「将来どんな役職に就きたいですか?」
あなたが転職・就職の面接でこんな質問をされたら、自信を持って答えることができるでしょうか?
採用をもらうことばかり考えて、役職のことまで思いが及んでいなかった人も多いでしょう。
実はこの「将来どんな役職に就きたいですか?」という質問は、面接ではよく聞かれる質問の1つなのです。
面接の本番でしどろもどろにならないために、この記事では「将来どんな役職に就きたいですか?」と聞く面接官の質問意図や、正しい回答例などを解説していきたいと思います。
具体的には、
- 「将来どんな役職に就きたいですか?」と聞く面接官の質問意図
- 「将来どんな役職に就きたいですか?」に適切に回答するための3つのポイント
- 「将来どんな役職に就きたいですか?」の正しい回答例
- 「将来どんな役職に就きたいですか?」のNGな回答例
といった内容をご紹介していきます。
5分ほどで読めて、「将来どんな役職に就きたいですか?」と聞かれたときの答え方に自信が持てるようになるので、ぜひ最後まで読んでくださいね。
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「将来どんな役職に就きたいですか?」と聞く面接官の質問意図
はじめに面接官が「将来どんな役職に就きたいですか?」と聞く意図を紐解いていきましょう。
「将来どんな役職に就きたいですか?」と聞くのは、以下の3つの目的があります。
会社への貢献意欲の高さを見ている
「将来どんな役職に就きたいのか?」は、言い換えると「どのようなキャリアビジョンを持っているのか?」ということになります。
自社でキャリアを積んでいく上で、高い視点でビジョンを描いている人材は仕事の吸収が速く、高い成果を出せる人材なはず。
早く「管理職」や「役員」になりたい、と望んでいる人は、高い視点で業務を行うことができるため、会社全体の利益に貢献できる可能性が高く、そのための自己啓発の努力も惜しまないからです。
一方で役職への昇進に対して前向きでない人は、会社のことより自分のことに重きを置いていると捉えられがち。
「大変になるからあまり責任を持ちたくない」「地位も収入もそこそこで良いからプライベートを充実させたい」など、成長が遅く会社への貢献度も低いでしょう。
このように面接官は、「将来どんな役職に就きたいですか?」と聞くことで、この人材は会社にどのくらい貢献してくれるのか?を知りたいわけです。
ビジョンの描き方で入社の志望度を見ている
「将来どんな役職に就きたいですか?」と聞いた時スムーズに答えられる人は、その会社への志望度が高い、すなわち内定辞退されるリスクが少ない人材です。
その会社に本気で入社したい、長く勤めたいと考えている人は、会社でのキャリアビジョンも明確に考えているはず。
逆に言いよどんだり、的確な回答ができなかったりする応募者は、「会社への志望度が低い=第一希望ではない」と判断される可能性があります。
会社にとって内定辞退はとても痛く、なるべくなら避けたいもの。
採用活動が振り出しに戻るだけでなく、それまでかけた経費や労力が水の泡になってしまうのですから無理もありません。
面接官が聞く「将来どんな役職に就きたいですか?」という質問は、この内定辞退のリスクを避けるため、応募者の入社の志望度を測りたい意図があるのです。
人事異動や昇進・昇格する際の情報
また面接官によっては、将来就きたい役職を聞くことで入社後の人事に活用したい思惑があるかもしれません。
大企業は特に、様々なキャリアパスが用意されています。
専門職としてその職務のスペシャリストを目指す道や、マネジメント層や経営層のように会社全体を見るポジションを目指す道などです。
本人の描くキャリアビジョンに合わせて、人事異動や配属、昇進・昇格を決めていったほうが、モチベーションの維持や長期的な就業に良い影響を与えるでしょう。
そのため採否を判断する意図ではなく、入社後の効果的な人事を行うために「将来どんな役職に就きたいですか?」と聞く場合もあることを覚えておきましょう。
「将来どんな役職に就きたいですか?」に適切に回答するための3つのポイント
ここでは「将来どんな役職に就きたいですか?」の質問で、良い印象を与える回答をするためのポイントを3つ厳選してご紹介します。
根拠や理由を述べる
「将来どんな役職に就きたいですか?」の回答で、「部長職に就きたいと考えています」だけでは不十分。
「なぜ部長職に就きたいのか?」という理由や根拠を述べないと、本気でそう思っているか面接官はわからないからです。
その会社でのキャリアプランやキャリアビジョンについて考えている人は、その役職に就きたいと思った理由をもっているはずですよね。
そのため理由や根拠を述べないと、「口で言っているだけだな」「本気でうちを志望してないな」という評価になり、採用が遠のいてしまいます。
そのため「将来どんな役職に就きたいですか?」の答えには、必ず理由や根拠を添えるようにしてください。
「いつまでにその役職に就きたいか」を具体的に答える
本気で役職に就きたいと思っている人は、その目標を達成するためのプランを持っているはずです。
例えば、「3年後に課長になる」「10年以内には役員になる」など、いつまでにその役職になるか?まで考えているでしょう。
「いつか役職に就ければ良いな」、くらいの漠然とした考えでは、成長スピードはたかが知れているでしょうし、そもそもの思考力にも疑問符が付きます。
役職を目指すなら「いつまでに」を明確に答えることで、回答に説得力が増し、面接官の印象も良くなるでしょう。
自身が考える「役職に就くために必要なこと」も述べる
また「将来役職に就きたい」という願望だけだと、夢見がちで未熟な人材という印象を与えてしまうかもしれません。
極端なたとえですが、「総理大臣になりたい」と言っている小学生と同じに見えてしまうのです。
「その役職に就くためにはどんな能力が必要か」「会社がその役職に求めているものは何か」を自分なりに考え、伝えられれば一気に主張が現実味を帯びてきます。
仮にそれが少し的外れなことであっても、本気でこの会社に入って働きたいんだな、という本気度は伝わるはずです。
「役職に就くために必要なことは何ですか?」と質問につなげるのも手
面接の終盤に必ずある「当社になにか質問は無いですか?」と聞かれる場面で、役職について逆に質問をするのも有効な手です。
「先程、3年後には管理職になりたいと申し上げましたが、過去にそういった方はいらっしゃいますか?」
「3年以内に管理職になるために、必要になるスキルや能力があればぜひ教えて下さい」
このように質問することで、本気で役職を目指していると思ってもらえ、それに対しての努力を惜しまない姿勢をアピールする事ができます。
「将来どんな役職に就きたいですか?」の正しい回答例
就職・転職面接での「将来どんな役職に就きたいですか?」という質問に対しての正しい回答例をご紹介します。
以下をベースにしつつ、自身のキャリアビジョンやプランに沿ってアレンジしてください。
「3年以内に管理職になりたい」
3年以内に管理職になりたいと考えています。
前職で培った営業力を活かして、まずは営業としても成果をしっかり出し、今度はその営業ノウハウを後輩や部下に伝えていくことで次を担う人材を育てることにやりがいを感じるからです。
そのためには営業スキルだけではなく、コーチングやマネジメントなどに関してのスキルを身につける必要があると考えています。
読書やセミナーなどに積極的に時間とお金を使って、一日も早く管理職に昇格いただけるように日々努力をしていく決意でおります。
解説
まず「3年以内」と明確に期限を区切っていることが本気度を伝えるうえで効果的に作用しています。
「人材を育てることにやりがいを感じる」という理由付けで説得力が増しています。
また人材育成の視点は「会社全体の長期的な発展」という高い視点を持っていることもアピールできます。
読書やセミナーなどの自己啓発にお金と時間を投資するほど、高い意識を持っていることも伝わるはずです。
「ゆくゆくは役員として経営に携わりたい」
ゆくゆくのお話にはなりますが、ぜひ御社の役員として経営に携わりたいと考えています。
ビジネスマンとして働いているうちに、会社経営に非常に興味を持ち始めました。
自分の判断一つで会社全体の方向性が左右される責任の重さは、想像以上の重圧があることと思いますが、同時にやりがいやその得られるものも大きなものだと思います。
役員としてお声がかけていただけるには、まだまだ未熟ではありますが、少しでもふさわしい人材になるために、現在「中小企業診断士」の資格取得に向けて勉強をしております。
会社を経営するために必要な幅広い知識や教養、能力を身につけるために、日々精進していきたいと思います。
解説
この回答例では、具体的に○年というプランを述べてはいません。
なぜなら「役員になりたい」というビジョンは少し高すぎるため、ともすると面接官に「高慢な人材」と思われる危険性があるからです。
あえて「ゆくゆくは」と伝えることで、「何年でも働いて、努力していく所存である」ことを伝えることができるわけです。
また「役員」と軽々しく口にしたわけではないことをわかってもらうために、「役員の責任の重さへの理解」を示します。
そして役員への思いが口だけではないことを、実際に「中小企業診断士」の資格の勉強をしていることを伝えてアピールしています。
「将来どんな役職に就きたいですか?」のNGな回答例
面接で失敗しない為に「将来どんな役職に就きたいですか?」で答えてしまいがちなNGな回答例を挙げておきます。
回答だけではなく、なぜNGなのか?解説も添えましたので、理由をしっかりと理解しておくようにしてください。
「役職には就かず現場でずっと働いていきたい」
「私は役職には就かずに、現場でずっと仕事をしていきたいと考えています。
お客様と直に接することが出来る現場の仕事が、私には最も合っていると感じています。
お客様から“ありがとう”と言っていただけるような仕事を将来ずっと続けていきたいです。」
解説
「将来どんな役職に就きたいですか?」と聞かれたことに対して、役職に就きたくないという回答は最もNGです。
そもそも面接官がこの質問をしてきた時点で、その裏には「将来的に役職を目指すような人材がほしい」という思いがあると考えられます。
にもかかわらず、役職に就く気がないという主張をしてしまうのは、企業のニーズとマッチしていない人材ですというアピールをしているのと同じ。
仮に役職に就くのはあまり気が進まなかったとしても、役職に就くことのメリットに焦点を当てて、自分の思いを引き出すようにしましょう。
「まずは仕事を覚えることが先決で役職のことは考えてない」
「ひとまず目の前の仕事を一生懸命覚えることが先決だと考えているため、役職については全く考えておりませんでした。
御社の仕事をしっかりと覚えて、一人前になれるように日々努力していく重いです。
ゆくゆく管理職などを任せていただけるのであれば、その際はぜひチャレンジしたいと思います。」
解説
一見、謙虚にみえて好印象を与えられそうな回答ですが、「考えていない」はNGです。
真剣に会社でのキャリアビジョンやキャリアプランを考えているのであれば、その中に管理職は必ずあるでしょう。
長く会社に貢献していきたい思いがあるならなおさらです。
少し厳しいことを言えば、仕事を覚えて一人前になるのは当然のことで、面接の場で言うことではありません。
会社が「将来どんな役職に就きたいですか?」の回答としてほしいのは、一人前になることより高い視点で「どれほど会社に貢献し、利益をもたらしてくれるのか?」への答えなのですから。
まとめ
ここまで就職・転職面接での「将来どんな役職に就きたいですか?」の質問意図とポイント、正しい答え方などを解説してきました。
最後にまとめておきましょう。
- 「将来どんな役職に就きたいですか?」と聞く面接官の質問意図は主に、「会社への貢献意欲の高さ」「入社の志望度」を知りたいから
- 「将来どんな役職に就きたいですか?」に適切に回答するためのポイントは「根拠や理由」「いつまでに就くか」「役職に就くために必要なこと」の3つを述べる
- 最後の質問タイムで、「役職に就くために必要なことは何ですか?」と逆質問するのも手
- NGな回答例「役職に就く気はない」「まずは一人前になりたい」を言わないように注意しよう
将来的に収入を上げたいなら、役職に就くことは避けられません。
また年齢に応じた管理職などの役職経験がないと、一定の年齢(35歳くらいから特に)から人材市場での価値がグンと下がってしまいます。
面接での「将来どんな役職に就きたいですか?」の対策を練ることが、将来のキャリアビジョンやキャリアプランを考え直す良い機会になるかもしれませんね。