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派遣建保(はけんけんぽ)が解散!派遣社員の働き方はどう変わる?

派遣健保解散の影響は? 派遣社員の豆知識

先日、派遣建保(はけんけんぽ)が解散しました。

解散・・つまり企業の倒産のようなものです。

派遣建保とは「人材派遣健康保険組合」が運営していた健康保険組合のことです。

健康保険というと、病院にいく時に提出する「健康保険証」を作ってくれるところを思い浮かべる人も多いでしょう。

この派遣建保には平成30年度の時点で40万人以上の「派遣社員」とその家族が加入していたので「派遣建保の解散」はかなりの派遣社員に関わる大きな出来事でした。

日本人材協会によると、平成29年時点の派遣社員数は「約130万人」でしたので、派遣建保に加入していた人は、派遣社員全体のおよそ3分の1にのぼっていたことが分かります。

この数字からも、衝撃的なニュースだったことが予想できますね。

今回は「派遣建保の解散理由」と「派遣建保の解散に伴う【派遣社員の働き方】への影響」などについて、解説させていただきます。

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2019年3月_派遣建保が解散しました!理由は?

派遣建保が解散したのは2019年3月のことです。

その理由は下記の通りです。

  • 派遣建保加入者の高齢化が進んだ為
  • 65歳以上の医療費をまかなう際の支出額が増え、負担しきれなくなった為

派遣建保加入者の高齢化が進んだ為

みなさんご存知の通り、昨今の日本では少子化が毎年進み「少子高齢化社会」となっています。

この影響が派遣建保にも押し寄せたということです。

少子高齢化により「将来の年金受取額が少なくなるかもしれない(最悪もらえなくなるかもしれない)」とニュースで取り上げられていますが、年金だけでなく、このように健康保険組合にもしわ寄せが来てしまったのです。

65歳以上の医療費をまかなう際の支出額が増え、負担しきれなくなった為

65歳以上の医療費を拠出金で負担していましたが、少子高齢化の影響に伴い、拠出金だけでは負担しきれなくなってしまいました。

(※拠出金(きょしゅつきん)とは?
ある組織でお互いを助け合う為に、みんなが出し合ったお金のことです。
拠出金という言葉は「保険」や「年金」で使われることが多いです。)

この拠出金だけでは医療費負担ができなくなってしまった為、派遣建保では積立金を取り崩してこれに充てていました。

一般家庭でいうと、毎月入る給与だけでは生活できなくなってしまったので、貯めていた貯金を切り崩して使い続けているようなものです。

派遣建保では、今後も65歳以上の医療費の拠出額が増え続ける見込みの為、このままでは赤字がどんどん大きくなることが想定されました。

このことから、運営困難だと判断し、解散に踏み切ったのです。

派遣建保の解散で、派遣社員の働き方に影響はあるの?

派遣建保の解散により、加入者は全員「協会けんぽ」に加入することになりました。

(※協会けんぽとは、主に中小企業で働く社員とその家族が加入している健康保険です)

派遣建保は解散したけれど、協会けんぽに加入できるのであれば「健康保険に入れているわけだからそれで良いじゃないか」という声が聞こえてきそうですね。

しかし、協会けんぽに移行することにより、派遣建保に加入していた派遣社員の人たちに影響があるのです。

その影響は下記の通りです。

保険料の支払額が上がる

毎月の給与明細を見ると「保険料」が差し引かれているのが分かります。

派遣建保が解散し、協会けんぽに加入することにより、この保険料が上がるのです。

そもそも保険料は「保険料率」というものによって決められています。

給与明細に書かれている保険料は、それぞれの給与に対する標準報酬月額に対して「保険料率」を掛け算したものとなっています。

(※標準報酬月額とは?
毎月支払われる給与額のことを「報酬月額」というのですが、これを決められた「等級表」にあてはめたものを標準報酬月額といいます。)

ということは、保険料率が低い方が、給与から引かれる「保険料」が低くなるわけです。

逆に保険料率が高い方が、給与から引かれる「保険料」が高くなるわけです。

当然従業員からすれば、保険料率が低い方が嬉しいわけです。
しかし、協会けんぽに加入することにより保険料率が高くなりますので、給与の手取り金額が今までより減ってしまいます。

健康診断の条件が悪くなる

日々忙しく働く世代にとって気になることの1つが、自身の健康状態ではないでしょうか。

自ら定期健診には行かないけれど、毎年健康診断が会社で実施されるから助かるという人も多いでしょう。

実は、派遣建保から協会けんぽに移行することにより、この健康診断の受診条件が悪くなるのです。

会社の健康診断で病気の全てを発見できるわけではないですが、健康診断のおかげで病気を初期状態で発見できた人もいますので、なかなかあなどれない問題です。

派遣建保から協会けんぽに加入することにより、下記のように受診条件が変わります。

35歳以上でないと、一般検診を受診できなくなった

① 男性・女性共通事項

(※派遣建保の時には35歳未満でも「血圧」「視力」「聴力」「胸部X線」「尿蛋白・尿糖」や一部の「血液検査」を受診できましたが、協会けんぽの場合には、35歳以上でないと一切受診できなくなりました。)

一般検診はかなり簡易な検査になりますが、この検査から病気が見つかるケースもあります。

35歳未満の方で、今後も一般検診を受診したいということであれば、自腹で受診することになります。

乳がん検診は40歳以上でないと受診できなくなった

② 女性に関する事項

テレビで芸能人の乳がん罹患のニュースを見ることも多いですよね。

乳がんは若くても罹患することがある病気で、私も検査でひっかかったのは23歳の社会人初めての時の健康診断でした。

個人的には、乳がん検診は何歳だとしても、女性であれば受診しておくべき検診だと思っています。

派遣建保から協会けんぽに移行することにより、40歳以上でないと受診できなくなるので、気になる方は自腹で受診することになります。

「乳がん検診」と「子宮頸がん検診」は偶数年齢でないと受診できなくなった

派遣建保では「乳がん検診」も「子宮頸がん検診」も毎年受診することができました。

しかし、協会けんぽでは偶数年齢でないと受診できなくなりました。

36歳の女性は受診できるけれども、37歳の女性は受診できないということです。

これらの検査に関しても毎年受診したい人は、奇数年齢の時には自腹で受診することになります。

派遣社員は自分で健康保険を選べるのか?

前項で、派遣建保から協会けんぽに移行することにより、派遣社員に対して影響があることを解説させていただきました。

この点から、協会けんぽではなく、自分で健康保険を選びたいと思う人もいるでしょう。

実際に自分で選べるかというと、答えは「NO」です。

原則的に、派遣会社で加入している健康保険に加入することになります。

所属している派遣会社が「協会けんぽ」に加入していれば、選択肢は「協会けんぽ」のみです。

もし協会けんぽではない健康保険を選びたいのであれば、協会けんぽ以外の健康保険を選択している派遣会社を選ぶ必要があります。

協会けんぽ以外の健康保険を選択している会社は、自社の健康保険に加入しているケースが多いです。

まとめ

派遣建保が解散したことにより、派遣建保に加入していた派遣会社の社員は、協会けんぽに移行することが分かりました。

健康保険自体には引き続き加入することが分かったので、ひとまずは安心ですが、影響事項を考えると手放しでは喜べません。

協会けんぽ以外の健康保険を考えたい人は、他の健康保険に加入している派遣会社を視野に入れることもアリですね。

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