貨物の輸入や輸出の場に欠かせない通関士ですが、年収はどれぐらいなのでしょうか?
通関士は、貨物の輸出入に関して専門的な知識を持つ、貿易のプロフェッショナルです。
通関士がいなければ通関書類の審査などが進まず、いつまでたっても輸出入の手続きが終わりません。
それだけ重要なお仕事だけに高年収が予想されますが、本当はどうなのか気になりますよね。
この記事では通関士の年収について、政府の調査結果を基に解説します。
あわせて仕事内容や試験内容なども解説します。
ぜひ参考にしてください。
通関士の年収はいくら?
早速通関士の年収を見ていきましょう。
この記事では、厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「jobtag」のデータを基に通関士の年収を考えていきます。
jobtagによると、通関士の年収は約580万円でした。
日本の給与所得者の平均年収は433万円というデータがあることからも、通関士の年収は高いといえます。
通関士の年収を他の士業と比較すると?
では、通関士の年収を他の士業の年収と比較してみましょう。
資格 | 平均年収 |
---|---|
通関士 | 580万円 |
弁護士 | 971万円 |
税理士 | 750万円 |
行政書士 | 580万円 |
司法書士 | 971万円 |
弁理士 | 971万円 |
先ほど通関士の年収について、給与所得者の平均的な年収よりも高いと解説しました。
一方、士業の中でも難関として知られる「司法書士」や「弁護士」などと比較すると、年収は低いケースが多いです。
通関士は年収1,000万円を目指せる?
先ほど解説したように、通関士の平均年収は約580万円でした。
では年収1,000万円を狙うのは、無謀なのでしょうか?
結論から言うと、通関士は年収1,000万円を目指せるお仕事です。
ただし、働く職場を間違えると年収1,000万円は難しいです。
次の見出しでは、年収1,000万円を狙うの通関士の方におすすめの職場を解説します。
通関士の年収アップが期待できる勤務先3選
つぎに、通関士の年収アップが期待できる職場を3つ見ていきましょう。
この記事では以下の3つのお仕事について詳しく解説します。
通関士の年収アップが期待できる勤務先3選
- 海運業界
- 外資系企業
- 管理職へのキャリアアップ
①海運業界
海運業界は、通関士が高年収を狙える職場の1つです。
海上輸送は国際的な貿易の一翼を担っており、輸出入の規模も大きく、通関手続きが欠かせません。
通関士が高年収を狙える根拠としては、まず需要の高さが挙げられます。
海運業界では貨物の増加に伴い、通関業務の需要も増えています。
また、輸出入における税金や関税などの手続きには専門知識が必要であり、関連スキルを持つ通関士の需要は高まっています。
②外資系企業
外資系企業も通関士にとって高年収を狙える魅力的な職場の1つです。
外資系企業は国際的な取引や物流に携わることが多く、通関士の専門知識とスキルが求められます。
そんななか、外資系企業は競争力のある報酬体制を整えており、通関士の経験とスキルに応じた高い年収を提供しています。
通関士の専門知識と国際ビジネスにおける重要な役割を認められれば、貢献度に応じた報酬が得られるのです。
ただし外資系企業では、日本の企業と福利厚生が異なる場合もあるので注意してください。
例えば、退職金制度は外資系企業は導入していないケースが多いです。
外資系企業で転職する際には、福利厚生や労働条件をよくチェックしてください。
➂管理職へのキャリアアップ
無理に新たな転職先を探さずに、現在の職場で管理職を目指す方法もあります。
職場を変える場合、新たな業務を1から覚え直さなければなりません。
現在の職場でポストに空きがあったり、周囲からの信頼を得たりできているのであれば、キャリアアップを目指して現在の職場を続けるのも1つの手です。
せっかく現在の職場でキャリアアップが狙えるのに、他の職場に移るのはもったいないですよね。
堅実な年収アップを狙う場合、現職でのキャリアアップは手堅いと言えます。
通関士の年収アップに役立つスキル3選
上では、通関士の年収アップが狙える職場を解説しました。
通関士が妊娠アップを考える上では、職場だけでなくスキルにも目を向けなければなりません。
この記事では以下の3つの記事について解説します。
通関士の年収アップに役立つスキル3選
- 語学力
- コミュニケーション能力
- チームワーク力
①語学力
通関士が高年収を狙うスキルの1つとして、語学力があります。
通関業務では国際的な取引やコミュニケーションが不可欠であり、複数の言語を扱う能力が求められます。
通関士は国際貿易や物流に関わるため、英語をはじめとする外国語の理解や会話が必要です。
国際的な取引相手と円滑なコミュニケーションを図るためには、正確で適切な言葉遣いや専門用語の理解が求められます。
さらに、異文化を理解し適切に対応するためにも語学力は欠かせません。
語学力が高い通関士は、多言語を活かした業務を遂行できるため、需要が高まります。
特にグローバルな企業や国際物流業界では、語学力を持つ通関士の需要が増えているため高い年収を狙えるのです。
また、通関士の業務は法律や規制に基づいて行われます。
②コミュニケーション能力
通関士は、輸入や輸出に関わる取引先、関税関連機関、運送会社、顧客などとのコミュニケーションをおこないます。
円滑な情報共有や問題解決には、正確かつ適切なコミュニケーション能力が不可欠です。
また、通関士はクライアントのニーズを理解し、適切なアドバイスや提案をする役割も担っています。
顧客との信頼関係を築き、満足度を高めるためにも、優れたコミュニケーション能力が求められるのです。
さらに通関業務は国際的な取引に関わるため、異文化間でのコミュニケーションも重要です。
異なる背景や文化を理解し、相手の視点に立った対話をおこなうことで、円滑な業務遂行が可能となります。
通関士のコミュニケーション能力が高いほど、顧客からの信頼を得やすくなり、仕事の幅や機会も広がります。
その結果、高年収を狙える可能性が高まるのです。
➂チームワーク力
通関士が高年収を狙えるスキルの1つとして、チームワーク力も欠かせません。
通関業務では、複数の関係者と協力しての業務遂行が求められます。
通関士は、取引先や関税関連機関、輸送業者、クライアントなどと密に連携し、スムーズな輸出入手続きや物流の調整をおこないます。
こうした背景から、チーム内外との円滑なコミュニケーションや協力関係の構築が重要です。
チームワーク力が高い通関士は、チームメンバーや関係者との信頼関係を構築し、共同で課題を解決する能力を持っています。
効果的な情報共有やタスクの分担、スケジュールの調整など、チーム全体の目標達成に向けた協力が求められます。
また、通関業務は多岐にわたる知識と専門的なスキルを要するため、異なるバックグラウンドを持つチームメンバーと協力し合うことで、より高度な業務遂行ができるのです。
通関士のお仕事内容
通関士の仕事は、国際物流における輸出入手続きや関税手続きを担当する専門職です。
具体的な業務内容としては、輸出入に関する書類の作成や関税の計算、輸送手段の手配などが挙げられます。
また、輸入貨物の検査や税関手続きの監査なども含まれます。
通関士は、複数の関係者と連携しながら業務を進めることもあります。
例えば、輸出入業者や輸送業者、税関職員などとの調整や情報共有が必要です。
通関士の仕事は、国際物流の円滑な運営に貢献し、企業や顧客のビジネスを支える役割を果たしています。
一方で、高い専門性が求められるお仕事なので、書類の正確な作成や関税の適正な計算、法令の遵守、国際物流に関する知識など、さまざまな知識や技術を身につけなければなりません。
通関士試験の内容
通関士の年収アップを強力に後押ししてくれるのが、資格です。
通関士の資格がなくても、通関業務の求人には応募できるケースもたくさんあります。
とは言え、難関の国家資格でもある通関士を取得すれば、資格手当などが付与されて年収アップが期待できるのです。
そんな通関士試験ですが、どのような内容を扱うのでしょうか?
通関士試験は「筆記試験」と「実地試験」の2つに分かれます。
それぞれの試験内容を詳しく見ていきましょう。
筆記試験
筆記試験では、関税法や関連法令、通関手続きなどに関する知識が問われます。
具体的な法令や手続きの内容、関税の計算方法などについての理解が求められるのです。
試験問題は、複数の選択肢から最適な回答を選ぶ形式や、解答を記述する形式などがあります。
正確な知識と理解力が問われるため、適切な情報の把握と応用力が求められます。
合格するためには、関税法や関連法令に関する知識を網羅的に学習しなければなりません。
関税の種類や税率、関税措置の解釈や適用、通関手続きの流れなどを正確に理解し、問題に対して的確な回答ができるように準備しましょう。
過去の試験問題を解いたり、関連の参考書や資料を活用することで、問題の傾向や出題内容に慣れていけます。
また、通関業務の実務経験や実践的な研修も合わせて取り組むと、より実践的な解答ができますよ。
実地試験
無事筆記試験に通過した後は、実地試験が待っています。
通関士試験の実地試験は、通関士の資格を取得するために行われる重要な試験の一環です。
実地試験では、実際の通関業務における実務能力や対応力が評価されます。
具体的には、関税手続きや通関書類の作成、関税計算の正確性や手続きの適切さのテストなどです。
試験場で与えられた実務課題に対して、所定の時間内に適切な手続きや文書を作成しなければなりません。
正確性や効率性、適切な判断力、コミュニケーション能力などが求められるため、実務経験や実践的な研修の重要性が高まります。
実地試験では、通関業務の流れや手続き、関連する法令や規則の理解が不可欠です。
また、実際の業務環境を再現するため、タイムマネジメントやストレス耐性も重要な要素となります。
合格するためには、実務経験の積み重ねや実践的な研修を通じて、関税手続きや通関書類の作成方法など、実務に即した対応力の習得が必須です。
実地試験に合格すれば、晴れて通関士試験が与えられます。
年収をあげたい通関士におすすめの転職サイト・転職エージェント3選
通関士が年収アップを狙って転職する場合、転職サイトや転職エージェントの活用が欠かせません。
自分ひとりの力で求人を探しても、時間や体力を消耗して結局転職をあきらめる可能性があります。
ここでは通関士の年収アップの強い味方になってくれる転職サイト・転職エージェントを3社厳選して紹介します。
年収をあげたい通関士におすすめの転職サイト・転職エージェント3選
- doda
- ビズリーチ
- JACリクルートメント
転職エージェントの上手な活用法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
あわせてチェックして、効果的に利用しましょう。
doda
dodaの特徴
- 取り扱い求人数が約20万件
- エンジニア・技術職・営業の求人が多い
- 面接対策などのエージェントサービスも手厚い
- 年収査定やレジュメビルダーなど転職準備のコンテンツが充実
- 転職フェアなども豊富
得意とする業界 | – |
---|---|
「通関士」をキーワードに含む公開求人数 | 約180件 |
おすすめポイント | エージェントのサポート体制が手厚い |
おすすめな人 | プロと転職を進めたい人 |
おすすめ度 | ★★★★★ |
dodaは、総公開求人数が業界トップクラスを誇る、転職エージェント最大手の1つです。
dodaのコンサルタントは通関士の転職市場に精通しており、利用者の希望に合った求人を紹介してくれるだけでなく、年収アップのためのサポートもしてくれます。
履歴書の添削や面接対策など、あなたの転職活動をトータルにサポートしてくれるので、安心して転職活動に取り組めますよ。
無料で利用できるので、気軽に登録してください。
ビズリーチ
ビズリーチの特徴
- スカウト型の転職エージェント
- 登録に審査がある
- 有料プランが用意されている
得意とする業界 | – |
---|---|
「通関士」をキーワードに含む公開求人数 | 約20件 |
おすすめポイント | ハイキャリア転職に特化 |
おすすめな人 | 年収を上げたい人 |
おすすめ度 | ★★★★★ |
ビズリーチは、年収アップやキャリアアップを狙った転職にフォーカスした転職サイトです。
ビズリーチは、経験豊富なプロフェッショナルや専門職を対象にした転職サービスを提供しており、通関士のような専門職に特化した求人情報を豊富に取り扱っています。
保有している求人の1/3以上が年収1,000万円以上なので、年収アップを狙いたい通関士の方にピッタリです。
有料プランに登録すれば、さらに転職活動が充実しますよ。
JACリクルートメント
JACリクルートメントの特徴
- 30代以上メインの転職サイト
- 年収600万円以上の好条件も充実
- メガベンチャーの管理職も目指せる
- 口コミ評価が高い
得意とする業界 | – |
---|---|
「通関士」をキーワードに含む公開求人数 | 約50件 |
おすすめポイント | 外資系求人に強い |
おすすめな人 | スキルに自信のある人 |
おすすめ度 | ★★★★★ |
JACリクルートメントも、年収アップを目指す通関士の方におすすめの転職エージェントです。
JACリクルートメントは、キャリアアップや年収アップを狙う人から大きな支持を得ている転職エージェントで、専任のコンサルタントが利用者の転職を熱心にサポートしてくれます。
また、外資系企業の求人に強いのも特徴です。
高年収な求人もたくさん掲載されていますよ。
通関士に関するQ&A
最後に通関士に関して役立つQ&Aを4つ紹介します。
これから通関士を目指す方はもちろん、現在通関士として働いている人も参考にしてください。
通関士に関するQ&A
- 通関士の年収に男女差はある?
- 通関士試験の合格率は?
- 通関士の将来性は?
- 通関士の資格を持っていないと通関業者へは転職できない?
Q.通関士の年収に男女差はある?
A.場合によっては差が生まれます。
というのも、結婚や出産、育児といった事情から職場を離れる女性が多いためです。
ただし、こうした事情がなければ男女間での格差は少ないうえ、一度離職した後でも復職しやすい企業がたくさんあります。
通関士は、男性女性どちらでも活躍できるお仕事なのです。
Q.通関士試験の合格率は?
A.10〜15%程度です。
2023年度の合格率は13.9%で、過去10年間の平均合格率は13.6%でした。
通関士試験は税関で通関業務を行うための国家資格で、合格率は比較的低く、難関資格とされています。
合格するためには、法律や税関の制度など、幅広い知識を身につける必要があります。
試験はマークシート方式でおこなわれますが、時間制限内に完了させるためには、貿易に関する知識はもちろん、戦略的な対策も必要です。
Q.通関士の将来性は?
A.高いです。
AIの発展によって通関士の仕事がなくなるのでは、という心配はありますが、実際にはそうではありません。
AIは通関士の業務を効率化したり、自動化したりはできますが、人間ならではの対応が必要な業務にまでは対応できないのです。
例えば、関税率を決定する業務では、書類の情報だけでは判断できないこともあり、輸入者に対して別途詳細な問合せ等が必要となる場合があります。
また、継続的な輸出入を行う業者だけでなく、単発的な輸出入をする業者とのやりとりも存在します。
また、輸出入の件数が増え続けている点から見ても、通関士の将来性や需要は高いと言えるのです。
Q.通関士の資格を持っていないと通関業者へは転職できない?
A.できます。
通関士の資格を持っていなくても、通関業者への転職は可能です。
通関業者は、通関士だけでなく、さまざまな職種の人材を求めています。
例えば、通関業務の補助や管理業務、営業業務など、通関士以外のポジションもあるのです。
また、企業によっては資格取得のサポートにも対応しているので、入社後の資格取得も視野に入れられます。
ただし、通関士の資格を持っていた方が転職が有利に進むケースが多いです。
まとめ~通関士の年収は平均より高い~
この記事では通関士の年収について、政府の調査結果をもとに具体的な数字を解説しました。
通関士の年収は、日本の給与所得者の平均である433万円を上回る580万円という結果でした。
弁護士や司法書士といった難関士業と比べると年収は低いものの、平均年収を約150万円も上回るほどの高年収です。
年収アップを狙うには、スキルの習得や転職などさまざまな方法があります。
転職をする場合には、転職サイトや転職エージェントといったツールを活用してください。
独力のみでの転職活動と比べると、効率が格段に上がりますよ。