転職したいと思っても、何の戦略もなしに転職活動を始めてしまうのは効率が悪いといえます。
転職をするのなら、時期やタイミングについてもよく考えるべきです。
何月に求人数が多いのか、逆に何月だと求人数が減ってしまうのか、転職におすすめな月などを紹介します。
最初に考えるべき転職のタイミング
入社してからすぐに転職はすべきではない
入社して間もない時期に転職してしまうと、忍耐力がないと思われるリスクがあります。
ビジネスマナーやスキルもまだ身についていないため、転職活動をする際に不利な状況に立たされてしまいます。
キャリアアップ目的なら5~6年目がベスト
キャリアアップを目的に転職するのであれば、社会人になって5~6年目がベストです。
5~6年目はベテラン過ぎず、新人でもない丁度良い時期です。
まだ自分のやり方が確立しているわけでもなく、企業の方針に柔軟に対応できる余地があるため、企業も採用しやすくなります。
5~6年目のキャリアがあれば、第一線で活躍できる経験がある上、まだまだ若さと柔軟性が備わっているので、企業からの採用ニーズも高くなります。
未経験分野に挑戦するなら3~4年目がベター
未経験の分野に挑戦するのなら、社会人になってから3~4年目が望ましいといえます。
社会人経験が浅ければ、未経験分野にも柔軟に対応することができます。
社会人として3年が経過していれば、一般的なビジネスマナーも身についているとみなされ、積極的に採用してくれる企業側もあります。
転職前に考えるべきこと
ボーナスをもらってから退職すべきかどうか
ボーナスが支給される職場ならば、ボーナスをもらってから退職した方がお得です。
ただし、ボーナスをもらうために転職のタイミングを逃してしまうようであれば、決してお得とは言えません。
たかが1度のボーナスのために人生を台無しにすることがないよう、転職タイミングとボーナスのどちらを優先するのかを、冷静に判断しましょう。
転職するのは出産前か出産後か
出産後に転職しようとすると、様々な制約が出てくるため、出産前に転職して環境を整えておくのがベストです。
転職してから1年以上働けば、育休も取りやすくなります。
住宅ローンを組んでから転職すべきか
転職したばかりの頃に住宅ローンを組もうとしても、勤続年数が短いため審査も通りづらくなります。
住宅ローンを組みたいのであれば、勤続年数の長い転職前に手続きを済ませておきましょう。
資格を取得してから転職すべきか
現在の仕事を続けながら資格取得をして、その後に転職するのがベストです。
資格があると能力を高く評価してもらえるため、ライバルと差別化することができ、転職しやすくなります。
資格手当がもらえる場合もあるので、資格取得してから転職すれば年収アップが望めます。
時期によって転職のしやすさは変わる
時期によって、企業が求める人材が異なります。
どの時期にどんな人材が求められるのか、事前にきちんと理解しておきましょう。
9月や10月の求人は即戦力になる人材を求めている
1月入社を想定して9月や10月に求人を出している場合、即戦力になる人材を求めている傾向が高くなります。
この時期はボーナスを受け取った後の退職者の補充や、新規事業開始に伴って人員を拡大する目的があるため、経験やスキルのある転職希望者が採用されやすくなります。
上半期に振るわなかった業績を巻き返す目的で募集を出す企業もあるので、即戦力として認められることができれば、キャリアアップを成功させることもできます。
自分のキャリアやスキルに自信があるなら、この時期に転職活動をしてみるといいでしょう。
8月や12月は未経験者でも受け入れる体制がある
8月や12月は求人数が少なく、競争が激しくない時期なので、企業側も採用を急いでいません。
そのため、未経験者でも採用されるチャンスは十分にあるといえます。
必ずしも即戦力が求められているわけではないため、異業種に転職したい人にとって狙い目の時期だといえるでしょう。
なぜ月によって転職のしやすさは異なるの?
月によって転職のしやすさが違う背景には、企業が求人を出す理由やタイミングが異なる点があります。
主に以下のような理由に基づいて、多くの企業が求人を出しています。
年間採用計画に基づいて求人を出している
企業では中途採用の数をあらかじめ決めています。
こまめに求人を出すよりも、決まった時期に出すほうが効率よく採用できるため、月によって転職のしやすさも異なります。
新規事業発足のタイミングで求人を出している
企業が新たに事業をスタートさせるタイミングは、その事業の経験者が採用されやすくなります。
退職者の補充のために求人を出している
大企業だと1〜2人の退職者が出たくらいでは特に影響が出ないので、すぐに補充しようとしません。
一方、規模の小さな企業だと、1人退職者が出ただけでも企業に大きなダメージが出るため、求人もすぐに出やすくなります。
急激に需要が増加したために求人を出している
予想外に需要が増加した時に、それに対応しようと求人が出ることもあります。
需要が長期にわたって続きそうな場合は、正社員として採用される場合もあります。
転職で一般的なのは何月?
まずは転職で一般的な月を覚えておきましょう。
最も一般的な転職時期は2月〜3月
年度が変わるタイミングの2月〜3月は、企業が新年度の社内体制の整備に取り掛かります。
3月が期末の企業が多いため、4月入社に向けて2月から採用活動が活発し始めます。
この時期は区切りがいい時期になるため、他の月に比べて退職者も多くなり、それにより必然的に求人数が増えます。
企業側にしてみれば、4月に入社した人は新入社員と同じタイミングで研修ができるため、手間がかからないメリットがあります。
このような理由から、2月〜3月は最も求人数が多くなり、転職活動をする時期として最も一般的だといえます。
4月入社したいなら2月がベスト
3月は求人数と応募者数ともにピークを迎えますが、4月入社を狙うのであれば、遅くても2月から転職活動を始めましょう。
転職活動は最低でも2ヶ月以上かかるので、早めの準備が必要です。
求人数が多くチャンスも多いということは、それだけライバルも増加するということです。
そのため、この時期が一番転職活動に適しているとは言い切れません。
競争に勝ち抜くためには、日頃から自分のスキルを磨いて、他人と差別化する必要があります。
求人数が多い月は何月なのか
求人数が多くなるのは7~10月と1~3月
どの企業も上半期や下半期のスタートに合わせて求人を出そうとするため、上半期がスタートする前の1~3月、下半期がスタートする前の7~10月は求人数が多くなります。
転職の求人数が最も多いのは10月
10月は上半期の結果を見た上で、人事異動や組織編成など大きな動きをする会社が多いため、中途採用の求人も増加します。
この時期は即戦力を求める企業が多いため、自分のスキルや経験を活かしたい人には大きなチャンスだと言えます。
2月の求人数も多い
2月は来期の人材を求める企業が多くなり、採用も本格化していくため、必然的に求人数も多くなります。
それに加えて、12月にボーナスをもらって退職する人が増えるため、欠員を補なうために、この時期に求人数が増加する傾向にあります。
ただ、求人数が多いだけにライバルもたくさん存在するので注意が必要です。
ライバルに負けないようにするためには、日頃から情報収集をしっかり行い、準備を整えておく必要があります。
準備さえきちんと整えれば、チャンスはいくらでもあるので、転職を成功させることは十分に可能です。
特定の時期に求人数が増えるのはどうして?
7~10月と1~3月の特定の時期に求人数が増える主な理由を紹介します。
ボーナスをもらってから退職する人がいるため
夏季や冬季のボーナスを受け取ってから退職しようとする人が多いため、特定の時期に求人数も増加します。
企業側も賞与の時期に退職者が増えることを事前に予想しているため、この時期に合わせて募集を出すようになります。
退職した人の供給を埋めるため
中途採用の場合は、年度末で退職した人員を補充するなどの採用理由もあります。
年度末は転勤や異動が発生しやすいタイミングなので、自分の希望が通らないと転職を意識する人が一気に増えます。
転職して退職者が増えることから、中途採用の募集も増えるのです。
そのため、年間を通じて特定の時期に求人数が増える傾向にあるのです。
積極的に求人広告数を増やそうとしているため
転職サイトや転職エージェントが、特定の時期を狙って積極的に求人広告数を増やそうとしている背景もあります。
求人数が増えやすい春と秋は、転職サイトや転職エージェントにとって稼ぎ時でもあります。
春と秋は利用者も増えるため、この時期に求人を積極的に出すのです。
転職希望者にとって意外と有利な月
転職希望者(ライバル)が少ないのは8月
8月は応募者よりも求人数が上回る月です。
秋に向けて求人数が徐々に増えていく時期にもかかわらず、長期休暇期間ということもあり、転職活動をする人が少ないため、ライバルの少ない有利な状態で転職活動を進めることができます。
この時期に早めに転職活動をしておけば、良い条件の転職先が見つかりやすくなるでしょう。
穴場は5月
5月は4月に入社した人がすぐに辞めた場合に、その欠員を募集していることがあります。
4月に退職する人は意外と多いので、5月は転職希望者にとって狙い目ともいえます。
4月に一度落ち込んだ求人数も徐々に回復傾向を見せ始めるので、意外な穴場が見つかるかもしれません。この時期、企業側は即戦力を求めているため、自分のキャリアをアピールするのに最適な時期でもあります。
12月も転職希望者には有利
12月はイベントが多かったり、長期休暇が絡んだりするため、転職活動よりもプライベートを優先する人が多い傾向にあります。
そのため、応募者自体が少なくライバルも少なり、転職希望者にとって有利な月になります。
転職に向かない時期はいつ?
4月
4月は新卒の新入社員が入社を終えたばかりなので、企業の採用活動もひと段落し、求人数が激減する時期になります。
この時期は転職希望者も減少するため、倍率が高くなるわけではありませんが、限られた範囲で転職活動を強いられることになります。
この時期に転職活動をするのは向いていないといえます。
8月
8月はお盆休みを挟むため、企業側はこの時期に夏休みを取得する人が多くなります。
そうすると全ての業務が後回しになるため、採用業務も後回しにされ、自ずと求人数も少なくなります。
ただし、お盆明けから転職希望者が動き出すため、8月の早い時期から動いておくと有利になりやすくなります。
11月
10月は下半期の人員補充のため求人数がピークを迎えますが、ピーク後の11月は停滞期となります。
この時期は企業が4月の採用に向けて切り替えを行う時期なので、求人数も一気に少なくなります。
ボーナスをもらった後に転職したい人は12月に狙いを定めているため、転職希望者も少なくなります。
しかし、11月はライバルが少ない時期でもあるので、未経験でも採用される確率がアップします。
大切なのは時期だけじゃない!
転職に成功するかどうかは、転職する時期だけの問題ではありません。
自己分析を徹底し、転職希望先に対して上手に自己PRや志望動機を伝えられるかが重要です。
自己分析の徹底
自己PRをする前に、自分の長所や強みを知っておく必要があります。
まずは過去の経験を洗い出してみましょう。
その上で、過去の経験から何を得たのか、どのような努力をしたのか、やりがいを感じた瞬間など、強みといえるキーワードが出てくるまで徹底的に分析しましょう。
自己PRや志望動機を上手に伝える
「一生懸命頑張った」など抽象的な言葉では、自分の長所を採用者にうまく伝えることができません。
どのように頑張ったのか、どのような工夫をしたのか、具体的なエピソードを自己PRに盛り込む必要があります。
ただ、自分の強みをいくつも盛り込むのは避けましょう。
自分の強みがたくさんあることはいいことですが、あまりにたくさん盛り込みすぎると、一つ一つの印象が薄くなってしまいます。
自己PRや志望動機にまとまりをだすためにも、長所は一つに絞りましょう。
長所を説明する際のエピソードは、具体的かつ簡潔にまとめるのがポイントです。
タイミングに合わせた転職の仕方
転職希望先企業の情報収集や自己分析などの準備を徹底する
転職希望先企業の特徴を理解し、自己アピールに盛り込んでおきましょう。
転職先に勤め始める時期を逆算して転職活動をスタートさせる
転職活動は最短でも2ヶ月ほどかかります。
いつ転職先に勤め始めたいのか時期を決めて、そこから逆算すると、いつまでに面接を終わらせておくべきか、エントリー時期などがわかるようになります。
必要書類の作成と応募をする
複数応募が一般的であるため、できれば複数の企業に応募しましょう。
面接・筆記試験等
1週間に面接・筆記試験を受けられる数には限りがあります。
例えば1週間に3社の面接を受けると決めた場合、10社の面接をクリアするには1ヶ月近くかかります。
必要面接数をクリアするまでの期間も、あらかじめ転職活動のスケジュールに組み込んでおきましょう。
内定が決まったら引継ぎと退職
内定が決まれば、退職交渉をして引き継ぎを行います。
退職交渉から引き継ぎまで1ヶ月かかることを想定して、早めに転職活動を始めましょう。
自分にとってベストな転職時期を見定めよう!
結局ベストな時期はいつ?
転職に向いた時期(月)はあるものの、求人数が減る時期は転職希望者も減るため、年間を通して倍率はそれほど変わりません。
求人数が多い時期に、自分の理想的な転職先が見つかるわけでもないので、いちいち時期を待つのはもったいないといえます。
結局は自分が転職したい時期や、自分の希望する企業が募集を出している時に転職するのがベストだといえます。
自分から動くことが大事
いつどの企業が募集を出すのかは予想しにくいので、転職したいと思ったら早めに準備を始めて、希望条件を満たす求人をどんどん受けてみましょう。
企業側の動きを待つのではなく、自分から積極的に動くことが大事です。
離職後の空白期間をなるべく少なくするためにも、早め早めに転職活動を行う必要があります。
転職希望者一人一人の置かれている状況や優先すべきこと(出産やボーナスなど)は異なるため、一概にベストな時期がいつとは言えません。
まずは自分の現在の状況と優先事項をはっきりさせることが大事です。
あとは自分に合ったペースで転職を進めていき、自分にとってベストな時期に転職を成功させましょう。