「ストレスが溜まりすぎて、職場に行くのが辛い」
「ストレス解消したいけど、何をすればいいかわからない」
こんな風に悩んでいませんか?
職場でのストレスは、多かれ少なかれ誰でも感じるもの。
ただあまりに強いストレスだった場合、心や体に不調が表れてきて、最終的に取り返しのつかないことになってしまうケースも後を絶ちません。
ただ周囲の人は、その人がどれほどストレスを感じているか、溜め込んでいるかは見た目ではわからないので、気づけないのが現実。
つまり自分の感じているストレスに気付いて、対処ができるのは自分しかいないのです。
この記事では、派遣会社の営業というストレスの高い仕事を10年経験し、2回の転居を伴う異動や数々のプライベートでのトラブルを経験した筆者が、職場で感じるストレスとの上手な付き合い方をお伝えしていきます。
ストレスに気付くことの大切さ
自分ではそれほどストレスを感じていないと思っていても、気づかないうちに溜め込んでいる人も少なくありません。
気付いたら取り返しのつかないところまで行ってしまっていたということも。
まずは、自分をしっかり見つめて、ストレスに気付くことがとても重要になります。
ストレスに気付けるのは自分だけ
自分がストレスを感じているかどうかは、他人にはわかりません。
同じ出来事に遭遇しても、あっけらかんとしている人もいれば、ものすごくストレスを感じる人もいます。
またプライベートでのストレスは、職場で言わない限り自分しか知り得ませんし、逆に職場でのストレスは、その場を見ていない家族にはわかりません。
そのため、自分がどの程度ストレスを感じているかは、自分で気づくしかない。
自分で自分を助けてあげないことには、誰も助けてくれないのです。
自分の心にしっかりと耳を傾けて、自分でストレスに気づくということの重要性を、まずはしっかり認識しておきましょう。
ストレスに気付けたらセルフケアを
ストレスに気付いたら、次にやるべきことは「セルフケア」です。
セルフケアとは、一言でいうと「自分の健康は自分で守る」ということ。
そのために必要な情報や知識、方法などを身に付けて、適切なときに適切なケアをすることができるようにならなければいけません。
また、自分自身のできうる限りのケアをしても、症状が好転しない場合は、病院やカウンセリングにいくことになると思いますが、その判断をするのも自分です。
つまり、最初から最後まで自分で自分をケアする「セルフケア」の精神が必要なのだという認識をもっておくことが、ストレスとうまく付き合うためのベースなのです。
まずはストレスチェックをしてみよう
ストレスを感じているかどうかは自分自身で気づく必要がありますが、どのようにチェックして良いのかわからない人も多いと思います。
まずは、ストレスを感じているときに自分から送られるサインをいくつかご紹介していきます。
職場でこんなことがあったら危険信号
職場でこんなことはありませんでしたか?
もし以下に該当するようなことがあれば、あなたはストレスを感じている可能性があります。
- 人間関係のトラブル
- 役割や地位の変化
- 責任の重い仕事を任された
- 異動などの環境の変化
- 仕事の質や量が変わった
職場でストレスになりやすいきっかけは「変化」です。
部署異動などをきっかけに、業務の量や質が変化したり人間関係が変化したりすることは、充分ストレスになり得ます。
難しいのは、それが昇進などという一見うれしい出来事であっても、ストレスになる可能性があること。
こういうケースは、その嬉しさにストレスが覆い隠されて、気づくのが遅れてしまうことが多々あるので逆に厄介です。
なにか自分の環境に「変化」があったら、それが良いものでも、悪いものでも、ストレスになり得るという認識をもっておきましょう。
職場以外での出来事にも注視する
ストレスは職場だけでなく、プライベートでも感じています。
もしあなたがプライベートにおいて、以下のようなことに直面している場合、ストレスを感じている可能性があります。
- 引っ越しなどの住む場所の変化
- 家庭内の不和
- 近しい人との死別
- ローンなどの金銭問題
- 事故や隣人などとのトラブル
ストレスは、仕事だけで感じるものではありません。
仕事とプライベート、それぞれのストレスは我慢できるレベルのものだと思っていても、それが掛け合わさることで、大きなストレスになっていることも。
人間は機械ではないので、仕事とプライベートを100%切り分けることは不可能です。
ストレスは仕事で感じるもの、という考え方を持っているのであれば、その思い込みはすぐに捨てて、プライベートでの出来事にも注意をするようにましょう。
ストレスを感じると心や体にはこんな反応が
ストレスを感じると、以下のようなサインが自分に表れてきます。
思い当たることがある人は、注意が必要です。
- 心理面の反応・・・ひどく疲れた、イライラする、緊張している、不安だ、何をするのも面倒、だるい、落ち着かない など
- 身体面の反応・・・不眠、高血圧、胃・十二指腸潰瘍、首や肩のこり、動悸・息切れ、下痢・便秘、肥満 など
- 行動面の反応・・・アルコール依存、作業効率の低下、作業場の事故、過食・拒食 など
これらのサインは、必ずしもストレスが原因とは限りません。
しかし、もしストレスが原因だった場合は、症状を対症療法的に改善したとしても、根本であるストレスを排除しないことには、また再発することになります。
このような症状が出たら、まずはストレスを疑ってみて、解消するためのセルフケアを行うことを推奨します。
客観的なストレスチェックをしてみよう
ストレスを感じているときは、往々にして冷静な判断ができないこともあります。
そういう時は、客観的なストレス診断をしてくれるツールを活用して、自身のストレス度合いを測る方法がオススメ。
以下に厚生労働省が設置しているストレスのセルフチェックができるサイトを張り付けておきますので、一度試してみてください。
自分が思っているよりも、ストレスを感じていることに気付けるかもしれません。
参考:厚生労働省「5分でできる職場のストレスセルフチェック」
ストレスの根本原因を突き止めよう
ストレスとの付き合い方をご紹介する前に、そのストレスとなっている根本原因を知ることも重要です。
現状を改善する一番良い方法は、そのストレスの原因となっているものを排除すること。
ストレスの根本原因を突き止めることができれば、場合によっては排除することも可能かもしれません。
ただ現実として、なかなかそのストレス原因を全くのゼロにするのは、難しいケースがほとんどでしょう。
とはいえ、ストレスの原因となっているものを知ることは、付き合い方を考えるうえでとても大切な工程になります。
「敵を知り己を知れば百戦殆うからず」―孫氏-
ストレスの原因となっている「敵」を知ることは、ストレスとの戦いに勝つためには必要なことなのです。
ノートに書きだしてみる
ストレスの原因を知るためにオススメの方法が、「ノートに書きだす」こと。
ストレスの原因となっている可能性があることを、深く考えず、思いつくままに書き出してみましょう。
しばらく書いてみて、ふと出てきたものを見返してみたとき、なにかに気付くこともあると思います。
繰り返し出てきているワードがあったり、思い付きで書いているからこそ深層心理が表出していたりして、意外なところにストレスを感じていたということがわかるかもしれません。
また、副産物としてノートに書きだしてみることそのものが、ストレス解消につながることもあります。
一度試してみて損は無い方法だと思います。
ここからは、いよいよ具体的なストレスとの付き合い方をご紹介していきます。
全て筆者が試してみて、効果的だった方法のみをご紹介していますので、安心して読んでいただければと思います。
ストレスとの賢い付き合い方① 体を動かす
「健全なる精神は健全なる身体に宿る」
古代ローマの詩人、デキムス・ユニウス・ユウェリナスの言葉です。
この言葉のとおり、心と体は切っても切り離せない関係にあります。
風邪をひいているときは、気持ちも弱気になっていたという経験はありませんか?
これが心と体が連動している一つの証拠でしょう。
この章では、体を動かすことで心をすっきりさせ、ストレスを軽減する方法をご紹介していきます。
ストレッチで緊張した筋肉をほぐす
いつでもどこでもできるストレッチは、ストレスを軽減するとても効果的な方法です。
ストレスを感じているとき、人は無意識のうちに筋肉が緊張して、こわばっていることが多いです。
何かを我慢しているとき、気付いたら歯を食いしばったり、肩に力が入ったりしていた経験がある方も多いと思います。
これが継続的に起こると、慢性的な痛みとして体に不調をきたしてしまうことに。
参考:名古屋大学「ストレス下での持続的な筋緊張が慢性的な痛みにつながる仕組みを解明 ~筋痛性脳脊髄炎/線維筋痛症における痛み発症・維持のメカニズム~」
業務中に定期的にストレッチをすることは、この筋肉の緊張をほぐして、ストレスから解放してくれるのです。
何も考えずにひたすら走る
職場のストレスで悩んでいるときは、嫌なことがあれこれ頭に浮かんできてしまって、それがさらにストレスになってしまうという負のスパイラルに陥りがち。
この負の連想から抜け出す良い方法は、「ランニング」です。
ランニングをするメリットは、運動をすることで血行を良くしたり、汗をかくことですっきりすることだけではありません。
走りながら難しい数学の問題を解くことができないように、人間は運動することと考えることが同時にできないようになっているようです。
この原理を使って、走ることで頭の中が空っぽにして、悩みを忘れさせることでストレスから逃れることができます。
今回ご紹介する方法の中でも、最もシンプルで効果的な方法ですので、ぜひ実行してみてください。
少し複雑なスポーツに没頭する
悩みが深かったり、ストレスを感じやすい繊細な人の場合は、ランニングだけでは頭が空っぽにならないときもあるでしょう。
そんな時に効果的なのは、「少し複雑なスポーツに没頭する」こと。
ランニングは嫌なことを考えないようにできるという効果がありますが、ルールが複雑だったり、戦術が必要だったりする競技であれば、頭の中を空っぽにするのではなく違うものに置き換えることができます。
例えば、フットサルやテニス、野球など勝つためにどうすればいいか?を考えなければいけない競技は、強制的に思考が置き換えらます。
人間は2つのことを同時に考えるのは苦手な生き物なので、職場のストレスに悩みながら、フットサルで勝つための戦術を考えることはできないのです。
このような理由から、少し複雑なスポーツに没頭することは、ランニングよりさらに強力なストレスの悩みを忘れることができる方法なのです。
もちろん競技を選ぶ際は、ストレスになっては元も子もないので、やっていて楽しいものにしてくださいね。
ストレスとの賢い付き合い方② 心を癒す
前章では体を動かしてストレスを解消する方法をご紹介しました。
この章では、心を癒すための方法をお伝えしていきます。
親しい友人と会う
「ものすごく悩んでいたけど、友人に話を聴いてもらったらなんだかすっきりした」
こんな経験がある人は多いと思います。
親しい友人に会い、話を聴いてもらって、共感してもらうことが心の癒しになることについて、多くを語る必要は無いでしょう。
ただここで、1つだけ注意しなければいけないポイントは、友人選びです。
悩みを聞いてもらう友人を選ぶときは、「アドバイスしてくるタイプの人」は避けたほうが無難。
実態をよく知らない相手に下手にアドバイスをされると、「何も知らないくせに」とか、「まるで自分が責められているみたい」と感じて、逆にストレスを感じてしまうことがあります。
黙ってうなずいて、適度に共感してくれるような友人を選んで、話をするようにしましょう。
もしそんな良い友人がいて、話を聴いてくれたときは、御礼にご飯をごちそうするなどの配慮も忘れずにしてくださいね。
お笑い番組を観る
ストレスで荒んだ心を癒すのに「お笑い番組」はとても効果的です。
笑うことがストレス解消に有効なことは、経験として感じたことがある人も多いはず。
これを科学的に実証した研究が存在しました。
日本お笑い学会というところで理事をしている医師の大平哲也さんが2003年に発表した論文には、下記のようなことが書いてあります。
大阪府立健康科学センターでは、笑いが健康に及ぼす効果について主観的・客観的な指標をもとに検討することを目的として、隔月で「健康落語同情」を開催している。
主観的指標としては、自覚的ストレス・リラックス感等を、客観的指標としてはストレスホルモンの一つとして知られている唾液中コルチゾールを「落語」の前後で測定した。
(中略)参加者の77%は落語の後にリラックスできたと回答した。
落語前後の唾液中コルチゾールの平均値はそれぞれ5.6ng/ml、4.8ng/mlでありコルチゾール値は落語後に優位に低下した。
参考:大平哲也「笑いのストレス解消効果についての研究」(2003年)
このことからも、お笑い番組を観るなどして積極的に笑うことは、ストレス軽減に効果的であるといえるでしょう。
一人で好きな時間を過ごす
ストレスの原因として挙げられることが多いのは人間関係でしょう。
「一人で好きな時間を過ごす」ことは、職場の人間関係に疲れてストレスを感じている人にとって、とてもよいリフレッシュになるはずです。
特に内向性の強い人は、外交的な人とは違って人と会ってストレスを解消するよりも、一人の時間を過ごす方がパワーを充電できるでしょう。
職場でも昼休みは一人で取るとか、2時間に一回はトイレにこもって目をつむって深呼吸するとか、意識的に一人になる時間を作るとストレスが軽減されるのでオススメ。
休みの日には、一人旅に出かけてみたり、ドライブをして車の中で好きな音楽を聴いたり、趣味に没頭したりして、荒れた心をリセットするようにしましょう。
ストレスとの賢い付き合い方③ 体を癒す
心と体は連動しているので、体が疲れてしまっていては、心の疲れも取れません。
ストレスで疲れ切った体を癒すオススメの方法をご紹介します。
ゆっくり入浴する
忙しいビジネスマンは、入浴することなくシャワーで済ますという人も多いのではないでしょうか。
しかしそれでは、ストレス解消されません。
入浴には、血行を良くしたり、リラックスすることで筋肉の緊張がほぐれたりして、体を癒すのに高い効果が見込めます。
それだけでなく、入浴すると脳内に「オキシトシン」という気持ちを落ち着かせたり、安心させたりする効果があるホルモンが分泌されます。
また家族で入浴中にするスキンシップは、「セロトニン」という脳内物質を増加させます。
「セロトニン」は別名「幸せホルモン」とも呼ばれ、不安や恐怖感を軽減して精神が落ち着く効果や、痛みが和らぐといった効果があります。
このように入浴は、いろいろな面からみても高い癒し効果があり、ストレス解消にも効果てきめんということが言えるでしょう。
十分な睡眠をとる
いわずもがな、睡眠は活きていく上で大切な三大欲求の一つ。
不眠症からストレス耐性が弱まり、うつ病を発症するというようなメカニズムは、最近の研究からも事実であるようです。
さらに近年の研究から、睡眠が不十分だと不安障害や気分障害(うつ病)のリスクが高まるのではないかと指摘されています。
これまでは主に、不眠症とうつ病の関係や、一晩の全断眠(徹夜)後の気分に関する研究が行われてきました。
例えば、徹夜後には通常睡眠後と比較して、刺激を受けた際に瞳孔散大や血圧・心拍数の上昇などの交感神経緊張が強くみられ、弱い心理的ストレスに対しても気分の悪化を起こしやすく、不安や混乱などの情動不安定が強まることが報告されています。
引用:国立精神・神経医療研究センター「国立精神・神経医療研究センター・三島和夫部長らの研究グループが、睡眠不足で不安・抑うつが強まる神経基盤を解明」(2003年)
このことからも十分な睡眠をとることが、ストレスに強い状態を作るためにとても大切なことであることがわかります。
夜中にスマホを観たり、テレビを見たりして、つい夜更かしをしたくなる人は多いと思いますが、ストレスと上手に付き合っていくために、早く寝て十分な睡眠をとるようにしましょう。
ストレスとの賢い付き合い方④ 環境を変える
「環境を変える」というのは、ストレスとの付き合い方というより、ストレスから逃れるための方法という方が近いかもしれません。
しかし、職場のストレスの悩みを解決するには、環境を変えることが最もシンプルで確実な方法です。
環境変えるための方法は、正直これしかありません。
転職する
環境を変えるためには、「転職する」しかありません。
職場で感じるストレスから逃れるには、職場を変えれば良い、という至極単純な話です。
今の職場で感じているストレスを、感じないであろう職場を選んで転職すれば、もはや一発で悩みは解決します。
一方で当然ですが、転職すると「初めての会社」で「新しく人間関係」を築きながら、「やったことのない仕事」を覚えることになります。
それを、人によっては新鮮に感じる人もいれば、ストレスに感じる人もいるでしょう。
転職のストレスと、現在の職場のストレスを天秤にかけたうえで、転職を選択したほうが良いという判断になるのであれば、環境を劇的に変えられる転職という選択肢は、とても有効な手段になるでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
職場でのストレスと上手に付き合っていくための、具体的な方法を学んでいただけたと思います。
いままでご紹介してきたような、ストレスに対する「セルフチェック」と「セルフケア」がしっかりできるというのは、1つのスキルです。
ご紹介した方法を1つ1つ理解、実行してストレスをコントロールするスキルを身に付け、無理なく、気持ちよく働くことができるような状態を保てると良いですね。