令和5年6月に発表された厚生労働省の「労働者の働き方・ニーズに関する調査について」によると、「1つの企業で長く働くことを重視するか」という質問に対して「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答した年代別の割合は、20代がもっとも低く、51.5%でした。
20代は他の年代よりも、ひとつの企業に固執せず、柔軟に転職していきたいと考える傾向があります。
では20代の方々は、仕事に対してどのようなものを求めているのでしょうか。
仕事に求める要素や、仕事に対する価値観は、年代によって変わってきます。
こうした違いは、年配の上司と若い新入社員との間の意思の食い違いにもつながるため、きちんとした把握が欠かせません。
ここでは、20代の方々が仕事にどのようなものを求めているのかをわかりやすく解説します。
あわせて、20代の方々の転職に強い転職サイトや転職エージェントも紹介します。
- 今の20代は、プライベートの充実を求めている。
- 良好な人間関係のもとで、自分らしく、楽しく働けることを重視する。
- 第二新卒やフリーターの転職に特化
- 経歴や学歴に自信がなくても求人を紹介してもらえる
- キャリアアドバイザーのサポートが手厚い
20代が仕事に求めるもの4選
20代の方々は、仕事に対してどのようなものを求めているのでしょうか?
この記事では政府の調査結果などを基に、以下の4項目を挙げました。
20代が仕事に求めるもの4選
- プライベートの充実
- 良好な人間関係
- 自分らしさの確保
- 仕事に対する楽しさ
あわせて、こちらの記事も参照してください。
20代社員の転職率について詳しく解説しています。
①プライベートの充実
20代の方々の多くは、仕事よりもプライベートの充実に重きを置く傾向が強いです。
内閣府が平成29年におこなった、全国の16歳から29歳までの男女を対象にした調査をみてみましょう。
「仕事とプライベートのどちらを優先するか」という質問に対し、プライベートを重視すると回答した人は全体の63.7%に上りました。
逆に仕事を優先すると答えた人は、全体の12.7%にとどまっています。
同様の質問が平成23年度の調査でもされましたが、当時はプライベートを優先すると答えた人は全体の52.9%でした。
このことからも、仕事よりもプライベートの充実を望む20代は増えているといえます。
また、もう少し新しい調査結果では、令和5年11月に内閣府が実施した「国民生活に関する世論調査」があります。
この調査では、「どのような仕事が理想的か」という質問に対し、「私生活とバランスがとれる仕事」と回答した18~29歳は57.7%でした。
プライベートの充実を望む若者の割合は、この調査でも、他の世代より高い傾向です。
②良好な人間関係
仕事に良好な人間関係を求める20代も多いです。
平成23年度及び平成29年度に、政府は若者に対して働くことへの不安について質問しました。
結果を見てもわかる通り、多くの若者が勤務先での人間関係に不安を感じています。
つまり、仕事に対して良好な人間関係を求めているのです。
後ほど詳しく解説する通り「仕事は収入を得るためのもの」と割り切っている20代の方が多い中で、良好な人間関係を望む人が多いのは意外な結果と言えます。
ちなみに、厚生労働省が実施した別の調査では「同僚の離職理由」についてふれています。
それによると人間関係が原因で離職した人は24.4%と4番目に多い結果でした。
出典:厚生労働省 働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書
➂自分らしさの確保
20代の方々が仕事に求めるものとして「自分らしさの確保」も見落とせない点です。
度々触れている内閣府の調査結果では、仕事を選択する際に「自分のやりたいことができること」を重要視すると回答した人は平成29年度及び平成23年度の調査で、それぞれ88.5%、92.7%という結果でした。
④仕事に対する楽しさ
仕事に対する楽しさを求める20代の方々も多いです。
内閣府が実施した「国民生活に関する世論調査(令和5年11月調査)」では、「どのような仕事が理想的か」という質問に対し、「自分にとって楽しい仕事」と回答した18~29歳は、62.1%でした。
戦後や高度成長期の日本では「仕事は辛くても頑張るのが美徳」という考えが一般的でしたが、物質的に豊かになった現代ではこうした考えは薄れつつあるのです。
20代が仕事をする上で嫌うもの3選
では次に、20代の方々が仕事をする上で嫌うものを見ていきましょう。
以下に挙げた3つの項目を見てください。
20代が仕事をする上で嫌うもの3選
- 残業
- 飲み会
- 無駄
少し前の日本では当たり前だったことも、現在の若者には受け入れがたいものが少なくありません。
ジェネレーションギャップが生まれないよう、しっかりチェックしてください。
①残業
先ほど解説した調査結果からもわかる通り、20代の方々は仕事に対してプライベートの充実を望んでいます。
当然残業も嫌う傾向が強いです。
「仕事は収入を得るための手段」と割り切る20代の方も少なくない一方、プライベートな時間を削ってまでお金を稼ぎたくないと考える人も少なくありません。
高度経済成長期の日本では、長時間の残業をしてでも収入を得たり会社の成長に貢献したりといった考え方が珍しくありませんでしたが、現在の20代の方々にはこうした考えは受け入れられづらくなっています。
②飲み会
社会人として避けて通れないイベントの1つが飲み会です。
一見、上司や同僚とのコミュニケーションや人間関係の構築などに欠かせない行事にも思えますが、飲み会を嫌う20代の方々は少なくありません。
勤務時間外に会社の人間と過ごすのは時間の無駄と考えられるケースが多く、飲み会を欠席する人も多いのです。
少し前は、「飲み会も仕事の内」といった考え方が一般的でした。
ところが現在では事情は変わってきています。
仕事が終われば、後は自分のプライベートの時間です。
そんな貴重な時間を自分の嫌なことに費やすのは無駄という考え方が、20代の方々の間で広まりつつあります。
➂無駄
上で解説した2つのことから、20代の方々が仕事をする上で最も嫌うものを考えてみましょう。
それはズバリ「無駄」です。
情報化社会が発展するにつれ、あらゆる作業が効率化されました。
手探りで仕事を進めていた昔と違い、現在ではさまざまなビジネスの手法が確立されています。
そうしたものに早いうちから触れている20代の方々にとって、無駄は仕事において最も嫌う要素の1つなのです。
効率的に仕事を進めれば残業の必要もなくなり、プライベートの充実も可能です。
また、飲み会はそもそも仕事に不必要なもので無駄以外の何物でもないと考えるケースも少なくありません。
20代が仕事に求めるものの特徴
以上の内容から、20代が仕事に求めるものの特徴をまとめます。
- 20代にとって仕事=人生ではない
- お金ために働く20代は多いがそれだけが目的ではない
20代にとって仕事=人生ではない
時代が進むにつれて、20代の方々の仕事に対する意識も変わりつつあります。
高度経済成長期の日本では、仕事に打ち込む姿やプライベートを投げ出す姿勢が美徳とされていました。
大事なのは会社の成長や収入であり、自分を押し殺す姿勢がよしとされていたのです。
「モーレツ社員」や「企業戦士」とも呼ばれた彼らは日本の経済成長の中核として活躍しましたが、年功序列制度の変化やリストラなどの影響を受け、徐々に姿を消していきました。
現在はQOL(クォリティーオブライフ)やQOW(クオリティオブワーク)といった考え方も浸透しつつあり、仕事・生活の両面を充実させる考え方が広まっています。
現在の20代にとって仕事=人生ではなく、仕事と人生は分けて考えるケースが一般的です。
お金ために働く20代は多いがそれだけが目的ではない
そんな20代ですが、そもそも何の目的で仕事に励んでいるのでしょうか?
度々触れている内閣府の調査によると、仕事の目的を「収入のため」と答えた16歳~29歳の若者は、実に全体の約85%に上りました。
別の調査結果も見てみましょう。
内閣府の世論調査では、20歳~29歳の人に対して仕事の目的を調べたところ「お金を得るため」という回答が全体の約64%でした。
一見するとドライなイメージを抱きがちですが、一方で良好な人間関係や楽しさなどを仕事に求めていることからも、仕事を収入のための道具として考えていないことがわかります。
20代の仕事観に世代間ギャップを感じたら
ミドル世代やシニア世代の方のなかには、20代の仕事観に違和感を感じる人も少なくありません。
かといって、自分の仕事観を20代に押し付けるのはやめましょう。
そもそも仕事観とはその人が持つ個性の1つです。
無理に捻じ曲げようとせず、以下に挙げるポイントを意識して上手に付き合いましょう。
20代の仕事観に世代間ギャップを感じたら
- 20代の考え方や意見を尊重する
- コミュニケーションをしっかりとる
- 相手の立場で物事を考える
先ほども解説した通り、20代の方々は仕事に良好な人間関係を求めています。
頭ごなしに仕事観を否定すると、嫌な人と思われてしまいますよ!
20代の考え方や意見を尊重する
自分と相いれない考え方は、どうしても頭ごなしに否定してしまいがいちです。
しかし、お互い反発しあっているだけでは良い結果は生まれません。
会社は社員同士がワンチームで盛り立てていくものである以上、お互いの意見や考え方の尊重が不可欠なのです。
年配の社員が20代の仕事観に疑問を持つ一方で、20代の社員も年配の社員の仕事観に疑問を持っているケースも珍しくありません。
まずは相手の考え方や意見を尊重し、お互いに歩み寄るところから始めましょう。
コミュニケーションをしっかりとる
「そもそも自分には20代の仕事観なんて理解できない…」と切り捨てている人はいませんか?
20代の仕事観が理解できない原因の1つは、コミュニケーション不足と言えます。
お互いの対話が足りないからこそ相手の考えが読めず、双方が困惑してしまうのです。
価値観や仕事観の違う人間とコミュニケーションをとるのは時に勇気が要りますが、お互いの理解には欠かせない作業です。
積極的なコミュニケーションを意識して「20代の仕事観について理解したい」という姿勢を示しましょう。
相手の立場で物事を考える
世代の違う人が20代の仕事観を主観的に理解しようとしても、良い結果にはつながりません。
自分主体で考えるのではなく、20代の社員の立場になって物事を考えてください。
例えば注意の仕方一つにしても、言い方や言葉遣いを工夫するだけでかなり印象が違います。
「私の若い頃は怒鳴られるのが当たり前だった!」と考える年配社員も少なくありませんが、時代はとっくに移り変わっています。
なんでも自分を主体に考えると、20代の社員から反発を買いかねません。
良好な人間関係を保つためにも、相手の立場に立って物事を考えましょう。
仕事をやめたいと感じた20代がとるべき行動
20代は社会人として学ばなければならないことが山のようにあります。
時にはうまくいかずに辞めたいと感じる人もいますよね。
ここでは20代の方が仕事をやめたいと感じた時に取るべき行動を解説します。
以下の4項目を見てみましょう。
仕事をやめたいと感じた20代がとるべき行動4選
- 将来の目標やキャリアプランを描く
- ストレスの発散方法をみつける
- 退職を考えた理由を振り返る
- どのような職場でなら働けるか考える
また、こちらの記事では20代の方が仕事を長続きさせるための情報を詳しく解説しています。
あわせて参考にしてください。
①将来の目標やキャリアアップを描く
将来の目標やキャリアプランがあやふやだと、目指すべき指標が見えないためにやりがいや方向性を見失いがちです。
仕事に悩んでしまったら、自分が将来どんな社会人になりたいのか、どんなキャリアを積んでいきたいのかといった点を考え直してみましょう。
こうした点が明らかになれば、進むべき方向性が定めやすくなります。
ゴールや目標がない状態での仕事は、出口の見えないトンネルを進むようなものです。
まずは着地点をみつけて、そこに向かって仕事をしましょう。
②ストレスの発散方法をみつける
どんなに楽しいお仕事でも、多少のストレスはたまるものです。
求めるものが得られない職場ではなおさらで、いかに上手にストレスを発散できるかがカギになります。
筋トレをする、カラオケに行く、ゲームに没頭するなど、自分なりのストレス解消法を見つけてください。
ストレス発散が趣味に繋がれば、共通の楽しみをもつ仕事仲間とのつながりも得られます。
➂退職を考えた理由を振り返る
仕事を辞めたくなったら、まずはその原因を探りましょう。
理由もなく退職してしまうと、その後の転職活動に大きな影響を与えてしまいます。
特に心配なのが、採用面接で必ず聞かれる「前職を退職した理由は何ですか」という質問です。
この質問にあやふやな回答をしてしまうと、採用担当者から不信感を抱かれかねません。
後々の転職活動に困ってしまわないよう、自分が退職を考えた理由をじっくり考えましょう。
面接での退職理由の説明に関しては、こちらの記事も参照してください。
④どのような職場でなら働けるか考える
辞めたいと思う一心で退職するのは考えものです。
どのような職場でなら楽しく働けるのかを考えないと、せっかく転職をしても再び転職を考える事態になりかねません。
どのような職場であれば働けるのか、上で解説した退職の理由とセットで考えてください。
まずは自分が職場に求める要素を紙に書き出し、優先順位の高いものからピックアップするのをおすすめします。
こうして求める要素を煮詰めていけば、自分が理想とする職場のイメージがつかみやすくなりますよ!
仕事にもとめるものが得られない20代は転職も視野に入れる
どうしても職場に不満があったり、求めるものが得られない場合は転職するのも1つの手です。
20代は転職市場でも人気の高い年齢で、未経験者でも応募できるケースも多くあります。
職場の環境や条件に改善の見込みがない場合、思い切って転職も視野に入れましょう。
ここでは20代の転職シーンにおすすめな転職エージェント・転職サイトを3社に厳選して紹介します。
20代の転職に強い転職エージェント・転職サイト3選
- doda
- ハタラクティブ
- リクナビNEXT
20代の方々の転職事情についてはこちらの記事も参照してください。
doda
求人数 | 約260,000件 |
---|---|
対応地域 | 全国47都道府県 |
料金 | 無料 |
公式サイト | https://doda.jp/ |
運営会社 | パーソルキャリア株式会社 |
dodaは、豊富な求人数とエージェントの手厚いサポートが好評な転職エージェントです。
幅広い業界や業種・職種の求人を網羅しているので、選択肢を広く保って転職活動ができますよ!
求人数も約20万件と、業界屈指のボリュームを誇ります。
エージェントのサポート体制も充実しているので、ぜひ活用しましょう。
ハタラクティブ
ハタラクティブの特徴
- 経歴に自信がなくても転職成功できる
- アドバイザーのサポートが手厚い
- LINEでのカウンセリングが可能
数ある転職エージェントのなかでも、20代の方々の転職に力を入れているのがハタラクティブです。
20代は年齢的に考えても充実したキャリアや実績が積めていないケースがほとんどです。
ハタラクティブは未経験者や資格のない人でも応募できる求人を数多く取り揃えているので、経歴に自信のない20代の方でも安心して利用できます。
LINEでのキャリアカウンセリングにも対応しているので、スキマ時間を有効活用しやすいのも嬉しい点です。
リクナビNEXT
リクナビNEXTの特徴
- 求人数が多い
- 若年層向けの求人に強い
- スカウトサービスがある
「転職活動は自分のペースを保ってすすめたい!」という方には、リクナビNEXTがおすすめです。
エージェントサービスがない転職サイトのため、マイペースを維持して転職活動ができます。
転職支援サービスの大手として有名な「リクルート」が運営する転職サイトなので、求人数や求人の質も充実しています。
スカウトサービスを活用すれば、転職活動の質もグンとあがりますよ!
20代が仕事に求めるものはプライベートの充実や自分らしく働ける環境
この記事では20代の方々が仕事にもとめるものを、政府の調査結果などからさまざま解説してきました。
仕事に人生を投げ出す姿勢が美徳とされた昔と違い、現在ではプライベートの充実や自分らしさを仕事にもとめる20代の方が増えてきています。
また、20代の方が仕事をする目的として圧倒的に多いのが「収入を得るため」でした。
一見お金のためだけに仕事をしていると思われがちですが、実はそうではありません。
良好な人間関係を求めたり効率的な仕事を目指して無駄を嫌ったりと、20代の方々も仕事に対して前向きに取り組んでいるのです。
こうした考え方を理解するには、お互いのコミュニケーションや意見の尊重が欠かせません。
ジェネレーションギャップを恐れずに、お互いの視点に立ちながら歩み寄りましょう。
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