日本はかつて終身雇用が一般的で、転職する人というのはそこまで多くありませんでした。
新卒で入った会社で、定年まで勤め上げる…というのが一般的だったのです。
しかし世界規模で先行きが不安定な世の中、「終身雇用」なんて夢のまた夢になりました。
そのため、働いている会社が自分のキャリアプランと違ってきたり、単純に働きにくい会社なら、しっかり自分の目的に沿って転職をするべきです。
しかし昔から「転職回数が多いと転職に不利」なのは言われ続けていることで、実際転職回数が多いと採用でマイナスに響いてしまうこともあるでしょう。
ということは、転職回数が多い30代は、その「転職回数が多い」という一点のみで転職できないということでしょうか。
今回は、「転職回数が多い」ことで悩んでいる30代の転職活動について、考えていきたいと思います。
30代で転職回数多い人の割合は?
まずは、転職を行っている30代の割合から調べていきましょう。
引用:リクナビNEXT
リクナビNEXTのアンケート結果によると、およそ7割以上の20代が転職経験なしと回答しています。
それに対し、30代からになると話がまったく変わってきます。
30代以上になると、転職経験なしの人の割合は5割以下にまで落ちます。
転職経験が1回以上の人の割合と、転職経験なしの人の割合はちょうど五分五分。
中には転職回数が「4~5回」という人もわずかにいるほどです。
30代にもなると、転職したことある人というのは珍しくもなんともない、ということになりますね。
これが40代、50代にもなるとさらに割合は増えて、転職経験なしの人は4割以下にも落ちます。
そしてこの年代から「転職回数6回以上」の人も出てきます。
年代を追えば追うほど、転職経験が多いことは別に対して大きな話題でもなくなるということです。
転職回数が多い30代はどんな印象を与える?
転職回数が多い30代は、どうして各所で「転職活動で不利」と言われがちなのか。
具体的にどんなところが転職活動で不利になるのか、ここで調べてみたいと思います。
「また長続きしないのではないか」
私も人事の経験があるからわかります。
転職回数が多い人を見ると、まず真っ先に思うのはやはり、「うちに入ってもまた長続きしないんじゃないか」ということ。
転職回数が少ない人だと、多少辛いことやストレスがあってもなんとか乗り越えて行ける人なんだな、という印象を受けます。
しかし何回も転職しているとなると、「どうせまたダメだろう」の予感を捨てることができないのです。
これから転職したいと思っている30代は、この企業からの「また転職するのではないか」の予感を超えて上手なアピールする必要があるのです。
ということで、まず転職回数が多い30代は、「また辞めるのでは」という疑念を持たれた状態で転職することを理解しておきましょう。
「すぐ不満を持つタイプではないか」
「また転職するのでは」と似ていますが、転職回数が多いとこの人はすぐ物事に不満を持つタイプなのではないか、と思われます。
転職するということは、現状なんらかの問題に対して不満があるということです。
そして転職回数が多いということは、現状の問題に対してすぐ疑問や不満を持つということです。
転職回数が多い30代は、もし転職したいと思った時があったならば、すぐ不満を持つわけではないというアピールも必要になります。
しかしこの疑問は、何も考えないで「目的意識のない転職」を行っていた時のみの問題です。
もし自分のなかで、転職に対してなんらかの理由や目的意識があったなら、その転職には意味があったということです。
経験が乏しい
一つの職場に定着せず、すぐ転職して別の職場に移っていたなら、一つの職場での経験が乏しく結果的に人間として経験が乏しい人であるという判断を受けてしまいます。
恋愛と少し似ています。
確かに多くの異性と付き合っている人は、それ特有の経験があります。
しかし「一人の異性と長く付き合う」という人として大事な経験が乏しいのです。
転職回数が多い30代は、そうした人間としての根底の部分を怪しまれてしまう危険を孕んでいるのです。
これも、面接や職務経歴書などで、「転職回数が多い理由」をはっきり提示することができれば解決する問題です。
トラブルメーカーではないか
あまりないですが、転職回数が多いと各所でトラブルを起こすのではないか、と思われることも。
こうした疑念を持たれるのは、過去その会社でトラブルを起こして転職した人がいる場合です。
こればっかりはどうしようもないですが、勝手にそうしたあることないこと疑われてしまいかねない、ということです。
そういう不要なマイナス評価なくまっとうな評価で転職したいなら、転職回数が多いのはマイナスに働きます。
転職回数が多い30代の転職成功法
ここまでは、「転職回数が多い30代」のマイナス面ばかり見てきました。
しかし実際に転職したいなら、マイナス面ばかり見ていてもいけません。
「転職回数が多い中で、どうすれば転職できるか」という現実的な明るい未来についてここからは考えていきましょう。
現職を続けながら転職活動を行なう
まず、「転職回数が多い30代」というだけで、その転職活動は長期戦を覚悟しなくてはいけません。
そのため、退職後転職するのはリスキーです。
収入を途切れさせないためにも、現職を続けた状態で、転職活動を行なうべきでしょう。
もし退職してしまうと、転職活動が長引いた場合その間収入がばったり途切れてしまいます。
収入が途切れていいわけがないですよね。
現職を続けながら転職活動は難しいですが、転職エージェントを活用するなどすれば可能です。
職務経歴書は作り込む
転職回数が多い30代は、提出する職務経歴書を徹底的にこだわるのも大切です。
転職回数が多いとなると、職務経歴書に書く内容も多くなりますが、ここでどのように職務経歴書を書くかしっかり知っておきましょう。
門前払いを避けるためにも職務経歴書にはこだわる
「転職回数が多い」というだけで、企業によっては不合格にするなんてこともあります。
それを防ぐためにも、「どうして転職回数が多いのか」をしっかり職務経歴書で説明しなくてはいけないのです。
職務経歴書のなかで「転職回数が多い理由」をしっかり説明できないと、面接にもたどり着けない…なんてことになりかねないのです。
職務経歴書で魅力的な人格をアピールできないと、採用担当に「会ってみたい」と思われることもできないのです。
実績のアピールが重要
やはり転職活動で大切なのは「実績」です。
そして転職回数が多いことで懸念される「経験不足」も、職務経歴書のなかでしっかり実績をアピールできれば、過去しっかり経験を積んでいるという認識を持たれます。
経験がない人が、実績を残すことはできませんから。
実績ではしっかり数字でアピールするのはもちろんのこと、実績にまつわるエピソードも添えられれば最高です。
「過去にこんなことをしてきた」
アピールをすることによって、転職におけるステップアップを感じさせることができるのです。
汎用スキルもあるアピールを忘れない
実績のアピールや、専門性のアピールをする人は多いです。
しかし専門性のアピールばかりしていると、「協調性のなさ」を疑われてしまいます。
基本的なことができない人は、会社にとって邪魔な存在でしかないのです。
汎用スキルがしっかり備わっていること、チームプレイもできて協調性があることも、職務経歴書でしっかりアピールしたいところです。
私の部長も、「採用する基準は、コミュニケーションできるのが前提」と言っていました。
転職回数の多さ以上に使える武器を探す
転職回数の多さは、やはりどうしてもマイナスに働くことが多いポイントです。
しかし、それ以上に「うちに来てほしい」と思わせることができれば、問題なく採用されます。
何も、転職回数が少ない人と同じ土俵で戦う必要はないのです。
転職回数が多いなら、多い人にしかない武器を見つけて、それをアピールすれば問題なく採用されるはずです。
例えば、色んな業界の仕事についてきたので、広い視野で仕事できる。
例えば、幾多の仕事を渡り歩いたので、仕事に柔軟性がある。
転職回数が多いという、一見ネガティブな要素を、ポジティブに言い換えることで魅力的な人間とみなされるでしょう。
転職回数の多い30代の転職成功法 面接編
転職回数の多い30代の転職活動は、面接でのアピール法が大切です。
普通に何も考えず転職したところで、その転職活動はうまくいくとは思えません。
転職回数が多いなら、多いなりの面接での戦い方があるのです。
自分のセールスポイントを具体的に伝える
転職回数が多いという事実は今更消すことはできません。
それなら、その弱点を補って余りある自分のセールスポイントを、具体的に面接官へ伝えることで、きっと転職活動は実を結ぶはずです。
普通の転職面接と同じことをしてもいけません。
それでは、転職回数が少ない人と横並びで戦うことになるので、相当実績がある人でもない限り、転職できとは思えません。
転職回数が多い30代は、他のライバルより頭一つ抜きん出ることを考えて転職しなくてはいけないのです。
今回の転職への意欲をアピールする
面接で伝えるべきはやはり「意欲」です。
中でも、「今回の転職における熱意」を伝えるのはとても大切。
「過去は多くの転職をしたが、今回の転職を最後にしたい」
くらいの思いをぶつけるのです。
私なら、「過去転職してきたのは、御社に転職するためです」くらい言います。
とにかく「転職回数が多い」というマイナス点をイメージさせないアピールが求められるのです。
転職回数の多さが結果的に企業への貢献につながることを伝える
繰り返しになりますが、「転職回数が多い」という部分も使いようです。
転職回数が多かったとしても、その転職回数の多さによって結果的に企業の売上を上げることに繋がることがわかれば、企業も「採用したい」と思うのです。
私も面接した経験があります。
転職した経験を、「悪い記憶」で語る人を採用したいとは、その時思いませんでした。
ポジティブなこととして、過去の転職経験を堂々と語ってください。
「よく聞かれる質問」の回答を考えておく
転職での面接で聞かれる質問というのは、いくつかパターンがあります。
それなら、あらかじめ聞かれる質問に対して答えを考えておけば、採用される確率を上げることができるのです。
ここからは具体的に、どんな質問がされて、その質問に対してどう答えるべきなのか紹介します。
転職回数が多いのはなぜですか?
転職回数が多い30代には、「転職回数が多いのはなぜですか?」の質問が必ず来ると思っておいたほうが良いでしょう。
ここでしっかり転職の意図や転職の理由を伝えることができれば、面接官からマイナスイメージを持たれることはないはずです。
回答例
確かに転職回数が多いように見えますが、この一つ一つの転職には確固たる意思があります。私は「自分の脳力を上げ続ける」ことを目標としているため、一つの職場で十分学ぶことができたと思った時点で、転職することにしています。御社では私が今まで働いた経験を活かして、さらなるスキルアップとステップアップを図りたいと思っています。御社には転職後すぐにでも貢献して、リーダーとして活躍することをイメージしています。
どうして前職から転職しようと考えたのですか?
「どうして前職から転職しようと考えたのですか?」も、転職における真意を確かめる質問です。
ここでは前職の不満を言うのではなく、ポジティブに転職した動機を伝えてください。
回答例
さらなるスキルアップを考えた時、御社の◯◯というプロジェクトに携わることができるのを見た時、「これだ」と思ったのです。今回募集のあったスタッフとして働けば、必ずや自分のスキルアップと同時に、御社への貢献も感じることができると思い、転職に至りました。
今までやてしまった失敗を教えてください
短所や、過去の失敗を聞かれることも多いでしょう。
この質問を面接官がするのは、「自分を客観視できているか」を主に見るためです。
転職回数が多いという弱点を負っている自分を、しっかり客観的に見えているかを確かめるための質問なのでしょう。
それを踏まえて、ネガティブをポジティブに言い換える返答をしてください。
回答例
私の過去の失敗は、一つのことにこだわり過ぎることで、新製品のプレゼンで顧客の求めてない見当違いな提案をしてしまったことです。こだわりが大きすぎて、視点が時折狭くなりがちだと感じています。しかしその失敗以降は、プレゼンなどの場面では必ず他のメンバーに意見を積極的に取り入れて、独りよがりな意見にならないように注意するようになりました。結果、それ以降は顧客のニーズからずれたという経験はありません。
転職回数が多い30代が転職を成功させた実績
Hさんの経験
私はもともと新卒で大手IT企業へ就職して、そこで1年ほど働いていました。ですが、生来の移り気な性格もあり、IT業界内でベンチャー企業だったり、コンサルタントだったり、時には海外企業だったり、多くの転職を経験しました。
しかし結婚を機に、「今までみたいに働いてはいけない」と感じて、本腰入れた転職をしました。
もともとスキルには自信があったし、色んな企業へ転職した視野の広さもアピールして、無事今の会社で働くことができています。
やっぱい転職回数は大きな問題ではなく、今までの経験をどうアピールするかに尽きるなと感じています。
転職活動がうまくいかないなら根本的な方針変換も一つの手
転職回数が多いからなのか、転職活動を続けてもなかなか実らない…なんて方も多いでしょう。
そんな方は、そもそもの転職活動方向性を考えることで、転職活動が一気に前へ進む可能性もあります。
転職活動が実を結ばないのは、そもそも転職活動の捉え方を間違えている可能性があるのです。
人材不足の業界へ転職も一つの手
転職活動がうまくいかないのは、あなたが転職したい業界は競合が多く、転職の難易度が高いからという可能性もあります。
それならばいっそ、転職しやすい、人材不足で悩んでいる業界への転職へ切り替えれば、すんなり転職することができるはずです。
競合が少ない場所で戦う…というのは、転職活動以外でもどんなことにも当てはまることです。
転職エージェントでスキルの洗い出しから
あなたの転職活動がうまくいっていないのは、自分のことがしっかり理解できてないからです。
転職活動で大切なのは、「自分は何ができるか」をしっかり理解することです。
自分にどんなスキルがあり、そのスキルを使ってどんな結果を残せるのか。
そうした自分のことを知ってないと、転職活動において正しいアピールができません。
そしてその「スキルの棚卸し」は自分ひとりでは難しいです。
私は転職のプロがいる「転職エージェント」を頼るのがおすすめです。
リクルートエージェント
どの転職エージェントに頼っていいかわからない…。
そんな方は、リクルートエージェントに登録するのがおすすめです。
リクルートエージェントは、転職エージェント業界最大の規模を誇っており、最も多くの求人を揃えています。
そして過去の実績も十分。
リクルートエージェントに申し込めば、リクルートエージェントの持つノウハウをもって「スキルの棚卸し」をしてもらうことができるはず。
転職回数が多い30代 まとめ
今回は転職回数が多い30代に向けて、数々の情報を発信しました。
確かに転職回数が多いという情報だけ見ると、転職活動において大きくマイナスです。
しかし転職回数が多いとしても、その転職に確固たる意思と理由があれば、何度も転職している事実は邪魔にならないはずです。