転職する場合、未経験の異業種への転職というのは、ちょっと勇気がいるものですね。
しかし未経験でも、その異業種の仕事をぜひやりたいという気持ちがあるのなら、思い切ってトライしましょう。
大切なのは、なぜその業種の仕事につきたいと思ったか、その志望動機を明確にすることです。
そのコツをしっかりつかんで転職活動に臨みましょう。
そもそも異業種とは?
ところで、異業種への転職という場合の、異業種とはなんでしょうか。
読んでいる文字の通り「異なる業種」ということで、今までやってきた仕事とは、種類の違う仕事のことです。
たとえば、前の仕事が事務職だった場合、販売職へ転職したい場合は「異業種への転職」となります。
業種が異なると仕事の仕方も異なる
当然のことながら、異業種へ転職するということは、仕事の内容、仕事のスタイルなど、仕事に関するあらゆることがこれまでと違ったところに行くということです。
言ってみればなじみのない異文化の中に入っていくようなことです。
仕事のどういったところが、どういうふうに違うのか、当然未経験だから具体的にイメージするのは難しいでしょう。
でも、その「異業種」に魅力を感じたということは、その仕事がどんな仕事なのか、今までやってきた仕事とどんな風なところが違うのか、ある程度はつかめているかと思います。
できるだけ、その異業種についてきちんと調べて、今までの仕事とどこがどのように違うのかはっきりさせておきましょう。
それが転職活動が成功するか否かにつながってきます。
異業種の転職に求められるものとは?
よりよい職場という思い
異業種への転職に限らず、転職に際しては「今までの現状より、よりよい職場を求めて」という熱意が必要です。
ただなんとなく他の方がよさそうだから、というだけでは転職活動に説得力が生まれません。
自分は今までこういう仕事をしてきた、だけど、こういう職場なら自分の力をもっと活かせるし、職場にも貢献できるはずだ、そういう熱意が求められます。
なぜ転職したいのか
今までの職場で働きつづけるより、新しい職場を選びたいのはなぜなのかについて、説得力のある理由が求められます。
「今の仕事がつまらないから」といった、現状に対するネガティブな認識は良い印象を与えません。
なぜ異業種に興味を持ったのか、それを仕事としたいと思ったのか、具体的なきっかけ、自分の思いをきちんと伝えるようにすることが大切です。
いうまでもないですが、その転職動機はポジティブなものでなければなりません。
前職での経験
異業種に転職するといっても、今までの職場でどのくらい活躍してきたかというのはやはり重要なポイントです。
どういう仕事で、どのような内容を、どのくらい任せられてきて、どんな実績をあげてきたのかを明確にしておきましょう。
今まで積んできた経験やスキルは決して不要なものではなく、別の何らかの形で異業種でも活用できるはずです。
企業が未経験者を採用するメリットを考える
未経験者と経験者を並べた場合、やはり基本的には経験者が有利です。
同じ業種を経験してきた人は、その業種のノウハウなどを持っているので「即戦力」となるからです。
その点、未経験者はどうしてもある程度の教育が必要になります。
その分コストがかかると見なされてしまうのです。
未経験者を雇うメリットも
しかし、未経験者が経験者と比べて絶対に不利かというと、そんなこともありません。
実は企業側にも未経験者を採用するメリットがあるのです。
一つには、経験者に限らず、未経験者にも門戸を広げておくことで、より多様な人材がくる可能性が高まるということがあります。
未経験者の中に、企業がぜひ欲しいと思うような人材がいる可能性があるわけです。
また、業種そのものは未経験であっても、その仕事に活かせるような知識やスキルを持っている人がいる可能性もあります。
さらに、未経験者は経験者と違って、その仕事に対する「構え」のようなものが出来ていない分、かえって柔軟にいろいろなことに対応してくれる可能性も高いのです。
このように未経験者ならではの特性をメリットとして捉える企業もあります。
未経験者が異業種に転職するコツ
これまで述べてきたことを踏まえて、未経験者が異業種へと転職するには何が大切かを考えてみましょう。
大切なのは徹底したリサーチ
やはり、なぜわざわざ職種を変えてまで、転職したいのかということをできるだけ説得力を持って伝えることが大切です。
転職したい先の業種についてのイメージがぼんやりしていては、転職理由に説得力を持たせることができないのは明らかです。
自分が漠然とした憧れや現在の職への不満だけで、その異業種が良さそうに見えているだけなのではないか、ということをチェックするためにも、転職したい対象の業種へのリサーチは徹底的に行いましょう。
その業種についてきちんと知れば知るほど、説得力を持ってその業種につきたい理由を述べることができるようになりますし、また、転職してからやっぱり自分とは合わなかった、というミスマッチを防ぐこともできます。
自分が持っているものを最大限アピール
未経験の業種でも、これまで自分がやってきたことで活かせることがないかどうかをチェックし、どんなことでも活かせると思ったことはアピールするようにしましょう。
たとえば、事務職をやっていて、日頃から事務連絡に必要な円滑なコミュニケーションに気を配っていたとします。
そういったコミュニケーション力は、他の多くの職種でも確実に活かすことができるでしょう。
転職に成功しやすい人の特徴
転職に成功しやすい人にはいくつかの特徴があります。
具体的にいいますと、
- 転職の目的がはっきりしている
- 転職後のキャリアプランがしっかりとしている
- 企業側に自分を採用するメリットを上手に伝えられる
転職の目的がはっきりしている
その一つめは「転職の目的がはっきりしている」ことです。
漠然と「今の仕事よりよさそうだから」「向いていそうだから」といったことだけで不十分です。
転職することで、何がしたいのか、何が自分にできると考えているのか、それで企業に貢献できると考えられることは何か、といったことを明確にできる人は、自信を持って転職活動に臨めるため、転職に成功しやすくなります。
転職後のキャリアプランがしっかりとしている
転職した先でのキャリアプランが明確に描けているというのも強みになります。
どういう内容の仕事をして、どういう立場について、どういった形で企業の中で自分の能力を活かしていきたいのか、といったことを考えましょう。
異業種を目指す場合にはこのあたりのイメージがなかなかつかみづらい面もあると思いますが、リサーチを行ってできるだけ具体化するように心がけましょう。
企業側に自分を採用するメリットを上手に伝えられる
自分がこれまでの仕事でどのようなことをしてきたか、それによって得てきた知識やスキルはどういったことかをきちんと捉え直しましょう。
その上で、その中で新しい職場に活かせそうなことをピックアップして、確実に伝えるようにすることが大切です。
志望動機を書くときのポイント
転職するときに絶対必要なのは履歴書ですが、そのなかに必ず「志望動機」という一欄があります。
異業種への転職を成功させるために、やはりその志望動機の書き方に気をつけなければなりません。
異業種に興味を持ったきっかけ、理由を具体的に
わざわざ異業種に転職してこようという求職者に対しては、企業側としては気になるのはやはり「なぜ」の部分です。
この部分が漠然としていたり、説得力がなかったりするといい印象を与えられません。
たとえば事務職から営業職を志望する場合、学生時代の部活でタフさとコミュニケーション能力を身につけたので営業職だとそれがより活かせると思ったといったように具体性を持たせることが大切です。
未経験をどのように補おうと思っているかを述べる
未経験であることは通常、不利な要素です。
そこをどのようにカバーしようと思っているのかをきちんと述べましょう。
業界について研究中であるとか、前職で培った経験のうち活かせることをさらにスキルアップしようとしているなど、新しい職につくに当たってどのような準備をしているのかをはっきりと示すようにしましょう。
今の自分が持っているものについて述べる
今の自分が持っている知識やスキルのうち、活かせると思われるものをしっかりと盛り込みましょう。
異業種に直接的に活きると思われるものでなくても、たとえばコミュニケーション力、持続力、企画提案力などはどんな職種でも応用が効くものです。
経験者と未経験者の志望動機の違い
当然ですが、経験者と未経験者の書くべき志望動機が異なっています。
では、具体的にどのように異なっているでしょうか。
経験者は前職でのスキルをアピールできる
経験者の志望動機は、当然のことながら、前職で培った経験、知識、スキルをそのまま活かせるということがポイントになるでしょう。
前職でどのような経験をしたか、それが新しい職場でどのように活かせるかを具体的に述べることができるのが普通です。
特に即戦力を求めている企業にとっては、それが大きな魅力になることは言うまでもありません。
未経験者は経験のなさをカバーする内容が必要
未経験者の場合は、企業の側としても採用するのに経験者と比べてリスクを感じることが多いのは仕方のないことです。
ですから「この人は未経験だけれど、採用すれば十分に活躍してくれそう」と思われる内容にしなくてはなりません。
まず、志望動機から、その仕事に対する熱意を感じさせることがとても重要です。
そしてその熱意が、具体的な志望理由によって裏打ちされていれば、信頼度は高まります。
そして、現在の自分の持っている知識やスキルなどを的確に把握して、それらがどういうふうに新しい職に活かせるかきちんと考えているという印象を与えることができれば、より有利になると言えるでしょう。
伝えるべきではないNGな志望動機
いくら入社意欲が高くても、以下の志望動機として書くのをを避けたほうがよいでしょう。
やる気を伝えることは大切だけれど
未経験者を採用するメリットとして「熱意があるから」ということを挙げる企業もあります。
未経験者はチャレンジ精神に溢れていて、それが企業にとって大きな魅力と感じられる場合があることも事実です。
だからといって、その仕事に対する情熱ややる気だけをアピールするのは逆効果です。
「やる気があるのはわかったけれど、この人は本当に仕事のことをわかっているのだろうか」と思われてしまいます。
前職の不満は書かないように
実際の志望動機として、前職に何かと不満があったから、という場合も多いと思います。
しかしそのような場合でも前職に対する不満を志望動機に書くのはよくありません。
そういう人に対しては「うちの会社に来ても何かしら不満を抱いてやめてしまうのではないか」と採用担当者が考えても不思議ではありません。
ネガティブなことを書かないように
「新しい仕事に対して自信はありませんが」など、ネガティブな記述も避けましょう。
謙虚なつもりかもしれませんが、あまりネガティブな印象を与えると、一緒に仕事をしづらい人だと思わせてしまいます。
「入社して勉強したい」もNG
熱意を示すつもりで「入社して勉強したい」といったことを書いてしまうこともあるかもしれませんが、これも避けるべきです。
職場は働く場であって、勉強する場ではないからです。未経験者の甘えととられてしまいますので注意しましょう。
異業種に転職する場合の志望動機の例文
ここでは、異業種への転職をする際に参考になるような志望動機の例文をいくつかのせましょう。
自分という人間の特性をどのように活かせるか
志望動機はいろいろな側面から書くことが望まれますが、まず、自分という人間がどんな特性を持っていて、それがどんなふうに仕事に活かせると考えているかについて書くことは大切です。
なるべく具体性と説得力を持たせるようにしましょう。
たとえば
- 「学生時代に所属していたサッカー部で培ってきた体力を、介護職で発揮したいと考えています」
といったものが例として挙げられます。
未経験の職種に対してどんな準備をしているか
異業種への転職の場合は、その新しい仕事に就くにあたってどのような準備をしているのか示すことも大切です。
- 「現在、資格の取得はしておりませんが、簿記のスクールを受講しており、来月には修了する予定です」
といったように、正直に、具体的に述べるようにしましょう。
これまでの経験をどのように活かせるか
未経験者の場合は、前職での経験で活かせることを少しでも盛り込むことがとても大切です。
これもなるべく具体的に述べるようにしましょう。
たとえば
- 「以前働いていた販売職では在庫管理や書類の作成もおこなっていましたので、事務職にも生かしていくことのできる能力だと自負しております」
という形です。
自信を持って自分を売り込もう
異業種に転職を考える場合、その業種をよく知らないという不安があったり、経験者の転職者と比べたりして、ついつい自信がなくなりがちです。
でもどんな職場でどんな仕事を始める人でも、最初は初心者なのです。
その仕事をぜひやりたいという気持ちがあるのなら、それは大きな武器です。
意欲があれば、その業種がどんなものか研究するのも苦にならないでしょう。
そしてきちんと研究すればするほど、自分がなぜその業種の仕事をしたいと思うのか、より具体的に考えられるようになるでしょう。
またその仕事でこれまでの自分の経験がどう活かせる可能性があるかも見えてくるでしょう。
そういったことをはっきりさせて、自信を持って転職活動に臨みましょう。
未経験者は意欲が高いから、という理由で採用する企業もあるのです。
また、経験者ばかりで固まってしまうと、同じようなものの見方、考え方をする人たちばかりになってしまい、企業が柔軟性を失うこともあります。
しかし未経験者であれば、新鮮な視点を企業にもたらすことも可能です。
そういった「未経験者ならでは」のメリットもあるのだということも意識して臨めば、より自信を持って転職活動をすることができるでしょう。