近年のテレワークの普及に伴って、従業員の「サボり」が問題視されています。
最近テレワークを導入したばかりの企業や、テレワークの採用を検討している企業の中には、テレワーク中のサボりが起こらないか不安を抱えている企業も多いでしょう。
しかし、テレワークには企業にとっての多くのメリットがあることも事実。
サボることを理由にテレワークを導入しないことは避けたいですよね。
従業員がサボる心理を理解し、適切な対策を取ることで、テレワーク環境下でのサボりは防ぐことは十分可能です。
本記事では、テレワーク時に従業員がサボってしまう理由とその対策方法について解説していきます。
テレワーク中のサボりの現状とは
テレワークは、オフィスワークのようにお互いの働く様子が見えないことから、業務中にサボってしまう人が多いのが現状です。
マイナビニュースの調査によると、従業員の74%が「テレワーク中に仕事をサボったことがある」と回答しています。
具体的なサボりの内容については、「動画サイトを視聴していた」「漫画やゲームをしていた」といった声が挙がっています。
また、「子供の面倒で業務から手を離さざるを得なかった」といったやむを得ない理由も挙げられていました。
「バレなければ大丈夫」という考えから安易にサボる人が多いようですが、同調査では「サボったことが上司や同僚に発覚した」人の割合は32%に上るという結果もあります。
管理者は従業員のサボりに懸念
テレワーク中にサボる人が多い現状がある以上、従業員を管理する立場の管理職は従業員がサボっているのかどうか疑いの目を持たざるを得ません。
リクルートマネジメントソリューションズの調査では、管理職の50%以上が「部下がさぼっていないか心配である」と回答しており、テレワークにおける従業員の管理に不安を抱えているようです。
何をもってサボりとみなすのか、サボりが発覚した時の処分など、テレワーク環境下では管理職特有の悩みが生じています。
従業員は「サボりを疑われる」ことにストレスを感じている
一方、テレワークする側の従業員はテレワークに対してどのような悩みを抱えているのでしょうか。
2020年に実施されたヌーラボの調査によると、20代の約2人に1人、30代以上の約3人に1人が「テレワーク時、サボっていると思われるストレス」を実感しているという結果が発表されています。
企業側からの必要以上の業務の監視や報告義務は、従業員にとってストレスを感じる要因となっています。
「疑われているのではないか」という上司への不信感の他にも、「まじめに仕事をこなしているのにサボっている他のテレワーカーがいるせいで不平等だ」と感じる従業員もいることがわかっています。
テレワークで従業員がサボる理由
従業員がテレワークでサボってしまうのは理由があります。
代表的なものとして以下の理由が上げられます。
- オンオフの切り替えが難しい
- 気軽に「コミュニケーションが取れない
- 業務の進捗が見えない仕組み
どのような心理でサボりが行われてしまうのかを紐解くことで、企業側もそれに応じた対策を取りやすいでしょう。
①オンオフの切り替えが難しい
テレワークで従業員がサボる理由の1つ目は、オンとオフの切り替えが難しいことです。
オフィス勤務の場合は仕事をするためだけの空間が与えられているのに対して、テレワークはオフィス以外の場所で仕事を行うため仕事とプライベートの境界が曖昧になってしまいがちです。
特に在宅勤務では、すぐに寝ることができたり、趣味に没頭できる環境が揃っているため、仕事以外のことに目移りしてしまう人が多い傾向にあります。
自己管理ができる人にとってはテレワークは働きやすいかもしれませんが、集中力が持たない人はテレワークでの業務に向いていないといえます。
②気軽なコミュニケーションが取れない
テレワークで従業員がサボる理由の2つ目は、気軽にコミュニケーションが取れないことです。
テレワーク環境下での業務は、オフィスワークと比べるとコミュニケーションの手段が極端に減ってしまいます。
そのため、従業員にとっては業務上の質問や相談がしづらい状況となってしまい、次に何をしていいのか分からない状態を生んでしまいます。
手が止まってしまい集中力が切れた結果、サボってしまう従業員が増えてしまうというわけです。
また、複数の従業員で共通のプロジェクトを進める際にチーム間の連携が取りづらいことや、業務中に孤独感を感じやすいこともコミュニケーションが取りづらいことの弊害として挙げられます。
③業務の進捗が見えない仕組み
テレワークで従業員がサボる理由の3つ目は、業務の進捗が見えない仕組みにあります。
働く様子が直接確認することができないテレワークでは、業務の成果を評価基準とされることが多いです。
しかし、このような成果主義の評価では業務の進捗が把握しづらいという問題があります。
従業員の作業報告のやり方によっては、早めに業務を終わらせて空いた時間でサボることもできてしまうのです。
実際には業務が終わっている手持無沙汰な従業員に対して次の仕事を振ることができない、リソース管理上の問題が生じてしまいます。
テレワーク中のサボりを防止する4つの対策方法
従業員個人の自己管理が要因と思われがちなテレワークのサボり問題ですが、実は企業側から対策を取ることである程度サボりを防止することが可能です。
では、テレワーク中のサボりを防止するために企業側が取ることのできる対策にはどんなものがあるのでしょうか。
以下の4つの項目で対策法を紹介していきます。
- ホウレンソウがしやすい環境を作る
- 作業環境を見直す
- 勤務ルールを見直す
- 勤怠管理ツールの導入
①ホウレンソウがしやすい環境を作る
テレワーク中のサボりを防止するためには、コミュニケーションの方法を見直す必要があります。
テレワークは通常の働き方と違って従業員がそれぞれ違った場所で業務を行うため、業務上の相報告・連絡・相談ができません。
そのため、ツールを活用した新しいコミュニケーションの取り方をすることで、円滑に業務を進めることが可能になります。
新しいコミュニケーションの手段として、下記の導入も検討してみましょう。
- チャットツール
- Web会議
- 1対1のミーティング
②作業環境を見直す
テレワーク導入の問題点として、誰しもがオフィス以外での作業環境を整えることができないことが挙げられます。
また、自宅での作業となると、プライベートな空間のため業務以外の誘惑が多く、サボりを誘発しやすいです。
そんな時はコワーキングスペースやサテライトオフィスの導入がおすすめです。
コワーキングスペースは、共有型のオープンスペースにて仕事をするスタイルのオフィススペースを指します。
またサテライトオフィスは、企業の本社・本拠地から離れた場所に設置する小規模なオフィスのことを指します。
どちらも仕事に必要な設備が充実ししている点が魅力です。
比較的低コストで利用できるため、オフィスから離れた場所に住居を構える従業員向けに企業がレンタルして場所を提供することが可能です。
③勤務ルールを見直す
オフィスでの勤務と同じ形式のルールを採用していると業務上の不具合が生じてしまいかねません。
特にテレワークにおいては、何をもって「仕事をしている」「サボっている」と判断するのか明確な基準を設けることが必要です。
テレワークを採用する企業によって、成果物・勤務時間・業務プロセスなど重視する評価基準様々ですが、いずれにしても評価基準を明確にすることは重要と言えます。
また業務上のルールで、ビデオ通話を使用して業務を行ったり、所定の時間ごとに進捗報告を行うといった企業独自のルールを設ける企業もあります。
④勤怠管理ツールの導入を検討する
勤怠管理ツールとは、従業員の仕事開始、仕事終了を追跡・監視するためのシステムのことを指します。
勤務時間の正確な記録を行うことで、従業員の勤務状況を一括で管理することが可能です。
ツールによっては、作業状況の記録機能や記録した勤務時間をそのまま給与システムに反映できる機能も搭載しているものもあるため、勤怠管理ツールの導入を検討する際には、入念にツールの機能を調べておくことをおすすめします。
テレワークの普及で増えつつあるジョブ型雇用とは
テレワークの普及に伴い、従業員を一律に管理・評価する手段として注目を集めているのが「ジョブ型雇用」と呼ばれる雇用形式です。
ジョブ型雇用は、労働時間ではなく職務や役割で評価する雇用システムのことで、就業者は契約の範囲内でのみで働きます。
基本的に別部署や他拠点への異動・転勤などがなく、昇進や降格もないことが特徴です。
職務内容・勤務地・時間などの条件をあらかじめ決めた状態で雇用を行い、労働時間ではなく職務や役割で評価する雇用システムであることが特徴です。
そのため、業務内容に関する認識のずれが生じにくいことや、評価基準がはっきりしていることからテレワークに適した雇用形態であるといえるでしょう。
これからテレワークを導入しようと考えている企業は、ジョブ型雇用を採用することで生産性の向上や、サボり防止効果が期待ができるためおすすめです。
まとめ~テレワーク中のサボりは企業側の対応次第で防げる~
テレワークの採用を考える上で従業員のサボりは無視できない問題です。
サボりは個人の自己管理の問題で発生すると考えられがちですが、企業の業務形態やルールの見直し次第で改善できる可能性も十分あります。
「サボっている」「サボりを疑われている」という不信感を抱えたまま仕事に従事することは従業員の負担にもなりかねません。
ただしい対策や業務形態を取ることで従業員間の信頼を維持して、お互いに気持ちよく働ける環境づくりをすることが結果的にサボりを抑制することに繋がるのです。