結論から言うと、未経験者が一級建築士にいきなり転職することは、基本的にできません。
なぜなら一級建築士として働くために必要な「免許登録」には、実務経験が求められるからです。
しかし、一級建築士を目指すポジションになら転職できます。
建築士のもとで建築関係の仕事をしながら、ゆくゆくは一級建築士を目指すことが可能です。
とはいえ未経験者が一級建築士に転職成功させるためには、相応の努力が求められます。
ここでは未経験者が一級建築士に転職するのは難しいのか、一級建築士の受検資格取得にはどのような条件が設けられているか、わかりやすく解説します。
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未経験でも一級建築士に転職できる?
未経験者でも、一級建築士の試験を受けて合格することは可能です。
しかしその状態で建築関係の会社に転職が決まった、あるいは試験を受ける前に採用が決まったからといって、すぐに一級建築士を名乗れるわけではない点に注意してください。
一級建築士とは、一級建築士の資格試験に合格し、さらに現場で実務経験を積んで「免許登録」を済ませている人のことです。
実務は未経験でも建築系の学校を卒業している人や、二級建築士の資格を持っている人なら、一級建築士の試験を受験できます。
しかし、ただ試験に合格しただけでは免許登録できません。
決められた年数の実務経験を積んで免許登録していないと、一級建築士を名乗って働くことはできないのです。
一級建築士の資格がなくても設計関係の仕事はできる
設計関係の仕事には、必ずしも資格が求められていません。
会社が建築物の設計をするときは、建築士を管理者として立てる必要があります。
逆に言えば、建築士のもとで働く分には、建築士の資格がなくても問題ないのです。
一級建築士の免許登録を済ませるまでは、建築士のもとで実務経験を積んでいくことになります。
一級建築士に転職を目指すなら早めに行動しよう
建築のフィールドで主要な役割を果たしたい、あるいは将来自立したい方は、一級または二級の建築士資格を早めに目指すことが推奨されます。
建築や土木の学科を卒業し、すぐに建築士の仕事に就いた人々は、既に数年の経験を持ち、そのキャリアを発展させてきています。
したがって、他の職種から一級建築士に転職したいと考えている人が、すでに出遅れていることは否めません。
今から一級建築士への転職を目指す場合、あいまいに「将来的には資格を持ちたい」と考えるのではなく、「この時期までには」という具体的な目標を持ち、計画的に進めるのが鍵です。
年齢や現在の立場によって、実際の仕事の経験を通じて受検資格を得るのか、あるいは専門の学校での再学習が最善かは異なるでしょう。
最も大切なのは、誤解に基づいて「学校に戻らなければ資格は絶対に取れない」と考えないことと、実務の経験が評価される現実を把握することです。
未経験で建築士に転職するのは難しい?
未経験と言われる状態は、純粋なまったくの未経験と「実務未経験」の二つが考えられます。
実務未経験は、例えば建築や土木関連の学科を修了してはいるものの、具体的な建築の現場での経験がない人々を指す言葉です。
彼らは、学問としての建築の知識は持っているものの、現場での活動経験はまだありません。
この実務未経験というステータスは、建築士としての資格取得の観点から見ると、非常に重要なポイントとなります。
二級建築士の受検資格取得における必要な実務経験の年数は、学歴や専攻によって異なるからです。
建築関連の学科を卒業した人は、実務経験なしで受検が可能です。
土木の学科卒の人や高校の建築、土木関連科を卒業した人は、まず二級建築士の資格を取るまでにそれぞれ1年以上や3年以上の実務経験が求められます。
一方、完全に異分野から二級建築士の受検を目指す場合、実務経験は7年以上も必要です。
一級建築士への転職は努力が必要
このように、学歴や専攻の背景によっては、一級建築士への道が近いこともあります。
建築や土木の学科を修了してから別の分野でキャリアを積んできた人にとって、一級建築士への転職を目指すのは、現実的な選択肢となるでしょう。
ただし、完全に異分野からまったくの未経験で転職する場合、道のりは険しいものとなります。
どの背景からのスタートであれ、一級建築士を目指すには計画と努力が不可欠です。
転職希望者は自身の現状を冷静に評価・分析し、明確なゴールを持って取り組むことが求められます。
そもそも一級建築士とは?
そもそも一級建築士とは、日本の建築に関連する国家資格の一つです。
一級建築士は建築に関する知識や技術を持つ専門家として、住宅、オフィス、商業施設、公共施設などの建築物の設計を行います。
機能性、安全性、美観性などを意識しながら、環境への配慮等、さまざまな要因を考慮して設計を進める必要があるお仕事です。
一級建築士のほかにも、建築士の資格には、「二級建築士」や「木造建築士」があります。
この中でも一級建築士は、もっとも高度な資格です。
一級建築士の資格があると、住宅からスタジアムのような大型施設まで、幅広い建物の設計が可能になります。
一級建築士の資格を取るには、「学科の試験」に合格後、「設計製図の試験」にも合格しなければなりません。
もし「設計製図の試験」で落ちてしまっても、「学科の試験」に一度合格すると、5年間は「学科の試験」の試験が免除されます。
一級建築士の受検資格
一級建築士の受検資格がある人は、次の通りです。
一級建築士の受検資格
- 大学、短期大学、高等専門学校において、
・ 入学年が平成21年度以降:指定科目を修めて卒業した者
・ 入学年が平成20年度以前:建築または土木の課程を修めて卒業した者 - 二級建築士の資格保有者
- 国土交通大臣が、上記の二者と同等以上の知識及び技能を有すると認める者
- 建築設備士の資格保有者
令和元年までは、実務経験がないと一級建築士試験を受検できませんでしたが、令和2年からは実務経験がなくても受検できるようになりました。
ただし、実務経験がないうちは免許登録できない点に注意が必要です。
一級建築士の免許登録要件
一級建築士の試験に合格したからといって、すぐに一級建築士を名乗ることはできません。
最終学歴に応じて決められている年数分の実務経験を積み、免許の申請をすることで、初めて一級建築士として認められます。
建築に関する最終学歴または資格 | 実務経験年数 |
---|---|
大学 | 卒業後2年以上 |
短期大学(3年) | 卒業後3年以上 |
短期大学(2年) | 卒業後4年以上 |
高等専門学校 | 卒業後4年以上 |
二級建築士 | 二級建築士として4年以上 |
国土交通大臣が同等以上と認める者 | 所定の年数以上 |
建築設備士 | 建築設備士として4年以上 |
なお、免許登録要件となる「実務経験」とは、次の7種類に分類できます。
免許登録要件となる実務経験
- 建築物の設計に関する実務
- 建築物の工事監理に関する実務
- 建築工事の指導監督に関する実務
- 建築物に関する調査又は評価に関する実務
- 建築工事の施工の技術上の管理に関する実務
- 建築・住宅・都市計画行政に関する実務
- 建築教育・研究・開発及びそのほかの業務
二級建築士・木造建築士と一級建築士の違い
二級建築士は主に住宅規模の建築物の設計ができる資格です。
一級建築士に比べ、受験資格は比較的緩やかとなっています。
木造建築士とは、主に木造住宅の設計に関わることができる資格です。
日本の伝統的な木造建築や、木を主要な材料とした建物の設計に特化しています。
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