秘書への転職は未経験だと難しい?
厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」によると、秘書の有効求人倍率は0.55倍です。
これは求職者の人数に対して、秘書の求人数は少ないということを示しています。
実際のところ、未経験で秘書に転職する難易度は高めです。
しかし不可能ではありません。
今回は未経験で秘書に転職したい人へ向けて、秘書への転職はどのくらい難しいのか、未経験で採用されるにはどんな対策をすればよいか解説します。
- 未経験で秘書に転職するのは、比較的難しい。
- 未経験で秘書に転職するには、「事務・総務・経理などの関連職種でスキルを磨く」「中小企業・ベンチャー企業を狙う」「派遣社員やパートで経験を積む」
- 第二新卒やフリーターの転職に特化
- 経歴や学歴に自信がなくても求人を紹介してもらえる
- キャリアアドバイザーのサポートが手厚い
未経験から秘書への転職を可能にする3つのポイント
結論から言うと、秘書への転職は未経験でも可能です。
しかし、転職をするには以下の3つのポイントがあります。
- 事務・総務・経理などの一般事務でスキルを磨く
- 中小企業・ベンチャー企業に応募する
- 派遣社員やパートなど非正規の雇用を探してみる
それぞれ詳しく解説していきます。
事務・総務・経理などの一般事務でスキルを磨く
秘書へ転職するには、書類の作成やファイリング、電話対応、パソコンスキルが必須です。
幅広い業務をこなす総務や、専門知識が必要な経理などのスキルがあると転職できる可能性が上がります。
秘書はもともと、事務や総務の仕事をしていたひとが抜擢されるケースが多いです。
中小企業・ベンチャー企業に応募する
大手では秘書経験必須の求人が多いです。
機密情報を扱うことが多い秘書を、未経験のひとに任せるのは心配ですよね。
中小企業やベンチャー企業なら未経験可の募集も多くありますので、大企業の求人にこだわらず中小企業やベンチャー企業も視野に入れましょう。
しかし、大企業は秘書課として部署がある場合企業もあります。
その場合には未経験でも応募できる求人がありますので、求人内容を確認してみてください。
秘書課に所属している秘書は、専任の個人秘書ではなく秘書業務をチームで担当しています。
他の人と連携して働くチームワークが必要です。
派遣社員やパートなど非正規の雇用を探してみる
未経験の秘書を採用する場合には、任せられる業務が限定的だったり必要性が低かったりします。
そのため、正規雇用ではなく派遣やパートで受け入れようとする企業も多いです。
正社員の求人より、派遣やパートで秘書を募集している企業が多いので、派遣やパートとして経験を積んでから正社員への転職も考えてみましょう。
一般的に秘書になる流れ
一般的には、新卒で秘書として採用されることはほとんどありません。
まずは一般社員として働いて、ビジネスマナーや業界知識をつけることが大切だからです。
事務職や営業職として経験を積んでから、秘書に配属される流れが一般的です。
そのため、未経験でも応募できる求人がないわけではないですが、求人の数は少なくなってしまいます。
すでに秘書としての経験があれば、即戦力として見てもらえるので中途として秘書の採用も可能です。
秘書に転職するうえで絶対に必要な資格はないですが、秘書検定や事務系の資格を取得していると一定レベル以上の技能を保有している証明になりますので、スキルのアピールができます。
秘書の仕事内容
実際に秘書がどんな業務をしているのか、わからない方もいますよね。
秘書には華やかなイメージがあるかもしれませんが、業務は幅広く事務作業が多いです。
具体的には以下の7つの業務をおこなっています。
- スケジュール管理
- 電話・メール対応
- 来客対応
- 資料作成
- 出張手配
- 経費精算
- ブレーン
①スケジュール管理
上司のスケジュール管理は、秘書の一番メインになる仕事です。
多忙を極める上司にかわってスケジュール管理をおこないます。
上司の限られた時間で、どれだけスムーズに業務をこなせるかが重要です。
1日のスケジュールに無駄や無理が生じないように、効率よくスケジュールを組んでいきます。
先の予定まで調整しなくてはいけないので、すべての業務を把握して先を見通す力が必要です。
②電話・メール対応
上司には毎日たくさんの電話とメールが届きます。
そのなかから、重要度と緊急度を見極めて優先度を判断しなければいけません。
重要なメールや電話を判断するには、日々の重役の意向や交友関係を把握しておく必要があります。
電話と届いたメールから、優先度が高いと思うものを上司に伝えます。
③来客対応
上司への来客対応や、上司のサポートとして打ち合わせに同席することもあります。
来客の案内やお茶出し、議事録の作成などをおこなうのも秘書の仕事です。
また、事前のアポがなく急に訪問されるお客様もいるので、その場合は秘書が代理で対応します。
上司の代理として対応するので、お客様に失礼のないように、一般的なビジネスマナーが必要です。
④資料作成
会議や打ち合わせに必要な資料の作成をおこないます。
担当している上司から資料を求められた際には、素早く準備して対応することが大切です。
資料は誰が見ても見やすいように、工夫して作成しなければいけません。
上司に何を言われても対応できるように準備しておきましょう。
⑤出張手配
上司に出張が決まった場合には、電車や新幹線のチケットやホテルの予約をおこないます。
スケジュール業務と同様で、無駄のないように考えながら手配をおこなうことが大切です。
⑥経費精算
旅費や交通費、食事代などの精算を忙しい上司にかわっておこないます。
秘書がつくような役職では付き合いも出張も多いため、使う経費も多いです。
勘定科目や税率など間違えないようにすべて正しく処理する必要があります。
⑦ブレーン
ブレーンとは、「知能顧問」「専門的なアドバイスをしてくれる優秀な相談役」のことです。
時には、上司から業界の知識や情報について意見を求められることもあります。
そのため、常に業界の動向や最新情報を入手して勉強しなければいけません。
新聞やネットの情報だけではなく、関連する書籍を読んだり、人脈をつくったり、さまざまな情報を入手する必要があります。
秘書の仕事のやりがい
秘書の仕事は、他の仕事では得られない経験ができます。
そんな貴重な経験のなかでも、以下の3つのやりがいを紹介します。
- 企業の中心となる仕事を間近で見ることができる
- 役員クラスの人と関わることができる
- 他企業のトップと交流ができる
企業の中心となる仕事を間近で見ることができる
秘書は、企業の重役をサポートする業務です。
重役は企業の重大な仕事をおこなっていますので、その仕事を間近で見ることができます。
重役の一存で企業の方針が決まったり、世の中の動向が変わったりするのを肌で実感できるのは、とても貴重な体験です。
第一線で活躍している人のサポートができる、秘書ならではのやりがいだといえます。
役員クラスの人と信頼関係を築くことができる
大企業になればなるほど、一般社員は役員クラスの人と関わる機会がありません。
挨拶を交わすのですら難しい企業もあるほどです。
しかし、秘書は常に役員クラスの人と行動を共にします。
毎日サポートしていれば上司の考え方や習慣がわかりますし、プライベートなことを知る機会もあります。
経験が長くなればなるほど信頼関係も深まりますし、役員クラスの方に信頼してもらえるのは大きなやりがいです。
他企業のトップと交流ができる
秘書は、サポートしている上司の会議やパーティーに同行することがあります。
上司が参加する会議やパーティーには、他企業のトップも参加しています。
他企業のトップと交流できる機会はそうありません。
しかし、同行する目的は顔を合わせる人の名前や役職をこっそり教えるためです。
上司が相手の名前を間違えてしまっては一大事ですよね。
秘書はすべての人の顔と名前、役職などを記憶しサポートしなければいけませんので、パーティーだからといって気を抜くことはできません。
未経験で秘書に転職するために必要なスキル
未経験から秘書に転職する場合に、必要なスキルが5つあります。
選考の際にアピールできれば転職が成功する可能性も上がりますので、スキルを身につけておきましょう。
- コミュニケーションスキル
- 一般常識やビジネスマナー
- 事務処理スキル
- 臨機応変に対応できるスキル
- サポートに徹するスキル
①コミュニケーションスキル
秘書は、サポートしている上司のみではなく、さまざまな人と接する機会が多いです。
そのため、人当たりの良さ、話し方、表情など話しやすい雰囲気が求められます。
秘書は役員クラスのサポートをするため、接するのも外部のトップや役員クラスです。
役員クラスの方とも臆せずコミュニケーションを発揮できるスキルが求められます。
②一般常識やビジネスマナー
一般常識やビジネスマナーがあることは、秘書の最低条件です。
上司の代理として外部の人と接する機会が多いため、失礼があってはいけません。
上司の代理という責任だけではなく、女性としての品格も求められます。
一般的なビジネスマナーだけではなく、TPOに合わせた振る舞いや、清楚で上品な身のこなしも秘書には大切です。
事務処理スキル
秘書は、あらゆる書類や文書の作成を依頼されます。
迅速な対応が求められますし、見やすさや読みやすさの質も必要です。
ワードやエクセルなど、一定のパソコンスキルがなくては資料作成はできませんので、パソコンスキルを身に着けておきましょう。
臨機応変に対応できるスキル
秘書の仕事は非常に幅広く、さまざまな分野の知識や能力が必要です。
準備をしていても、時には想定外の事態が起こります。
どんな状況でも冷静に判断して、上司の仕事が滞りなく処理されるようにサポートしなくてはいけません。
トラブルやイレギュラーが怒った際にパニックになったり、焦ったりするのではなく、臨機応変に対応する必要があります。
上司の指示に従うだけではなく、自ら考えて行動する必要があるため、判断力、決断力、問題解決能力なども重要です。
サポートに徹するスキル
秘書の仕事は上司のサポートです。
どんな時でも立場をわきまえ、上司が快適に働けるようにサポートします。
自分が表に出て活躍したい人には、秘書の仕事は向いていません。
陰で支える縁の下の力持ちに徹することができて、人の役に立ちたいという精神が秘書には必要です。
秘書への転職時にアピールすべきポイント
未経験で優位に転職するには資格取得などももちろん必要です。
それ以外にも、現在の自分と秘書との共通点をアピールする必要があります。
ここでは具体的に、秘書として転職する際にアピールできるポイントをまとめているので、ぜひ参考にしてくださいね。
几帳面な性格
秘書の仕事は正確さや几帳面さが求められるため、とても良いアピールポイントになります。
またスケジュールの時間を守ったうえで、丁寧な仕事が求められる職業です。
そのため几帳面さを持つ人であれば、秘書として上司や社長のスケジュール管理をする業務に役立ちます。
具体的に几帳面だと言える例を出せると尚良いですね!
人をサポートすることにやりがいを感じる
秘書は上司や社長を支えることが仕事のため、人のサポートにやりがいを感じられる人はとてもいいアピールポイントです。
人のサポートをすることは簡単なことではないため、常に相手を中心に考えなければなりません。
他人を中心に考えていると、疲れてしまうという方も多いですよね。
しかし、人をサポートすることでやりがいを感じることができる方は、忙しい秘書の仕事もこなせるので、アピールポイントになります!
人をサポートするような仕事の経験
今までの仕事の中で人をサポートする経験をしたことがある方は、とてもいいアピールポイントになります。
秘書の基本的な仕事内容の経験の有無は、選考に大きくかかわります。
また人をサポートしたことで物事を成功に導くことができた経験談があれば、より良いアピールポイントになりますね。
未経験で秘書に転職するなら資格があると有利
未経験から転職する場合、ある程度のスキルが求められます。
とはいえ、スキルを客観的に判断するのは難しいですよね。
スキルや業務レベルの証明となる資格を取っておけば、客観的にスキルをアピールできて就職に有利になります。
秘書の転職におすすめの資格は、以下の3つです。
- 秘書技能検定
- 日商PC検定
- CBS(国際秘書)検定
秘書技能検定
ビジネスマナー、来客対応などスムーズに秘書の仕事をすることができるかを問われる検定です。
公益財団法人実務技能検定協会が実施しているビジネス検定です。
3級、2級、準1級、1級の4つがあります。
準1級、1級は筆記試験に加えて二次試験として面接の受験が必要です。
上司から判断を求められたり、後輩にアドバイスをしたりなどの判断能力が求められるのは準1級からです。
1級は、現職の秘書が日頃の仕事を振り返る意味で受験します。
日商PC検定
ネット上で受験ができ、パソコンを使って文書作成やデータ活用、プレゼン資料の作成をするほか、パソコンの知識も問われます。
日本商工会議所が実施しています。
事務能力をアピールできる検定であり、Basic級、3級、2級、1級とあり、どの級からでも受験可能です。
CBS(国際秘書)検定
外資系企業でのキャリアアップを考えているなら、CBS検定の取得をおすすめします。
CBS検定には受験資格があるため、まずは受験資格不問のプライマリー試験に合格しなくてはいけません。
その後、準CBS資格を取得してからファイナル試験を受け、合格すればCBS資格を取得できます。
プライマリー試験の受験科目は、「ビジネス実務」と「ビジネス英語」の2科目で、ファイナル試験の受験科目は、「秘書実務」「経営管理」「オフィス業務管理」の3科目です。
合格するまで不合格科目のみを再受験できますので、集中的に苦手科目を強化できます。
ファイナル試験の合格率は20%と低めですが、その分合格ができれば強くアピールができます。
秘書の平均年収は一般の事務職より高め
秘書の平均年収は395万円で、一般事務は329万円です。
おこなう業務の幅が広い秘書は、一般事務よりも年収が高くなっています。
平均年収推移は320万円~470万円で、外資系企業は平均を上回る企業もあります。
ボーナスは企業によって異なりますが、秘書だけの特別手当はない企業がほとんどです。
経験や実績を重ね、専門知識やスキルをつけることで年収は上がります。
海外企業との取引がある場合は、語学力も身につけましょう。
未経験で秘書に転職する際に活用したい!おすすめの転職エージェント3選
未経験で秘書に転職する際に活用できる転職エージェントを3つ紹介します!
簡単な表にまとめたので、すぐに比較したい方は下記を参考にしてください。
エージェント名 | 求人件数 | 特徴 | 対象エリア |
---|---|---|---|
doda | 約20万件 | 面接対策などのエージェントサービスも手厚く、年収査定やレジュメビルダーなど転職準備のコンテンツが充実 | 全国 |
JACリクルートメント | 約2万5000件 | 1200名ものコンサルタントが直接、企業・求職者の双方とコンタクトをとる体制で、社風や部・課・チームの雰囲気なども知れる | 全国 |
ビズリーチ | 約7万件 | スカウト型の転職エージェントで登録に審査がある | 全国 |
doda
求人数 | 約260,000件 |
---|---|
対応地域 | 全国47都道府県 |
料金 | 無料 |
公式サイト | https://doda.jp/ |
運営会社 | パーソルキャリア株式会社 |
転職のサイトとして非常に有名なdodaは、転職フェアなど様々なコンテンツが充実しており、面接対策などのエージェントサービスも手厚いのが特徴です。
非公開求人も豊富なので、キャリアコンサルタントとしっかり話し合って自分に合った求人を見つけられますよ。
多くの求人を見つけられるので、ぜひdodaを利用してみてくださいね。
JACリクルートメント
JACリクルートメントの特徴
- 30代以上メインの転職サイト
- 年収600万円以上の好条件も充実
- メガベンチャーの管理職も目指せる
- 口コミ評価が高い
JACリクルートメントは、ハイクラス向けの転職支援に特化しているエージェントです。
特に外資系企業や海外進出企業などハイクラスの転職支援に強みを持っています。
一番の特徴として、1,200名ものコンサルタントが直接、企業・求職者の双方とコンタクトをとる体制が整えられているという点です。
そのため求人のスペックだけではなく、社風や部・課・チームの雰囲気など気になる情報も知ってから応募することができます!
秘書として外資系や海外進出企業などで働きたいと考えている人に特におすすめのエージェントです。
ビズリーチ
ビズリーチの特徴
- スカウト型の転職エージェント
- 登録に審査がある
- 有料プランが用意されている
ビズリーチが他の転職エージェントと違うのは、扱う求人が主に高年収、役職付きなど、「ハイクラス求人」が多いことです。
企業からのスカウトを直接受けるか、ヘッドハンターからサポートによって転職活動を勧められます。
秘書としてハイクラスな企業で働きたい方に特におすすめのエージェントです!
未経験で秘書に転職したい方によくある質問
最後に未経験で秘書に転職したい方によくある質問をまとめます。
具体的には以下の通りです。
- 秘書の男女比率は?
- 秘書は誰につくの?
- 秘書の主な勤務先は?
これらについてそれぞれ解説します。
秘書の男女比率は?
秘書は男性でもなれるのか気になりますよね。
結論、秘書の男女比は男性1割・女性9割となっており、ほとんどが女性です。
短期女子大学や女子高校などで秘書検定取得を対象とした授業があることが多いからですね。
もちろん男性でも秘書を目指すことはできるので、性別であきらめる必要はありません!
秘書は誰につくの?
秘書は主に議員秘書、一般企業の社長や重役、病院では院長、法律事務所では事務所トップなどの下で働きます。
どの職場でも共通して言えるのは、秘書として上司が本業に専念できるようにサポートすることが求められるということです。
特に一般企業では分野を限定せずに幅広い業務をおこない、病院や法律事務所ではその分野のスペシャリストとしての働きが求められる傾向にあります。
そのため、秘書の仕事内容だけではなく多種多様な仕事をする場合もあります。
未経験から秘書への転職は長い目でキャリアを見よう
秘書に未経験で転職するには、時には派遣社員やパートで働いたり、一般事務として実務経験を積んだり、時間がかかってしまう場合があります。
正社員として秘書で働きたいと考えているなら、長い目でキャリアプランをたてることも必要です。
多くの経験をしておくことで、秘書として採用された際に自分の能力を思う存分発揮することができます。
- 第二新卒やフリーターの転職に特化
- 経歴や学歴に自信がなくても求人を紹介してもらえる
- キャリアアドバイザーのサポートが手厚い