取られすぎ!?派遣会社のマージン率がどれくらいかお伝えします
「派遣会社ってどのくらいマージン(手数料)とってるの?」
「マージンを取るんだったらもっと時給を上げてほしい」
現在、派遣社員として働いている方も、これから働こうと考えている方も、一度はこんなことを考えたことはあるのではないでしょうか?
派遣会社によって、マージン率は異なります。
そして実は、マージン率は誰でも知ることができるのです。
今回は、派遣会社に10年勤務している私が、派遣会社のマージン率について皆さんに詳しくお伝えしていきます。
この記事を読むことで、派遣会社選びの判断基準や、時給を上げるための方法を知る参考になれば幸いです。
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マージン率って何
そもそもマージン率って何?という疑問がわいた方に、まずは簡単に言葉の意味を説明します。
マージン率の説明と計算方法
派遣会社は派遣社員を派遣すると、派遣先から派遣料金をもらいます。
その「1時間○○○○円」という派遣料金の中から、派遣社員の時給を支払っています。
もちろん全額時給として支払うわけにはいかないので、派遣料金のうちいくらかを手数料として派遣会社が取ります。
その派遣会社の取り分をマージンといい、派遣料金に対してのマージンの割合を、マージン率というのです。
出典:厚生労働省HP「労働者派遣法が改正されました」
ぶっちゃけ派遣会社のマージン率はどれくらい?
ズバリ派遣会社のマージン率は、23%~38%くらいの範囲内です。
いくつかの大手派遣会社のマージン率を調べてみたところ、下記のような状況でした。
- リクルートスタッフィング(本社) 27.8%
- パーソルテンプスタッフ(新宿) 23.6%
- マンパワー(新宿) 28.3%
- パソナ(新宿) 29.7%
- テクノプロ(新宿) 37.9%
得意としている業界や職種によって利益率は若干変わってきます。
IT系や技術者派遣は比較的高いマージン率で、販売や事務、サービス業などへの派遣はマージン率が低い傾向があります。
おそらくですが、前者は業界が好調かつ人材不足が顕著で、派遣料金が高騰しているからと考えられます。
マージン率の確認の仕方
平成24年10月1日より施行された改正派遣法では、派遣会社に対してマージン率の情報公開が義務付けられました。
公開の仕方は「インターネットなどによりで」と指定があるので、ほとんどの派遣会社がHPなどでマージン率を公開しているはずです。
つまり、HPをしっかり見ればその派遣会社がどのくらいマージン率をとっているかわかるのです。
マージン率などの情報提供派遣料金の明示
【関係者への情報公開】
労働者や派遣先となる事業主がより適切な派遣会社を選択できるよう、インターネットなどにより派遣会社のマージン率や教育訓練に関する取り組み状況などの情報提供が義務化されます。
厚生労働省HP「労働者派遣法が改正されました」
出典:中原中也 在りし日の歌より春日狂想
もしこのマージン率を公開していない派遣会社があったら、法令違反のかなり危険な派遣会社なので、就業するのは避けて下さい。
ちなみにマージン率は、わかりにくいところに書いてある可能性が高いですが、大体は「派遣会社名 マージン率」で検索すればでてきます。
どうしてもわからないいときは、派遣会社に問い合わせたほうが良いでしょう。
マージンは何に使われている?
このマージンは、そのまま派遣会社の利益になるわけではありません。
この中から、派遣社員の社会保険料、有給休暇、事務所の家賃、従業員の給料、募集広告費、派遣社員の教育費など、様々な経費がかかります。
特に、社会保険料は年々上がってきていますし、2019年の働き方改革で有給休暇の取得義務化も始まりました。
更に空前の人材不足で、広告を出しても人材が集まらず募集広告費は増す一方です。
人材を確保するには。
時給を上げざるを得ないですが、派遣料金は変わらないことも多いためどんどん派遣会社の取り分が減っていきます。
このように経費が増加する中で、それらを差し引いた派遣会社の純粋な利益は、かなり薄くなっているのが現状です。
マージンから見る派遣会社の選定基準
このマージン率の違いを、どのように派遣会社を選定に活かせばよいかをお話していきます。
マージン率は低いほうが良い?
マージン率は低いほうが、時給に多く還元されているということなので良いのでは?と思うかもしれません。
それは一理ありますが、マージン率が低い派遣会社は危険な面もあります。
手数料をしっかり取っていないということは、前述したような増加する経費が出せなくなる可能性もあります。
従業員の人件費が確保できずに、一人の担当が大量の派遣社員を抱えているため連絡が取りづらかったり、管理がずさんなんていうことも。
最悪、事業が立ち行かず倒産するということもあり得ない話ではありません。
実際、私が勤務している派遣会社も、過去に倒産した派遣会社の派遣社員の受け入れをしたことが何度もありますが、ほとんど25%以下とマージン率が低い状態でした。
実際、派遣会社の倒産は2年連続で増加の推移をたどっています。
参考:帝国データバンク「労働者派遣事業者の倒産動向調査(2018年1~8月) 2018年は2年連続増加ペースで推移 ~ 人手不足で中小事業者が苦戦 ~」
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p180903.html
そのため、一概にマージン率が低い派遣会社だから良いとは言えないのです。
マージン率は高いほうが良い?
では、マージン率は高いほうが、サポートも手厚く安定した派遣会社であるといえるのでしょうか?
これも一概にそうとも限りませんが、私の知る限りマージン率の高い派遣会社は、教育に力を入れていたり、福利厚生が充実していたり、担当営業のサポートが手厚いなどなんらかの恩恵があります。
しかし、利益をとって社長の懐に入れているかもしれませんし、先行投資をして会社拡大に使っているかもしれませんので、必ず派遣社員にプラスになるかというと疑問が残ります。
時給面からみるとマージン率が高い分、他社と比較して低く設定されている可能性があるので、そうなら派遣社員としてはデメリットです。
また時給が低いと人材の募集力が弱まるので、会社の発展性という点から見れば良し悪しです。
確実に言えるのは、利益をとっている分、会社にお金はあるはずなので安定という意味ではマージン率が高いほうが良い派遣会社ということです。
マージンを時給に還元する方法
派遣社員からすると、なんだかんだ言ってもやはり時給は高いに越したことはありませんよね。
この派遣会社の取り分のマージンを、時給にプラスしてもらうにはどのような方法があるでしょうか。
派遣会社と交渉してみる
あまりに時給に不満がある場合は、派遣会社と一度交渉してみてください。
その際は、他社の派遣社員と比べるのではなく、自分の実績や派遣先への貢献度合いを伝えるようにしましょう。
他社と比較しても、派遣会社としては決まった規定で時給を決めているため「よそはよそ」となる可能性が高いですし、あなたの評価も下がってしまうかもしれません。
そもそも派遣社員同士で時給を言い合うのは、ルール違反とされています。
あまりに他社と違うようなら、派遣会社を移るしかありませんが、そうするともうその派遣先へ就業継続することは難しいでしょう。
なぜなら、派遣先と派遣会社でビジネスマナー的にご法度とされているからです。
時給を理由に派遣会社を自由に変えられたら収拾がつかなくなりますし、流出したほうの派遣会社はもうその派遣先には紹介しなくなるということもあり得るので、派遣先としてもデメリットだからです。
派遣先とは交渉してはダメ
派遣社員が派遣先と時給の交渉をするのは、最もやってはいけないことです。
時給を決めているのは派遣会社なので、派遣先からしてみると「それをこっちに言われても困る」というリアクションになってしまいます。
派遣社員として働く仕組みを理解していないと判断され、あなたの評価が下がってしまいます。
時給のことは、必ず派遣会社と話をするようにしてください。
マージン率は変わらなくても時給は上げられる
「時給を上げてほしい」と派遣会社に言うと、評価されている派遣社員であれば、派遣会社から派遣先に派遣料金を上げてもらえるように交渉してくれます。
派遣料金が上がれば、上がった分は100%ではありませんがその分時給に還元されるので、時給は上がります。
ちなみになぜ100%還元ではないかというと、時給が上がると社会保険料や有給休暇などの経費も増すので、派遣会社の利益が圧迫されるからです。
また派遣社員として就業開始前の、紹介されている段階での時給交渉もアリです。
その際は他社比較もOKですが、やりすぎると嫌われるので、あくまで自分の経験を根拠に交渉したほうが正攻法です。
まとめ・マージン率はバランスが大切
マージン率は、高すぎても低すぎてもあまり良いとは言えないことがお分かりいただけましたでしょうか?
派遣会社は、このマージン率の設定(時給設定)にものすごく頭を使っています。
派遣会社の肝の部分だからです。
その分会社のカラーも出やすいですし、そう簡単に変えられるものでもありません。
マージン率が高くても「取りすぎ!もっと時給を上げて」という前に、マージン率が高い理由、逆に低い理由を一度冷静に考えてみても良いと思います。
そして、時給を上げたいならマージン率に目を向けるより、自分が派遣先に貢献し実績を出して、派遣料金ごと上げてもらえるように努力をした方がよっぽど賢明なので、ぜひ参考にされてくださいね。
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