派遣社員が契約満了になり退職する場合に「会社都合」の退職なのか?それとも「自己都合」の退職なのかは気になるところです。
正社員の場合は、自分から退職を申し出たら「自己都合」で、会社から解雇を言い渡されたら「会社都合」です。
しかし派遣社員の契約満了の場合には、どちらなのか迷う人も多いでしょう。
今回は派遣社員が契約満了で退職する場合には「会社都合」になるのか、それとも「自己都合」になるのかについて解説いたします。
また、それに伴い「失業保険」の扱いがどのように変わっていくのか?についても併せて解説いたします。

派遣契約満了の「自己都合」「会社都合」で、失業保険はどう変わる?
この項目では、派遣社員が「自己都合」と「会社都合」のそれぞれのケースで退職した場合に、失業保険の扱いはどのように変わるかについて、解説いたします。
まず、そもそも失業保険とは何か?についてです。
失業保険とは何か?
失業保険とは、会社を退職した際に「国から支給されるお金」のことを言います。
「次の仕事が見つかるまでの間の生活維持」や「再就職活動の負担を減らす」などの目的として、支払われています。
この失業保険は年齢や勤続年数などの条件により、毎月もらっていた給与の約50~80%が支払われるので、もらえるともらえないとだと雲泥の差です。
もし失業保険がもらえなかったら、次の再就職先が決まるまでアルバイトに明け暮れる等の状況になり、本来の就職活動ができなくなる可能性があります。
因みに「失業保険」というのは正式名称ではありません。
正式名称は「基本手当」と言います。
(※今回の記事では「失業保険」と呼ばせてもらいます。)
失業保険の受給条件とは?
失業保険は、退職した人が誰でももらえるわけではありません。
受給するには条件を満たしている必要があります。
その条件は下記の通りです。
退職日より前の2年間に、雇用保険に加入していた期間が12ヵ月以上あること
つまり過去2年間に、雇用保険に加入した状態で最低12ヵ月は働いていたら大丈夫ということです。
契約満了になり、次の仕事まで日が空いていても、過去2年間で合計12ヵ月分は雇用保険に加入しながら働いていたという場合も大丈夫です。
また派遣の契約満了での「自己都合」と「会社都合」の退職では、失業保険の【待機期間】と【もらえる期間】は、どのように変わってくるかについても触れます。
会社都合と自己都合で、失業保険の【待機期間】【もらえる期間】はどう変わる?
~契約満了が「会社都合」の場合~
- 待機期間…なし
- もらえる期間…最大240日
~契約満了が「自己都合」の場合~
- 待機期間…なし
- もらえる期間…最大150日
ここで注意してもらいたい点は、派遣社員の契約満了の場合には「会社都合」でも「自己都合」でも、どちらも待機期間は無いということです。
正社員が会社都合で退職する場合は「待機期間なし」ですが、自己都合で退職する場合には「待機期間あり」なので、混同してしまう人も多いです。
様々なサイトでも、派遣社員が契約満了で退職する場合に「自己都合」だと待機期間があると記載がありますが、今は違います。
2009年3月に法改正がされてから、派遣社員の契約満了時の失業保険の待機期間は「自己都合」「会社都合」ともに、待機期間が無くなったのです。
また、もらえる期間は最大150日と240日と差があります。
(※もらえる期間は勤続年数などにより変わり、もちろん再就職先が決まったら、そこで支給は終了となります。)
この差は90日なので約3ヵ月に該当します。
すぐに仕事が見つかりそうな場合は良いですが、少し時間がかかりそうだったり、しばらく仕事をしないかもしれないと決めている人にとっては、会社都合の方が良いと言えます。
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派遣契約満了で退職すると、会社都合なの?自己都合なの?
次に本題である、派遣社員の契約満了での退職が「会社都合」か「自己都合」にあたるのかを解説いたします。
離職した際に、ハローワークに会社から発行してもらった「離職票」を提出すると、失業保険の手続きが開始されることを知っている人もいるでしょう。
この離職票には、どのような理由で離職したかを表す為に「離職区分」に〇をつける欄があります。
この「離職区分」にはかなり種類があるのですが、派遣社員の契約満了時の退職区分は、ほとんどのケースで「2C」又は「2D」になります。
離職区分:2Cとは?
退職理由:
契約者は労働契約の更新を希望したが、労働契約期間が終了してしまった。
離職区分:2Dとは?
退職理由:
労働契約期間が終了し、更に契約者は労働契約の更新を希望していなかった。
つまり、契約満了時に更新を希望したけれど退職扱いになった人は2Cで「会社都合」退職扱いとなります。
反対に、契約満了時に更新を希望せずに退職扱いになった人は2Dで「自己都合」退職扱いとなります。
両者ともに失業保険の待機期間はありませんが、もらえる最大期間が【会社都合>自己都合】となります。
※この辺りの判断は、最終的にはハローワークが行います。
その為、自分がどちらに該当するかについては、念の為にハローワークに直接確認することをオススメいたします。
派遣契約満了で、失業保険をもらう為の注意点とは?
ここまでの話で、派遣社員の契約満了時の失業保険は「自己都合」でも「会社都合」でも、待機期間なしですぐもらえることが分かりました。
(もちろん、会社から発行してもらえる離職票をハローワークに提出してからの話です。)
しかし、両者の最大給付期間は「自己都合で150日」「会社都合で240日」と差があります。
このことから、5ヵ月以上働かない可能性がある場合には、会社都合とした方が良いと言えます。
会社都合になるか否かは、辞める際の会社との細かいニュアンスや、ちょっとした行動・発言により変わってくるので注意が必要です。
下記が、会社都合にする為の注意点です。
派遣社員の契約満了時に、会社都合退職にする為の注意点
引き続き同じ派遣会社で仕事紹介を希望する(素振りを見せる)
もう同じ派遣会社で仕事紹介を希望しないということが明確になると、自己都合にされてしまう可能性が高くなります。
なぜなら、所属していた派遣会社は仕事を紹介するつもりだったのに、派遣社員側の都合があり紹介できなかったと捉えられるからです。
その為、仕事の紹介を希望する素振りは見せるようにしましょう。
しかし本当に紹介されてOKをしてしまうと、失業保険の給付自体が無くなってしまいますので、次の内容も併せて確認しましょう。
派遣会社に仕事紹介をされても、正当な理由をつけて断る
離職後1ヵ月以内に派遣会社に仕事紹介をされてしまい、それを断ると自己都合退職になってしまう可能性があります。
しかし”正当な理由”をつけて断れば、会社都合退職にできる可能性が高くなります。
ここでいう正当な理由とは「距離が遠い支店を紹介されたので、通勤が厳しい」などを指します。
とはいえ、最終判断はハローワークなので、心配であれば事前にハローワークに確認することをオススメします。
まとめ
今回は、派遣社員が契約満了になり退職となった場合に「会社都合」と「自己都合」のどちらになるかについて、解説いたしました。
派遣社員側のちょっとしたニュアンスの差で、対応できる部分があることも分かりましたね。
また2009年3月の法改正により、派遣社員が契約満了となった場合には「会社都合」でも「自己都合」の退職でも、失業保険の待機期間は無くなったことが分かりました。
かなり多くのサイトで、自己都合退職の場合は待期期間があると記載がありますが、これは法改正前の情報になりますので、ご注意下さい。
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