秘書は、事務系職種のなかでも専門性が高い職種です。
安定した人気を誇っており、企業のトップクラスを支えることで、得られる学びもやりがいも大きいですよね。
一方で、大変な職種でもあり転職を考えている方もいらっしゃると思います。
秘書から転職するには、幅広い業務をおこなってきた分強みが多いです。
転職を成功させるためには強みをアピールすることが重要ですので、自分の強みを理解しておきましょう。
秘書の強みは経験の豊富さ
秘書は、一般社員では関わることのできない企業のトップクラスと関わる仕事です。
幅広い業務をおこないますので、身に付くスキルが多いです。
具体的にアピールできるスキルは、以下の3つです。
- 事務処理スキル
- スケジュールと情報などの管理スキル
- コミュニケーションスキル
事務処理スキル
秘書は、資料作成や書類作成をおこないます。
そのため、ワードやエクセルなどのパソコンスキルを身に付けられます。
他にも、書類作成にはパソコンスキルだけではなくビジネス文書の基本的なマナー、書式、慣用表現など適切な言葉遣いが必要です。
パソコンスキル以外にも、事務処理をおこなっていたことによるスキルは多くあります。
スケジュールと情報などの管理スキル
上司のスケジュール管理、アポイントの調整も秘書の仕事です。
忙しい上司の限られた時間を使い、効率的に計画をたてていきます。
出張先の宿泊先を手配したり、交通手段を確保したり、事前のリサーチやスケジュール管理が必要です。
スケジュールを組み立てていくスキルは社会人のどの業務にも役立ちます。
また、せっかくたてたスケジュールでも急に予定が変更される場合もあります。
その場合には、関係各所に連絡と交渉をおこなわなくてはいけません。
迅速な調整をおこないますので、調整力もアピールできます。
コミュニケーションスキル
秘書は、取引先や他社のトップクラスの役員とも関わります。
普通では関わることのできない人たちと関われるので、とても貴重な体験です。
電話や来客対応も頻繁におこないますし、上司の代理で連絡、交渉をおこなうこともあります。
どのような人からも信頼される言葉遣いや対応が求められます。
情報収集能力
秘書には、忙しい上司にかわって情報を収集する役割もあります。
業種の最新のトレンドや動向をチェックしなければいけません。
新聞やニュースだけではなく、関連する書籍やSNSで最新の情報を集めて、上司に提供します。
時には意見を求められることもありますので、情報を集めながら自分の意見も考えることが重要です。
同じ業種に転職を考えている場合には、秘書として集めた情報をアピールすることも効果的です。
秘書から転職する際の強みの選び方
秘書で身に付いたスキルを理解できても、どのスキルをアピールすればいいのかわからないですよね。
面接では、必ず自分の強みを聞かれます。
秘書で身に付けたスキルは、大きく以下の3つにわかれています。
- ポータブルスキル
- テクニカルスキル
- ヒューマンスキル
自分が身に付けられたと思うスキルを以下の3つに当てはめて、すべてのスキルをアピールできると効果的です。
ポータブルスキル
「ポータブルスキル」とは、会社や職種に関係なく活かすことができるスキルのことです。
「専門知識・専門技術」「仕事の仕方」「人とのかかわり方」の3つで構成されています。
具体的には、「マネジメント力」「課題解決力」「提案力」などが当てはまります。
秘書は上司からの依頼をこなすだけではなく、意向を察して一歩先の提案力が必要です。
そういった経験を具体的にアピールしていきましょう。
テクニカルスキル
「テクニカルスキル」とは、職種ごとの専門スキルや資格のことをいいます。
秘書の場合は秘書技能検定や、CBS(国際技能)検定などの資格を取得している場合が多いと思います。
秘書技能検定は人柄が試される試験ですし、CBS(国際技能)検定では語学力が試される試験です。
秘書以外の職種にもつかえるスキルとしてアピールができます。
ヒューマンスキル
「ヒューマンスキル」とは、他社と良好な人間関係をつくり、円滑なコミュニケーションを可能にするスキルのことです。
サポートをする上司との相性もありますが、上司の望むやり方か、意図を察知して一歩先の行動をしなくてはいけません。
秘書には、対応力やコミュニケーション能力、急な変更があっても臨機応変に対応する柔軟さ、何事にも慌てない冷静な判断力、ホスピタリティや洞察力、傾聴力などが求められます。
社内のコミュニケーションを活性化し、会社に貢献してきたことは大きな強みです。
また、秘書には多忙な業務を乗り越えるタフさも求められますので、体力や精神力の面でもアピールできます。
秘書の強みを活かせるおすすめの転職先
幅広い業務をおこなってきた秘書には、強みを活かせる転職先が多くあります。
以下の4つを、詳しく紹介していきます。
- 経営企画
- 広報
- 般事務
- 営業職
- 違う企業の秘書
①経営企画
秘書の業務では、経営層と身近で関わってきました。
会議に同席して議事録を書くこともあるので、企業の重大な決定事項を目の当たりにしてきたはずです。
経営に関する知識やスキルを学べた方は、経営者のパートナーとして経営企画業務にチャレンジできます。
②広報
情報収集や、多くの人と関わってきた秘書は、社内外の多くの情報を持っています。
情報能力を活かして広報に転職することもできます。
③一般事務
秘書は、資料や書類作成などの事務作業もおこないます。
事務作業をおこなってきた中で、パソコンスキルに自信のある方におすすめの転職先です。
上司に代わって経費精算を行ってきた場合は、経理・財務にも転職できます。
契約や法律に関する知識を活かすなら法務も選択肢の一つです。
会社の運営活動に関わる法律知識や、コンプライアンスの理解が求められます。
④営業職
相手を先読みして仕事の手配をしたり、スケジュールを管理したりしていたスキルは、営業職にも役立ちます。
メールや電話で身に着けたビジネスマナーも営業職には必須の能力ですので、秘書から営業職への転職も可能です。
⑤他の企業の秘書
秘書の業務は、企業によって大きく異なります。
業務だけではなく担当する上司も変わりますので、人間関係で悩んでいるという方は改善される可能性が高いです。
今働いている企業で辛いと思っていても、転職した別の企業ではうまくいくこともあります。
秘書の業務は好きだけど人間関係や環境が合わずに転職を考えているという方は、他の企業の秘書も考えてみてください。
秘書が転職する際の職務経歴書のポイント
職務経歴書は、今まで自分がしてきたことをアピールします。
アピールするといっても、ただ自分の経歴をアピールするだけでは採用担当者には伝わりません。
以下2つのポイントを踏まえて、職務経歴書を作成してください。
- 経験値を客観的にアピールする
- 具体的で端的にまとめる
経験値を客観的にアピールする
前職の経験を、数値で具体的に書きましょう。
「パソコンスキルとコミュニケーション能力があります。」
「膨大な業務をこなしてきました。」
と、数値が入っていないとどれくらいできるのかがわかりづらいです。
数値を盛り込むことで「ものさし」が置かれるイメージです。
グループセクレタリーを担当していた場合には、どのようなポジションで何名分のスケジュールを管理していたのか記載しましょう。
簿記や秘書検定、会計ソフトやパソコンスキルも具体的に記載し、即戦力であることを伝えられれば採用の可能性が高まります。
まだ取得していない資格でも、目指している資格があれば勉強していることを伝えてください。
前職で自分のスキルを活用した成功体験があれば、エピソードを具体的にアピールしましょう。
具体的で端的にまとめる
採用担当者は、何人もの職務経歴書を目にしています。
そのため、具体的な経験や実績の記載が必要ですが、長々とした文章だと採用担当者に読んでもらえません。
書類選考で不利になってしまいますので、具体的に書きつつも端的にまとめましょう。
わかりやすく読みやすい文章が作成できることも、アピールできるスキルのひとつです。
面接にて口頭で話すことを前提とし、A4用紙2~3枚に収めるイメージで作成してください。
書きたいことがあって迷ってしまう場合には、面接で特に話を広げたいとおもうトピックスを重点的に記載しましょう。
秘書から違う職種へ転職するときに気をつけること
過去の経験や仕事内容で選択肢は変わりますが、違う職種に転職する際には20代までが望ましいです。
30歳以降では職種を変えるのが難しく、選択肢も少なくなってしまいます。
30歳以降では、転職するとしても基本的に秘書から秘書への転職です。
しかし秘書は経験の豊富さから、ベンチャー企業からのニーズが高い傾向があります。
ベンチャー企業でも福利厚生が手厚い企業が多いので、ベンチャー企業の求人では転職できる可能性も高まります。
秘書から転職したい理由で多いのは激務さ
人気で華やかに見える秘書ですが、どういった原因で転職を決意するのでしょうか?
秘書が転職を決意する原因を5つ紹介します。
- 精神的ストレスが多い
- 労働時間が不規則
- マルチタスクに追われる
- 実力を活かせない仕事ばかり任される
- 残業代が出ない企業もある
①精神的ストレスが多い
秘書には、ひとりの役員を担当する場合と、複数の役員を担当する場合があります。
役員それぞれのやり方に合わせなくてはいけないので、その分精神的なストレスは大きくなります。
ひとりの役員を長年担当するならいいですが、たびたび担当が代わってはその人のやり方に即座に合わせて調整しなくてはいけません。
そのため、新人では難しくやりこなせない場合もあります。
中には、失敗した秘書に対しての当たりが強い上司もいます。
担当する上司によって職場環境が大きく変わりますので、合わない上司だと精神的ストレスは大きいです。
また、機密性の高い職業で大きな秘密を担っているため、心労がたまりやすいことも原因です。
上司との関係で悩んでいたり、上司が嫌いで転職したりする方は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。
②労働時間が不規則
秘書の労働時間は役員のスケジュールに合わせないといけません。
夜遅くの来客対応や、接待に付き合う場合もあります。
急に予定が入ることもあるので、自分の予定がなかなかたてづらいです。
プライベートとの両立が難しいので、転職を決意する人が多いです。
③マルチタスクに追われる
秘書の仕事は非常に幅広いです。
上司の都合に合わせて動かなければいけないうえに、日々マルチタスクをこなさなければいけません。
自分のペースで仕事をすることもできませんし、並行して仕事を進めていく必要があります。
そのため、専門性を極めたい、自分のペースで働きたいという方は転職を考えています。
④実力を活かせない仕事ばかり任される
英語スキルやパソコンスキルがある方は、そのスキルを活かしてバリバリ働きたい!と思いますよね。
しかし、秘書の仕事は企業によって異なります。
仕事がほとんどスケジュール管理のみという会社もあります。
社長の話し相手、社長室の掃除、お茶出しなどしかおこなわず、もっと高度な仕事がしたいと思う方もいます。
⑤残業代が出ない企業もある
秘書は、労働基準法上「機密の事務を取り扱うもの」として、労働時間などの規定の対象外です。
そのため、企業からすると残業代を出す必要がありません。
残業のない職場ならいいですが、企業によっては月の残業が80時間を超える場合もあります。
労働時間が不規則なのに残業代が出ないと、不満を感じてしまいますよね。
秘書でしか経験できない強みをアピールして転職を成功させよう
秘書は、事務作業の中でも幅広い業務をおこなっています。
そのためアピールできる強みも多いですし、転職できる職種も多いです。
強みを上手くアピールできれば転職は成功できますので、自分の強みを考えてみてください。
秘書の強みは、以下の3つです。
- 事務処理スキル
- スケジュールと情報などの管理スキル
- コミュニケーションスキル
また、30歳以降よりも20代のほうが転職できる可能性が高いです。
特に秘書から異業種への転職を考えている場合には、はやめに行動しましょう。