしいのか」ということをしっかり説明してあげてください。
やる意味・やる意義を理解できれば、それほどモチベーションを下げずに取り組んでもらえるでしょう。
仕事を割り振った後も、任せっきりで放置するのではなく、引き続き部下とコミュニケーションを取りながら業務をサポートすることもお忘れなく。
継続的なコミュニケーションで部下との信頼関係はますます深まり、部下の成長を大きくサポートできます。
コミュニケーション一つで部下の育成はうまくいく
「部下が指示に従わない」、「部下がミスばかりする」という悩みは、部下としっかりコミュニケーションを取ることで改善できます。
また、コミュニケーションを取ることで風通しの良い職場になれば、組織やチームの生産性がアップするという効果も期待できます。
今回ご紹介した5つのコツを心がけながら、部下と良いコミュニケーションをとり、スムーズな部下の育成に取り組んでみてください。