薬剤師といえば、高時給で安定しているといわれる職業のひとつです。
長らく「薬剤師不足」といわれており、将来性も高いと考えられていました。
しかし、当時に比べると薬学部の数も増え、「今後は飽和する」など、さまざまな憶測が飛び交っています。
今後の薬剤師はどうなっていくのでしょうか?
薬剤師に将来性はあるのでしょうか?
ここでは、薬剤師という職業の将来性を考えていきます。
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薬剤師の需要はなくならない
薬剤師の需要が直ちになくなるということは、考えられません。
その3つの理由をご説明していきます。
①国家資格であることの強み
薬剤師の資格は国家資格であり、国がその必要性を保証しています。
特に、医師や薬剤師などの医療系資格の養成は、国費の一部を使ってまかなわれています。
そのため、資格者の人数は医療計画に基づいて管理されているので、「資格をとったのに薬剤師の需要が無くなってしまった」ということはありえないのです。
働き方や仕事内容が変わっていく可能性はありますが、今後も末永く医療の一翼を担ってくれることが期待されています。
②「医療」はなくならない
日本は高齢化がすすんでいる国のひとつであり、今後の医療需要は増すばかりです。
病気の人がいなくなることはないので、医療そのものがなくなることはありえません。
なかでも、医師や看護師、薬剤師といった資格職は医療の中心を担っています。
薬剤師は薬剤のエキスパートとして薬物治療を担当しており、適切な服薬をサポートすることで、患者さんの治療や健康増進を目指していきます。
特に、抗がん剤や分子標的治療薬など、現在用いられているお薬は高度化しています。
使用方法が難しいものが増えているので、薬剤師の活躍の場は増えていくと考えられています。
③薬剤師会や医師会に守られている
医療はなくならないということは前項のとおりですが、病院や調剤薬局の減少によって、働き口が減ってしまう可能性はあります。
新しい医療システムの普及によって、これまでの薬局が淘汰されてしまうことも考えられます。
しかし、医療に携わる業種は人命に関わるため、競争や大きな変革が起こりにくいという特徴があります。
薬剤師会や医師会といった組織が国に働きかけ、有資格者が安心して業務を行えるようにサポートをしてくれているのです。
飽和状態に向かっていることも事実
薬剤師がなくなることはありませんが、飽和状態に向かっていることも事実といえます。
ここでは、薬剤師のおかれている状況でネガティブなものをご説明していきます。
今後も増え続ける薬剤師
2017年の国家試験合格者数は9,479人と、毎年1万人近い方が薬剤師の資格を取得しています。
現在の薬剤師数は301,323人(2016年12月31日時点)であり、近い将来には40万人に届くと推計されています。
その一方で、薬剤師の需要は大きく増えることはないと考えられており、必要とされる人数は推計によると30万人前後といわれています。
よって、およそ10万人の薬剤師が過剰となることが予想されています。
地域偏在によって過剰となるエリアも
医療需要は全国にあるので、首都圏から地方まで、すべての地域で医療従事者が必要とされています。
その一方で、都心への一極化や地方からの上京などによって、薬剤師の多くは都会に集中しています。
人気のあるエリアとそうでないエリアの差が明白になっており、都心部では薬剤師が余っている一方で、地方では不足しているという現状があるのです。
特に、山間部や離島などのへき地では、その傾向はさらに強まります。
住んでいるエリアによっては、なかなか職場がみつからないということもあるかもしれません。
医療費削減によって厳しくなる医療業界
2025年には団塊の世代が75歳を迎えることもあり、医療費は過去最大になると予想されています。
本邦の医療費は国民皆保険により、大部分を国が負担しなくてはなりません。
医療制度を維持するために、医療費削減は年々すすんでいるのです。
これにより、薬剤師の業界も大きく影響を受けてしまいます。
具体的には調剤報酬や薬価の改定がおこなわれ、従来通りの利益の確保が難しくなってしまいます。
医療機関の利益が減少してしまうと、薬剤師の雇用にも影響が出てしまい、薬剤師の将来性にも関わってしまうでしょう。
これからも活躍するために必要な3つのスキル
薬剤師がなくなることはありませんが、今後もずっと安泰というわけではありません。
これからも活躍していくためには、競争に勝ち残っていかなくてはなりません。
そこで、今後身に着けていくことが必要な、おススメのスキルをご紹介していきます。
かかりつけ薬剤師としてのスキル
これまでの調剤薬局は、特定の医療機関と1対1で業務を行う、「門前薬局」というスタイルが一般的でした。
しかし、現在の医療は複雑に細分化されており、1人の患者さんが複数の医療機関にかかることも珍しくありません。
今後の薬局は患者さんと1対1で服薬を管理する、「かかりつけ薬局」へと変化していくことが求められているのです。
はたらく薬剤師においても、「かかりつけ薬剤師」としてのスキルを伸ばしていかなくてはなりません。
具体的には、幅広い領域の知識、薬同士の飲み合わせの知識、疾病や治療の知識、コミュニケーションスキルなどを習得していくようにしましょう。
セルフメディケーションのスキル
医療費削減の一環として、簡単な疾病は自分で治療するという、セルフメディケーションも推進されています。
薬剤師は身近な医療専門職として、セルフメディケーションにおける役割を期待されています。
ドラッグストアではたらく薬剤師はもちろんのこと、調剤薬局や病院ではたらく薬剤師であっても、患者さんの健康相談を受けることはあるでし
ょう。
その際に、疾患の状態を適切にみきわめて、一般用医薬品の購入や医療機関の受診をすすめることが求められているのです。
疾患の知識、一般用医薬品の知識、健康食品の知識、商品紹介のスキルなどを習得していくようにしましょう。
在宅医療のスキル
今後は高齢者が増えていき、加療を要する患者さんが増えることが予想されています。
しかし、その一方で国策として病床数は増やさないことが明言されています。
そのための受け皿として、自宅で介護をして、いずれは看取るという、「在宅医療」がすすめられています。
薬剤師にとっても、在宅医療は避けては通れません。
在宅医療の知識を持ち、実践していくことが重要となるのです。
在宅の患者さんは、薬局や病院に来局する方に比べて、健康状態は悪いことがほとんどです。
認知能力や嚥下能力が低下している可能性もあるので、適切な服薬指導ができるスキルを習得しましょう。
中心静脈栄養や胃ろうの知識も必要です。
介護用品などの使い方を聞かれることもあるので、一般的な内容であれば答えられるようにすることが望ましいです。
将来性の高い業種
実際に薬剤師がはたらいている業種の中で、将来性が高いものにはどのようなものがあるのでしょうか?
いくつか例を挙げてご紹介していきます。
ドラックストア
ドラッグストアでは一般用医薬品や介護用品を扱っているので、前述のセルフメディケーションや在宅医療に密接に関わっています。
調剤報酬のみに依存していないため、利益を上げやすいこともあり、将来性が高い職場のひとつといわれています。
給与水準も高いので人気もありますが、日・祝日営業や24時間営業をしていることも多いので、勤務時間は不安定になりやすいため注意が必要です。
在宅医療を応需する調剤薬局
調剤薬局の中でも、在宅医療に積極的に携わっている薬局は、将来性が高い職場のひとつです。
現在の調剤報酬においても、在宅医療は年々評価されているので、国が今後注力していくこともうかがえます。
在宅というと24時間対応で大変なイメージがありますが、ほとんどの薬局では時間外対応についてシフトが組まれており、一人で24時間365日の対応をするわけではありません。
外回りが苦にならないのであれば、積極的に挑戦してみると良いでしょう。
病院
薬物治療は高度化しており、抗がん剤や高分子標的薬などは、使用するのに特別な知識や技術が必要です。
副作用のリスクも大きく、患者さんに対する服薬指導も、より綿密に行わなくてはなりません。
病院ではたらく薬剤師の役割は大きくなっており、チーム医療における薬物治療の担当者として期待されています。
今後長い目でみたときに、将来性は高いと考えられています。
まとめ
POINT
- 医療系の資格職である、薬剤師の将来性は高い
- 飽和傾向にもあり、人手が過剰となるエリアも出てくる
- 3つのスキルを身に着けることで、将来的に活躍していける
昨今ではAI化やロボット化によって、多くの仕事の将来性が危ぶまれています。
そのなかでも薬剤師は医療系の資格職であるので、需要がなくなることは考えにくく、将来性は高いといえます。
しかし、首都圏やアクセスの良い地域など、人気のエリアでは競争が激しくなる可能性があります。
競争に負けない薬剤師になるために、将来的に必要となりそうなスキルを今のうちから身に着けることが、重要といえるのです。
また、自分の将来になやんだり、スキルアップで困ったときは、転職エージェントに相談してみましょう。
エージェントは転職のエキスパートであり、今後の薬剤師業界の動向についても、ノウハウを豊富に持っています。
おススメのスキルや働き方を提案してもらい、薬剤師としてのキャリアを形成していきましょう!