会社で働く社員として避けられないのが残業。
自分の残業時間が周りと比べて長いのかどうか、気になったことはありませんか。
「月60時間の残業をしているけど、それって一般的に長いの?短いの・・・?」
「月60時間の残業って違法じゃないの・・・?」
とお悩みの方もいるかと思います。
そこでこの記事では、月60時間の残業を基準とし、60時間が長いのか短いのか、違法性があるのか、過労死ラインについてご紹介します。
自分の残業時間が一般的にみて長いのか、違法性はないのか、確認する参考にしてみてくださいね。
あわせて労働環境改善が狙える転職エージェントも紹介します。
残業に悩んでいる方はぜひ活用しましょう。
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平均残業時間と特徴
まずは、日本全国の平均残業時間がどのくらいなのか、60時間が長いのかどうかを順番に見ていきます。
平均残業時間は約47時間
ある調査によると、残業時間の平均は約47時間とされています。
したがって、60時間の残業は平均よりも長いといえるでしょう。
ただし、年収ごとに残業時間は異なっているという調査データもあります。
それでも、平均すると40~50時間であり、60時間に達している人は残業しすぎていると考えられます。
統計データは正確ではない
調査はたくさん行われているのですが、その正確性については疑問視されています。
なぜなら、残業時間の長さは、基本的にそれぞれの会社の自己申告に任せているからです。
したがって、現在、社会問題とされているサービス残業については考慮されていません。
違法とされているサービス残業分をわざわざ申告する会社は、まずありませんよね。
そのため、調査結果をチェックする際には、実際の残業時間を下回っているデータも含まれていると考えましょう。
残業時間の平均47時間という調査結果も、実際のところはもっと残業している人が多いと考えられます。
残業時間は月によって異なる
残業時間は、さまざまな要因によって変動するものです。
たとえば、業種や業界によっては、毎年決まった時期にたくさん残業しなければいけないケースがあります。
経理の仕事であれば、年末年始や決算期などは忙しくなるでしょう。
この場合は、忙しい時期が確定しているため、60時間を超えて残業する月があったとしても、心身への負担は一時的なものといえます。
暇な時期にはほとんど残業がないからです。
一方、毎月のように残業時間が60時間を超える人は、とてもまずい状況であると考えましょう。
この場合は暇な時期がないため、心身への負担がとても大きくなるからです。
大きなストレスを抱えながら仕事をすることになって、将来的にさまざまなリスクが考えられます。
月の残業時間が60時間は長い
月の労働日数は、だいたい22日が平均といえます。
仮に残業時間が60時間だとすると、1日平均2.7時間残業をしている計算になります。
1日の所定労働時間が8時間で、間に1時間休憩があるとすると、9時出勤・18時退勤が一般的です。
しかし、2.7時間の残業時間をプラスすると、実際に退勤できるのは21時前になってしまいます。
9時に出勤して21時に退勤する生活が毎日続くと、心身に大きな負担になることは、簡単に想像できますよね。
残業時間が60時間を超えるのは、一般的に考えて、かなり深刻な状況であるといえます。
また、場合によっては違法である可能性もあります。
次に、月の残業時間が60時間を超えて、かつ違法になるケースについてみていきましょう。
月60時間の残業が違法になるケース
まずはどんな残業に違法性があるのかをみていきます。
残業時間とは?
まず、日本では法定労働時間として1日8時間、週40時間までが労働時間の上限であると定められています。
したがって、これ以上に働いた場合は、すべて残業とみなされることになります。
会社で所定労働時間を定めることもあるのですが、あくまでも残業の基準となるのは法定労働時間です。
原則として、法律では残業をすることは、基本的に認めていません。
ただし、例外的な措置として残業できるケースもあります。
違法になる残業とは
残業とは、法定労働時間を超えて働いた時間のことを言います。
労働基準法で法定労働時間は定められており、1日8時間、週40時間までの労働時間とされています。
基本的に、会社側はこの時間を超えて労働をさせることはできません。
1日8時間、週40時間を超過した分については、違法な残業とみなされます。
ところが例外として、社員と会社の間で「36協定」を結んでいる場合はこのルールが適応外となり、法定労働時間を超えて労働させることができます。
36協定については、次項で詳しくご紹介します。
また、残業したにも関わらず賃金が支払われない「サービス残業」は当然ですが、違法な残業に当たります
36協定とは
36協定とは、労働基準法第36条のことで、会社が社員を労働基準法で定められた時間を超えて労働させるために「使用者(会社)」と「労働組合もしくは労働者の代表」の間で締結されます。
しかし、36協定が「締結する労働者の代表が民主的な選挙で選ばれている」「36協定が労働基準監督署に届出されている」という条件を満たしていなければ、残業が違法となります。
また残業を命令するために「雇用契約書、就業規則に盛り込まれている」「就業規則が周知されている、誰でもすぐ確認できるようになっている」という形にされていなければなりません。
36協定が正しく締結されていても、違法となるケースがあります。
それは週15時間、月45時間を超えて残業させられていた場合です。
36協定で認められる残業時間の上限について、それぞれの対象期間の上限を下記の表にまとめます。
期間 | 限度時間 | 限度時間(※) |
---|---|---|
1週間 | 15時間 | 14時間 |
2週間 | 27時間 | 25時間 |
4週間 | 43時間 | 40時間 |
1ヶ月 | 45時間 | 42時間 |
2ヶ月 | 81時間 | 75時間 |
3ヶ月 | 120時間 | 110時間 |
1年間 | 360時間 | 320時間 |
上限以上の残業は認められていないかというと、社員と会社の間で特別条項付き36協定を結ぶことで、上限を延長することができます。
特別条項付き36協定とは、36協定の限度時間を超えて臨時的、突発的な残業の必要があった場合に備えて、あらかじめ延長時間を定めておく協定を言います。
ただし、どのような状況でも簡単に特別条項が認められるわけではなく、あくまでも緊急時に備えた協定のため、基本的には、残業時間は上限以内に留まるよう努めなければなりません。
特別条項付き36協定でなく、週15時間、月45時間を超えて残業させられていた場合は、違法となります。
特別条項がないにもかかわらず、月60時間の残業をさせられているならば、それは立派な違法と言えるのです。
特別条項付きでも100時間までしか産業は認められない
ここ最近、日本では「働き方改革」が実施されていて、さまざまな関連法が施行されています。
その1つとして、残業時間に関してさまざまな上限が設けられるようになりました。
まず、平時では1ヶ月に45時間、1年で360時間までが、残業の上限となります。
また、特別条項を利用した場合は、1年のうち合計6ヶ月の期間に限り、月に100時間までの残業が認められ、さらに1年に720時間以内の残業が許可されます。
ただし、特別条項が適用された場合でも、どの2~6ヶ月を平均しても、残業時間の平均は80時間以内にするという制限があります。
このように法律によって、残業時間の上限についてのルールが明確になりました。
特別条項を利用しても、月の残業の上限は100時間までであり、しかもこれには休日労働の時間も含まれます。
これらのルールについてはペナルティが設けられたのが大きな特徴です。
違反したときには、使用者(会社)に対して、半年以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられることになります。
月60時間の残業は違法なのか?
結論からいえば、月の残業時間が60時間に達したとしても、ただちに違法とはいえません。
ただし、企業が36協定を締結していない場合は、60時間の残業は違法となります。
そして、日本の企業の多くは36協定を締結しておらず、それなのに60時間以上の残業をさせているケースが少なくありません。
まずは、自分の会社が36協定を締結しているのか調べてみることをおすすめします。
また、それが特別条項付きであるかどうかも、しっかりチェックしておきましょう。
月60時間の残業で手当はいくらになるのか?
36協定の有無によって、月60時間の残業が違法になることがあるとわかりましたが、それでも多くの人が月60時間近い残業をしているのが現状です。
そこで、月60時間した場合の残業手当がどのくらいになるのかを、実際に計算してみます。
残業代の計算方法
残業時間は、法律によって計算の方法が定められています。
法定労働時間を超えた分の賃金は、通常賃金の25%増しになるのです。
したがって、残業代の計算式は下記のようになります。
残業代=基礎時給×1.25×実際に残業した時間
基礎時給とは、1時間あたりの賃金のことです。
時給制であれば、所定の時給が基礎時給であると考えましょう。
時給制でない場合には、月給を月の平均所定労働時間で割ることで、基礎時給を求めることができます。
所定労働時間とは、会社と契約したときに定めた月の平均労働時間のことです。
一般的には170時間前後(勤務日数21日前後)となることが多いです。
たとえば、月給が30万円で、月の所定労働時間が170時間、残業時間が60時間の場合には、残業代は下記の通りです。
30万円÷170時間×1.25×60時間=13.2万円
このように計算式に当てはめれば、自身が本来もらうべき残業代を、簡単に求めることができます。
今、自分が残業している時間に対して、正当な残業代が支払われているかどうか、自分で確認してみるといいでしょう。
残業の割増率が1.5倍になるケース
平成22年に労働基準法が改正されて、月の残業時間が60時間を超える場合には、5割の割増率で残業代を支払うことが決定されていました。
当面は、中小企業において上記の決定は猶予されていたのですが、平成31年の4月1日からは、中小企業であっても60時間を超える残業については、5割の割増率による残業代を支払うことになったのです。
60時間までは1.25倍の割増率で残業代を計算し、60時間を超える分については1.5倍の割増率で残業代を求めることになります。
たとえば、月給30万円、所定労働時間170時間、80時間の残業をした場合は、下記の通りに残業代を求めることができます。
30万円÷170×1.25×60時間=13.2万円
30万円÷170×1.50×20間=5.29万円
13.2万円+5.29万円=18.49万円が、残業代となります。
みなし残業の残業代について
労働契約によっては、みなし残業で残業代を受け取っているケースがあります。
みなし残業は、固定残業代制度のことで、賃金や手当のなかに、一定時間の分の残業代があらかじめ含まれています。
たとえば、給与に月30時間分の残業代があらかじめ含まれているなど、契約書に条件が記載されています。
ただし、法的にはみなし残業という言葉はなく、みなし労働時間制といいます。
これは、営業職などが該当する社外で働くことが多い場合など、労働時間を正確に把握することが難しい労働者に対して、あらかじめ一定の労働時間だけ働いたとみなして、給与を計算して支払うことです。
仮に、みなし残業代をもらっていたとしても、あらかじめ定められた時間以上の残業をした場合は、当然、追加分の残業代を請求することは可能です。
ところが実際には、みなし残業代を超えた分の残業代を支払わない企業が多く、これではサービス残業したことになります。
労働者は受け取っていない分の賃金を請求する権利があるため、当然、サービス残業は違法に当たります
みなし残業代として、あらかじめ決められた残業時間が60時間を超えるようなケースは少ないでしょう。
残業時間が60時間を超える人で、みなし残業代をもらっている人は、本来受け取るべき残業代を受け取れていない可能性があるため、注意しましょう。
みなし残業が認められないケース
また、そもそもみなし残業代が認められないケースもあります。
たとえば、ほかの手当が残業代の代わりとして支給されているケースです。
みなし残業代を除くと、時給が最低賃金を下回るケースも違法です。
このどれか一つに当てはまるのであれば、残業代を未払いとして請求できる可能性があるので、心当たりがある人は、確認していることをおすすめします。
残業で過労死するラインとは?
悲しいことに、過剰な残業によって過労死に至る人も後を絶ちません。
月60時間の残業は、過労死ラインに値するのか、過労死のラインについて詳しくみていきます。
過労死のラインとは?
一般的に、過労死のラインとされているのは、健康障害リスクが高まるとされる時間外労働時間のことを言います。
実際に、労働災害の認定において、過労死や過労自殺との因果関係を判定する際に用いられる目安となっています。
現在の過労死ラインとされている残業時間は、80時間になります。
根拠として、病気発症前の2ヶ月から6ヶ月にわたって、平均80時間残業をしていた人は、業務と病気の関連性が強いと評価されているのです。
あるいは、発症の1ヶ月前に、おおむね100時間の残業をしていた場合も、病気との因果関係が強いと判断されます。
これらは2001年に厚生労働省が出した通達で、心臓病と脳卒中が過重な業務と関連していたか判断するための目安として示されたものになります。
ただし、上記はあくまでも目安であり、実際に病気になるかどうかは、個人差や状況の違いに大きく左右されます。
たとえば、残業時間が60時間で過労死しても、絶対に労災が認められないかというと、そういうわけではありません。
残業時間が60時間でも、過重な業務であると判断される可能性は十分にあります。
病気発症前1〜6ヶ月間にわたって、45時間以上の残業をしている場合、残業時間が増加するにつれて、業務と健康障害の関連性は高まるとされています。
過労死ラインに届いていないものの、月60時間の残業が慢性化している場合は、自分の体調に気遣いつつ、体からのSOSのサインを見逃さないよう注意しましょう。
残業の過労死ラインは80時間!きついとかの話ではないので労働時間を減らしましょう
過労で見られる初期症状
過労による健康障害の初期症状は、多岐にわたります。
ここからは、発症事例が多い各疾患についてご紹介します。
精神障害
働きすぎ、過労によるストレスで精神がまいってしまい、命を絶ってしまう人も過労死と認定されています。
- 精神障害の場合、次のような初期症状がみられます。
- 何に対してもやる気が出ない
- 何をやっても楽しくない
- イライラしやすくなる
- 朝起きられない
- 疲れているはずなのに眠れない
睡眠不足が続いたり、疲れが溜まったりすることで集中力がなくなり事故を起こすというケースもあります。
たとえば、通勤途中の交通事故や風呂場での溺死などが、労災と認定されたケースもあるのです。
また、過剰な精神障害が続いた結果、うつ病の症状を発症するケースも珍しくありません。
うつ病の前兆には、次のような症状がみられます。
- 睡眠障害
- 何をしても楽しめない
- 焦燥感がある
- 集中力が低下する
- 死にたいと考える
心臓疾患
残業による過労死の原因として多いのが、心臓の病気です。
働きすぎによって、心臓に異常をきたすことがあるのです。
過労死では、心筋梗塞や虚血性心疾患などが原因で亡くなられる方がみられます。
心臓疾患の場合の初期症状は、次のようなものが挙げられます。
- ・食欲が出なくなる
・むくみで体重が増加する
・胸が圧迫されるような感覚がある
・急に心臓がバクバクと動き、しばらくすると治まる
また、心筋梗塞や虚血性心疾患によって過労死に至るケースもあります。
これらも心臓の筋肉や血管の異常によるもので、心疾患の前兆として下記のような症状が該当します。
- 胸を圧迫するような痛み
- 吐き気
- 冷や汗
- 下顎や奥歯の痛み
- 左手小指の痛み
- 息切れや呼吸困難
脳疾患
過労死の原因で、心疾患に並んで発症しやすい症状が、脳疾患です。
過労が続いた結果、脳内の血管に異常をきたしてしまい、最悪、死に至るケースもあります。
症状としては、脳梗塞やくも膜下出血、脳卒中がよくみられます。
- ろれつが回らない
- 片側の手足・顔が麻痺する
- 頻繁な立ちくらみが起こる
- 目の焦点が合わない
- めまいがしてまっすぐ歩けない
- 激しい頭痛に襲われる
- 他人の言葉が理解できない
このように、過剰な労働によってさまざまな病気が発症し、過労死に至ることがあります。
たとえ、月の残業時間が60時間に満たないとしても、上記で紹介した前兆の症状が出ているときは、すぐに医療機関を受診してください。
残業と労災認定の関連性
さまざまな疾患を引き起こす可能性がある、過剰労働。
長時間の残業の残業によって、万が一体に不調が出た場合、労災として認定されるのか気になります。
残業と労災認定について、みていきましょう。
労災とは
労災とは、労働災害のことです。
業務中に、傷病が発生したときに補償するための労働災害保険のことを指します。
労災は大きく分けて「業務災害」と「通勤災害」の2種類があり、業務中でなくても、通勤途中で事故にあったり怪我をした場合も、労災の認定を受けることができます。
業務災害とは、労働基準法に定められる業務上疾病に該当する場合に補償されるもので、業務に従事していたことが原因で発生した災害のことを指します。
そのため、長時間の残業が続いた結果として、精神疾患や脳疾患・心疾患などの傷病が発生したことが認められれば、労災と判断される可能性があるのです。
残業時間60時間は労災認定されるか?
労災認定をするのは、「労働基準監督署」です。
これまで、過労死の労災認定の目安とされていたのは、死亡6ヶ月以内の残業時間が、平均80時間を超えるケースのことでした。
ただし、これはあくまでも目安であり、もちろん例外もあります。
たとえば、労働時間62時間で、労災認定されたケースがあります。
この場合は、死亡36ヶ月前までさかのぼり、残業時間が100時間を超える月があったことで、「長年の長時間労働による疲労の蓄積が原因」として、過労死したと認められました。
また、実際に過労死が労災認定されたケースのなかには、残業時間が月平均80時間未満だった人もたくさんいます。
したがって、単純に残業時間が80時間を超えないと労災認定されないわけではないです。
残業時間が60時間であっても、過労死に至るケースも十分に考えられ、月の残業時間が60時間というのは、心身にかなりの負担を与えていると考えられます。
過労死を防ぐために
過労死や働きすぎの問題は、いずれ状況がよくなると信じて待つだけでは、一向に改善されません。
少し働きすぎかもしれないと感じている方は、今すぐ改善のための行動を起こすようにしましょう。
必要に応じて、周囲のサポートや専門機関への相談も大切です。
過労死を防ぐために、気をつけたいポイントを3つみていきます。
労働時間を減らす
はじめに取り組むこととして、労働時間を減らすことから挑戦してみましょう。
業務時間のなかで、一番に削るべきところは、残業時間ですよね。
少しでも残業時間を減らすためには、
- 業務の効率化
- 上司に相談して、仕事量を減らしてもらう
- 周囲に協力してもらう
など、時には周りの協力が必要な場面がでてきます。
自分一人で解決が難しい時は、迷わず上司や先輩、同僚に相談してください。
職場環境によって、改善しやすいポイントは異なると思うので、まずは、自分の身の回りでできることから、少しずつ業務改善を行っていくことをおすすめします。
病院で診察を受ける
働く人の中には、前述した過労の初期症状に当てはまる症状を自覚している人も少なくありません。
どれか一つでも心当たりがある場合は、すぐに病院を受診するようにしてください。
自覚できるレベルまで初期症状が発症しているのは、とても危険な状態です。
「気のせいかも」という程度であっても、手遅れになる前に、早いうちに診察を受けてください。
会社を辞めるもしくは転職する
それぞれの会社にある残業の風潮は、今すぐに変わるものではありません。
しかし、長く同じ環境に居続けることは、時間とともに自分の心身を悪化させていく可能性があります。
退職・転職は大きな決断になりますが、「会社を辞める」もしくは「転職して環境を変える」という方法も、過労から身を守る大事な方法です。
どこで働くにしても、体が資本。なによりも大切なのは、自分自身の健康ということをお忘れなく。
残業時間をもっと短くするには?
ここからは、より具体的に残業時間を減らす方法をみていきます。
すぐに全部の項目に取り組むのは現実的に厳しいかもしれませんが、できるところから徐々に改善することで、中長期的に残業時間を減らせるようになります。
自分で改善する方法
残業時間が増える理由として、仕事のやり方が効率的でないケースがあります。
さまざまな工夫をすることで、仕事の効率を高められれば、残業時間を減らすことができるでしょう。
また、自分の担当する仕事の量が、自分のキャパを超えているケースも少なくありません。
仕事量が飽和している時は、一人で仕事を抱え込むのではなく、ほかの人にも協力してもらい、担当する仕事量を減らしてみることも必要です。
また、人によっては、平日に家に帰っても特に用事がないため、ついダラダラと働いてしまう結果、残業時間が増えるというケースもあります。
この場合の対処法としては、平日の夜に無理やりにでも予定を入れたり、何か趣味に打ち込んだりすることも有効です。
「他にしたいことのために時間を作りたい」という意識を持つだけで、仕事を早く終わらせようというやる気が出てきて、無意識のうちに仕事を効率よく進めることができます。
その結果、残業時間を減らすことにつながります。
労働基準監督署に相談する
そもそも、残業時間が60時間を超える場合は、36協定による特別条項が認められなければいけません。
正しい手続きによって、36協定が締結されていないならば、そもそも残業をさせられていること自体が違法です。
また、36協定があっても、特別条項が認められていないのに、従業員に対して残業を60時間以上させている場合も、違法となります。
こういった労働基準法を違反する案件は、労働基準監督署が監督することです。
そのため、労働基準監督署に残業に関して申告をすることで、自分の会社にたいして調査を入れてもらうことができます。
仮に違法性があると認められると、労働基準監督署が、会社に勧告を出します。
もし、労働基準監督署の勧告を会社が拒否した場合は、最終的に、会社の経営陣が逮捕されるというケースに発展するのです。
ただし、労働基準監督署の人員は限られているため、人命に関わる重大な案件が優先されます。
そのため、残業代の未払いや36協定の未締結といった内容の相談では、すぐに動いてくれない可能性もあるため注意しましょう。
転職する
いろいろな方法で残業時間を短くしようとしても、なかなか解消されないこともあり得ると思います。
この場合は、最終手段として転職を検討してみましょう。
残業時間が長くなるのは、会社の体制や考え方に大きな問題があることが多いです。
いくら社員が個人で努力してみても、解決できない状況はよくあります。
転職することで労働環境が大きく改善されて、月の平均残業時間を短くすることができるかもしれません。
ただし、転職先を決めるときには慎重に判断するようにしましょう。
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未払い残業代の請求方法とは
もし、未払いの残業代に心当たりがある場合は、黙っていてはいけません。
労働に対しては、きちっと報酬を受け取る権利があるため、未払い残業がある場合は、会社に残業代を請求しましょう。
残業代を請求したい時の対応方法についてご紹介します。
労働基準監督署に相談する
まずは、自分一人で戦おうとはせず、専門機関に相談してみましょう。
残業代の未払いなどの問題については、労働基準監督署で相談に応じてもらうことができます。
その際に、スムーズに話が進められるように、残業代が未払いであることを証明できる証拠を、あらかじめ自分で用意しておくことをおすすめします。
あきらかに、未払いの残業代があることが読み取れる証拠が多ければ多いほど、労働基準監督署も相談に応じてくれやすくなります。
可能な限り証拠が揃えられたら、直接、最寄りの労働基準監督署を訪問することで、会社へ指導をしてもらったり、立入調査を行ってもらうことができます。
しかし、対応に時間がかかることがあるため、すぐに立ち入り調査とならないことが多いので、注意しましょう。
自分で会社と交渉する
直接、自分で会社と話したいという場合は、自分で会社と交渉することもできます。
この場合、こちらの主張に不透明な点があったり、曖昧なことがあると、会社に取り合ってもらえないため、正確に残業代を計算する必要があります。
また、残業代の請求には「2年」という時効があるため、この期限を迎えるまえに、十分な話し合いの期間を確保するために、「配達証明付内容証明郵便」を会社に送りましょう。
残業代を請求するという内容を通知することで、時効を半年間止めることができます。
最大限の時間を確保できたら、いよいよ会社と交渉することになりますが、実際には、法律の知識などがないと上手く話が進まないケースの方が多いです。
会社に顧問弁護士がいる場合は、きちんと理論武装していかないと、逆に、専門家に言い負かされてしまう可能性があります。
残業代の未払いの問題で深刻なことは、会社が意図的に残業代を払っていないケースが多いことで、そう言った法人の多くは「社員からの交渉への対策」が用意されています。
相当な労力とパワーをかけないと、自分で交渉して残業代を獲得するのは難しいと思っておきましょう。
弁護士に依頼する
未払いの残業代を請求するための確実な方法は、弁護士に相談することです。
弁護士であれば、情報収集から残業代の計算、会社への交渉まで、必要な工程はすべて対応してにらえます。
最終的には、労働審判や裁判にまで発展するケースも少なくありませんが、その場合も、すべて弁護士が会社と交渉してくれます。
弁護士のなかには、完全成功報酬で依頼を請け負ってくれるところが多いため、失敗して費用だけ取られるというリスクも避けられます。
ただし、弁護士にはそれぞれ専門分野があるため、必ず残業代請求の実績のある弁護士に相談するようにしましょう。
また、弁護士に相談する場合でも、自分で交渉するときと同様に、残業代請求に必要な証拠を集める必要があります。
交渉が有利になる証拠
下記のような証拠があると、弁護士も証拠を元にスムーズな交渉を進められるので、証拠集めは必ず必要ということを覚えておきましょう。
―未払いの残業代請求に使える証拠(一例)―
- タイムカード
- メールの送信記録
- シフト表
- 勤務時間や業務内容の記録
残業60時間を乗り切るコツとは?
どうしても忙しくて、一時的に残業時間が60時間に到達するというケースも、稀にはありますよね。
そんなときに、長時間の残業を乗り切るためのコツを、最後にご紹介します。
しっかり休みを取る
どうしても残業することになったとしても、仕事の合間に、必ず休みを取るようにしてください。
早く終わらせて、少しでも早く帰りたいあまり、通常の勤務時間の延長線でそのまま残業を始める人が少なくありませんが、それだと作業効率がなかなか上がりません。
しっかりと休憩を取ることによって、一度リフレッシュし、仕事をリスタートさせることで、残業中の作業効率を高く維持することができます。
その結果、短い時間で仕事を進められるので、上手く業務を乗り切ることができるのです。
また、残業続きで忙しいときにも、できるだけ休日を確保することを意識しましょう。
そして、休みの日には仕事のことを考えずに、趣味に没頭したり、家族と過ごす時間を確保して、休養を取ることに集中します。
オン・オフの切り替えをすることで、仕事から受ける心身へのストレスを解消することが大切です。
健康的な食事を取る
残業というのは、心身の体力が必要な行為です。
それを乗り切るためには、しっかりと栄養を取ることが大切です。
残業続きだと、食事をとることすら面倒に感じてしまう瞬間もありますよね。
そして、簡単・手軽に済ませるために、ジャンクフードやコンビニ弁当などを食べ続ける暮らしに陥りやすくなったり、外食ばかりの生活になってしまうことがあります。
そのような食生活を続けていると、健康に悪いだけでなく、精神面でもリフレッシュされないため、残業による心身への負担がより大きくなってしまいます。
時間がなくても、食事はバランスよく、しっかり栄養を考えたものを摂るように心がけましょう。
十分な睡眠を取る
残業続きの生活が続くと、どうしても睡眠時間が短くなりやすいです。
ただでさえ、疲れてしまっている状態で、睡眠時間が不足してしまうと、健康に直接的な悪影響を及ぼすのは、簡単にイメージできますよね。
疲れが取れない状態が続くと、仕事のパフォーマンスにも影響してしまい、能率は悪くなる一方で、ますます残業時間が増える可能性まででてしまいます。
どんなに忙しくても、睡眠時間を削るという選択だけは避けるべきです。
また、お昼ご飯を食べたあとや昼休み・中休みの時間に、10〜15分程度の昼寝・仮眠を取り入れるだけでも、随分と脳へのリフレッシュ効果があります。
隙間時間で、体を休めるために、仮眠や目をつぶって気持ちを落ち着かせる時間を取り入れてみるのも良いでしょう。
趣味を作る・没頭する
仕事以外に趣味や楽しめることがあれば、仕事が終わったあとの楽しみができます。
残業続きだと、なかなかプライベートの時間を確保するのが難しいと思いがちですが、たとえわずかな時間でも、自分の楽しみのための時間を確保できれば、心の健康を維持することができます。
好きなこと・楽しいと感じることは、どんなに忙しくなっても生活の中に取り入れるように意識してみましょう。
残業60時間は長い!残業代の確認と十分な休息をとろう
今回は、残業時間が60時間は長いのか・短いのかについて、ご紹介してきました。
通常業務にプラスして、過度な残業に追われている人は、36協定が結ばれているのか、きちんと残業代が支払われているのかを、確認しておくべきということがわかりました。
残業60時間は、決して通常と言える長さではありません。
もし、未払いの残業代に心当たりがあるなら、自分で正しい残業代を計算してみたり、労働基準監督署や弁護士に相談に行きましょう。
適切な手順を取れば、未払い分を会社に請求することができます。
そして、なにより、今の職場だけにとらわれるのではなく、残業が多すぎてなかなか解決策が見出せないというときは、思い切って転職を考えてみるのも、解決方法の一つです。
どこでどんな仕事をするにしても、基本になるのは、働くあなた自身の体です。
体調を崩してしまう前に、正しい選択をしてくださいね。
営業職を辞めたいと思っている30代が未経験業種へ転職する方法
- 第二新卒やフリーターの転職に特化
- 経歴や学歴に自信がなくても求人を紹介してもらえる
- キャリアアドバイザーのサポートが手厚い